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公開番号2025134382
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-17
出願番号2024032260
出願日2024-03-04
発明の名称流体機械
出願人株式会社豊田自動織機
代理人個人,個人
主分類F16C 35/073 20060101AFI20250909BHJP(機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段)
要約【課題】弾性部材の耐久性を向上できる流体機械を提供する。
【解決手段】水素循環ポンプ10において、第4軸受61の内輪62と回転軸17との間には、内輪62と回転軸17との間をシールするシールリング71が設けられている。シールリング71は、内輪62と回転軸17とに対し、回転軸17の径方向へ互いに離間させる方向に付勢力を付与している。シールリング71は、回転軸17に形成されている装着溝172に配置されている。装着溝172は、径方向の深さが漸次変化するように形成されている。シールリング71は、装着溝172の深さに応じて圧縮されている。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングに挿入されるとともに、軸受によって前記ハウジングに回転可能に支持される回転軸と、
前記回転軸の回転によって流体を吸入して吐出する作動部と、を備え、
前記ハウジングには、前記作動部を収容する作動室が画定されるとともに、前記軸受を支持する軸受支持部が設けられ、
前記軸受は、前記回転軸に隙間嵌めされる環状の内輪と、前記内輪よりも外周側に設けられるとともに、前記軸受支持部に支持される環状の外輪と、前記内輪と前記外輪との間に設けられる転動体と、を備える流体機械であって、
前記回転軸のうち、前記内輪と前記回転軸の径方向において重なる部分には、無端状の溝が形成されており、
前記溝には、前記内輪と前記回転軸との滑りを抑制するように前記径方向に圧縮され、且つ前記内輪と前記回転軸とを前記径方向に離間させる無端状の弾性部材が設けられ、
前記溝は、前記径方向の前記溝の深さが漸次変化するように形成され、前記弾性部材は、前記深さに応じて圧縮されていることを特徴とする流体機械。
続きを表示(約 310 文字)【請求項2】
前記溝は、
前記深さが最も浅いとともに、前記内輪に対して前記弾性部材を最も圧縮する溝浅部と、
前記深さが最も深いとともに、前記内輪に対して前記弾性部材を最も圧縮しない溝深部と、を有し、
前記深さは、前記溝浅部から前記溝深部にかけて漸次深くなり、
前記溝浅部は、前記回転軸の中心軸線を間に挟んで前記溝深部とは反対側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の流体機械。
【請求項3】
前記溝深部に設けられた前記弾性部材の前記径方向の厚さは、前記溝浅部の前記深さよりも大きく、前記溝深部の前記深さ以下であることを特徴とする請求項2に記載の流体機械。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、流体機械に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、回転軸としての駆動軸と転がり軸受の内輪との間に、弾性部材としての弾性リングを設けた流体機械が開示されている。流体機械は、電動モータを備えるとともに、電動モータにより駆動軸を回転させる。流体機械において、転がり軸受は、外輪と、内輪と、複数の転動体と、を備えている。外輪は、ハウジングとしてのケーシングに締まり嵌めで取り付けられている。内輪は、駆動軸に隙間嵌めにより取り付けられている。複数の転動体は、内輪と外輪との間に設けられている。弾性部材としての弾性リングは、駆動軸と内輪との間に設けられるとともに、駆動軸と内輪に弾性的に接触している。内輪は、弾性リングにより、駆動軸と一体となって回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2002-257057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、流体機械は、長時間に亘り動作することにより、内部が高温となる。この場合、弾性部材は、高温環境下において、回転軸と内輪とにより圧縮されることとなる。高温環境下において圧縮されることにより、弾性部材はへたりを伴って摩耗する。弾性部材が摩耗することにより、弾性部材により内輪及び回転軸に付与される摩擦力は低下する。この結果、回転軸は、内輪に対して滑る虞がある。回転軸が内輪に対して滑ることにより、回転軸及び内輪の各々は、摩耗する。当該摩耗は、流体機械の内部におけるクリアランスに悪影響を及ぼす。この結果、弾性部材の耐久性の向上が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための流体機械は、ハウジングと、前記ハウジングに挿入されるとともに、軸受によって前記ハウジングに回転可能に支持される回転軸と、前記回転軸の回転によって流体を吸入して吐出する作動部と、を備え、前記ハウジングには、前記作動部を収容する作動室が画定されるとともに、前記軸受を支持する軸受支持部が設けられ、前記軸受は、前記回転軸に隙間嵌めされる環状の内輪と、前記内輪よりも外周側に設けられるとともに、前記軸受支持部に支持される環状の外輪と、前記内輪と前記外輪との間に設けられる転動体と、を備える流体機械であって、前記回転軸のうち、前記内輪と前記回転軸の径方向において重なる部分には、無端状の溝が形成されており、前記溝には、前記内輪と前記回転軸との滑りを抑制するように前記径方向に圧縮され、且つ前記内輪と前記回転軸とを前記径方向に離間させる無端状の弾性部材が設けられ、前記溝は、前記径方向の前記溝の深さが漸次変化するように形成され、前記弾性部材は、前記深さに応じて圧縮されていることを要旨とする。
【0006】
弾性部材のうち、溝の深さが回転軸の回転方向に沿って浅くなる部分に収容されている部分は、内輪と回転軸による圧縮が強くなる。言い換えると、当該部分は、回転軸の径方向における厚さが薄くなる。また、弾性部材のうち、溝の深さが回転軸の回転方向に沿って深くなる部分に収容されている部分は、内輪と回転軸による圧縮が弱くなる。言い換えると、当該部分は、回転軸の径方向における厚さが厚くなる。
【0007】
例えば、流体機械を長時間動作させる場合、流体機械の内部は、動作の前と比べて高温となる。この場合、弾性部材は、流体機械の動作前と比べて高温である環境において、回転軸と内輪とにより圧縮されている。弾性部材は、動作前と比べて高温である環境において、回転軸と内輪とにより圧縮されることにより、へたりを伴って摩耗する。弾性部材のうち、大きく圧縮している部分は、その他の部分と比べて、より摩耗する。つまり、上記の溝に収容されている弾性部材においては、溝の深さが最も浅い部分で大きな摩耗が生じる。流体機械が動作している際、弾性部材は、溝が延在する方向に沿って、内輪との摩擦により若干移動する。すると、例えば、弾性部材のうち、当該移動の前において最も溝の深さが浅い部分に収容されていた部分は、当該移動前よりも深い部分に移動するため、回転軸及び内輪による圧縮が弱くなる。また、当該移動により、最も溝の深さが浅い部分に収容されることとなった弾性部材の部分は、当該移動の前よりも回転軸及び内輪により大きく圧縮される。
【0008】
つまり、上記の構成によれば、弾性部材のうち、溝の深さが最も浅い部分に収容されている部分により、回転軸が内輪に対して滑ることを抑制しつつ、回転軸及び内輪の各々との摩擦により摩耗している。さらに、弾性部材のうち、溝の深さが最も浅い部分に収容される部分は、回転軸の回転に伴って、回転方向に沿って徐々に変化する。この結果、溝の深さが回転軸の全周に亘って一様である場合と比べて、流体機械は、弾性部材の耐久性を向上できる。
【0009】
上記流体機械において、前記溝は、前記深さが最も浅いとともに、前記内輪に対して前記弾性部材を最も圧縮する溝浅部と、前記深さが最も深いとともに、前記内輪に対して前記弾性部材を最も圧縮しない溝深部と、を有し、前記深さは、前記溝浅部から前記溝深部にかけて漸次深くなり、前記溝浅部は、前記回転軸の中心軸線を間に挟んで前記溝深部とは反対側に設けられていてもよい。
【0010】
これによれば、弾性部材は、回転軸の径方向における厚さが、回転軸の回転方向における全周において溝浅部の深さとなるまで、溝浅部に収容されている部分により、回転軸と内輪との各々に摩擦力を付与できる。回転軸による回転方向への移動が開始する前において、弾性部材のうち回転軸の径方向に最も厚い部分は、溝深部に収容されている部分である。回転軸の径方向における弾性部材の厚さが、回転軸の回転方向における全周において溝浅部の深さとなるまでに要する時間は、溝浅部と溝深部との回転方向における距離が離れている程、長くなる。したがって、流体機械は、例えば溝深部と溝浅部とが隣接する場合と比べて、弾性部材が回転方向の全周に亘って摩耗するまでの時間を長くできる。この結果、流体機械は、弾性部材の耐久性を向上できる。
(【0011】以降は省略されています)

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