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公開番号2025101161
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-07
出願番号2023217804
出願日2023-12-25
発明の名称溶融炉及びその運転方法
出願人株式会社クボタ
代理人弁理士法人R&C
主分類F23G 5/50 20060101AFI20250630BHJP(燃焼装置;燃焼方法)
要約【課題】燃料のコストを抑えながら溶融室の内部温度を応答性良く調整可能な溶融炉の運転方法を提供する。
【解決手段】可燃物の燃焼熱により不燃物が溶融される溶融室Mと、溶融室M内に酸素を含む助燃ガスG3を供給するガス供給装置43と、を備えた溶融炉1の運転方法であって、溶融室M内に可燃物及び不燃物を供給する工程と、溶融炉1の運転条件を調整する工程とを含み、溶融炉1の運転条件を調整する工程は、助燃ガスG3における酸素の濃度を調節する工程を含む。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
可燃物の燃焼による上部空間からの輻射熱により下部に堆積する不燃物が溶融される溶融室と、
前記溶融室内に酸素を含む助燃ガスを供給するガス供給装置と、を備えた溶融炉の運転方法であって、
前記溶融室内に可燃物及び不燃物を供給する工程と、
前記溶融炉の運転条件を調整する工程と、
を含み、
前記溶融炉の運転条件を調整する前記工程は、前記助燃ガスにおける酸素の濃度を調節する工程を含む溶融炉の運転方法。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記助燃ガスにおける酸素の濃度を調節する前記工程は、前記溶融室の内部温度に基づいて、前記助燃ガスにおける酸素の濃度を調節する工程を含む、請求項1に記載の溶融炉の運転方法。
【請求項3】
前記ガス供給装置は、空気と、空気よりも酸素濃度が高い酸素富化ガスとを供給するものであり、
前記助燃ガスにおける酸素の濃度を調節する前記工程においては、前記助燃ガスにおける空気と酸素富化ガスとの比率を変更する、請求項1又は2に記載の溶融炉の運転方法。
【請求項4】
前記助燃ガスにおける酸素の濃度を調節する前記工程においては、前記助燃ガスにおける酸素の量が一定となるように、前記助燃ガスにおける空気と酸素富化ガスとの比率を変更する、請求項3に記載の溶融炉の運転方法。
【請求項5】
前記助燃ガスにおける酸素の濃度を調節する前記工程は、
前記溶融室内の不燃物の溶融困難度を判定する工程と、
前記溶融困難度に基づいて、前記助燃ガスにおける酸素の濃度を調節する工程と、
を含む、請求項1に記載の溶融炉の運転方法。
【請求項6】
前記溶融炉に、不燃物が溶融したスラグが排出される出滓口が更に備えられ、
前記溶融室内の不燃物の溶融困難度を判定する前記工程は、
前記出滓口から排出されたスラグの量を検出する工程と、
前記スラグの量に基づいて溶融困難度を判定する工程と、
を含む、請求項5に記載の溶融炉の運転方法。
【請求項7】
前記溶融室内の不燃物の溶融困難度を判定する前記工程は、
前記溶融室内の不燃物が溶融されて形成した溶融面の熱画像データを生成する工程と、
前記熱画像データが示す温度分布情報に基づいて溶融困難度を判定する工程と、
を含む、請求項5に記載の溶融炉の運転方法。
【請求項8】
前記溶融室内に可燃物及び不燃物を供給する工程は、可燃物と不燃物との混合物を供給する工程を含む、請求項1又は2に記載の溶融炉の運転方法。
【請求項9】
前記溶融炉の運転条件を調整する前記工程は、前記溶融室の内部温度に基づいて、前記溶融室内に供給される可燃物と不燃物との混合比率を変更する工程を更に含む、請求項8に記載の溶融炉の運転方法。
【請求項10】
前記可燃物は廃プラスチックを含む、請求項1又は2に記載の溶融炉の運転方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、不燃物を溶融させる溶融炉及びその運転方法に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
このような溶融炉の一例としては、可燃物(都市ゴミ等の廃棄物)と不燃物(焼却灰等)とを一定の比率で混合した被処理物が供給された溶融室の内部温度を、バーナーの燃焼炎からの輻射熱によって所定の溶融処理温度に高めて不燃物の溶融処理を開始させた後に、当該溶融処理温度を維持するのに必要な熱の少なくとも一部を、可燃物が燃焼される際に発生する輻射熱によって賄うことで溶融処理を継続させるものが知られている(特許文献1)。
【0003】
上記従来の溶融炉においては、事前の実験の結果や過去の運転の結果等に基づいて設定された可燃物と不燃物との混合比率が適切ではなく、溶融処理時に溶融室の内部温度が所定の溶融処理温度に維持されないことがある。この場合では、溶融室の内部温度を調整するために、これから溶融炉に投入する被処理物を占める可燃物の比率に対する調整が行われることがある。ところで、溶融炉の構造や規模等によっては、投入された被処理物が溶融室内に供給されるまでに時間を要することがあるので、混合比率の調整による温度制御の応答性は低い。そのため、従来の溶融炉では、応答性の低さを補うために、バーナーを併用して溶融室の内部温度を調整していた。
【0004】
また、従来の溶融炉においては、可燃物と不燃物とを混合する機器の動作に起因した局所的な混合比率のムラが生じていたり、可燃物として使用される廃棄物の性状(燃焼熱や水分含有量など)にばらつきが生じていたりすることにより、可燃物が燃焼された際に溶融室内に放出される熱量が安定せず、その結果、溶融処理時に溶融室の内部温度が所定の溶融処理温度に維持されないことがある。この場合においても、従来の溶融炉では、バーナーを併用して溶融室の内部温度を調整していた。
【0005】
また、不燃物は組成により溶融温度が変わるので、従来の溶融炉においては、処理対象となる不燃物の溶融温度を事前の実験により測定し、溶融温度が所定の溶融処理温度よりも高い溶融困難な不燃物については、その溶融温度を下げる薬剤(カルシウム、ケイ素、鉄、マグネシウム、ナトリウム等を不燃物の組成に応じて選択したもの)を混入する処理が行われていた。しかし、作業性などの理由により、不燃物の全量ではなく一部のみに対して実験が行われる場合があり、この場合では、組成変動等により溶融温度が高い組成を比較的多く含む不燃物であるにも拘らず薬剤の混入処理がなされないまま溶融室内に供給されることがある。そこで、従来の溶融炉では、このような溶融困難な不燃物を溶融させるために、バーナーを併用して溶融室の内部温度を調整していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開平10-122523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
燃料と助燃空気の量を調整することによりバーナーの出力を調節すれば溶融室の内部温度を応答性良く調整できるが、バーナー用の燃料の消費量が増えて燃料コストが高くなることがある。また、燃料の消費量が増えると、燃料が化石燃料の場合には燃焼による二酸化炭素の放出量が増えて環境負荷が増加する。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料のコストを抑えながら溶融室の内部温度を応答性良く調整可能な溶融炉及びその運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するための本発明に係る溶融炉の運転方法は、
可燃物の燃焼による上部空間からの輻射熱により下部に堆積する不燃物が溶融される溶融室と、
前記溶融室内に酸素を含む助燃ガスを供給するガス供給装置と、を備えた溶融炉に適用される運転方法であって、
前記溶融室内に可燃物及び不燃物を供給する工程と、
前記溶融炉の運転条件を調整する工程と、
を含み、
前記溶融炉の運転条件を調整する前記工程は、前記助燃ガスにおける酸素の濃度を調節する工程を含むことを特徴とする。
【0010】
溶融炉の運転中に、可燃物の燃焼が可能になるように、溶融室内には酸素を含む助燃ガスが供給されるのであるが、助燃ガスに酸素以外のガスとして不燃性ガスが含まれている場合、不燃性ガスは燃焼反応に寄与することなく、溶融室内の熱によって温められた状態で排ガスとして溶融室から排出される。不燃性ガスの量に応じて、溶融室から持ち去られる熱量が変化し、その結果、溶融室の内部温度が変化するので、溶融室への不燃性ガスの供給量は溶融室の内部温度に影響を与える要因となる。
(【0011】以降は省略されています)

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