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公開番号2025116327
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-08
出願番号2024010678
出願日2024-01-29
発明の名称車両の捩り振動制振方法および装置
出願人日産自動車株式会社
代理人個人,個人
主分類F02P 5/15 20060101AFI20250801BHJP(燃焼機関;熱ガスまたは燃焼生成物を利用する機関設備)
要約【課題】駆動系の捩り振動を検知したときに内燃機関の出力トルク補正によって制振する制振制御を非ロックアップ中に実行すると、燃費の悪化を招来し、ロックアップクラッチ締結動作と重なると締結ショックが増大する。
【解決手段】ロックアップ指令によりロックアップ動作が開始(時間t2)した後、エンジン回転数とタービン回転数との差回転数が閾値以下(時間t3)となったら、締結完了タイマをスタートする。所定の遅れ時間が経過(時間t4)したら、第4作動許可フラグがオンとなり、制振制御が許可される。
【選択図】図5
特許請求の範囲【請求項1】
内燃機関と有段自動変速機と駆動輪とを含む駆動系の捩り振動を、フィードバック方式による内燃機関の出力トルク補正によって制振する車両の捩り振動制振方法において、
上記有段自動変速機に含まれるトルクコンバータのロックアップクラッチがロックアップ中であることを条件として上記出力トルク補正による制振制御を許可する、車両の捩り振動制振方法。
続きを表示(約 990 文字)【請求項2】
上記ロックアップクラッチの締結動作開始後、ロックアップ完了までは上記制振制御を禁止する、
請求項1に記載の車両の捩り振動制振方法。
【請求項3】
上記ロックアップクラッチの締結動作開始後、当該ロックアップクラッチの差回転数が所定の閾値以下となってから所定時間経過したときにロックアップ完了と判定する、
請求項2に記載の車両の捩り振動制振方法。
【請求項4】
上記出力トルク補正は、点火時期リタードによって行われる、
請求項1に記載の車両の捩り振動制振方法。
【請求項5】
内燃機関の冷却水温が所定の下限温度よりも低いときは上記出力トルク補正による制振制御を禁止し、
上記下限温度は、上記ロックアップクラッチのロックアップ禁止温度よりも低い温度に設定されている、
請求項1に記載の車両の捩り振動制振方法。
【請求項6】
上記下限温度よりも高い所定の上限温度が設定されており、冷却水温がこの上限温度よりも高いときは上記出力トルク補正による制振制御を禁止し、
上記上限温度は、内燃機関の燃焼トルクばらつきが大きい温度条件に対応して設定されている、
請求項5に記載の車両の捩り振動制振方法。
【請求項7】
上記有段自動変速機の変速開始から変速完了までの変速中は上記出力トルク補正による制振制御を禁止する、
請求項1に記載の車両の捩り振動制振方法。
【請求項8】
さらに、上記有段自動変速機が1つあるいは複数の所定の変速段にあることを条件として上記出力トルク補正による制振制御を許可する、
請求項1に記載の車両の捩り振動制振方法。
【請求項9】
内燃機関と有段自動変速機と駆動輪とを含む駆動系の捩り振動の発生を検出する検出部と、
捩り振動の検出時に、捩り振動を制振するようにフィードバック方式による内燃機関の出力トルク補正を行う制御部と、
を備えた車両の捩り振動制振装置において、
上記制御部は、上記有段自動変速機に含まれるトルクコンバータのロックアップクラッチがロックアップ中であることを条件として上記出力トルク補正による制振制御を許可する、車両の捩り振動制振装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の駆動系で生じる捩り振動を内燃機関の出力トルク補正によってアクティブに制振する捩り振動制振技術に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
内燃機関の出力を変速機を介して駆動輪に伝達することで走行する車両にあっては、車両の駆動系(パワートレイン)に、例えば内燃機関の出力トルクの変動等に起因して、捩り振動が発生することがあり、車体の前後振動など不快な挙動が生じる。
【0003】
特許文献1には、このような捩り振動(特許文献1ではジャークと呼ばれている)の発生を検出もしくは予測し、フィードバック方式もしくはフィードフォワード方式による内燃機関の出力トルク補正によって捩り振動を打ち消すようにした捩り振動の制振制御が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2007-77881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来技術では、駆動系にトルクコンバータやロックアップクラッチが含まれる構成が考慮されておらず、ロックアップクラッチの状態に無関係に常に制振制御が実行される。そのため、不必要な出力トルク補正によって燃費の悪化が生じるとともに、ロックアップクラッチの締結動作中に制振制御のための出力トルク補正が実行されることで締結ショックが増大するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、内燃機関と有段自動変速機と駆動輪とを含む駆動系の捩り振動を、フィードバック方式による内燃機関の出力トルク補正によって制振する車両の捩り振動制振方法において、
上記有段自動変速機に含まれるトルクコンバータのロックアップクラッチがロックアップ中であることを条件として上記出力トルク補正による制振制御を許可する。
【0007】
ロックアップ中は実質的にトルクコンバータが機能しないので、捩り振動が生じるおそれがある。従って、制振制御を許可することで、捩り振動検出時に出力トルク補正による制振が行われる。他方、非ロックアップ中はトルクコンバータの作用によって、捩り振動は生じにくく、例えば捩り振動が誤検出されたような場合でも不必要な制振制御は実行されない。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、ロックアップクラッチがロックアップ中であることを条件として制振制御を許可することにより、ロックアップクラッチの締結動作中に同時に制振制御が実行されることによるショック発生がなく、また非ロックアップ中の出力トルク補正に伴う燃費の悪化を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
一実施例の車両の駆動系の構成を示す構成説明図。
冷却水温と第1作動許可フラグとの関係を示した説明図。
有段自動変速機における変速期間と第2作動許可フラグとの関係を示した説明図。
有段自動変速機における変速段と第3作動許可フラグとの関係を示した説明図。
ロックアップクラッチが締結動作するときの第4作動許可フラグ等の動作例を示したタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、一実施例の車両の駆動系の構成を示している。一実施例は後輪駆動の形式であって、内燃機関1に変速機2が接続されており、この変速機2の出力により終減速装置3を介して駆動輪4を駆動している。変速機2は、有段の自動変速機である。自動変速機2は、詳細には図示しないが、ロックアップクラッチ22を有するトルクコンバータ21と、遊星歯車機構および複数の摩擦締結要素(クラッチないしブレーキ)を含んで構成される有段の変速機構23と、から構成されている。この自動変速機2のロックアップクラッチ22および変速機構23は、ATコントローラ5によって制御される。例えば図示しないセレクタが自動変速レンジ(いわゆるDレンジ)を選択している場合には、主にアクセルペダル開度と車速とをパラメータとして所定の変速マップに基づいて適当な変速段が選択され、自動に変速が行われる。ATコントローラ5には、車速信号およびアクセルペダル開度信号が直接にあるいは他のコントローラを介して間接に入力される。
(【0011】以降は省略されています)

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