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公開番号2025117225
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-12
出願番号2024011959
出願日2024-01-30
発明の名称鋼板切断用レーザーを用いた炭素鋼の発光スペクトルによる炭素鋼の判定方法
出願人HSG 株式会社
代理人個人
主分類G01N 21/71 20060101AFI20250804BHJP(測定;試験)
要約【課題】LIBSの手法において、高スペックなレーザー光源や分光器を用いることなく、簡単な判定方法で加工する前に確実に、炭素鋼の種類を判別でき、炭素鋼に特有な元素比率を測定することができる炭素鋼の判定方法を提供することを課題とした。
【解決手段】近赤外マルチモードファイバーレーザー光源でレーザーのパルス幅および発振信号をパルスコントローラで制御する炭素鋼のLIBS測定において、切断用レーザーヘッドを用いて、波長範囲が200nm~600nmの波長域で、炭素鋼の元素分析をし、鉄、クロム、マンガンのスペクトルのピークを用いて、前記ピーク高さの相対比から炭素鋼の種類を判定することを特徴とする炭素鋼の判別方法、を提供する。
【選択図】図1

特許請求の範囲【請求項1】
近赤外マルチモードファイバーレーザー光源でレーザーのパルス幅および発振信号をパルスコントローラで制御する炭素鋼のLIBS測定において、切断用レーザーヘッドを用いて、波長範囲が200nm~600nmの波長域で、炭素鋼の元素分析をし、鉄、クロム、マンガンのスペクトルのピークを用いて、前記ピーク高さの相対比から炭素鋼の種類を判定することを特徴とする炭素鋼の判別方法。
続きを表示(約 260 文字)【請求項2】
前記LIBS測定において、レーザーの発振信号からパルスジェネレータへの分光器用トリガー信号を生成し、それを分光器に送信し、レーザー発振と同期したデータを分光器側が、取得、同期して分光することを特徴とする請求項1記載の炭素鋼の判別方法。
【請求項3】
前記炭素鋼判定において、畳み込みNNを使用したAIを用いて、スペクトル計測データの前記波長領域に含まれるピーク高さを学習データとして訓練し、炭素鋼の種別を判別することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の炭素鋼の判別方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板切断用レーザーを用いた炭素鋼の発光スペクトルによる炭素鋼の判定方法に関する。特に、小型分光器を用いた発光スペクトル解析とAIのデータ処理による炭素鋼判定方法に関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
炭素鋼を切断するツールとしてレーザー切断加工装置がある。レーザーで切断できる炭素鋼板の厚さは従来20mm程度であったが、近年、マルチモードファイバーレーザーの高出力化に伴い、厚さ50mm以上の炭素鋼平板を切断できるレーザー切断機が登場している。しかしながら、加工対象鋼板の加工条件を誤って選択し、炭素鋼種別を誤って加工した際、最適でない加工条件により、加工品質の低下だけでなく、スパッタの過度な発生等によりレーザーヘッドを含めた加工設備の一部にダメージを与えることがある。その予防対策として、事前に加工する前に炭素鋼の種類を判別することや元素比率を測定することが有効である。
【0003】
そのため、分析する試料表面に高エネルギーのパルスレーザー光を照射し、試料の原子やイオンをプラズマ化し、試料由来の原子が励起状態から基底状態に戻るときに生じる元素特有の光を分光測定する分析手段であるlaser induced breakdownspectroscopy(レーザー誘起ブレイクダウン分光法)(以下、LIBS)が注目されている。
【0004】
LIBS向けのレーザー光源は、ナノ秒パルスレーザー(非特許文献1)、(非特許文献2)が主流であるが、最近では、マイクロ秒とナノ秒のパルスを組み合わせたダブルパルス型(非特許文献3)や、UV波長(380ミリ秒パルスレーザーと人工知能(AI)を用いたアルミニウム合金の鉄元素を測定する報告(非特許文献4)があり、その研究で利用されている分光器は多チャンネルで非常に高スペックな波長分解能である。
【0005】
しかし、これらの手法はレーザー光源または分光器が高スペックであり、炭素鋼の需要が高いインドや発展途上国向けのレーザー加工機毎にオプションとして提供するにはコストが高い等の難点があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
Yamamoto, K. Y., et al., Laser-induced breakdown spectroscopyanalysis of solids using a long-pulse (150 ns) Q-switched Nd: YAGlaser. Applied spectroscopy, 2005. 59 (9): p. 1082-1097.
Sturm, V., et al., Carbon analysis of steel using compact spectrometerand passively Q-switched laser for laser-induced breakdown spectroscopy. Optics Express, 2019. 27 (25): p. 36855-36863.
Cui, M., et al., Improved analysis of manganese in steel samples using collinear long-short double pulse laser-induced breakdown spectroscopy (LIBS). Applied spectroscopy, 2019. 73 (2): p. 152-162.
Shuang, Q., et al., The Accuracy Improvement of Fe Element in Aluminum Alloy by Millisecond Laser Induced Breakdown Spectroscopy Under Spatial Confinement Combined With Support Vector Machine. SPECTROSCOPY AND SPECTRAL ANALYSIS, 2022. 42 (2): p. 582-586.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、高スペックなレーザー光源や分光器を用いることなく、簡単な判定方法で加工する前に確実に、炭素鋼の種類を判別でき、炭素鋼に特有な元素比率を測定することができる炭素鋼の判定方法を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者は、鋭意検討の結果、次発明を提供するものである。
[1] 近赤外マルチモードファイバーレーザー光源でレーザーのパルス幅および発振信号をパルスコントローラで制御する炭素鋼のLIBS測定において、切断用レーザーヘッドを用いて、波長範囲が200nm~600nmの波長域で、炭素鋼の元素分析をし、鉄、クロム、マンガンのスペクトルのピークを用いて、前記ピーク高さの相対比から炭素鋼の種類を判定することを特徴とする炭素鋼の判別方法、を提供する。
[2] [1]において、LIBS測定が、レーザーの発振信号からパルスジェネレータへの分光器用トリガー信号を生成し、それを分光器に送信し、レーザー発振と同期したデータを分光器側は、取得、同期して分光することを特徴とする炭素鋼の判別方法、を提供する。
[3] [1]において、炭素鋼の種類の判定に、畳み込みNNを使用したAIを用いて、実際のスペクトル計測データの前記波長領域に含まれるピーク高さを学習データとして訓練し、炭素鋼の種別を判別することを特徴とする炭素鋼の判別方法、を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の測定器の構成を示す図である。
レーザーのパルス幅を25マイクロ秒に設定し、分光器とトリガー信号を同期させて得られたS15C炭素鋼の発光スペクトル測定結果を示す図である。
各典型サンプルと標準物質のスペクトルデータの一部を示す図である。
本発明に係る処理の読込のフローの模式図である。
本発明に係る処理の学習のフローの模式図である。
本発明に係る処理の判定のフローの模式図である。
本発明で用いたCNNの構造を示す概念図である。
CPUとGPUの連携によりデータベースのモデル生成を常時別処理で動作させるAI判定処理を模式的に示す図である。
各炭素鋼のスペクトルデータから判定した場合の判定精度を時系列(日数)に対する精度推移の結果(個別判定)として示す図である。
各炭素鋼のスペクトルデータから判定した場合の判定精度を炭素鋼の濃度別に低中高(低濃度;S15CとS20C、中濃度;S35C、高濃度;S45CとS55C)に分けたそれぞれの時系列(日数)に対する精度推移の結果(濃度別)を示す図である。
個別判定正解率と精度の相関を示す図である。
濃度別判定正解率と精度の相関を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
レーザー光源、分光器、同期
図1に、本発明の測定器の構成を示した。1000W、1080nmの近赤外マルチモードファイバーレーザーにHSGLaser製の切断用レーザーヘッドを装着し、レーザーのパルス幅および発振信号をパルスコントローラで制御した。通常、炭素鋼のLIBS測定では一般に、分光器の測定は190nm~195nmの範囲に存在する鉄と炭素の元素比を用いて元素濃度を定量分析しているが、本発明では、波長範囲が約200nm~600nm仕様の小型分光器を用いた。この波長領域を採用したのは、190nm~200nmの波長領域の測定はレーザーのパルス幅を10マイクロ秒に設定してもノイズとの区別が難しいからである。
(【0011】以降は省略されています)

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