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公開番号
2025103178
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-07-09
出願番号
2023220355
出願日
2023-12-27
発明の名称
銅の製造方法
出願人
住友金属鉱山株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
C22B
15/00 20060101AFI20250702BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約
【課題】 設備の損耗を促進させることなく水砕スラグのような銅及びシリカを含む微細スラグを効率よく活用できる銅の製造方法を提案する
【解決手段】 銅及びシリカを含む平均粒径0.8~1.6mmの水砕スラグに代表される微細スラグを、破砕工程で破砕処理された転炉スラグと共に磨鉱工程において好適には湿式のミル粉砕で処理して熔錬炉に装入する。
【選択図】 図1
特許請求の範囲
【請求項1】
銅及びシリカを含む平均粒径0.8~1.6mmの微細スラグを、破砕工程で破砕処理された転炉スラグと共に磨鉱工程で処理して熔錬炉に装入することを特徴とする銅の製造方法。
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【請求項2】
前記微細スラグが水砕スラグであることを特徴とする、請求項1に記載の銅の製造方法。
【請求項3】
前記磨鉱工程が湿式のミル粉砕であり、該ミル粉砕の後に脱水工程で処理することを特徴とする、請求項1に記載の銅の製造方法。
【請求項4】
前記磨鉱工程と前記脱水工程の間に浮選工程を含むことを特徴とする、請求項3に記載の銅の製造方法。
【請求項5】
前記シリカがフラックス由来のSiO
2
であることを特徴とする、請求項1に記載の銅の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾式銅製錬による銅の製造方法に関し、特に、乾式銅製錬において副生される微細スラグを乾式銅製錬の原料として繰り返し利用する銅の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)
【背景技術】
【0002】
乾式銅製錬では、硫化鉱からなる鉱石原料に対して前処理工程、熔錬工程、製銅工程、及び精製工程で段階的に銅を濃縮することで純銅を製造している。具体的には、先ず前処理工程では、主として黄銅鉱からなる硫化鉱に対して破砕、分級、浮遊選鉱などの前処理を施すことで、銅品位30%程度の銅精鉱を生成する。次に熔錬工程では、上記前処理工程で生成した銅精鉱をフラックスと称する硅石(シリカ)及び冷材と共に自熔炉などの熔錬炉に装入し、更に空気又は酸素富化空気を吹き込むことにより該銅精鉱に含まれる大部分の硫化鉄を酸化させて酸化鉄を生成し、これを硅石や脈石成分と結合させてスラグにすると共に、一部残留する硫化鉄及び硫化銅から銅品位60%程度のマットを生成する。これらスラグ及びマットは、自熔炉のセトラ部において比重差によりそれぞれ上層及び下層に層分離する。
【0003】
次に製銅工程では、上記自熔炉から抜き出したマットを転炉に装入すると共にその羽口から空気又は酸素富化空気を吹き込むことで、上記と同様に硫化鉄の酸化により生成した酸化鉄を硅石と結合させて転炉スラグを生成する。この転炉スラグを転炉の傾転により除去した後、再度空気又は酸素富化空気を吹き込むことで転炉内に残留する硫化銅からなる白カワを酸化させて粗銅を生成する。最後に精製工程では、この粗銅を精製炉に移送してプロパン等の還元ガスで還元処理することで銅品位99.8%の精製粗銅を生成する。この精製粗銅を鋳造して得たアノード板を別途用意したカソード板と共に電解槽内に装入して電解精製を行なうことにより、銅品位99.99%以上の電気銅(純銅)が製造される。
【0004】
上記の自熔炉及び転炉で生成されるスラグは、いずれもファイアライト(fayalite)(2FeO・SiO
2
)とも称される酸化鉄や硅石等を主成分とする熔融物であるが、銅品位が異なるので別々に処理される。すなわち、製銅工程で生成される転炉スラグは銅を5~10質量%程度含んでいるので、銅精鉱と共に原料として自熔炉に繰り返している。但し、転炉スラグはFe
3
O
4
を多く含むことがあり、この場合はそのまま自熔炉に繰り返すと、自熔炉のセトラ部においてスラグの粘性を高めてこれらマット及びスラグの層分離を妨げるおそれがある。そこで、転炉スラグは自熔炉に繰り返す前にカラミ選鉱工程で選鉱処理することで、Fe
3
O
4
を分離除去している。
【0005】
一方、熔錬工程で生成される自熔炉スラグには、上記のセトラ部で分離しきれなかった粒子形態で浮遊(懸垂とも称する)するマットを含んでおり、これにより銅が系外流出するため、自熔炉から抜き出した自熔炉スラグを錬カン炉と称する複数本の電極を備えた電気炉に装入し、ここで該電極により生じるジュール熱で加熱しながら再度静置することで自熔炉スラグからマットを分離して回収している。回収したマットはそのまま転炉で処理することができるので、自熔炉スラグに分配されて系外流出する銅の量を減らして歩留まりを高めることができる。このようにして懸垂マットが回収された後の錬カン炉スラグは、錬カン炉から抜き出されて多量の水や海水からなる流水中に導入される。これにより、錬カン炉スラグは急冷されることで粉砕され、水砕スラグと称する細粒状の微細スラグが形成される。
【0006】
上記の水砕スラグは、非特許文献1に記載されているように、船舶等の錆び落とし用のサンドブラスト材、セメント材料やコンクリート用細骨材などの土木・建築用資材として一般的に利用されている。これら用途は各々規格が定められており、例えば、水砕スラグの粒度(粒形)や成分、密度などが「JIS A5011-3(2016)コンクリート用スラグ骨材」の規格に適合する場合は、コンクリート用スラグ骨材として使用することができる。そこで、これら規格に適合するように、水砕スラグの性状を調整する技術が提案されている。例えば特許文献1には、水砕スラグの粒径をサンドブラスト材に適した大きさに調整するため、該水砕スラグが生成される銅製錬プロセスの原料に用いる銅精鉱、雑原料及びフラックスの配合割合を調整する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
棚橋満ら著「非鉄精錬スラグの現状と課題」資源素材、2003年
【特許文献】
【0008】
特開2016-204759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の転炉スラグの選鉱処理を行なうカラミ選鉱工程は、転炉スラグを徐冷してからジョークラッシャやコーンクラッシャなどの破砕機で破砕する破砕工程と、該破砕工程で破砕された転炉スラグをミル粉砕などによって磨鉱する磨鉱工程と、転炉スラグにFe
3
O
4
が含まれる場合に必要に応じて行なわれる浮選工程と、これら磨鉱工程又は浮選工程で処理されたスラリー状のいわゆるスラグ精鉱をシックナー及びセラミックフィルターなどを用いて濃縮及び脱水する脱水工程とから一般に構成される。このようにして生成される銅品位の高いスラグ精鉱を銅精鉱と共に原料として自熔炉に装入することで、単位鉱石原料当たりの銅製錬の歩留まりを高めることができる。
【0010】
一方、水砕スラグにおいては、上記の土木建築用資材やサンドブラスト材等の規格のいずれの規格にも適合しない場合は、ガラス質で鋭利であって且つ粒径数mm程度の大きな粉粒体であり、銅品位が1%程度と低いので、他の用途がほとんどなく、廃棄処分されるか、あるいは冷材として自熔炉や転炉に装入されることがあった。また、上記の規格に適合する水砕スラグであっても、その全量を買い取る需要が常にあるわけではなく、工場内のストックヤードに多量に積み上げられたまま長期間放置されることがあった。昨今は環境保全に対する意識の高まりから資源の有効活用がうたわれており、上記のように水砕スラグを廃棄したり放置したりする状況を改善することが求められている。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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