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公開番号2025103145
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-09
出願番号2023220294
出願日2023-12-27
発明の名称シングルモード光ファイバ
出願人信越化学工業株式会社
代理人個人
主分類G02B 6/036 20060101AFI20250702BHJP(光学)
要約【課題】コア領域および内側クラッド領域の屈折率分布形状を調整によって、低曲げ損失かつ低伝送損失で、零分散スロープ、波長分散値を低減した光ファイバの提供
【解決手段】コア、第1、第2クラッドからなるシングルモード光ファイバであり、中心部屈折率をn0、n0×0.45となる位置をrコア、rコア×2.2となる位置をr2、そこでの屈折率をn2、第1クラッド屈折率最小値をn3、n3となる位置をr3、第1クラッドと第2クラッドの境界位置をr4、第2クラッド平均屈折率をn4とし、コア屈折率n0と第2クラッド屈折率n4から算出される比屈折率差Δn0は0.3~0.5%、第1クラッド屈折率n2と第2クラッド屈折率n4とから算出される比屈折率差Δn2は、-0.12~-0.05%で、n3とn4とから算出されるΔn3は、-0.20~-0.12%であり、第1クラッド比屈折率差が、rコアからr3にかけなだらかに低下する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
コア層と、該コア層の外周に隣接した第1クラッド層と、該第1クラッド層の外周に隣接した第2クラッド層からなるシングルモード光ファイバであって、前記コア中心部の屈折率をn

、該屈折率n

に対しn

×0.45となる屈折率の半径位置をr
コア
とし、前記第1クラッド層でr
コア
×2.2となる半径位置をr

、該r

における屈折率をn

、前記第1クラッド層の屈折率の最小値をn

、該n

となる半径位置をr

、前記第1クラッド層と第2クラッド層の境界半径位置をr

、前記第2クラッド層の平均屈折率をn

としたとき、前記コア層の屈折率n

と前記第2クラッド層の屈折率n

とから算出される前記コア層の比屈折率差Δn

は0.3%以上、0.5%以下で、前記第1クラッド層の屈折率n

と前記第2クラッド層の屈折率n

とから算出される比屈折率差Δn

は、-0.12%以上、-0.05%以下で、前記第1クラッド層中の屈折率n

と前記第2クラッド層の屈折率n

とから算出される比屈折率差Δn

は、-0.20%以上、-0.12%以下であり、前記第1クラッド層の非屈折率差が、半径位置r
コア
からr

にかけて連続的になだらかに低下していることを特徴とするシングルモード光ファイバ。
続きを表示(約 760 文字)【請求項2】
前記コア層で、r
コア
×0.8となる半径位置をr

としたとき、前記コア層の中心からの距離r(μm)に対する比屈折率差Δ(r)(%)の微分値dΔ(r)/drについて、半径位置rが0~r

の範囲で、dΔ(r)/dr≧-0.08%/μmを満たす請求項1に記載のシングルモード光ファイバ。
【請求項3】
前記r
コア
が3~6μmであり、前記r

が14~20μmである請求項1または2に記載のシングルモード光ファイバ。
【請求項4】
曲げ半径10mmで曲げたときの波長1550nmにおける曲げ損失が、0.10dB/ターン以下である請求項1または2に記載のシングルモード光ファイバ。
【請求項5】
波長1310nmのモードフィールド径が、8.2~9.4μmである請求項1または2に記載のシングルモード光ファイバ。
【請求項6】
零分散波長が1300~1324nmの範囲にあり、零分散波長での分散スロープが0.091ps/nm

/km以下であり、波長1550nmにおける波長分散値が17.5ps/nm/km以下である請求項1または2に記載のシングルモード光ファイバ。
【請求項7】
22mのファイバ長で測定したカットオフ波長が、1260nm以下である請求項1または2に記載のシングルモード光ファイバ。
【請求項8】
前記コア層および前記第1クラッド層には、ゲルマニウムとフッ素および塩素が添加され、前記第2クラッド層には、塩素が添加されてなる請求項1または2に記載のシングルモード光ファイバ。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、低曲げ損失かつ低伝送損失な特性を備え、零分散スロープおよび波長分散値を低減したシングルモード光ファイバに関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
従来のシングルモード光ファイバは、信号光が光ファイバのコア部を伝搬し、光ファイバが多少曲がった状態でも信号を伝送することが可能であるという特徴がある。一般にシングルモード光ファイバでは、その曲げ半径が小さくなるにつれ、伝搬しきれずにコアから漏洩する光の割合が指数関数的に増大し、伝送損失増となって現れる。これが曲げ損失である。近年、光ファイバは、曲率半径15mm以下~10mm程度の曲げた状態で用いられる可能性がある一方で、より低損失な光ファイバが求められている。光ファイバの低曲げ損失に関する規格としては、ITU-T G.657で定義される規格が知られている。例えば、G.657.A2規格では、半径10mmで曲げた場合の波長1550nmにおける曲げ損失が0.10dB/ターン以下であることが規定されている。
【0003】
曲げ損失を低減するには、コアの屈折率を高めて、コアへの光の閉じ込めを行うことが有効である。これは、モードフィールド直径(MFD)を小さくすることによって改善される。このため、MFDが約8.2~8.8μmの光ファイバが用いられることが多い。
また、コア層の外周のクラッド層に、フッ素等のダウンドーパントを添加し、屈折率を低くしたトレンチ型の屈折率分布を採用することによっても、コアへの光の閉じ込めを行うことができ、曲げ損失を低減することができる。
【0004】
特許文献1~3では、トレンチ層の幅や深さ、外径、コア部の非屈折率差やコア径など屈折率分布の各構造パラメータを適切に制御することで、低曲げ損失ファイバを達成している。トレンチ層の形成には、コアおよび内側クラッド層を形成した後、フッ素ドープガラス管を被せて製造する手法が一般的であるが、母材の製造工程が増えて複雑になる。さらに、トレンチ層の界面付近ではOH基などの不純物が混入しやすく、加えて、界面で急激な屈折率変化に伴う組成差(界面の揺らぎ)もあるため、伝送損失上昇の原因となりうる。
【0005】
トレンチ層を深くするには、フッ素添加量を増やす必要がある。一方で、フッ素添加量を増やすと、零分散波長は下がり、零分散スロープおよび波長分散値が低下してしまう。低曲げ損失かつ低伝送損失な特性を備え、各種光学特性が所望の範囲に収まるためには、コア領域および内側クラッド領域の屈折率分布形状を適切に制御することが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許第4833071号
特開2012-212115号公報
特開2013-235261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、従来の複雑なトレンチ層の形成によることなく、コア領域および内側クラッド領域の屈折率分布形状を調整することによって、低曲げ損失かつ低伝送損失な特性を備えたシングルモード光ファイバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のシングルモード光ファイバは、前記課題を解決してなり、コア層と、該コア層の外周に隣接した第1クラッド層と、該第1クラッド層の外周に隣接した第2クラッド層からなるシングルモード光ファイバであって、前記コア中心部の屈折率をn

、該屈折率n

に対しn

×0.45となる屈折率の半径位置をr
コア
とし、前記第1クラッド層でr
コア
×2.2となる半径位置をr

、該r

における屈折率をn

、前記第1クラッド層の屈折率の最小値をn

、該n

となる半径位置をr

、前記第1クラッド層と第2クラッド層の境界半径位置をr

、前記第2クラッド層の平均屈折率をn

としたとき、前記コア層の屈折率n

と前記第2クラッド層の屈折率n

とから算出される前記コア層の比屈折率差Δn

は0.3%以上、0.5%以下で、前記第1クラッド層の屈折率n

と前記第2クラッド層の屈折率n

とから算出される比屈折率差Δn

は、-0.12%以上、-0.05%以下で、前記第1クラッド層中の屈折率n

と前記第2クラッド層の屈折率n

とから算出される比屈折率差Δn

は、-0.20%以上、-0.12%以下であり、前記第1クラッド層の非屈折率差が、半径位置r
コア
からr

にかけて連続的になだらかに低下していることを特徴としている。
【0009】
前記コア層で、r
コア
×0.8となる半径位置をr

としたとき、前記コア層の中心からの距離r(μm)に対する比屈折率差Δ(r)(%)の微分値dΔ(r)/drについて、半径位置rが0~r

の範囲で、dΔ(r)/dr≧-0.08%/μmを満たすのが望ましい。
また、前記r
コア
が3~6μmであり、前記r

が14~20μmであることが望ましい。
【0010】
本発明のシングルモード光ファイバは、曲げ半径10mmで曲げたときの波長1550nmにおける曲げ損失は、0.10dB/ターン以下とされる。
(【0011】以降は省略されています)

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