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公開番号2025119889
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-15
出願番号2024014986
出願日2024-02-02
発明の名称面状アクチュエータ、これを用いた搬送装置、移動装置及び褥瘡予防装置、並びに製造方法
出願人国立大学法人東京科学大学,日本ゼオン株式会社
代理人個人
主分類F15B 15/10 20060101AFI20250807BHJP(流体圧アクチュエータ;水力学または空気力学一般)
要約【課題】移動速度が大きくかつ低製造コストの面状アクチュエータ、これを用いた搬送装置、移動装置及び褥瘡予防装置、並びに製造方法を提供する。
【解決手段】(A)に示す大気圧状態では、圧力室3-A(3-B、3-C、3-D)はY字形断面形状(偏平状態)となる。このときのY字形の一方の外辺つまり上側ウレタンシート1-1の幅w11及び内辺つまり上側ウレタンシート1-2の幅w12の和をL1とし、溶着端点E1、E2の距離をW1とする。(B)に示す正圧状態では、圧力室3-A(3-B、3-C、3-D)は円形断面形状となる。このときの半円周の長さは図3の(A)のL1となり、溶着端点E1、E2の距離をW2とすると、W2=L1/πなる関係が存在する。圧力室3-A(3-B、3-C、3-D)が大気圧状態から正圧状態へ変化すると、伸長幅Δxは次式で与えられる。Δx=W2-W1=L1/π-W1従って、推進力を大きくできる。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
第1の方向に延在し該第1の方向と異なる第2の方向に並列配置された3つ以上の圧力室を具備し、
前記各圧力室は、大気圧状態のときに前記第1の方向から見てY字形断面形状をなし、大気圧より大きい正圧状態のときに前記第1の方向から見て円形断面形状をなすようにし、
さらに、前記各圧力室を前記大気圧状態及び前記正圧状態に制御するための制御手段を具備する面状アクチュエータ。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
前記各圧力室は、
前記第1の方向に沿って設けられた第1の上側シート及び該第1の上側シートより幅狭の第2の上側シートと
前記第1の方向に沿って設けられた第1の下側シート及び該第1の下側シートより幅狭の第2の下側シートと
を具備し、
前記第1の上側シートの一端と前記第2の上側シートの一端とは第1の接続部において接続され、
前記第1の下側シートの一端と前記第2の下側シートの一端とは第2の接続部において接続され、
前記第1の上側シートの他端と前記第1の下側シートの他端とは第3の接続部において接続され、
前記第2の上側シートの他端と前記第2の下側シートの他端とは第4の接続部において接続された請求項1に記載の面状アクチュエータ。
【請求項3】
前記第1の上側シートの幅をw11とし、前記第2の上側シートの幅をw12とし、前記第1の下側シートの幅をw21とし、前記第2の下側シートの幅をw22とすれば、
w11=w21
w12=w22
である請求項2に記載の面状アクチュエータ。
【請求項4】
前記第1の上側シートの幅をw11とし、前記第2の上側シートの幅をw12とし、前記第1の下側シートの幅をw21とし、前記第2の下側シートの幅をw22とすれば、
w11/w12=w21/w22
である請求項2に記載の面状アクチュエータ。
【請求項5】
さらに、前記各圧力室内に設けられた弾性体を具備する請求項1に記載の面状アクチュエータ。
【請求項6】
さらに、第1のグループの前記各圧力室の一端側に接続された複数の第1のチューブと、
前記第1のグループと異なる第2のグループの前記各圧力室の一端側に接続された複数の第2のチューブと、
前記複数の第1のチューブを束ねる第1の弾性紐部材と、
前記複数の第2のチューブを束ねる第2の弾性紐部材と、
を具備し、
前記複数の第1のチューブと前記複数の第2のチューブとは前記面状アクチュエータの前記第1の方向に関して互いに反対側に位置する請求項1に記載の面状アクチュエータ。
【請求項7】
N(Nは3以上の自然数)個毎の前記圧力室によって(N+1)個の室グループを構成し、
前記制御手段は前記各室グループ毎に属する前記圧力室を大気圧状態及び大気圧より大きい正圧状態に制御するようにした請求項1に記載の面状アクチュエータ。
【請求項8】
前記各室グループに属する複数の前記圧力室の一端を1つのチューブで接続する請求項7に記載の面状アクチュエータ。
【請求項9】
隣接する前記各室グループのチューブを波状に交差させた請求項8に記載の面状アクチュエータ。
【請求項10】
前記チューブは前記圧力室を構成するシートによって挟まれている請求項8に記載の面状アクチュエータ。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は流体圧エネルギーにより進行波(後退波)を生成する面状アクチュエータ、これを用いた搬送装置、移動装置及び褥瘡予防装置、並びに製造方法に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
カタツムリやナメクジなどの腹足類は、シート状の腹足に進行波を生成して移動する。この腹足類の移動方法は様々な地面や狭隘環境に対応でき、環境を傷つけないなど多くの利点があることから、その動作原理を取り入れた面状アクチュエータが多数開発されている。特に、面状アクチュエータは流体圧駆動による柔軟かつ肉薄な構造を有するので、狭隘環境へ潜入するうえで優位である。たとえば、人体荷重下をはじめとする不定な形状の隙間において、接触対象を傷つけることなく推進できる性質は、高齢者の介護における褥瘡予防装置に大きく役立つと考えられる。
【0003】
図21は第1の従来の面状アクチュエータに示す斜視図である(参照:非特許文献1)。尚、図21の面状アクチュエータ100はいわゆる生成される進行波が横波型である。
【0004】
図21において、面状アクチュエータ100は、たとえば縦90mm、横130mm、高さ11mmで、Y方向に沿った上側圧力室(チャンバ)111-A-U、111-B-U、111-C-U、…、下側圧力室(チャンバ)111-A-L、111-B-L、111-C-L、…をX方向に並列して内部に形成したウレタンシート112と、ウレタンシート112上に設けられたウレタンスポンジ113とよりなる。この場合、上側111-A-U、111-B-U、111-C-U、…の外側のウレタンシート112の厚さd1及び下側圧力室111-B-L、111-C-L、111-A-Lの外側ウレタンシート112の厚さd1は、上側圧力室111-A-U、111-B-U、111-C-Uと、下側圧力室111-B-L、111-C-L、111-A-Lとの間の厚さd2より小さい。つまり、d1<d2である。尚、d1、d2、d1の3層構造は3枚の熱可塑性ウレタンシート及び耐熱性剥離シートたとえばクッキングシートをヒートプレス機を用いて溶着することによって得られる。
【0005】
図22は図21の面状アクチュエータの湾曲原理を説明するための図であって、図21の上側圧力室111-A-Uの近傍の拡大図である。
【0006】
図22においては、上側圧力室111-A-Uの上側のウレタンシート112の薄い部分112Tの厚さd1はたとえば0.3mmであり、他方、上側圧力室111ーAーUの下側のウレタンシート112の厚い部分112Dの厚さd1+d2は0.3+0.6=0.9mmである。尚、上側圧力室111ーAーUの溶着端部をE1、E2とする。
【0007】
図22の(A)に示すごとく、上側圧力室111-A-Uが無加圧(大気圧)状態では、上側圧力室111-A-Uは偏平状態となり、従って、ウレタンシート12の薄い部分112T及び厚い部分112Dは共に偏平状態となる。この結果、薄い部分112T及び厚い部分112D全体は水平となる。
【0008】
他方、図22の(B)に示すごとく、上側圧力室111-A-Uが加圧状態(大気圧より大きい正圧状態)では、上側圧力室111-A-Uは膨張状態となり、従って、ウレタンシート112の薄い部分112Tは上側圧力室111-A-Uの溶着端部E1、E2に対して上側に凸となり、同時に、ウレタンシート112の厚い部分112Dは上側圧力室111-A-Uの溶着端部E1、E2に対して下側に凸となる。このとき、溶着端部E1、E2外のウレタンシート112は溶着端部E1、E2間の薄い部分112Tよりも厚い部分112Dと強度的に一体となっているので、溶着端部E1、E2外のウレタンシート112と溶着端部E1、E2間の厚い部分112Dとは全体として薄い部分112T側へ屈曲して下側へ凸となる。このように、上側圧力室111-A-U、111-B-U、111-C-U、…近傍のウレタンシート112は上側に湾曲することになる。尚、下側圧力室111-C-L、111-A-L、111-B-L、…は下側に湾曲することになる。
【0009】
図23は図21の面状アクチュエータ100の動作を説明するための図である。図23においては、面状アクチュエータ100は床等に固定されて対象物Oを搬送するための搬送装置として作用する。
【0010】
始めに、図23の(A)のA相加圧を参照すると、圧力室111-A-U、111-A-L、111-B-U、111-B-L、111-C-U、111-C-Lを、それぞれ、加圧状態、非加圧状態、非加圧状態とする。この結果、圧力室111-A-U、111-A-Lが膨張し、圧力室111-B-U、111-B-L、111-C-U、111-C-Lは偏平となる横波型進行波の形成により、面状アクチュエータ100の押出力は増大する。この結果、圧力室111-A-U、111-A-L上の対象物Oはウレタンスポンジ13との接触圧により図中左側へ少し移動する。
(【0011】以降は省略されています)

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