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公開番号2025120786
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-18
出願番号2024015881
出願日2024-02-05
発明の名称燃料電池の状態診断装置および燃料電池システム
出願人株式会社アイシン
代理人弁理士法人アイテック国際特許事務所
主分類H01M 8/04 20160101AFI20250808BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】燃料電池スタックの燃料ガスの供給不足による故障予兆を高い精度で診断する。
【解決手段】燃料電池の状態診断装置は、発電中の燃料電池スタックから取り出されるDC電流またはDC電圧よりも小さい振幅のAC電流またはAC電圧の信号を燃料電池スタックに印加する信号発信部と、燃料電池スタックからの応答電圧または応答電流の一つまたは複数の高調波成分の和の基本波に対する割合または全高調波歪みを計算する信号解析部と、信号解析部の計算値の変化量に基づいて燃料電池スタックの少なくとも一部の燃料ガスの供給不足による該燃料電池スタックの故障予兆を診断する診断部と、を備える。信号発信部は、AC電流またはAC電圧の信号として、1Hz以下の周波数の信号を印加する。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
燃料ガスと酸化剤ガスとにより発電する燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックに燃料ガスを供給する燃料供給系と、前記燃料電池スタックに酸化剤ガスを供給する酸化剤供給系と、を備える燃料電池システムにおける前記燃料電池スタックの状態を診断する燃料電池の状態診断装置であって、
発電中の前記燃料電池スタックから取り出されるDC電流またはDC電圧よりも小さい振幅のAC電流またはAC電圧の信号を該燃料電池スタックに印加する信号発信部と、
前記燃料電池スタックからの応答電圧または応答電流の一つまたは複数の高調波成分の和の基本波に対する割合または全高調波歪みを計算する信号解析部と、
前記信号解析部の計算値の変化量に基づいて前記燃料電池スタックの少なくとも一部の燃料ガスの供給不足による該燃料電池スタックの故障予兆を診断する診断部と、
を備え、
前記信号発信部は、前記AC電流または前記AC電圧の信号として、1Hz以下の周波数の信号を印加する、
燃料電池の状態診断装置。
続きを表示(約 760 文字)【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池の状態診断装置であって、
前記信号発信部は、前記AC電流または前記AC電圧の信号として、0.5Hz以下の周波数の信号を印加する
燃料電池の状態診断装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の燃料電池の状態診断装置であって、
前記信号発信部は、前記AC電流または前記AC電圧の信号として、前記DC電流または前記DC電圧に対して1%以上の振幅の信号を印加する
燃料電池の状態診断装置。
【請求項4】
燃料ガスと酸化剤ガスとにより発電する燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックに燃料ガスを供給する燃料供給系と、
前記燃料電池スタックに酸化剤ガスを供給する酸化剤供給系と、
前記燃料電池スタックから取り出されるDC電流またはDC電圧よりも小さい振幅のAC電流またはAC電圧の信号を該燃料電池スタックに印加する信号発信部と、
前記燃料電池スタックからの応答電圧または応答電流の一つまたは複数の高調波成分の和の基本波に対する割合または全高調波歪みを計算する信号解析部と、
前記信号解析部の計算値の変化量に基づいて前記燃料電池スタックの少なくとも一部に対する燃料ガスの供給不足による該燃料電池スタックの故障予兆を診断する診断部と、
前記診断部により前記燃料電池スタックの故障予兆が診断されると、前記燃料ガスの供給量を増量または前記燃料電池スタックの発電出力を下げるように前記燃料供給系と前記酸化剤供給系とを制御する制御部と、
を備え、
前記信号発信部は、前記AC電流または前記AC電圧の信号として、1Hz以下の周波数の信号を印加する、
燃料電池システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本明細書は、燃料電池の状態診断装置および燃料電池システムについて開示する。
続きを表示(約 1,500 文字)【背景技術】
【0002】
従来、この種の燃料電池の状態診断装置としては、低周波電流または電圧信号を燃料電池スタックに加え、それによって得られる電圧または電流信号を測定して歪率thdを決定し、インピーダンス測定によって検出される膜抵抗に依存する項と歪率thdに依存する項との加重和を使用して指標THDAを決定し、指標THDAからスタックの膜の乾燥状態に関する状態を判定するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特表2015-517714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、燃料電池スタックに印加する低周波信号の周波数については何ら言及されていない。燃料電池スタックのセル全体または一部の燃料の供給不足による故障予兆を判定するにあたっては、燃料電池スタックに印加するAC電流またはAC電圧は、周波数が特定の周波数を外れると、故障の検知ができない場合がある。
【0005】
本開示は、燃料電池スタックの燃料ガスの供給不足による故障予兆を高い精度で診断することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の燃料電池の状態診断装置は、
燃料ガスと酸化剤ガスとにより発電する燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックに燃料ガスを供給する燃料供給系と、前記燃料電池スタックに酸化剤ガスを供給する酸化剤供給系と、を備える燃料電池システムにおける前記燃料電池スタックの状態を診断する燃料電池の状態診断装置であって、
発電中の前記燃料電池スタックから取り出されるDC電流またはDC電圧よりも小さいAC電流またはAC電圧の信号を該燃料電池スタックに印加する信号発信部と、
前記燃料電池スタックからの応答電圧または応答電流の一つまたは複数の高調波成分の和の基本波に対する割合または全高調波歪みを計算する信号解析部と、
前記信号解析部の計算値の変化量に基づいて前記燃料電池スタックの少なくとも一部の燃料ガスの供給不足による該燃料電池スタックの故障予兆を診断する診断部と、
を備え、
前記信号発信部は、前記AC電流または前記AC電圧の信号として、前記DC電流または前記DC電圧に対して1%以上の振幅で且つ1Hz以下の周波数の信号を印加することを要旨とする。
【0008】
本願の発明者らは、鋭意研究の結果、1Hz以下の周波数帯でAC電流またはAC電圧の信号を燃料電池スタックに印加すると、得られる応答電圧または応答電流から抽出される一つまたは複数の高調波成分の和の基本波に対する割合または全高調波歪みにおいて良好な燃料利用率依存性が現われることを見出した。燃料の供給不足と燃料利用率とは相関をもつから、全高調波歪み等に基づいて燃料電池スタックの燃料ガスの供給不足による故障予兆を高い精度で診断することができる。
【0009】
本開示の燃料電池システムは、本開示の燃料電池の状態診断装置を備え、前記診断部により前記燃料電池スタックの故障予兆が診断されると、前記燃料ガスの供給量を増量または前記燃料電池スタックの発電出力を下げるように前記燃料供給系と前記酸化剤供給系とを制御することを要旨とする。
【0010】
この本開示の燃料電池システムでは、本開示の燃料電池の状態診断装置と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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