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公開番号2025139045
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-26
出願番号2024037763
出願日2024-03-12
発明の名称複合粉体、疑似触媒層、及び、燃料電池の製造方法
出願人株式会社豊田中央研究所
代理人個人,個人
主分類H01M 4/86 20060101AFI20250918BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】触媒層のドライ成膜に用いることが可能な流動性の高い複合粉体、この複合粉体を含む疑似触媒層、及び、この複合粉体を用いた燃料電池の製造方法を提供すること。
【解決手段】複合粉体は、電極触媒と、前記電極触媒の表面の全部又は一部を被覆する被膜とを備えている。前記電極触媒は、担体と、前記担体表面に担持された触媒粒子とを備えている。前記被膜は、アイオノマと糖質の混合物からなる膜、又は、前記アイオノマと前記糖質を含む多層膜からなる。疑似触媒層は、このような複合粉体からなる。燃料電池の製造方法は、電解質膜の少なくとも一方の表面に複合粉体をドライ成膜することにより、疑似膜電極接合体(前記糖質を含む膜電極接合体)を得る工程と、前記疑似膜電極接合体を用いて、疑似燃料電池(前記糖質を含む燃料電池)を構成する工程と、前記疑似燃料電池から前記糖質を除去し、燃料電池を得る工程とを備えている。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
電極触媒と、
前記電極触媒の表面の全部又は一部を被覆する被膜と
を備え、
前記電極触媒は、担体と、前記担体表面に担持された触媒粒子とを備え、
前記被膜は、アイオノマと糖質の混合物からなる膜、又は、前記アイオノマと前記糖質を含む多層膜からなる
複合粉体。
続きを表示(約 830 文字)【請求項2】
前記担体は、カーボン粒子からなる請求項1に記載の複合粉体。
【請求項3】
前記糖質は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、トレハロース、グリセルアルデヒド、エリトロース、トレオース、リボース、リキソース、キシロース、アラビノース、アロース、タロース、グロース、アルトロース、マンノース、イドース、ジヒドロキシアセトン、エリトルロース、キシルロース、リブロース、プシコース、ソルボース、タガトース、グリセルアルデヒド、フコース、ショ糖(スクロース)、ラクトース、ラクツロース、マンニトール、ガラクトスクロース、トレハロサミン、マルチトース、マルトース、セロビオン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、及び、スクラロースからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む請求項1に記載の複合粉体。
【請求項4】
前記担体の質量(S)に対する前記糖質の質量(I
1
)の比(I
1
/S)が0.2以上4.0以下である請求項1に記載の複合粉体。
【請求項5】
前記担体の質量(S)に対する前記アイオノマの質量(I
2
)の比(I
2
/S)が0.1以上1.5以下である請求項1に記載の複合粉体。
【請求項6】
平均粒径が0.5μm以上20.0μm以下である請求項1に記載の複合粉体。
【請求項7】
請求項1に記載の複合粉体を含む疑似触媒層。
【請求項8】
電解質膜の少なくとも一方の表面に請求項1に記載の複合粉体をドライ成膜することにより、疑似膜電極接合体(前記糖質を含む膜電極接合体)を得る工程と、
前記疑似膜電極接合体を用いて、疑似燃料電池(前記糖質を含む燃料電池)を構成する工程と、
前記疑似燃料電池から前記糖質を除去し、燃料電池を得る工程と
を備えた燃料電池の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、複合粉体、疑似触媒層、及び、燃料電池の製造方法に関し、さらに詳しくは、平均粒径が小さいにもかかわらず流動性の高い複合粉体、このような複合粉体を含む疑似触媒層、及び、このような複合粉体を用いた燃料電池の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
固体高分子形燃料電池は、電解質膜の両面に触媒層が接合された膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly,MEA)を備えている。触媒層は、電極反応の反応場となる部分であり、一般に、白金等の触媒粒子を担持したカーボンと固体高分子電解質(触媒層アイオノマ)との複合体からなる。通常、触媒層の外側には、さらにガス拡散層が配置される。ガス拡散層は、触媒層に反応ガス及び電子を供給するためのものであり、カーボンペーパー、カーボンクロス等が用いられる。
さらに、ガス拡散層の外側には、ガス流路を備えたセパレータが配置される。固体高分子形燃料電池は、一般に、このようなMEA、ガス拡散層、及びセパレータからなる単セルが複数個積層された構造(スタック構造)を備えている。
【0003】
触媒層の製造方法として、触媒インクを用いた方法(ウェット成膜法)が知られている。「ウェット成膜法」とは、溶媒に電極触媒及びアイオノマを分散させて触媒インクとし、触媒インクを基材表面に塗布し、塗膜から溶媒を揮発させる方法をいう。しかしながら、ウェット成膜法は、溶媒の揮発工程が必要であるため、触媒層の製造に長時間を要し、あるいは、揮発した溶媒により作業環境が悪化するおそれがある。そのため、触媒インクを用いない方法(ドライ成膜法)を用いて触媒層を製造する方法が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、
粉体を解砕及び/又は粉砕し、前記粉体を含むエアロゾルを発生させ、前記エアロゾルを基材の塗工面に向かって吐出するためのエアロゾル発生装置と、
前記エアロゾルに含まれる前記粉体を誘導帯電させ、誘導帯電させた前記粉体を静電場により前記塗工面に塗着させ、塗膜を得るための静電場印加装置と
を備えた粉体塗工装置が開示されている。
同文献には、このような装置を用いると、凝集体のない均一な塗面を備えた塗膜が得られる点が記載されている。
【0005】
特許文献2には、
基材(電解質膜又はガス拡散層)の上方に離間してスクリーンを配置し、
基材とスクリーンとの間に電圧を印加し、
電極粉体をフィードローラーに付着させ、
電極粉体を付着させたフィードローラーをスクリーンに押し付けながら転動させる
触媒層の形成方法が開示されている。
同文献には、電極粉体を静電スクリーン印刷する場合において、電極粉体に対してさらにフィードローラーによる押し出し力を印加すると、転写パターンの厚みの均一性が高くなり、転写パターンの輪郭の崩れも生じない点が記載されている。
【0006】
特許文献3には、ドライ成膜用の装置ではないが、
粉体が通過可能な通孔が形成された底部を有するホッパ箱と、
前記ホッパ箱内に配置され、前記ホッパ箱内の粉体を前記通孔を通じて前記ホッパ箱の外に押し出す回転ドラムと、
前記ホッパ箱内に配置され、前記ホッパ箱内の粉体を対流させる粉体攪拌機構と
を備えたホッパが開示されている。
同文献には、回転ドラムの上方に粉体攪拌機構を設けると、回転ドラムの上方にある粉体は架橋を形成することがないので、ホッパ箱内の粉体を安定して外部に供給することができる点が記載されている。
【0007】
特許文献4には、ドライ成膜用の粉体ではないが、シリカ微粉末の表面をジメチルジメトキシシランで修飾することにより得られる表面改質シリカ微粉末が開示されている。
同文献には、このような表面改質シリカ微粉末をトナーに添加すると、トナーの流動性が改善される点が記載されている。
【0008】
特許文献5には、
(a)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、白金担持カーボン、及び、炭酸カルシウム(造孔材)を含む原料を混合、混練、粉砕、及び分級することにより粉体を作製し、
(b)粉体から炭酸カルシウムを除去することにより、多孔部を有する粉体とし、
(c)多孔部を有する粉体を電解質膜表面に静電付着させ、
(d)フラッシュランプを粉体に照射し、フラッシュランプの光エネルギーによりPTFEを溶融させることによって、多孔部を有する粉体を電解質膜に定着させ、
(e)定着した粉体の多孔部に電解質を含浸させる
ことにより得られる触媒電極層が開示されている。
同文献には、このような方法を用いると電解質膜の表面に触媒電極層を形成する際に、電解質膜の損傷を抑制することができる点が記載されている。
【0009】
特許文献6には、ドライ成膜法ではないが、
(a)Ni粉末(触媒)、水素吸蔵合金(触媒)、砂糖(造孔材)、及び、ポリテトラフルオロエチレン粉末(結合剤)の混合物をNi発泡体の片面に塗布し、
(b)混合物が塗布された面にさらに別のNi発泡体を重ね合わせてロールプレスしてサンドイッチ構造体とし、
(c)サンドイッチ構造体を水に浸漬し、砂糖を溶出させる
ことにより得られるアルカリ形燃料電池用の電極部材が開示されている。
同文献には、このような方法により空隙率が15%である電極部材が得られる点が記載されている。
【0010】
特許文献7には、ドライ成膜法ではないが、
(a)触媒担持カーボン、水溶性短繊維(造孔材)、及び、固体高分子電解質を含むペースト状のインクを作製し、
(b)ドクターブレード式の印刷装置を用いてシート状の電極部材を作製し、
(c)電解質膜の両面をシート状の電極部材で挟んでホットプレスし、
(d)接合体を温水に浸漬して水溶性短繊維を溶出させる
ことにより得られる膜電極接合体が開示されている。
同文献には、このような方法により、触媒層内に径が略一定である細孔を形成することができる点が記載されている。
(【0011】以降は省略されています)

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