TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025086665
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-09
出願番号2023200815
出願日2023-11-28
発明の名称車両用駆動装置
出願人株式会社アイシン
代理人弁理士法人R&C
主分類F16H 48/08 20060101AFI20250602BHJP(機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段)
要約【課題】減速機として1つのサンギヤと共通のキャリヤに支持される2つの遊星ギヤと2つのリングギヤとを備えた2段構成の遊星歯車機構を備えた1軸型の車両用駆動装置において、動力伝達経路におけるトルク損失の増加を抑えつつ、ロータの回転の一次振動を低減させる。
【解決手段】同軸上に回転電機1、遊星歯車機構4、出力用差動歯車装置5が配置され、差動ケース51が、差動歯車機構50に対して遊星歯車機構4が位置する側とは反対側であって軸方向L視で差動歯車機構50と重複する位置に配置されたブッシュB5を介してケース9に対して回転自在な状態でケース9に対して径方向Rに支持され、キャリヤCRが、転がり軸受B4を介してケース9に対して回転自在な状態でケース9に対して径方向Rに支持されている。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
ロータを備えた回転電機と、
第1車輪に駆動連結される第1出力部材と、
第2車輪に駆動連結される第2出力部材と、
前記ロータの回転を減速する遊星歯車機構と、
差動ケースと前記差動ケースに収容された差動歯車機構とを備えて前記遊星歯車機構から前記差動ケースに伝達された回転を前記第1出力部材と前記第2出力部材とに分配する出力用差動歯車装置と、
前記回転電機と前記遊星歯車機構と前記出力用差動歯車装置とを収容するケースと、を備えた車両用駆動装置であって、
前記回転電機、前記第1出力部材、前記第2出力部材、前記遊星歯車機構、及び前記出力用差動歯車装置が、同軸上に配置され、
前記遊星歯車機構は、サンギヤ、キャリヤ、第1リングギヤ、及び第2リングギヤを備え、
前記サンギヤは、前記ロータと一体的に回転するように連結され、
前記第1リングギヤは、非回転部材に連結され、
前記第2リングギヤは、前記差動ケースと一体的に回転するように連結され、
前記キャリヤは、互いに一体的に回転する第1ピニオンギヤと第2ピニオンギヤとを回転自在に支持し、
前記第1ピニオンギヤは、前記サンギヤと前記第1リングギヤとに噛み合い、
前記第2ピニオンギヤは、前記第1ピニオンギヤよりも小径であり、前記第2リングギヤに噛み合い、
前記ロータの回転軸心に沿う方向を軸方向、当該回転軸心に直交する方向を径方向として、
前記差動ケースは、前記差動歯車機構に対して前記遊星歯車機構が位置する側とは反対側であって前記軸方向視で前記差動歯車機構と重複する位置に配置されたブッシュを介して前記ケースに対して回転自在な状態で前記ケースに対して前記径方向に支持され、
前記キャリヤは、転がり軸受を介して前記ケースに対して回転自在な状態で前記ケースに対して前記径方向に支持されている、車両用駆動装置。
続きを表示(約 440 文字)【請求項2】
前記ケースは、前記回転電機と前記遊星歯車機構との前記軸方向の間に配置された支持壁部を備え、
前記非回転部材は前記支持壁部であり、
前記転がり軸受は、前記支持壁部に支持され、前記径方向に沿う径方向視で前記第1リングギヤと前記支持壁部との連結部と重複する位置に配置されている、請求項1に記載の車両用駆動装置。
【請求項3】
前記第2リングギヤは、前記第1リングギヤよりも小径であり、
前記キャリヤは、前記第2リングギヤに対して前記径方向の外側に位置する外縁部を備え、
前記転がり軸受は、前記ケースの内壁面と前記外縁部との前記径方向の間であって、前記径方向に沿う径方向視で前記第2リングギヤと重複する位置に配置されている、請求項1に記載の車両用駆動装置。
【請求項4】
前記第2リングギヤと前記差動ケースとが溶接により一体的に連結されている、請求項1から3の何れか一項に記載の車両用駆動装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用駆動装置に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
国際公開第2023/068334号には、一対の車輪(W1,W2)の駆動力源となる回転電機(1)と、減速機として機能する遊星歯車機構(4)と、一対の車輪(W1,W2)へ動力を分配する差動歯車装置(5)とが、同軸上に配置されたいわゆる1軸型の車両用駆動装置(100)が開示されている(背景技術において括弧内の符号は参照する文献のもの。)。遊星歯車機構(4)は、キャリヤ(CR1)を共通とした2段構成の遊星歯車機構であり、1つのサンギヤ(SG1)と、サンギヤ(SG1)に噛み合う第1遊星ギヤ(PG1)と、第1遊星ギヤ(PG1)に噛み合う第1リングギヤ(RG1)と、第1遊星ギヤ(PG1)と共にキャリヤ(CR1)に支持されて第1遊星ギヤ(PG1)と一体的に回転する第2遊星ギヤ(PG2)と、第2遊星ギヤ(PG2)に噛み合う第2リングギヤ(RG2)とを備えている。この遊星歯車機構(4)は、第1リングギヤ(RG1)を固定し、キャリヤ(CR1)をフリーとした状態で、遊星歯車機構のサンギヤ(SG1)からの入力を、第2リングギヤ(RG2)から出力する場合に、径方向の寸法を小さく抑えつつ、少なくとも20程度の高い減速比を実現することができる。この車両用駆動装置(1)は、大きな減速比を実現し易いことで、トルクを増幅し易く、回転電機(1)を小型化し易い。
【0003】
また、1軸型の車両用駆動装置(100)において上記のような遊星歯車機構(4)による減速機を用いる場合、径方向のギヤの噛み合い反力を相殺するような設計を行い易く、径方向の軸受を省略することで動力伝達経路におけるトルクの損失を軽減することができる。回転電機(1)を小型化し易いことに加えて、径方向の軸受を設けないことで、車両用駆動装置(100)をより小型に構成し易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開第2023/068334号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、径方向の軸受を減らすことで車両用駆動装置を小型化すると、回転電機が高速回転した場合に回転電機のロータの偏心による遠心力が大きくなり易い。その結果、遊星ギヤを揺動させ、車両用駆動装置の全体としてロータ回転の一次振動が目立つ場合がある。このような振動を抑制するために、(i)遊星ギヤを支持するキャリヤ、及び(ii)遊星歯車機構の出力回転要素である第2リングギヤと一体的に回転する差動歯車装置の入力回転要素、の何れか一方又は双方を、軸受等を介してケースに対して径方向に支持させることが考えられる。しかし、安易に径方向の軸受等を追加すると、動力伝達経路におけるトルク損失が増加する。また、このような径方向の支持機構を設けることで車両用駆動装置の径方向寸法が大きくなるおそれがある。
【0006】
上記背景に鑑みて、減速機として1つのサンギヤと共通のキャリヤに支持される2つの遊星ギヤと2つのリングギヤとを備えた2段構成の遊星歯車機構を備えた1軸型の車両用駆動装置において、動力伝達経路におけるトルク損失の増加を抑えつつ、ロータの回転の一次振動を低減させることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑みた車両用駆動装置は、ロータを備えた回転電機と、第1車輪に駆動連結される第1出力部材と、第2車輪に駆動連結される第2出力部材と、前記ロータの回転を減速する遊星歯車機構と、差動ケースと前記差動ケースに収容された差動歯車機構とを備えて前記遊星歯車機構から前記差動ケースに伝達された回転を前記第1出力部材と前記第2出力部材とに分配する出力用差動歯車装置と、前記回転電機と前記遊星歯車機構と前記出力用差動歯車装置とを収容するケースと、を備えた車両用駆動装置であって、前記回転電機、前記第1出力部材、前記第2出力部材、前記遊星歯車機構、及び前記出力用差動歯車装置が、同軸上に配置され、前記遊星歯車機構は、サンギヤ、キャリヤ、第1リングギヤ、及び第2リングギヤを備え、前記サンギヤは、前記ロータと一体的に回転するように連結され、前記第1リングギヤは、非回転部材に連結され、前記第2リングギヤは、前記差動ケースと一体的に回転するように連結され、前記キャリヤは、互いに一体的に回転する第1ピニオンギヤと第2ピニオンギヤとを回転自在に支持し、前記第1ピニオンギヤは、前記サンギヤと前記第1リングギヤとに噛み合い、前記第2ピニオンギヤは、前記第1ピニオンギヤよりも小径であり、前記第2リングギヤに噛み合い、前記ロータの回転軸心に沿う方向を軸方向、当該回転軸心に直交する方向を径方向として、前記差動ケースは、前記差動歯車機構に対して前記遊星歯車機構が位置する側とは反対側であって前記軸方向視で前記差動歯車機構と重複する位置に配置されたブッシュを介して前記ケースに対して回転自在な状態で前記ケースに対して前記径方向に支持され、前記キャリヤは、転がり軸受を介して前記ケースに対して回転自在な状態で前記ケースに対して前記径方向に支持されている。
【0008】
この構成によれば、第1ピニオンギヤ及び第2ピニオンギヤを支持するキャリヤが転がり軸受を介してケースに対して安定的に径方向に支持されている。これにより、ロータの偏心に起因する振動が第1ピニオンギヤを介して伝達されても、キャリヤが振動することが抑制される。出力用差動歯車装置は、遊星歯車機構の側では第2リングギヤの噛み合いによる自動調心によって支持され、遊星歯車機構とは反対側ではブッシュを介してケースに対して多少の径方向隙間を有する状態で支持されている。出力用差動歯車装置は、径方向において強く支持されてはいなくても、キャリヤの振動が抑制されるため、当該偏心に起因する振動がさらに第2ピニオンギヤを介して出力用差動歯車装置に伝達されることは抑制される。径方向における追加的な支持構造がほぼキャリヤを支持する転がり軸受に限定されるため、回転電機から出力部材への動力伝達経路におけるトルク損失の増加も抑制される。このように、本構成によれば、減速機として1つのサンギヤと共通のキャリヤに支持される2つの遊星ギヤと2つのリングギヤとを備えた2段構成の遊星歯車機構を備えた1軸型の車両用駆動装置において、動力伝達経路におけるトルク損失の増加を抑えつつ、ロータの回転の一次振動を低減させることができる。
【0009】
車両用駆動装置のさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する例示的且つ非限定的な実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
車両用駆動装置のスケルトン図
車両用駆動装置の一例を示す模式的断面図
車両用駆動装置の一例を示す模式的断面図
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許