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公開番号2025092457
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-19
出願番号2024210055
出願日2024-12-03
発明の名称樹脂の製造方法、ドープの製造方法及び光学フィルムの製造方法
出願人株式会社日本触媒
代理人個人,個人,個人
主分類C08F 220/10 20060101AFI20250612BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】溶媒の乾燥効率を向上させて、光学フィルムの生産性を高めることが可能な樹脂の製造方法を提供すること。
【解決手段】
α-メチレンラクトン由来の構造単位及び(メタ)アクリル酸アルキル由来の構造単位を含む樹脂の製造方法であって、α-メチレンラクトン及び(メタ)アクリル酸アルキルを含む単量体を、第1の重合開始剤、第2の重合開始剤及び乳化剤の存在下、溶媒中で懸濁重合する重合工程を備え、第2の重合開始剤の10時間半減期温度T2は、第1の重合開始剤の10時間半減期温度T1よりも10℃以上高く、重合工程は、懸濁重合させる反応液の温度をT1±10℃で保持し、重合を開始させる第1温度保持工程と、重合熱による反応液の温度上昇が生じた後に、第1温度保持工程における反応液の温度よりも10℃以上高い温度で反応液の温度を保持し、更に重合させる第2温度保持工程と、を有することを特徴とする樹脂の製造方法を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
α-メチレンラクトン由来の構造単位及び(メタ)アクリル酸アルキル由来の構造単位を含む樹脂の製造方法であって、
α-メチレンラクトン及び(メタ)アクリル酸アルキルを含む単量体を、第1の重合開始剤、第2の重合開始剤及び乳化剤の存在下、溶媒中で懸濁重合する重合工程を備え、
前記第2の重合開始剤の10時間半減期温度T

は、前記第1の重合開始剤の10時間半減期温度T

よりも10℃以上高く、
前記重合工程は、懸濁重合させる反応液の温度を(T

-10)~(T

+10)℃で保持し、重合を開始させる第1温度保持工程と、
重合熱による前記反応液の温度上昇が生じた後に、前記第1温度保持工程における前記反応液の温度よりも10℃以上高い温度で前記反応液の温度を保持し、更に重合させる第2温度保持工程と、を有することを特徴とする樹脂の製造方法。
続きを表示(約 690 文字)【請求項2】
前記第1の重合開始剤の10時間半減期温度T

が53~63℃であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記第1温度保持工程では、前記反応液の温度を55~73℃で保持することを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂の製造方法。
【請求項4】
前記第2の重合開始剤の10時間半減期温度T

が73~103℃であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂の製造方法。
【請求項5】
前記第2温度保持工程では、前記反応液の温度を75~95℃で保持することを特徴とする請求項1又は4に記載の樹脂の製造方法。
【請求項6】
前記第1の重合開始剤の使用量を100質量部としたときに、前記第2の重合開始剤の使用量が5~300質量部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂の製造方法。
【請求項7】
前記第1の重合開始剤及び前記第2の重合開始剤が有機過酸化物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂の製造方法。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の製造方法により得られた樹脂と溶媒とを混合してドープを得るドープ調製工程を備えることを特徴とするドープの製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の製造方法により得られたドープを支持体上に流延して流延膜を形成する流延工程と、
前記流延膜から前記溶媒を揮発させる揮発工程と、
を備えることを特徴とする光学フィルムの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、樹脂の製造方法、ドープの製造方法及び光学フィルムの製造方法に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
α-メチレンラクトン由来の構造単位を含む共重合体を含有する光学フィルムが知られている。例えば、特許文献1では、α-メチレンラクトン由来の構造単位を含む共重合体の製造方法、及びこの製造方法により製造される共重合体が開示されている。また、この共重合体と溶媒とを含有するドープを支持体上に流延する工程と、流延されたドープから溶媒を揮発させる工程とを含む溶液流延法によって製造される光学フィルムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2023-044845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドープから溶媒を揮発させて光学フィルムを製造する際、溶媒の乾燥効率を向上させることができれば、光学フィルムの生産性を高めることができる。乾燥温度を上げて溶媒の乾燥効率を向上させることもできるが、乾燥温度を上げると、溶媒が突沸して光学フィルムに発泡痕が生じ得る。つまり、乾燥温度の調整だけでは乾燥効率を向上させることには限界がある。
【0005】
本開示は、このような問題を解決するために、α-メチレンラクトン由来の構造単位を含む樹脂であって、溶媒の乾燥効率を向上させて、光学フィルムの生産性を高めることが可能な樹脂の製造方法を提供する。さらに本開示は、このような樹脂を用いたドープの製造方法及び光学フィルムの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、以下の[1]~[7]に記載の樹脂の製造方法、[8]に記載のドープの製造方法、及び[9]に記載の光学フィルムの製造方法を提供する。
[1]α-メチレンラクトン由来の構造単位及び(メタ)アクリル酸アルキル由来の構造単位を含む樹脂の製造方法であって、α-メチレンラクトン及び(メタ)アクリル酸アルキルを含む単量体を、第1の重合開始剤、第2の重合開始剤及び乳化剤の存在下、溶媒中で懸濁重合する重合工程を備え、第2の重合開始剤の10時間半減期温度T

は、第1の重合開始剤の10時間半減期温度T

よりも10℃以上高く、重合工程は、懸濁重合させる反応液の温度を(T

-10)~(T

+10)℃で保持し、重合を開始させる第1温度保持工程と、重合熱による反応液の温度上昇が生じた後に、第1温度保持工程における反応液の温度よりも10℃以上高い温度で反応液の温度を保持し、更に重合させる第2温度保持工程と、を有することを特徴とする樹脂の製造方法。
[2]第1の重合開始剤の10時間半減期温度T

が53~63℃であることを特徴とする[1]に記載の樹脂の製造方法。
[3]第1温度保持工程では、反応液の温度を55~73℃で保持することを特徴とする[1]又は[2]に記載の樹脂の製造方法。
[4]第2の重合開始剤の10時間半減期温度T

が73~103℃であることを特徴とする[1]に記載の樹脂の製造方法。
[5]第2温度保持工程では、反応液の温度を75~95℃で保持することを特徴とする[1]又は[4]に記載の樹脂の製造方法。
[6]第1の重合開始剤の使用量を100質量部としたときに、第2の重合開始剤の使用量が5~300質量部であることを特徴とする[1]~[5]のいずれかに記載の樹脂の製造方法。
[7]第1の重合開始剤及び第2の重合開始剤が有機過酸化物であることを特徴とする[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂の製造方法。
[8]上記[1]~[7]のいずれかに記載の製造方法により得られた樹脂と溶媒とを混合してドープを得るドープ調製工程を備えることを特徴とするドープの製造方法。
[9]上記[8]に記載の製造方法により得られたドープを支持体上に流延して流延膜を形成する流延工程と、流延膜から溶媒を揮発させる揮発工程と、を備えることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、α-メチレンラクトン由来の構造単位を含む樹脂であって、溶媒の乾燥効率を向上させて、光学フィルムの生産性を高めることが可能な樹脂の製造方法を提供することができる。さらに本開示によれば、このような樹脂を用いたドープの製造方法及び光学フィルムの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
重合工程において、横軸を反応時間、縦軸を反応液の温度としたときの反応液の温度の推移の一例を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態を説明する。ただし、本開示は以下の実施形態によって限定されるものではない。本開示に明示される数値範囲の上限値及び下限値は、実施例に示されるいずれかの値に置き換えられてもよい。また、個別に記載した上限値及び下限値は任意に組み合わされてもよい。なお、本開示中、「(メタ)アクリル酸」なる用語は、アクリル酸及びメタクリル酸を意味する。X~Yと示される数値範囲は、X以上Y以下を意味する。
【0010】
<樹脂の製造方法>
一実施形態に係る樹脂の製造方法は、α-メチレンラクトン由来の構造単位及び(メタ)アクリル酸アルキル由来の構造単位を含む樹脂の製造方法であって、α-メチレンラクトン及び(メタ)アクリル酸アルキルを含む単量体を、第1の重合開始剤、第2の重合開始剤及び乳化剤の存在下、溶媒中で懸濁重合する重合工程を備え、第2の重合開始剤の10時間半減期温度T

は、第1の重合開始剤の10時間半減期温度T

よりも10℃以上高く、重合工程は、懸濁重合させる反応液の温度を(T

-10)~(T

+10)℃で保持し、重合を開始させる第1温度保持工程と、重合熱による反応液の温度上昇が生じた後に、第1温度保持工程における反応液の温度よりも10℃以上高い温度で反応液の温度を保持し、更に重合させる第2温度保持工程と、を有する。
(【0011】以降は省略されています)

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