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公開番号2025120217
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-15
出願番号2025091052,2022211659
出願日2025-05-30,2007-03-15
発明の名称補体のインヒビターによる発作性夜間血色素尿症患者の処置
出願人アレクシオン ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
代理人個人,個人
主分類A61K 39/395 20060101AFI20250807BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】補体のインヒビターによる発作性夜間血色素尿症患者の処置の提供。
【解決手段】エクリズマブ(終末補体活性化を阻害するC5に対するヒト化モノクローナル抗体)は、発作性夜間血色素尿症(PNH)患者の小さなコホートにおいて予備的な12週間のオープンラベル試験において活性を示した。本治験は、多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照国際共同第III相試験において、長期のエクリズマブによる治療が、脈管内溶血を低減させることができるか、ヘモグロビンレベルを安定させることができるか、輸血の必要性を低下させることができるか、及びクオリティオブライフを改善することができるかを検討したものである。エクリズマブは、脈管内溶血の減少により、ヘモグロビンレベルを安定させ、輸血の必要性を低下させ、及びPNH患者のクオリティオブライフを改善したことが見出された。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
本願明細書に記載の発明。

発明の詳細な説明【背景技術】
【0001】
発作性夜間血色素尿症(PNH)は、PIG-A
1,2
と称されるX連鎖遺伝子内に体細胞突然変異を有する造血幹細胞のクローン増殖により生じる後天性血液疾患である。PIG-Aの突然変異は、細胞表面への多くのタンパク質の結合に必要とされるグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーの合成における早期遮断をもたらす。その結果として、PNH血液細胞には、GPIアンカー型タンパク質の部分的な(II型)欠損又は完全な(III型)欠損がある。
続きを表示(約 2,800 文字)【0002】
脈管内溶血は、PNHの顕著な特徴であり、GPIアンカー型補体調節タンパク質CD59
3,4
の欠如の直接的な結果である。正常な状態においては、CD59は、細胞表面上の終末補体複合体(又は細胞膜傷害複合体と称される)の形成を遮断し、それによって赤血球の溶解と血小板活性化とを阻止する
5~8
。PNH患者における過度又は持続的な脈管内溶血は、貧血(ヘモグロビンの正常範囲は、男性の場合14~18g/dL並びに女性の場合12~16g/dLであり、低値の人が貧血と判断される)だけでなく、ヘモグロビン尿並びに血行中への赤血球含有物の放出に関連する臨床的な後遺症:疲労、血栓症、腹部疼痛、嚥下障害、勃起不全及び肺高血圧症の原因にもなる
9,10,2l,22
。実際、PNHにおいてクオリティオブライフが損なわれることは、貧血の程度に不相応である。多くのPNH患者は、適切な赤血球ヘモグロビンレベルを維持するために、輸血に依存している。脈管内溶血を効果的に低下させ、PNHに関連した臨床的羅病率を改善する治療は存在していない。
【0003】
エクリズマブは、終末補体タンパク質C5に対するヒト化モノクローナル抗体である
11
(非特許文献1)。11人のPNH患者における予備的な12週間のオープンラベルの臨床試験においては、エクリズマブが脈管内溶血と輸血の必要性とを低下させることが示された
12
(非特許文献2)。しかしながら、この非盲検試験には、対照群のない患者や、治験実施計画書に基づく輸血基準がない患者が含まれていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
Thomas TCら、Mol Immunol(1996)33;1389~401
Hillmen Pら、N Engl J Med(2004)350;552~9
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要旨)
本ピボタル第III相試験(発作性夜間血色素尿症においてエクリズマブを使用する、輸血の減少に対する有効性及び安全性に関する多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照臨床試験(TRIUMPH))によって、87人の輸血依存性のPNH患者のコホートにおける6ヵ月間の投与中におけるヘモグロビンレベルの安定性と輸血の必要性とに対するエクリズマブの効果が評価された。また、脈管内溶血の処置やクオリティオブライフについても評価された。これは、溶血をコントロールし、溶血による効果と貧血による効果とを区別するためのPNH患者集団の最初のプラセボ対照試験である。
【0006】
PNH患者に対するエクリズマブの投与によってクオリティオブライフの特定の態様が予想外に改善されるということがこの度見出された。更に、これらのクオリティオブライフの改善は、輸血とは無関係である。改善された態様としては、例えば、全体的な健康状態や、身体機能(physical functioning)、情緒機能(emotional functioning)、認知機能(cognitive functioning)、役割機能(role functioning)、社会的機能(social functioning)、疲労、疼痛、呼吸困難、食欲の喪失、不眠症が挙げられる。改善はまた、悪心及び嘔吐、下痢、便秘並びに経済的困難にも認められたが、統計学的有意性のレベルには達しなかった。投与された患者は投与を通して貧血のままであったため、これらの改善の全てが認められたことは予想外であった。なぜならば、その改善は、患者が貧血であることの結果であると考えられたからである。いかなる理論によっても束縛されることを望むものではないが、その症状の一部は、溶血と血流中へのヘモグロビンの放出とに、若しくは少なくとも部分的にそれらによるものと考えられ、単に患者が貧血であるということからは生じないと思われる。エクリズマブによる投与は、溶解量を減少させ、それにより血流中へのヘモグロビン放出を制限し、それによって、明らかに、投与を受けた患者のクオリティオブライフに改善が認められることになる。本明細書において示される結果によって、患者において溶血を減少させるいかなる治療も、該患者のクオリティオブライフを改善させることになるということが示される。
【0007】
特定の態様において、本出願は、発作性夜間血色素尿症を患う患者のクオリティオブライフの少なくとも一態様を改善するための方法であって、補体を阻害若しくはC5b-9の形成を阻害する化合物を、それを必要とする該患者に投与することを含む該方法を提供するものである。
【0008】
特定の態様において、本出願は、発作性夜間血色素尿症を患う患者のクオリティオブライフの少なくとも一態様を改善するための方法であって、脈管内溶血を阻害する化合物を、それを必要とする該患者に投与することを含む該方法を提供するものである。特定の実施形態においては、該方法によって該患者のLDHが30%を超えて低下する。
【0009】
特定の態様において、本出願は、貧血が少なくとも部分的に溶血に起因する貧血患者のクオリティオブライフの少なくとも一態様を改善するための方法であって、脈管内溶血を阻害する化合物を、それを必要とする該患者に投与することを含む該方法であって、該患者が貧血のままである、方法を提供するものである。特定の実施形態においては、該方法によって該患者のLDHが30%を超えて低下する。
【0010】
特定の態様において、本出願は、患者の健康調整平均余命(health-adjusted life expectancy)を延長する方法であって、C5b-9の形成を阻害する化合物を、それを必要とする該患者に投与することを含む方法を提供するものである。特定の実施形態においては、該患者は貧血である。特定の実施形態においては、該患者は、処置後に貧血のままである。特定の実施形態においては、該患者のヘモグロビンレベルは、i)男性の場合14g/dL未満、又はii)女性の場合12g/dL未満である。特定の実施形態においては、該患者のヘモグロビンレベルは、i)男性の場合13g/dL未満、又はii)女性の場合11g/dL未満である。特定の実施形態においては、該患者のヘモグロビンレベルは、i)男性の場合12g/dL未満、又はii)女性の場合10g/dL未満である。特定の実施形態においては、該患者は発作性夜間血色素尿症を患う。
(【0011】以降は省略されています)

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