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公開番号
2025073626
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-05-13
出願番号
2023184566
出願日
2023-10-27
発明の名称
微生物の性質又は状態評価を目的とする情報取得のためのマイクロチップ、該マイクロチップを用いる情報取得方法又は評価システム、及び該取得方法若しくは評価システムに用いることができるコンピュータプログラム
出願人
栄研化学株式会社
代理人
個人
主分類
C12M
1/34 20060101AFI20250502BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】 微生物の薬剤耐性の評価試験等において、評価の正確性を前提として、さらに安全性、簡便性、迅速性を向上させつつ、試薬の使用量を節約し、多項目の同時評価試験を行うことも可能な手段の提供。
【解決手段】 液体試料との接触により溶解する方式で、微生物の薬剤耐性等の検出試薬を封入又は固着化させた反応用セルを有し、かつ、減圧状態による吸引力で、被験微生物を含有する液体試料を該反応用セルに分配する機能を有するマイクロチップを提供し、さらに、該マイクロチップにおける被験微生物との接触により発生する上記検出試薬のシグナルに基づく、効率的な微生物の薬剤耐性等の評価方法、及び評価システム、並びに該評価方法と評価システムにおいて用いることができるコンピュータプログラムを提供することにより、上記の課題を解決可能であることを見出した。
【選択図】 図11
特許請求の範囲
【請求項1】
大気圧に対して減圧状態が保たれている複数のセルを有する、微生物の性質又は状態評価のための情報取得のための、基板を備えたマイクロチップであって、
上記マイクロチップの基板は、ガス不透過性を有する第一板状部と、上記第一板状部の一方の面に積層されて自己封止性を有する第二板状部、との二層構造であり、
上記複数のセルは、上記第一板状部と上記第二板状部との間に形成され、かつ、一部又は全部の上記複数のセルに、1種又は2種以上の微生物の性質又は状態を検出するための試薬が、液体試料との接触により溶解する方式で封入又は固着化され、
上記セルは、液体試料が穿刺注入される注入空間と流路を介して通じている、マイクロチップの基板、であって、
上記マイクロチップへの上記液体試料の穿刺注入による、上記減圧状態の解除により、上記複数のセルの各々に導入された上記液体試料と上記セルに封入又は固着化された上記試薬との接触反応による、1種又は2種以上のセル各々からのシグナルにより、上記液体試料中の微生物の性質又は状態評価の情報を取得するためのマイクロチップ。
続きを表示(約 970 文字)
【請求項2】
前記マイクロチップにおいて、基板の第二板状部における第一板状部とは反対側の面の、少なくとも第二板状部の注入空間と対向する位置に、補強フィルムが備わっている、請求項1に記載のマイクロチップ。
【請求項3】
前記マイクロチップにおいて、基板に遮光層が、少なくとも複数のセル各々に対向する平面が除かれて備えられている、請求項1に記載のマイクロチップ。
【請求項4】
前記マイクロチップにおいて、評価される微生物の性質は、微生物の薬剤耐性である、請求項1-3のいずれか1項に記載のマイクロチップ。
【請求項5】
前記マイクロチップにおいて、微生物の性質である微生物の薬剤耐性を検出するための試薬に、上記微生物の薬剤耐性、の検出対象となる薬剤が含有されている、請求項4に記載のマイクロチップ。
【請求項6】
前記マイクロチップにおいて、微生物の性質である微生物の薬剤耐性を検出するための試薬に、さらに上記微生物の薬剤耐性、の検出対象となる薬剤に対する耐性を示すシグナル発生試薬が含有されている、請求項5に記載のマイクロチップ。
【請求項7】
前記マイクロチップにおいて、微生物の薬剤耐性の検出対象となる薬剤に対する耐性を示すシグナル発生試薬のシグナルは、呈色又は蛍光である、請求項6に記載のマイクロチップ。
【請求項8】
前記マイクロチップにおいて、検出対象となる微生物の薬剤耐性は、所定の薬剤の分解酵素による薬剤耐性である、請求項7に記載のマイクロチップ。
【請求項9】
前記マイクロチップにおいて、所定の薬剤の分解酵素は、β-ラクタマーゼである、請求項8に記載のマイクロチップ。
【請求項10】
生体試料由来の微生物を含有する水性希釈溶液を液体試料として、請求項1-3のいずれか1項に記載のマイクロチップに穿刺注入し、複数のセルの各々に導入された上記液体試料と、1種又は2種以上の微生物の性質又は状態を検出するための試薬、との反応により生ずるセル各々からのシグナルの目視像又は画像情報を、上記液体試料中の微生物の性質又は状態の評価のための情報として取得する方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物に関する検出手段に関する発明であり、より具体的には、微生物の薬剤耐性等の微生物の性質又は状態についての情報を取得するためのマイクロチップと、これを用いる上記微生物の性質又は状態の取得方法、取得システム、該取得方法若しくは評価システムに用いることができるコンピュータプログラムについての発明である。
続きを表示(約 1,700 文字)
【背景技術】
【0002】
細菌、真菌などの微生物の検査による微生物の性質又は状態評価は、臨床分野や獣医学分野における感染症診断の他、食品分野、環境分野における食中毒菌、衛生指標菌の検出などを目的として幅広い分野で実施されている。近年は、遺伝子分析法や免疫学的方法による迅速検査や自動分析機器が普及してきているものの、培養法により微生物の分離・同定を行うことは現在もなお、微生物検査による微生物の性質又は状態評価の基本である。
【0003】
例えば、微生物検査による微生物の性質又は状態の評価態様の一つとして、感染症の治療に有効な抗菌薬を選択し、細菌の抗菌薬に対する感受性の程度を調べることによって、感染者に適した抗菌薬、投薬量を決定するという薬剤感受性試験が行われている。薬剤感受性試験には、大別して拡散法と希釈法の2つの方法がある。拡散法は治療に有効な薬剤の選択を簡便に行う定性的な試験法で、培地上に抗菌薬を含浸させたディスク試験片を設置して用いるディスク拡散法で代表される。希釈法は正確にMIC(Minimum Inhibitory Concentration:最小発育阻止濃度)値を測定するための定量的な試験法である。緻密な治療を必要とする場合は希釈法、医療現場では、経済性、迅速性及び簡便性の面からディスク法が採用されている。
【0004】
近年、新しい抗菌薬耐性菌の出現により、精度が高い薬剤感受性試験による的確な診断方法の開発が望まれている。抗菌薬耐性菌の中で、特に問題となっているのが、基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(Extended-spectrum beta-lactamase;ESBL)、並びにクラスA型及びB型カルバペネマーゼ活性を有し、幅広い抗菌薬を加水分解する抗菌薬耐性菌である。この抗菌薬耐性菌の検出法として、多孔プレートを用いたプレート法が広く採用されている。しかし、プレート法は、耐性菌の培養が必要となるため検査開始から判定まで少なくとも24時間程度を要する。
【0005】
上記のプレート法に対して、薬剤感受性の評価を目的とするマイクロチップを利用した試験方法が、特許文献として開示されている。
【0006】
例えば、酵素種判定用マイクロチップの流路内で培養された細胞の流路毎の撮影画像や抗微生物薬と阻害剤を組み合わせた試薬の影響による細胞の形態変化を捉えた撮像画像から、細胞が産生する酵素種を判定する装置が開示されている(特許文献1)。
【0007】
また、メチシリン耐性ブドウ球菌属(MRS)検査デバイスの複数の流路に、被検菌の懸濁液を導入し、複数の流路内で、抗菌薬と前記懸濁液との混合液を培養し、流路の培養部の観察によって、前記被検菌がMRSであるかを判定する技術が開示されている(特許文献2)。
また、複数の流路に抗菌薬が配置され、被検菌由来の細菌又は真菌等を顕微鏡等によって検出するための観察エリアが設けられたマイクロデバイスが開示されている(特許文献3)。
【0008】
また、複数種の細胞を基板上の複数の微細孔に固定化したチップと、これと直行するように複数の微少流路を有する別チップを用いるマイクロチップが開示されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開2021-40545号公報
特開2018-113963号公報
WO2013/038925国際公開パンフレット
特開2005-46121号公報
特開2017-67595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
薬剤感受性試験等の微生物の性質の評価試験、又は、微生物の計数試験等の状態評価試験自体は、従来から必要とされているものであり、かつ、様々な業界において、様々な方法で行われている。その一方で、試験を行う上でのさらなる安全性、簡便性、迅速性の向上が、評価の正確性を前提として求められ続けている。
(【0011】以降は省略されています)
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