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公開番号2025096180
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-26
出願番号2024207273
出願日2024-11-28
発明の名称動植物原料抽出物の製造方法、動植物原料抽出物、および動植物原料抽出物の抽出成分調整方法
出願人大倉工業株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類A23L 33/10 20160101AFI20250619BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約【課題】動植物原料由来の抽出成分と当該抽出成分の脱水反応物とを含有するとともに脱水反応物が富化された動植物抽出物を簡易かつ効率的に製造することができる動植物原料抽出物の製造方法、当該製造方法により製造した動植物原料抽出物および動植物原料抽出物の抽出成分調整方法を提供する。
【解決手段】動植物原料由来の抽出成分と当該抽出成分の脱水反応物とを含有するとともに脱水反応物が富化された動植物原料抽出物の製造方法であって、動植物原料を、有機溶媒を含む有機溶媒含有水を用いて加圧熱水抽出することにより、動植物原料から抽出成分を抽出し、抽出成分を脱水反応により脱水反応物に変換することで、脱水反応物を富化させることを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
動植物原料由来の抽出成分と当該抽出成分の脱水反応物とを含有するとともに前記脱水反応物が富化された動植物原料抽出物の製造方法であって、
動植物原料を、有機溶媒を含む有機溶媒含有水を用いて加圧熱水抽出することにより、前記動植物原料から前記抽出成分を抽出し、前記抽出成分を脱水反応により前記脱水反応物に変換することで、前記脱水反応物を富化させることを特徴とする、動植物原料抽出物の製造方法。
続きを表示(約 910 文字)【請求項2】
前記動植物原料は、前記抽出成分および前記脱水反応物を元来含有しており、
前記有機溶媒含有水を用いた加圧熱水抽出により、前記脱水反応物を、前記動植物原料が元来含有する量よりも増加させる、請求項1に記載の動植物原料抽出物の製造方法。
【請求項3】
前記抽出成分は脂溶性成分であることを特徴とする、請求項1に記載の動植物原料抽出物の製造方法。
【請求項4】
前記動植物原料は、生ショウガ、加熱済みのショウガ、乾燥ショウガ、ショウガ搾り汁、または、ショウガ搾りかすであり、前記抽出成分であるジンゲロールを、前記有機溶媒含有水を用いた加圧熱水抽出により、前記脱水反応物であるショウガオールに変換させることで、前記ショウガオールが富化される、請求項1に記載の動植物原料抽出物の製造方法。
【請求項5】
0.1MPaよりも高く、かつ、2.5MPa以下の圧力、かつ、60分間以下の抽出時間において、前記動植物原料を前記有機溶媒含有水で加圧熱水抽出する、請求項1に記載の動植物原料抽出物の製造方法。
【請求項6】
前記有機溶媒含有水は、有機溶媒を5重量%以上、かつ、90重量%以下の割合で含有する、請求項1に記載の動植物原料抽出物の製造方法。
【請求項7】
120~250℃の温度で、前記動植物原料を前記有機溶媒含有水で加圧熱水抽出する、請求項1に記載の動植物原料抽出物の製造方法。
【請求項8】
前記動植物原料を加圧熱水抽出する前に、前記動植物原料の乾燥処理を行う、請求項1に記載の動植物原料抽出物の製造方法。
【請求項9】
前記有機溶媒含有水は、有機溶媒として、エタノール、メタノール、またはブチレングリコールを含有する、請求項1に記載の動植物原料抽出物の製造方法。
【請求項10】
前記動植物原料をそのまま、または、乾燥のみさせた前記動植物原料を、前記有機溶媒含有水のみを用いて加圧熱水抽出する、請求項1に記載の動植物原料抽出物の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ショウガなどの動植物原料に由来する抽出成分および当該抽出成分の脱水反応物を含む動植物原料抽出物の製造方法、動植物原料抽出物、および動植物原料抽出物の抽出成分調整方法に関する。
続きを表示(約 3,800 文字)【背景技術】
【0002】
ショウガ(生姜、Zingiber officinale)は熱帯アジアを原産とするショウガ科の多年草であり、古くから香辛料として世界中で広く用いられている。ショウガは、生薬としても、生ショウガの根茎をそのまま乾燥した生姜(ショウキョウ)や、湯通し又は蒸した後に乾燥した乾姜(カンキョウ)等として利用されている。ショウガに含まれる機能性成分としてジンゲロールおよびショウガオールが知られている。ジンゲロールは血管を拡張させて血流をよくすることで体の深部にある熱を手足等の末端に広げる作用があり、末端冷え性を改善するといった効果、ショウガオールは胃腸の壁を刺激して血行を高め、体の中心部から熱を作り出す作用があり、体温が低い冷え性を改善するといった効果が知られている。生のショウガにはジンゲロールが多く、ショウガオールは微量しか含まれていないが、加熱や乾燥等により脱水反応が起こり、ジンゲロールからショウガオールに変換されることが知られている。
【0003】
ショウガオールを富化させる方法はいくつか報告されており、たとえば、30~90℃の条件下で120~500時間かけて熟成させる方法(特許文献1)や、ショウガからジンゲロールを多く含む抽出物を得た後に100~130℃で24~60時間加熱する方法(特許文献2)、クエン酸等の有機酸存在下で、110~150℃で1~8.5時間加熱する方法(特許文献3)、ショウガからジンゲロール含有物を得た後に、120~250℃で10秒~60分間、亜臨界水処理する方法(特許文献4)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許第5297294号公報
特許第5700980号公報
特許第6158644号公報
特許第6240300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1および特許文献2の方法では抽出時間が長くかかってしまうという問題があった。また、特許文献3の方法では、有機酸を用いるため、中和などの工程が必要となり、特許文献4の方法では、高温処理前に別途ジンゲロールの抽出工程が必要となり、工程数が多く作業が複雑化してしまうという問題があった。そのため、従来よりも、簡易かつ効率的にショウガオールを富化する方法が希求されていた。
【0006】
本発明は、ジンゲロールおよびショウガオールを含有するとともにショウガオールが富化されたショウガ抽出物など、動植物原料由来の抽出成分と当該抽出成分の脱水反応物とを含有するとともに脱水反応物が富化された動植物原料抽出物を簡易かつ効率的に製造することができる動植物原料抽出物の製造方法、当該製造方法により製造される動植物原料抽出物、および動植物原料抽出物の抽出成分調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る動植物原料抽出物の製造方法は、動植物原料由来の抽出成分と当該抽出成分の脱水反応物とを含有するとともに前記脱水反応物が富化された動植物原料抽出物の製造方法であって、前記動植物原料を、有機溶媒を含む有機溶媒含有水を用いて加圧熱水抽出することにより、前記動植物原料から前記抽出成分を抽出し、前記抽出成分を脱水反応により前記脱水反応物に変換することで、前記脱水反応物を富化させることを特徴とする。
上記動植物原料抽出物の製造方法において、前記動植物原料は、前記抽出成分および前記脱水反応物を元来含有しており、前記有機溶媒含有水を用いた加圧熱水抽出により、前記脱水反応物を、前記動植物原料が元来含有する量よりも増加させる構成とすることができる。
上記動植物原料抽出物の製造方法において、前記抽出成分は脂溶性成分であることを特徴とする構成とすることができる。
上記動植物原料抽出物の製造方法において、前記動植物原料は、生ショウガ、加熱済みのショウガ、乾燥ショウガ、ショウガ搾り汁、または、ショウガ搾りかすであり、前記抽出成分であるジンゲロールを、前記有機溶媒含有水を用いた加圧熱水抽出により、前記脱水反応物であるショウガオールに変換させることで、前記ショウガオールが富化される構成とすることができる。
上記動植物原料抽出物の製造方法において、0.1MPaよりも高く、かつ、2.5MPa以下の圧力、かつ、60分間以下の抽出時間で、前記動植物原料を前記有機溶媒含有水で加圧熱水抽出する構成とすることができる。
上記動植物原料抽出物の製造方法において、前記有機溶媒含有水は、有機溶媒を5重量%以上、かつ、90重量%以下の割合で含有する構成とすることができる。
上記動植物原料抽出物の製造方法において、120~250℃の温度で、前記動植物原料を前記有機溶媒含有水で加圧熱水抽出する構成とすることができる。
上記動植物原料抽出物の製造方法において、前記動植物原料を加圧熱水抽出する前に、前記動植物原料の乾燥処理を行う構成とすることができる。
上記動植物原料抽出物の製造方法において、前記有機溶媒含有水は、前記有機溶媒として、エタノール、メタノール、またはブチレングリコールを含有する構成とすることができる。
上記動植物原料抽出物の製造方法において、前記動植物原料をそのまま、または、乾燥のみさせた前記動植物原料を、前記有機溶媒含有水のみを用いて加圧熱水抽出する構成とすることができる。
本発明に係る動植物原料抽出物は、動植物原料由来の抽出成分と当該抽出成分の脱水反応物とを含有するとともに前記脱水反応物が富化された動植物原料抽出物であって、有機溶媒を含む有機溶媒含有水を用いて加圧熱水抽出により、前記動植物原料から抽出された前記抽出成分が脱水反応により前記脱水反応物に変換されることで、前記脱水反応物が富化されていることを特徴とする。
上記動植物原料抽出物において、前記動植物原料は、生ショウガ、加熱済みのショウガ、乾燥ショウガ、ショウガ搾り汁、または、ショウガ搾りかすであり、前記抽出成分であるジンゲロールが、前記有機溶媒含有水を用いた加圧熱水抽出により、前記脱水反応物であるショウガオールに変換されることで、前記ショウガオールが富化されている構成とすることができる。
上記動植物原料抽出物において、160℃以下の温度で加圧熱水抽出し、ジンゲロールよりもショウガオールを多く含むように構成することができる。
本発明に係る動植物原料抽出物の抽出成分調整方法は、動植物原料から抽出した動植物原料抽出物の成分調整方法であって、有機溶媒を含む有機溶媒含有水で前記動植物原料を加圧熱水抽出する際に、抽出圧力、抽出温度、抽出時間、または、前記有機溶媒含有水における有機溶媒の割合を調整することで、前記動植物原料由来の抽出成分と当該抽出成分の脱水反応物の含有割合を調整する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、動植物原料を有機溶媒含有水で加圧熱水抽出することで、動植物原料由来の抽出成分と当該抽出成分の脱水反応物とを含有するとともに脱水反応物が富化された動植物原料抽出物を簡易かつ効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
試験例1におけるショウガ原料1g当たりのジンゲロールおよびショウガオールの含有量(mg)を示すグラフである。
試験例2におけるショウガ原料1g当たりのジンゲロールおよびショウガオールの含有量(mg)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態を説明する。本発明は、動植物原料由来の抽出成分と当該抽出成分の脱水反応物とを含有するとともに脱水反応物が富化された動植物原料抽出物に関し、以下においては、動植物原料としてショウガを用いて、本発明の実施形態を説明する。具体的には、脂溶性の抽出成分であるジンゲロールとショウガオールとを含有するショウガにおいて、ジンゲロールを脱水反応によりショウガオールに変換することで、脱水反応物であるショウガオールを富化させたショウガ抽出物(ショウガエキス、あるいは、ショウガオール含有組成物とも言う)を例示して、本発明の実施形態を説明する。なお、本発明において「富化」とは、動植物原料が元来含有する成分を増加させることの他、動植物原料が元来含有していない成分を増加させることも含むものとする。また、本発明において、動植物原料は、ショウガなどの植物に限定されず動物であってもよい。また、本発明において植物は、可食植物に限定されず、不可食植物も含むことができる。さらに、本発明において「脱水反応」とは、分子内あるいは分子間から水分子が脱離する反応を言うこともできるが、2つの分子間で水分子が脱離する脱水縮合を含まずに、単一の分子内で水分子が脱離する反応を意味するとすることもできる。
(【0011】以降は省略されています)

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