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公開番号
2025119783
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-08-15
出願番号
2024014777
出願日
2024-02-02
発明の名称
ヘッジホッグタンパク質の製造方法
出願人
三菱ケミカル株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C12N
15/12 20060101AFI20250807BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】
高活性でアニマルフリーのヘッジホッグタンパク質を製造する方法を提供すること。
【解決手段】
ヘッジホッグタンパク質及びアシル転移酵素をそれぞれコードする遺伝子を非動物細胞の小胞体で共発現させることを特徴とする、ヘッジホッグタンパク質の製造方法、前記方法で使用される発現ベクター又は発現ベクターセットなど。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
ヘッジホッグタンパク質及びアシル転移酵素をそれぞれコードする遺伝子を非動物細胞の小胞体で共発現させることを特徴とする、ヘッジホッグタンパク質の製造方法。
続きを表示(約 750 文字)
【請求項2】
ヘッジホッグが、ソニック・ヘッジホッグ、インディアン・ヘッジホッグ、及びデザート・ヘッジホッグから選ばれるいずれかである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
アシル転移酵素が、ヘッジホッグアシル転移酵素である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
得られるヘッジホッグタンパク質がN末端にアシル基を有する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
非動物細胞が植物細胞である、請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
植物細胞がタバコ細胞である、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
小胞体移行シグナル配列を有するヘッジホッグタンパク質をコードする遺伝子と、小胞体移行シグナル配列を有するアシル転移酵素をコードする遺伝子とを含む発現ベクター、又は
小胞体移行シグナル配列を有するヘッジホッグタンパク質をコードする遺伝子を含む発現ベクターと、小胞体移行シグナル配列を有するアシル転移酵素をコードする遺伝子を含む発現ベクターを含む、発現ベクターセット。
【請求項8】
ヘッジホッグが、ソニック・ヘッジホッグ、インディアン・ヘッジホッグ、及びデザート・ヘッジホッグから選ばれるいずれかである、請求項7に記載の発現ベクター又は発現ベクターセット。
【請求項9】
アシル転移酵素が、ヘッジホッグアシル転移酵素である、請求項7に記載の発現ベクター又は発現ベクターセット。
【請求項10】
非動物細胞が植物細胞である、請求項7~9のいずれかに記載の発現ベクター又は発現ベクターセット。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、非動物細胞におけるヘッジホッグタンパク質の製造方法、及びその利用に関する。より詳細には、ヘッジホッグタンパク質とアシル転移酵素をそれぞれコードする遺伝子を非動物細胞の小胞体で共発現させることを特徴とする、ヘッジホッグタンパク質の製造方法、及びその利用に関する。
続きを表示(約 4,500 文字)
【背景技術】
【0002】
ヘッジホッグシグナル伝達経路は、生体における形態形成と細胞増殖を制御する経路である。ヘッジホッグタンパク質はこのシグナル伝達経路のリガンドであり、哺乳動物ではソニック・ヘッジホッグ、インディアン・ヘッジホッグ、デザート・ヘッジホッグの3種類のホモログが知られている。
【0003】
ヘッジホッグタンパク質(HH)は前駆体タンパク質として発現された後、C末端側の自己切断が起こり、生成したN末端側断片のN末端とC末端がそれぞれパルミトイル基とコレステロールで修飾され、成熟ヘッジホッグタンパク質として分泌される。ヘッジホッグの活性には、このN末端のパルミトイル化が重要であることが知られている。ソニックヘッジホッグ(SHH)のパルミトイル化を触媒するアシル転移酵素としてHhatが見出されているが、SHHとHhatは小胞体とゴルジ体に局在することが報告されている(非特許文献1)。
【0004】
大腸菌などの細菌でSHHを発現させる場合、N末端のパルミトイル修飾が起きないため、IleやValの疎水性アミノ酸をN末端に導入しているが、パルミトイル修飾されたSHHほどの活性は得られない。昆虫細胞や哺乳動物細胞でSHHを発現させた場合には、パルミトイル修飾された高活性のSHHが得られるが(特許文献1)、得られるSHHはアニマルフリーではないため安全性の問題がある。
【0005】
発明者らは、これまで植物細胞によるヘッジホッグタンパク質の発現を特許出願に記載している(特許文献2)。しかし、この出願はシグナルペプチドの切断不良に関するもので、ヘッジホッグタンパク質のパルミトイル化とは無関係である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
WO1999/028343(特表2001-525336)
特開2023-136613
【非特許文献】
【0007】
Buglino and Resh, THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY VOL. 283, NO. 32, pp. 22076-22088, August 8, 2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、高活性でアニマルフリーのヘッジホッグタンパク質を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者は、アシル転移酵素とヘッジホッグタンパク質をそれぞれコードする遺伝子を植物細胞で共発現させることにより、N末端がアシル化されたヘッジホッグタンパク質を製造することを試みた。植物細胞では、脂質修飾に関わる酵素は葉緑体に存在する。しかし、葉緑体で組換えタンパク質を発現させると光合成が著しく阻害されるため、植物体が壊死を起こすことが報告されていた( FEBS Journal 274 (2007) 5749-5758)。発明者らはヘッジホッグタンパク質とアシル転移酵素をそれぞれコードする遺伝子を小胞体で共発現させることにより、非動物細胞において細胞の壊死を招くことなく、高活性のヘッジホッグタンパク質を得ることに成功した。
【0010】
本発明は、上記知見に基づくものであり、以下の[1]~[21]に関する。
[1] ヘッジホッグタンパク質及びアシル転移酵素をそれぞれコードする遺伝子を非動物細胞の小胞体で共発現させることを特徴とする、ヘッジホッグタンパク質の製造方法。
[2] ヘッジホッグが、ソニック・ヘッジホッグ、インディアン・ヘッジホッグ、及びデザート・ヘッジホッグから選ばれるいずれかである、[1]~[5]のいずれかに記載の製造方法。
[3] アシル転移酵素が、ヘッジホッグアシル転移酵素である、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4] 得られるヘッジホッグタンパク質がN末端にアシル基、好ましくはパルミトイル基を有する、[1]~[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5] 非動物細胞が植物細胞である、[1]~[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6] 植物細胞がタバコ細胞である、[5]に記載の製造方法。
[7] 小胞体移行シグナル配列を有するヘッジホッグタンパク質をコードする遺伝子と、小胞体移行シグナル配列を有するアシル転移酵素をコードする遺伝子とを含む発現ベクター(例えば、前記ヘッジホッグタンパク質をコードする遺伝子と前記アシル転移酵素をコードする遺伝子は、IRES又は2Aを介して連結されている)、又は
小胞体移行シグナル配列を有するヘッジホッグタンパク質をコードする遺伝子を含む発現ベクターと、小胞体移行シグナル配列を有するアシル転移酵素をコードする遺伝子を含む発現ベクターを含む、発現ベクターセット。
[8] ヘッジホッグが、ソニック・ヘッジホッグ、インディアン・ヘッジホッグ、及びデザート・ヘッジホッグから選ばれるいずれかである、[7]に記載の発現ベクター又は発現ベクターセット。
[9] アシル転移酵素が、ヘッジホッグアシル転移酵素である、[7]又は[8]に記載の発現ベクター又は発現ベクターセット。
[10] 非動物細胞が植物細胞である、[7]~[9]のいずれかに記載の発現ベクター又は発現ベクターセット。
[11] 小胞体移行シグナル配列が、宿主細胞である非動物細胞由来の小胞体移行シグナル配列(例えば、植物細胞の場合、イネαアミラーゼ由来シグナルペプチド、タバコエクステンシン由来シグナルペプチド、タバコPR1タンパク質由来シグナルペプチド、タバコPhylloplanin由来シグナルペプチド、ダイコンDefensin-like protein 2由来シグナルペプチド、及びシロイヌナズナキチナーゼ由来シグナルペプチドなど)である、[7]~[10]のいずれかに記載の発現ベクター又は発現ベクターセット。
[12] ヘッジホッグタンパク質の遺伝子が、以下の1)又は2)のタンパク質をコードするポリヌクレオチドである、[7]~[11]のいずれかに記載の発現ベクター又は発現ベクターセット:
1)配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質、
2)配列番号1に示されるアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質であって、ヘッジホッグタンパク質として機能するタンパク質。
[13] ヘッジホッグタンパク質の遺伝子が、以下の1)~3)のいずれかのポリヌクレオチドである、[7]~[11]のいずれかに記載の発現ベクター又は発現ベクターセット:
1)配列番号2に示される塩基配列を有するポリヌクレオチド、
2)配列番号2に示される塩基配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の配列同一性を有する塩基配列を有するポリヌクレオチドであって、ヘッジホッグタンパク質として機能するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
3)配列番号2に示される塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、ヘッジホッグタンパク質として機能するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。(ストリンジェントな条件は明細書内に記載したとおり)
[14] アシル転移酵素(小胞体移行シグナル配列含む)の遺伝子が、以下の1)又は2)のタンパク質をコードするポリヌクレオチドである、[7]~[13]のいずれかに記載の発現ベクター又は発現ベクターセット:
1)配列番号3に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質、
2)配列番号3に示されるアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質であって、アシル転移酵素として機能するタンパク質。
[15] アシル転移酵素(小胞体移行シグナル配列含む)の遺伝子が、以下の1)~3)のいずれかのポリヌクレオチドである、[7]~[13]のいずれかに記載の発現ベクター又は発現ベクターセット:
1)配列番号4に示される塩基配列を有するポリヌクレオチド、
2)配列番号4に示される塩基配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の配列同一性を有する塩基配列を有するポリヌクレオチドであって、アシル転移酵素として機能するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
3)配列番号4に示される塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、アシル転移酵素として機能するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。(ストリンジェントな条件は上記したとおり)
[16] ヘッジホッグタンパク質が、以下の1)又は2)のタンパク質である、[1]~[6]のいずれかに記載の製造方法:
1)配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質、
2)配列番号1に示されるアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質であって、ヘッジホッグタンパク質として機能するタンパク質。
[17] アシル転移酵素(小胞体移行シグナル配列含む)が、以下の1)又は2)のタンパク質である、[1]~[6]及び[16]のいずれかに記載の製造方法:
1)配列番号3に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質、
2)配列番号3に示されるアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質であって、アシル転移酵素として機能するタンパク質。
[18] [7]~[15]のいずれかに記載の発現ベクター又は発現ベクターセットを用いて実施される、[1]~[6]のいずれかに記載の製造方法。
[19] [7]~[15]のいずれかに記載の発現ベクター又は発現ベクターセットを含む非動物細胞、好ましくは植物細胞。
[20] [1]~[6]、及び[16]~[19]のいずれかに記載の製造方法によって得られるヘッジホッグタンパク質を含むアニマルフリーの組成物。
[21] [1]~[6]、及び[16]~[19]のいずれかに記載の製造方法によって得られるヘッジホッグタンパク質を含むアニマルフリーの培地。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
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