TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025041370
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-26
出願番号2023148624
出願日2023-09-13
発明の名称乾燥システム
出願人株式会社大川原製作所
代理人個人,個人,個人
主分類F26B 5/06 20060101AFI20250318BHJP(乾燥)
要約【課題】乾燥状況の把握が可能な乾燥システムを提供する。
【解決手段】乾燥システム1は、被処理物を凍結させた凍結物Fを収納する容器本体21と、容器本体21に収納された凍結物Fに含まれている凝固した液体成分を昇華させて蒸気にすることで凍結物Fを乾燥させる熱媒体温度調整部3及び撹拌手段22と、容器本体21内の圧力を減少させる真空ポンプ4と、容器本体21と真空ポンプ4をつなぐ上流側排気路511、コールドトラップ5および下流側排気路512と、下流側排気路512における酸素濃度を測定する酸素濃度計44とを備えたことを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
被処理物を凍結させた凍結物を収納する容器本体と、
前記容器本体に収納された前記凍結物に含まれている凝固した液体成分を昇華させて蒸気にすることで該凍結物を乾燥させる乾燥手段と、
前記容器本体内の圧力を減少させる減圧装置と、
前記容器本体と前記減圧装置をつなぐ排気経路と、
前記排気経路における酸素濃度を測定する酸素濃度計とを備えたことを特徴とする乾燥システム。
続きを表示(約 260 文字)【請求項2】
前記酸素濃度計によって測定された前記酸素濃度に応じて前記乾燥手段による乾燥速度を調整する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の乾燥システム。
【請求項3】
前記容器本体に収納された前記凍結物を該容器本体内で動かす凍結物動作部を備え、
前記制御手段は、前記酸素濃度計によって測定された前記酸素濃度に応じて前記凍結物動作部による前記凍結物を動かす速度および該凍結物を動かす頻度のうち少なくとも一方を調整するものであることを特徴とする請求項2記載の乾燥システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理物を凍結させた凍結物に含まれている凝固した液体成分を昇華させることで該凍結物を乾燥させる乾燥システムに関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
食品、化粧品、医療品、電子部品原料、化成品または塗料などに用いられる材料(以下、被処理物という。)を凍結させて凍結物とし、その凍結物に含まれている凝固した液体成分を昇華させることで乾燥物を得る真空凍結乾燥技術が知られている。この真空凍結乾燥技術を用いた代表的なシステムとして棚式の乾燥システムが存在する。棚式の乾燥システムは、乾燥容器内に凍結物を載せるための棚段が設けられていて、減圧下で棚段を適宜な温度に調節することにより凍結物を凍結させたまま乾燥させて乾燥物を得るシステムである。棚式の乾燥システムでは、昇華させることで蒸気になった液体成分が真空ポンプに到達してしまわないように乾燥容器と真空ポンプの間の排気経路にコールドトラップを設けている。このコールドトラップは、冷凍機で冷却された冷媒が循環することで内部が冷却される。乾燥容器で蒸気になった液体成分は、コールドトラップ内を通過する際に凍結して固体になり、コールドトラップで捕集される。
【0003】
棚式の乾燥システムでは、被処理物が入ったトレイを棚の上に載置して凍結させることで凍結物を得る。その後、乾燥容器内を減圧して凍結物に含まれている凝固した液体成分を昇華させる。その際、トレイが載置された棚を加熱することで凍結物に熱を供給して乾燥を促進させるが、加熱しすぎると凍結物に含まれている凝固した液体成分が融解して乾燥物にダマ(被処理物の凝集)が生じて品質が低下してしまうため加熱によって凍結物に供給する供給熱量は昇華によって奪われた熱を補う程度に設定される。なお、乾燥物は、液体に分散させたときに乾燥前と同程度の状態に戻すことができる良好な復元性(復水性)が求められるが、ダマが生じていると復元性(復水性)が損なわれてしまう。棚式の乾燥システムでは、トレイの中にある凍結物は基本的に棚がある下面側からのみ熱を受けるため、凍結物のうち熱を受ける部分が常に同じ部分になり、その部分が融解しやすい。凍結物の下面のみが融解した場合でも乾燥物に少量のダマが混入することになるため乾燥物の品質は低下する。このため棚式の乾燥システムでは、ダマが生じないように供給熱量(加熱温度)をかなり抑制しながら加熱する必要があるので乾燥までに多くの時間を必要とする。ここで説明した棚式の乾燥システムは凍結物を動かすことのない静的な乾燥システムといえる。
【0004】
一方、被処理物を凍結させて多数の処理物塊からなる凍結物を得て、その凍結物を動かしながら乾燥を行う乾燥システムも提案されている(例えば、特許文献1参照)。この乾燥システムにおける乾燥は動的な乾燥といえる。この特許文献1の乾燥システムでは、乾燥容器内に収納された凍結物を乾燥容器内で動かしながら乾燥させることから、凍結物の表面に均一に熱を加えることができるので、棚式の乾燥システムと比較して凍結物に供給する供給熱量を多く(加熱温度を高く)することができ、乾燥時間が短くなる。加えて、凍結物を動かすことで凍結物どうしの間に摩擦熱が生じるので、外部からの熱が伝わる部分以外でも凍結物が加熱されて、より乾燥時間が短くなる。特許文献1のような動的な乾燥システムでも、乾燥容器から真空ポンプの間の排気経路に設けられたコールドトラップによって、蒸気になった液体成分を捕集している。また、静的な乾燥システムであっても動的な乾燥システムであっても、乾燥が完了して凍結物が求める乾燥物になったことは、乾燥容器内や排気経路の圧力変動および凍結物の温度変動がなくなったことなどにより確認している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2022-72411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
乾燥処理の終盤が近づいてくると蒸気になる液体成分が少なくなってくるので、コールドトラップで捕集する蒸気も少なくなってくる。そして、冷凍機とコールドトラップの間を循環している冷媒がコールドトラップで昇温されなくなるので、コールドトラップを冷却する冷凍機が低圧カット状態になり冷媒の冷却機能が停止することがある。また低圧カット状態になった後、時間の経過により冷媒の圧力が上昇して冷媒の圧力が高まると冷凍機の運転が再開されるので、冷凍機では機能の停止と再開が繰り返されることになる。これによりコールドトラップの温度と圧力が変動してコールドトラップとつながっている排気経路および乾燥容器内の圧力と温度も変動してしまうため、従来の乾燥システムでは乾燥が完了したかどうかの判断が難しいという問題があった。
【0007】
また、乾燥処理の終盤では凍結物に含まれている液体成分が少なくなっているので凍結物が融解してしまう虞は減少している。このため、動的な乾燥システムでは凍結物を動かす速度や凍結物を動かす頻度を増加させることで凍結物をより多く動かして乾燥時間を短縮したいという要求がある。しかしながら、上述したように乾燥容器内および排気経路の圧力と温度は冷凍機の動作によって変動してしまうため、従来の乾燥システムではその圧力と温度の測定結果から乾燥処理が終盤になったかどうかを判断することが難しいという問題もあった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑み、乾燥状況の把握が可能な乾燥システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明の乾燥システムは、
被処理物を凍結させた凍結物を収納する容器本体と、
前記容器本体に収納された前記凍結物に含まれている凝固した液体成分を昇華させて蒸気にすることで該凍結物を乾燥させる乾燥手段と、
前記容器本体内の圧力を減少させる減圧装置と、
前記容器本体と前記減圧装置をつなぐ排気経路と、
前記排気経路における酸素濃度を測定する酸素濃度計とを備えたことを特徴とする。
【0010】
この乾燥システムによれば、前記凍結物に含まれる液体成分が減少することで上昇する前記酸素濃度を測定することで、前記凍結物の乾燥状況の把握が可能になる。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

関連特許