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公開番号2025119583
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-14
出願番号2025005452
出願日2025-01-15
発明の名称陰圧ステント送達システムおよび関連する方法
出願人朝日インテック株式会社
代理人個人
主分類A61F 2/95 20130101AFI20250806BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】患者の血管系から血栓を除去するためのステント送達システムおよび方法に関する。
【解決手段】第の1ガイドチューブは患者の血管系を通して前進され得る。カバードステントが圧縮状態にあるときにカバードステントを拡張状態へと付勢するように構成されたフレームを備え、圧縮状態から拡張状態に半径方向に拡張可能なカバードステントは、カバードステントのルーメン内が減圧されている状態で第1のガイドチューブを通って前進され得る。カバードステントは、第1のガイドチューブを通して前進させた後、少なくとも、カバードステントの少なくとも一部が第1のガイドチューブの遠位端の遠位に配置されるようにカバードステントを第1のガイドチューブに対して位置決めし、カバードステントのルーメン内の圧力を上昇させることによって、圧縮状態から拡張状態に拡張され得る。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ステント送達システムであって、
圧縮状態から拡張状態へ拡張可能なカバードステントであって、
前記カバードステントが前記圧縮状態にあるときに前記カバードステントを前記拡張状態へと付勢するように構成されているフレームと、
前記フレームに連結された気体不透過性膜と、
前記気体不透過性膜によって囲まれたルーメンと、を備え、
前記カバードステントの近位端と遠位端との間に延びる長手方向軸に対して垂直に測定される前記ルーメンの最大横断寸法は、前記カバードステントが前記圧縮状態にあるときよりも前記カバードステントが前記拡張状態にあるときの方が大きい、カバードステントと、
送達補助チューブであって、
前記送達補助チューブの遠位端と、前記送達補助チューブの外壁を貫通する複数の開口部と、を備え、前記送達補助チューブの前記遠位部が前記カバードステントの前記ルーメン内に配置されるように構成されている、遠位部と、
前記送達補助チューブの近位端から前記送達補助チューブの前記遠位部まで延び、前記開口部と流体連通しているルーメンと、を備える、送達補助チューブと、
を備えるステント送達システム。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
前記送達補助チューブの前記遠位部の前記開口部は、前記送達補助チューブの前記近位端と前記遠位端との間に延びる長手方向軸に対して実質的に垂直な周方向にそれぞれ延びる複数のスリットを備える、請求項1に記載のステント送達システム。
【請求項3】
前記送達補助チューブの前記遠位部内において、前記送達補助チューブの前記外壁は、
前記周方向にそれぞれ延びる複数の周方向セグメントと、
2つの前記周方向セグメントの間を、前記送達補助チューブの前記近位端と前記遠位端との間に延びる前記長手方向軸に実質的に平行な軸方向にそれぞれ延びる複数の軸方向セグメントであって、複数の第1の軸方向セグメント、複数の第2の軸方向セグメント、複数の第3の軸方向セグメント、および複数の第4の軸方向セグメントを含む、複数の軸方向セグメントと、を含み、
前記送達補助チューブの前記近位端と前記遠位端との間に延びる長手方向軸を中心とする角度間隔は、
前記第1の軸方向セグメントのそれぞれと前記第2の軸方向セグメントのそれぞれの間が180°であり、
前記第3の軸方向セグメントのそれぞれと前記第4の軸方向セグメントのそれぞれとの間が約180°であり、
前記第1の軸方向セグメントのそれぞれと前記第3および第4の軸方向セグメントのそれぞれとの間が約90°であり、
前記スリットは、複数の第1のスリット対と複数の第2のスリット対とを含み、
前記第1のスリット対のそれぞれについて、2つの前記周方向セグメント、1つの前記第1の軸方向セグメント、および1つの前記第2の軸方向セグメントが、前記第1のスリット対の各スリットを画定し、
前記第2のスリット対のそれぞれについて、2つの前記周方向セグメント、1つの前記第3の軸方向セグメント、および1つの前記第4の軸方向セグメントが、前記第2のスリット対の各スリットを画定し、
前記軸方向に見た場合、前記第1のスリット対のそれぞれが少なくとも1つの前記第2のスリット対に隣接している、請求項2に記載のステント送達システム。
【請求項4】
前記開口部の合計面積は、前記気体不透過性膜の内面の表面積の少なくとも40%である、請求項3に記載のステント送達システム。
【請求項5】
前記送達補助チューブの前記遠位端は、閉じられている、請求項4に記載のステント送達システム。
【請求項6】
前記送達補助チューブの前記ルーメンは、前記前記送達補助チューブの第1のルーメンであり、
前記送達補助チューブは、前記送達補助チューブの前記遠位端が孔を含むように、前記送達補助チューブの近位端から前記送達補助チューブの遠位端まで延びる第2のルーメンを備え、
前記第1のルーメンが前記第2のルーメンを囲んでいる、請求項4に記載のステント送達システム。
【請求項7】
前記カバードステントの前記近位端に連結された吸引チューブを備え、
前記送達補助チューブが前記吸引チューブのルーメン内を軸方向に移動するように構成されている、請求項6に記載のステント送達システム。
【請求項8】
前記送達補助チューブは、ニチノールを含む、請求項7に記載のステント送達システム。
【請求項9】
前記送達補助チューブの前記遠位部は、前記カバードステントの前記ルーメン内に配置され、
前記送達補助チューブの前記近位端は、陰圧源が前記送達補助チューブの前記ルーメンと流体連通状態になるように、前記陰圧源に連結されている、請求項8に記載のステント送達システム。
【請求項10】
前記フレームは、前記カバードステントが前記圧縮状態にあり、表面が前記カバードステントを囲んでいるときに、前記カバードステントが前記表面に及ぼす圧力が少なくとも85キロパスカル(kPa)となる力で、前記カバードステントを拡張状態へ付勢するように構成されている、請求項9に記載のステント送達システム。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に、患者の血管系から血栓を除去するためのステント送達システムおよび方法に関する。
(関連出願の相互参照)
本出願は、2024年2月1日に出願された米国仮特許出願第63/627,915号に対する優先権を主張する非仮出願であり、その内容全体が参照によって本明細書に援用される。
続きを表示(約 3,900 文字)【背景技術】
【0002】
血栓(血餅ともいう)は、血管を通る血流を遮断し、それによって組織から血液と酸素を奪い、組織に損傷を引き起こす可能性がある。血栓は脳卒中の主たる原因であり、長期障害や死亡のリスクを軽減するために迅速な治療が必要である。
【0003】
血栓摘出術は、脳卒中を治療するための一般的な処置である。血栓摘出術では、ガイドカテーテルを患者の鼠径部から血管系に挿入し、血栓に向けて前進させる。次いで、ステントリトリーバをガイドカテーテルに通し、血栓を絡めて捕捉することができる。血栓を捕捉すれば、ステントリトリーバとカテーテルを取り除いて脳への血流を回復させることができる。あるいは、小口径の吸引カテーテルをガイドカテーテルに通すことができ、カテーテルの遠位端が血栓に達したときにカテーテルの近位端で陰圧をかけることで血栓を吸引カテーテルの口に引き付けて除去することができる。過去10年間で血栓摘出術は脳卒中治療の成功率を向上させ、処置の約85%で再疎通を達成している。
【0004】
しかし、本発明者は、すべての血栓摘出術における再疎通の成功を妨げてきた、あるいは少なくとも血栓摘出術の成功を難しくしてきた、多くの課題を認識している。血栓摘出術には、血栓の除去に血管系内でのステント拡張を利用するものがある。例えば、ステントリトリーバは、血栓に機械的に係合して適切に血栓を捕捉するために、半径方向の拡張が必要な場合がある。また、血栓摘出術が血栓の吸引に依存する場合は拡張可能なカバードステントが有益であり得る。これは、脳卒中の場合、吸引カテーテルが血栓のある血管系(一般に内頸動脈または中大脳動脈(例えばそのM1部))にアクセスできる必要があるため、通常、吸引カテーテルは比較的細く、直径が血管径の50%未満だからである。そのような細い吸引カテーテルは、血管に広がっている脳卒中を誘発する血栓を引き込めない場合がある。その結果、細い吸引カテーテルを用いた血栓除去は、真空源によってカテーテルのルーメンを通して血栓を引き出すのではなく、血栓の大部分がルーメンの外側に出ている状態で吸引カテーテルを後退させることによって行われることが多い。露出した血栓は、カテーテル抜去中に脱離するリスクがあり、再疎通の失敗につながる可能性がある。この課題に対処するために、拡張可能なカバードステントを使用して、ステントを小径のシースを通して血栓まで進め、ステントの遠位部が動脈壁まで半径方向に拡張するようにステントをシースから遠位側に展開するという試みがなされている。このようにして、ステントは、その拡張された口を通して血栓を引き込むことができる。そのようなデバイスの一例が、Anaconda Biomed S.L.社のANCD Advanced Thrombectomy Systemである。
【0005】
ステントの拡張はバルーンカテーテルを使用して行われることがある。バルーンカテーテルでは、ステントは、通常、ステンレス鋼を含むフレームを有し、圧縮状態である間に標的血管に送達され、その後、バルーンカテーテルを使用して拡張される。これによって、ステントの弾性域を超えてステントを変形させて、ステントを塑性的かつ恒久的に拡張状態に変形させることができる。これは、永久変形するまで十分にステントを拡張させることができる程度に血管径が大きいことを前提とするもので、血管が十分に大きくないと、バルーンカテーテルがステントの永久拡張をうまく引き起こせないことがある。血管径のばらつきを考慮すると、このことは問題となり得る。
【0006】
自己拡張型ステントは、バルーンカテーテルの課題の一部を克服する可能性を持つ。自己拡張型ステントは、ステントが圧縮状態にあるときにステントをその拡張状態へと付勢できる、ニチノールなどの超弾性の形状記憶合金を含むフレームを備えることができる。自己拡張型ステントを血栓まで送達するために、ステントは圧縮されてシースを通して血管系内を進められる。自己拡張型ステントは、シースから展開されると、封止を生成するのに十分な力で血管壁まで自己拡張し、それによって血栓がステント内に吸引され得る。この自己拡張によってステントは様々な太さの血管で使用となるが、ステントの半径方向外向きの付勢により、ステントとステントを通すシースとの間に摩擦が生じることがあり、その結果、血管系内のステントの前進が妨げられる可能性がある。自己拡張型ステントを血管系を通して前進させる前に、例えば、液体窒素で冷却することで、ステントのフレームによって生成される半径方向外向きの付勢力を減少させることができ、これに起因する摩擦を緩和することができるが、ステントを血管系を通して前進させると、より高い体温のためにステントが加熱され、その結果、ステントのフレームの形状記憶合金のために、ステントを半径方向外向きにその拡張状態へと付勢する力が増大する。ステントの温度が比較的速く上昇し、自己拡張型ステントが血管系の最も蛇行した部分に達する前に体温に達することがあるため、前進前の冷却を施しても、摩擦によって血栓へのステントの前進が依然として妨げられる可能性がある。このため、現行のシステムにおける自己拡張型カバードステントは、通常、吸引によって血栓を直接捕捉することはない。その代わり、自己拡張型カバードステントは、通常、保護デバイスとして作用し、ステントリトリーバなどの別の機構が自己拡張型ステントの先まで進められ、血栓を捕捉し、この血栓を自己拡張型ステントまで後退させて除去する。
【発明の概要】
【0007】
これらの課題に対処するために、本発明のステント送達システムのいくつかは、気体不透過性膜と、カバードステントが圧縮状態にあるときにカバードステントを拡張状態へと付勢するように構成されたフレームとを有するカバードステントのルーメン内の圧力を低下させるように構成され得る。カバードステントのルーメン内の圧力は、患者の血管系を通してカバードステントを前進させる前に低下させられ得る。この減圧により、カバードステントの膜を横切る圧力差が生じてカバードステントが半径方向内向きに圧縮状態へ付勢され、カバードステントのフレームによって生じる半径方向外向きの力に対抗することができる。これにより、カバードステントと、ステントが圧縮状態にあるときに患者の血管系を通って前進する際にステントが通り過ぎる(例えば1つ以上のチューブの)表面(複数可)との間の摩擦を低減することができ、結果として、血栓へのステントの前進を容易にすることができる。したがって、カバードステントは、より容易に血栓に到達することができる。ここで、カバードステントは、少なくとも、カバードステントが通された任意のチューブ(複数可)の遠位にカバードステントの少なくとも一部を位置させ、カバードステントのルーメン内の圧力を上昇させることによって、血栓引き込みのためにフレームがカバードステントを半径方向外向きに拡張状態へと付勢できるように展開され得る。
【0008】
カバードステントのルーメン内の圧力は、例えば、カバードステントが圧縮状態にあるときにカバードステントのルーメン内に配置されるように構成され得る遠位部を有する送達補助チューブを使用して低下させることができる。送達補助チューブの遠位部は、送達補助チューブの外壁を貫通する複数の開口部を備えることができ、送達補助チューブは、送達補助チューブの近位端から送達補助チューブの遠位部まで延びるルーメンを含むことができる。その結果、送達補助チューブの近位端で圧力を低下させることにより、気体が送達補助チューブの遠位部から近位端へそのルーメンを通って流れ、その結果、遠位部内の圧力を低下させ得る。遠位部がカバードステントのルーメン内に配置されているとき、この減圧は、遠位部の開口部を介してカバードステントのルーメンに伝達され得る。その結果、カバードステントが遠位部の周囲で半径方向内向きに引き寄せられる。カバードステントの気体不透過性膜は、カバードステントが患者の血管系を通って前進する際に圧力低下を維持するために送達補助チューブの遠位部の開口部を封止し得る。
【0009】
他の実施形態において、カバードステントのルーメン内の圧力は、プッシャと、プッシャに連結された順応性ビード(compliant bead)とを使用して低下させ得る。順応性ビードはカバードステントのルーメン内に配置可能であり、カバードステントが圧縮状態にあるとき、気体がカバードステントのルーメン内で順応性ビードを越えて近位側に流れることができないように、カバードステントの遠位部内でカバードステントの内面と封止を形成し得る。そのようなシールにより、カバードステントの近位端に連結された吸引チューブの近位端など、カバードステントの近位側で圧力を低下させることができ、カバードステントのルーメンからガスを排出し、その結果、ルーメン内の圧力が低下させ、それによってカバードステントを半径方向内向きに圧縮状態へと付勢し、患者の血管系を通したカバードステントの前進を容易にする。
【0010】
上記および他の実施形態に関連する詳細の一部を以下に説明する。
(【0011】以降は省略されています)

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