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公開番号
2025058627
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-04-09
出願番号
2023168670
出願日
2023-09-28
発明の名称
プレキャスト製残存型枠パネルの製造方法
出願人
個人
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
C04B
28/02 20060101AFI20250402BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約
【課題】プレキャスト製残存型枠コンクリートパネル本体において、毛細管空隙の形成を抑止し、プレキャスト製残存型枠コンクリートパネル本体の非透水性を向上させるプレキャスト製残存型枠パネルの製造方法を提供する。
【解決手段】プレキャスト製残存型枠パネルの製造方法は、非透水性のプレキャスト製残存型枠パネルを製造する方法であって、セメント、石灰石の砕石骨材である砂利及び石灰石の砕石骨材である砂を含むコンクリート原材料と、予め60℃から85℃の温度に加熱昇温された練り水とをミキシングし、外気温度0℃から40℃に対応した15℃から45℃の練上がり温度の流動化セメント組成物を得る混合工程と、成形用型枠に投入された流動化セメント組成物を外部から再加熱することなく、流動化セメント組成物の温度を外気温度まで自然に降下させ、成形用型枠の外へ排出されるブリージング現象を抑止する保温養生工程とを含む。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
非透水性のプレキャスト製残存型枠パネルを製造するプレキャスト製残存型枠パネルの製造方法であって、
セメント、石灰石の砕石骨材である砂利及び石灰石の砕石骨材である砂を含むコンクリート原材料と、予め60℃から85℃の温度に加熱昇温された水和反応用の練り水とをミキシングし、外気温度0℃から40℃に対応した15℃から45℃の練上がり温度の流動化セメント組成物を得る混合工程と、
前記混合工程後、パネル本体の背面が、上向き、かつ水平に維持されるように設計された成形用型枠に前記流動化セメント組成物を投入する投入工程と、
前記成形用型枠に投入された前記流動化セメント組成物を成形する成形工程と、
前記成形工程後、前記成形用型枠に投入された前記流動化セメント組成物を外部から再加熱することなく、前記成形用型枠内の前記流動化セメント組成物の温度を3時間以上かけて外気温度まで自然に降下させ、前記流動化セメント組成物から溶出した水酸化カルシウムを含む水和反応用の練り水が体積膨張して、前記成形用型枠の外へ排出されるブリージング現象を抑止することにより、前記流動化セメント組成物に生じる毛細管空隙の発生を抑止しつつ、脱型強度が確保されるまで前記流動化セメント組成物を硬化させる保温養生工程と、
前記保温養生工程後、前記成形用型枠を取り外す脱型工程と、を含み、
前記保温養生工程において、前記練り水に前記セメントから溶出した水酸化カルシウムを含む余剰水が背面側へ押し上げられることにより、前記パネル本体の背面全域に貯留され、前記余剰水で前記パネル本体の背面を覆うと共に、前記余剰水が、前記パネル本体の内部に形成される毛細管空隙を埋めるように介在し、
前記流動化セメント組成物が硬化する際に、前記パネル本体の背面全域に防水層が形成され、外気中の二酸化炭素と前記水酸化カルシウムとが化学反応し、前記パネル本体の背面全域に炭酸カルシウムの透水性微粉末層が形成されることを防止すると同時に、前記毛細管空隙が前記防水層によりほぼ完全に塞がれ、前記パネル本体の非透水性が飛躍的に向上する、
ことを特徴とするプレキャスト製残存型枠パネルの製造方法。
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【請求項2】
非透水性のプレキャスト製残存型枠パネルを製造するプレキャスト製残存型枠パネルの製造方法であって、
セメント、石灰石の砕石骨材である砂を含むモルタル原材料と、予め60℃から85℃の温度に加熱昇温された水和反応用の練り水とをミキシングし、外気温度0℃から40℃に対応した15℃から45℃の練上がり温度の流動化セメント組成物を得る混合工程と、
前記混合工程後、パネル本体の背面が、上向き、かつ水平に維持されるように設計された成形用型枠に前記流動化セメント組成物を投入する投入工程と、
前記成形用型枠に投入された前記流動化セメント組成物を成形する成形工程と、
前記成形工程後、前記成形用型枠に投入された前記流動化セメント組成物を外部から再加熱することなく、前記成形用型枠内の前記流動化セメント組成物の温度を3時間以上かけて外気温度まで自然に降下させ、前記流動化セメント組成物から溶出した水酸化カルシウムを含む水和反応用の練り水が体積膨張して、前記成形用型枠の外へ排出されるブリージング現象を抑止することにより、前記流動化セメント組成物に生じる毛細管空隙の発生を抑止しつつ、脱型強度が確保されるまで前記流動化セメント組成物を硬化させる保温養生工程と、
前記保温養生工程後、前記成形用型枠を取り外す脱型工程と、を含み、
前記保温養生工程において、前記練り水に前記セメントから溶出した水酸化カルシウムを含む余剰水が背面側へ押し上げられることにより、前記パネル本体の背面全域に貯留され、前記余剰水で前記パネル本体の背面を覆うと共に、前記余剰水が、前記パネル本体の内部に形成される毛細管空隙を埋めるように介在し、
前記流動化セメント組成物が硬化する際に、前記パネル本体の背面全域に防水層が形成され、外気中の二酸化炭素と前記水酸化カルシウムとが化学反応し、前記パネル本体の背面全域に炭酸カルシウムの透水性微粉末層が形成されることを防止すると同時に、前記毛細管空隙が前記防水層によりほぼ完全に塞がれ、前記パネル本体の非透水性が飛躍的に向上する、
ことを特徴とするプレキャスト製残存型枠パネルの製造方法。
【請求項3】
前記投入工程において、ステンレス製の被連結金具を、前記パネル本体の背面に突出するように、前記流動化セメント組成物の所定の位置に埋設する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載プレキャスト製残存型枠パネルの製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、非透水性プレキャスト製残存型枠パネルを製造するためのプレキャスト製残存型枠パネルの製造方法に関するものである。
続きを表示(約 2,900 文字)
【背景技術】
【0002】
残存型枠を構築するためにプレキャスト製残存型枠パネルが利用されている。従来のプレキャスト製パネルには、多数の毛細管空隙が形成されていたため、このプレキャスト製パネルを用いた残存型枠の施工をした場合、打設した生コンクリートに含まれている水和反応用の練り水が、毛細管空隙を介して、流出又は蒸発していた。その結果、コンクリートが急激に収縮し、ひび割れが生じると共に、プレキャスト製残存型枠パネルに対し引き裂く力が生じ、プレキャスト製残存型枠パネルに、ひび割れが生じやすくなる。また、プレキャスト製残存型枠パネルの背面にひび割れや毛細管空隙が生じると、そのひび割れや毛細管空隙から雨水などの汚水がプレキャスト製残存型枠パネル本体内部に侵入し、プレキャスト製残存型枠パネル本体の劣化に繋がるおそれがあった。さらに、プレキャスト製残存型枠パネル本体に侵入した汚水がプレキャスト製残存型枠パネルの表面に漏れ出し、プレキャスト製残存型枠パネルの表面が汚染される事態も生じていた。
【0003】
プレキャスト製パネルにひび割れが生じた結果、これらのプレキャスト製パネルで構成された残存型枠の凍害、塩害、白華現象等が生じる。このようなひび割れ、凍害、塩害、白華現象等を抑止するために、発明者は、毛細管空隙などのプレキャスト製パネルに形成される空隙を塞ぐためのプレキャスト製残存型枠パネルの製造方法を提案してきた(例えば、特許文献1から特許文献3)。
【0004】
特許文献1に記載のプレキャスト製残存型枠パネルの製造方法は、成形用型枠に、脂肪酸系化合物を混入させたモルタル又は脂肪酸系化合物を混入させたコンクリートであるセメント組成物を投入する工程と、成形用型枠に投入されたセメント組成物を締固める締固め工程と、セメント組成物を硬化させる養生工程とを含んでいる。このプレキャスト製残存型枠パネルの製造方法は、締固め工程や養生工程において、練り水と脂肪酸系化合物とセメントから溶出した水酸化カルシウムを含む余剰水がパネル本体の背面側へ押し上げられることにより、パネル本体の背面全域に貯留され、パネル本体の背面が余剰水で覆われると共に、余剰水がパネル本体の内部に形成される毛細管空隙を埋めるように介在する。そして、養生工程において、セメント組成物中のセメントが硬化する際に溶出する水酸化カルシウムと、脂肪酸系化合物中の脂肪酸とが反応し、水に不溶かつ撥水性のある脂肪酸カルシウムが形成されることで、パネル本体の背面全域に脂肪酸カルシウムを含む防水層が形成され、この防水層により毛細管空隙等が塞がれる。
【0005】
また、特許文献2に記載のプレキャスト製残存型枠パネルの製造方法は、成形用型枠に、モルタル又はコンクリートを構成するセメント組成物と練り水との混合物を投入し、練り水にセメント組成物から溶出した水酸化カルシウムを含む余剰水がパネル本体の背面側に押し上げられることで、余剰水がパネル本体の内部に形成される毛細管空隙等を埋めるように介在し、かつパネル本体の背面全域が水酸化カルシウムを含む余剰水で覆われ、パネル本体の背面全域を被覆材で被覆する被覆工程と、セメント組成物を硬化させる養生工程とを含んでいる。このプレキャスト製残存型枠パネルの製造方法では、パネル本体の背面全域を被覆材で被覆することで、外気中の二酸化炭素と水酸化カルシウムとが化学反応し、パネル本体の背面に炭酸カルシウムの透水性微紛層が形成されることを防止する。また、養生工程において、練り水に溶出した水酸化カルシウムと、セメント組成物中のシリカが化学反応し、水に不溶のケイ酸カルシウム水和物を含む防水層がパネル本体の背面全域に形成され、この防水層によって毛細管空隙等が塞がれる。
【0006】
さらに、特許文献3に記載のプレキャスト製残存型枠パネルの製造方法は、セメント、砂利及び砂を含むコンクリート原材料と、このコンクリート原材料中のセメントに対して5重量%から40重量%の石灰石微粉末と、練り水とをミキシングした流動化セメント組成物、又はセメント及び砂を含むモルタル原材料と、このモルタル原材料中のセメントに対して5重量%から40重量%の石灰石微粉末と、練り水とをミキシングした流動化セメント組成物を成形用型枠に投入する工程と、成形用型枠に投入された流動化セメント組成物を成形する成形工程と、流動化セメント組成物を硬化させる養生工程とを含んでいる。このプレキャスト製残存型枠パネルの製造方法では、成形工程及び養生工程において、練り水にセメントから溶出した水酸化カルシウムを含む余剰水が背面側へ押し上げられることにより、パネル本体の背面全域に貯留され、余剰水でパネル本体の背面を覆うと共に、余剰水がパネル本体の内部に形成される毛細管空隙等を埋めるように介在する。そして、流動化セメント組成物内のセメントが硬化する際に、パネル本体の背面全域に防水層が形成され、外気中の二酸化炭素と水酸化カルシウムとが化学反応し、パネル本体の背面全域に炭酸カルシウムの透水性微粉末層が形成されることを防止すると同時に、毛細管空隙等が防水層により自然に塞がれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特許第6487107号公報
特許第6537754号公報
特許第7314430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1から特許文献3に記載の製造方法で製造されたプレキャスト製残存型枠プレキャストパネルは、従来のものよりも毛細管空隙を塞ぐ効果を享受できていたが、毛細管空隙を完全に防ぐことは難しいという現状があった。そのため、プレキャスト製残存型枠パネルの厚みによって、毛細管空隙の影響が大きくなり、更なる改善が望まれていた。
【0009】
具体的には、厚いプレキャスト製残存型枠コンクリートパネルでは、多少の毛細管空隙等が形成されていても、毛細管空隙に起因するひび割れ等の大きな影響を受けにくいが、例えば、厚みが25mmから50mmの薄いプレキャスト製残存型枠コンクリートパネルでは、毛細管空隙に起因するひび割れ等により、プレキャスト製残存型枠コンクリートパネルの表面が汚染されることもあった。また、ひび割れ等が形成されることにより、プレキャスト製残存型枠コンクリートパネル本体の強度が低下するおそれもあった。
【0010】
このような背景から、現在までに提案されている製造方法よりも、プレキャスト製残存型枠コンクリートパネルの毛細管空隙等を完全に塞ぐことができ、プレキャスト製残存型枠コンクリートパネルにも適用できるプレキャスト製残存型枠パネルの製造方法が望まれていた。
(【0011】以降は省略されています)
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