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公開番号2025117578
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-12
出願番号2025030016
出願日2025-02-27
発明の名称NDIRフレオンセンサ
出願人フィガロ技研株式会社
代理人個人,個人
主分類G01N 21/3504 20140101AFI20250804BHJP(測定;試験)
要約
【構成】 NDIRフレオンセンサは、MEMSヒータを有する光源と、サーモパイルと、バンドパスフィルタと、光源とサーモパイル及びバンドパスフィルタを収容する光学セル、とを備える。光源はMEMSヒータの表面に黒体膜を備え、かつ黒体膜と光源の外部との間に気密な窓が無い。サーモパイルはサーモパイルの温接点を覆う黒体膜を備え、バンドパスフィルタは透過中心波長が9μm付近である。
【効果】 フレオンを高感度で検出できる。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
MEMSヒータを有する光源と、サーモパイルと、バンドパスフィルタと、光源とサーモパイル及びバンドパスフィルタを収容する光学セル、とを備え、
前記光源は、MEMSヒータの表面に黒体膜を備え、かつ前記黒体膜と光源の外部との間に気密な窓が無く、
前記サーモパイルはサーモパイルの温接点を覆う黒体膜を備え、
前記バンドパスフィルタは透過中心波長が9μm付近である、NDIRフレオンセンサ。
続きを表示(約 440 文字)【請求項2】
前記光源の黒体膜とサーモパイルの黒体膜はいずれも、膜厚が1μm以上200μm以下であることを特徴とする、請求項1のNDIRフレオンセンサ。
【請求項3】
前記光源の黒体膜とサーモパイルの黒体膜はいずれも、貴金属ブラックの膜、黒色の貴金属メッキ膜、黒色Cr膜、黒色無電解ニッケル膜、黒色の金属酸化物粉末の膜、窒化クロムの膜、金属酸化物の積層膜、の少なくとも一員であることを特徴とする、請求項2のNDIRフレオンセンサ。
【請求項4】
前記MEMS光源は所定の周期でオン/オフし、MEMS光源をオンしている際の、前記ヒータ膜の最高温度が300℃以上500℃以下であることを特徴とする、請求項1のNDIRフレオンセンサ。
【請求項5】
前記MEMS光源はPtのヒータ膜を備え、ヒータ膜の抵抗値を測定し、測定した抵抗値に基づいてヒータ膜への投入電力を制御することを特徴とする、請求項4のNDIRフレオンセンサ。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
この発明は、9μm付近での赤外線の吸収を用いる、NDIRフレオンセンサに関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
R-32(CH



)などのフレオンは、9μm付近にC-F伸縮振動による強い吸収ピークを持つ。またCl原子を含むフレオンは、10μm付近にC-Cl伸縮振動に基づく吸収ピークを持つ(特許文献1)。9μm付近での吸収によりフレオンを検出すると、水蒸気との干渉も、CO

との干渉も、さらには有機溶剤との干渉も小さくすることができる。
【0003】
多くのNDIR(非分散赤外)ガスセンサは、タングステンコイルをガラスバルブ内に封じたタングステンランプを用いる。しかしガラスは遠赤外線を透過しないため、9μm付近ではタングステンランプを用いることができない。NDIRでの受光素子として、3~5μmの赤外線に高感度なInSbが用いられることが多い。しかし9μm付近で使用するためにはInSb等の化合物半導体は冷却が必要で、ペルチエ素子や液体窒素などにより化合物半導体を冷却する必要が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2003-57178A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の課題は、フレオンを高感度で検出できるNDIRガスセンサを提供することに有る。この発明の補助的な課題は以下の点に有る。
1) 光源に高価な窓材を必要としないこと。
2) 受光素子の冷却が不要なこと。
3) フレオンの検出への水蒸気の干渉、CO

の干渉、及び有機溶剤の干渉を防止すること。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のNDIRフレオンセンサは、MEMSヒータを有する光源と、サーモパイルと、バンドパスフィルタと、光源とサーモパイル及びバンドパスフィルタを収容する光学セル、とを備える。
光源は、MEMSヒータの表面に黒体膜を備え、かつ黒体膜と光源の外部との間に気密な窓が無い。
サーモパイルはサーモパイルの温接点を覆う黒体膜を備える。
バンドパスフィルタは透過中心波長が9μm付近にある。
【0007】
この発明では、図10に示すように、従来のフレオンセンサに比べ、高感度なNDIRフレオンセンサを提供することができる。さらに、MEMS光源ではヒータをむき出しで使用できるので、気密を取るためにGeなどの高価な窓材を必要としない。InSbなどの半導体受光素子とは異なり、サーモパイルは9μm付近の検出でも冷却を必要としない。図11に示すように、フレオン検出への水蒸気の干渉が小さい。また図12に示すように、CO

の干渉も有機溶剤の干渉も小さい。
【0008】
好ましくは、光源の黒体膜とサーモパイルの黒体膜は、いずれも膜厚が1μm以上200μm以下である。図8に、膜厚が約100μmのPtブラック膜から成る黒体膜の効果を示す。黒体膜を設けることにより、MEMSヒータからの9μm付近の遠赤外線光量は数倍に増加する。同様にサーモパイルの温接点に黒体を付けることで、9μm付近の遠赤外線の吸収効率も改善され感度も増加する。100μmの黒体膜で大きな効果が得られるので、光源の黒体膜とサーモパイルの黒体膜は、いずれも膜厚が1μm以上200μm以下が好ましく、より好ましくは10~200μm、特に好ましくは50~200μmとする。なお膜厚1μmは、スパッタリングなどの薄膜プロセスで黒体膜を成膜する場合に相当する。
【0009】
好ましくは、光源の黒体膜とサーモパイルの黒体膜はいずれも、貴金属ブラックの膜、黒色の貴金属メッキ膜、黒色Cr膜、黒色無電解ニッケル膜、黒色の金属酸化物粉末の膜、窒化クロムの膜、金属酸化物の積層膜、の少なくとも一員である。これらの材料は黒体の材料として知られており、Ptブラックで良い黒体膜が得られたので、これらの材料でも良い黒体膜が得られる。
【0010】
好ましくは、MEMS光源は所定の周期でオン/オフし、MEMS光源をオンしている際の、ヒータ膜の最高温度は300℃以上500℃以下である。図8は、ヒータ温度を400℃とした際の、光量を示す。9μm付近での測定なので、最高温度が400℃よりも低い光源でも、フレオンを検出できる。また最高温度を低くすることは、消費電力を小さくし、かつヒータの熱的劣化を小さくする上で有効である。
(【0011】以降は省略されています)

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