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公開番号2025068640
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-30
出願番号2023178538
出願日2023-10-17
発明の名称多層薄膜、及び積層体
出願人リケンテクノス株式会社
代理人個人
主分類B32B 9/00 20060101AFI20250422BHJP(積層体)
要約【課題】耐湿熱性の良好な赤外線遮蔽機能を有する多層薄膜、及び該多層薄膜を有する積層体を提供すること。
【解決手段】第1の弗素ドープ二酸化セリウム薄膜、第1の金属酸化物薄膜、金属薄膜、第2の金属酸化物薄膜、及び第2の弗素ドープ二酸化セリウム薄膜が、この順に積層されている多層薄膜。好ましくは、上記第1及び上記第2の金属酸化物薄膜は三酸化二アルミニウム薄膜である。上記第1及び上記第2の弗素ドープ二酸化セリウム薄膜中の弗素原子の割合は、原子比で、上記弗素ドープ二酸化セリウム薄膜中の原子の総和を100at%として、1~60at%である。上記金属薄膜は銅である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
第1の弗素ドープ二酸化セリウム薄膜、第1の金属酸化物薄膜、金属薄膜、第2の金属酸化物薄膜、及び第2の弗素ドープ二酸化セリウム薄膜が、この順に積層されている多層薄膜。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
上記第1の弗素ドープ二酸化セリウム薄膜中の弗素原子の割合が、原子比で、上記第1の弗素ドープ二酸化セリウム薄膜中の原子の総和を100at%として、1~60at%であり、かつ、
上記第2の弗素ドープ二酸化セリウム薄膜中の弗素原子の割合が、原子比で、上記第2の弗素ドープ二酸化セリウム薄膜中の原子の総和を100at%として、1~60at%である、
請求項1に記載の多層薄膜。
【請求項3】
上記第1の金属酸化物薄膜、及び上記第2の金属酸化物薄膜からなる群から選択される少なくとも何れか1の薄膜が、三酸化二アルミニウム薄膜である、請求項1に記載の多層薄膜。
【請求項4】
上記第1の金属酸化物薄膜、及び上記第2の金属酸化物薄膜からなる群から選択される少なくとも何れか1の薄膜が、二酸化セリウム薄膜である、請求項1に記載の多層薄膜。
【請求項5】
上記金属薄膜が、銅薄膜である、請求項1に記載の多層薄膜。
【請求項6】
上記金属薄膜が、アルミニウム薄膜である、請求項1に記載の多層薄膜。
【請求項7】
上記金属薄膜が、銀薄膜である、請求項1に記載の多層薄膜。
【請求項8】
基材の一部又は全部の面の上に請求項1~7の何れか1項に記載の多層薄膜を有する積層体。
【請求項9】
請求項1~7の何れか1項に記載の多層薄膜を有する物品。
【請求項10】
第1の弗素ドープ二酸化セリウム薄膜、第1の金属酸化物薄膜、金属薄膜、第2の金属酸化物薄膜、及び第2の弗素ドープ二酸化セリウム薄膜が、この順に積層されている多層薄膜の製造方法であって、
上記第1の弗素ドープ二酸化セリウム薄膜、及び上記第2の弗素ドープ二酸化セリウム薄膜からなる群から選択される少なくとも何れか1の薄膜を形成する工程が、
スパッタリング装置を使用し、二酸化セリウムのターゲットと有機弗素化合物の気体を用い、
(1)上記スパッタリング装置のターゲット設置冶具に上記二酸化セリウムのターゲットを装着するサブ工程;
(2)上記スパッタリング装置のスパッタ室内を所定の圧力aに減圧するサブ工程;
(3)スパッタガスと上記有機弗素化合物の気体との混合気体を、上記スパッタリング装置のスパッタ室内に、該スパッタ室内が所定の圧力bとなるように導入するサブ工程;及び、
(4)上記二酸化セリウムのターゲットに電力を投入し、スパッタリングすることにより、弗素ドープ二酸化セリウム薄膜を形成するサブ工程;
を含み、ここで、上記スパッタガスと上記有機弗素化合物の気体との混合比(上記スパッタガスの体積/上記有機化合物の気体の体積)が、95/5~99.99/0.01である、
上記弗素ドープ二酸化セリウム薄膜を形成する工程である、
上記多層薄膜の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、多層薄膜、及び該多層薄膜を有する積層体に関する。更に詳しくは、本発明は、赤外線遮蔽機能を有する多層薄膜、及び該多層薄膜を有する積層体に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
従来から、空間をより少ないエネルギーで快適にする観点から、建築物の窓ガラスや自動車のルーフウィンドウなどには、赤外線遮蔽機能を有し、かつ透明なフィルムがしばしば貼合されている。このような赤外線遮蔽機能を有し、かつ透明なフィルムとしては、フィルムの何れかの層に、錫ドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化錫、及びセシウムドープ酸化タングステンなどの微粒子を含有させ、赤外線を主として吸収することにより、赤外線遮蔽機能を発現させるもの;並びに、フィルムの構成層として、金、銀、銅、及びパラジウムなどの金属薄膜を形成し、赤外線を主として反射することにより、赤外線遮蔽機能を発現させるものなどがあげられる。そして、後者のフィルムでは、金属薄膜の保護などを目的として、珪素、酸化珪素、及び酸化チタンなどの透明薄膜を、金属薄膜の両面に設けることがしばしば行われる。しかし、金、銀、銅、及びパラジウムなどの金属薄膜、特に銀薄膜は、その両面に透明薄膜を設けて保護したとしても、環境安定性、特に耐湿熱性が不十分という不都合があった。そこで、金属薄膜の両面に設ける透明薄膜として、酸化セリウム(IV)薄膜を用いることが提案されている(特許文献1)。しかし、本発明者が追試したところ、酸化セリウム(IV)薄膜、銀薄膜、及び酸化セリウム(IV)薄膜をこの順に積層してなる多層薄膜は、高温高湿の環境下において、酸化セリウム(IV)薄膜に割れが生じ易いという不都合のあることが分かった(本発明者らによる特願2023-042695号を参照されたい)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2000-085047号公報
特開2022-186664号公報
特開2021-073161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、耐湿熱性の良好な赤外線遮蔽機能を有する多層薄膜、及び該多層薄膜を有する積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、鋭意研究した結果、特定の多層薄膜により、上記課題を達成できることを見出した。
【0006】
即ち、本発明の諸態様は以下の通りである。
[1].
第1の弗素ドープ二酸化セリウム薄膜、第1の金属酸化物薄膜、金属薄膜、第2の金属酸化物薄膜、及び第2の弗素ドープ二酸化セリウム薄膜が、この順に積層されている多層薄膜。
[2].
上記第1の弗素ドープ二酸化セリウム薄膜中の弗素原子の割合が、原子比で、上記第1の弗素ドープ二酸化セリウム薄膜中の原子の総和を100at%として、1~60at%であり、かつ、上記第2の弗素ドープ二酸化セリウム薄膜中の弗素原子の割合が、原子比で、上記第2の弗素ドープ二酸化セリウム薄膜中の原子の総和を100at%として、1~60at%である、[1]項に記載の多層薄膜。
[3].
上記第1の金属酸化物薄膜、及び上記第2の金属酸化物薄膜からなる群から選択される少なくとも何れか1の薄膜が、三酸化二アルミニウム薄膜である、[1]項に記載の多層薄膜。
[4].
上記第1の金属酸化物薄膜、及び上記第2の金属酸化物薄膜からなる群から選択される少なくとも何れか1の薄膜が、二酸化セリウム薄膜である、[1]項に記載の多層薄膜。
[5].
上記金属薄膜が、銅薄膜である、[1]項に記載の多層薄膜。
[6].
上記金属薄膜が、アルミニウム薄膜である、[1]項に記載の多層薄膜。
[7].
上記金属薄膜が、銀薄膜である、[1]項に記載の多層薄膜。
[8].
基材の一部又は全部の面の上に[1]~[7]項の何れか1項に記載の多層薄膜を有する積層体。
[9].
[1]~[7]項の何れか1項に記載の多層薄膜を有する物品。
[10].
第1の弗素ドープ二酸化セリウム薄膜、第1の金属酸化物薄膜、金属薄膜、第2の金属酸化物薄膜、及び第2の弗素ドープ二酸化セリウム薄膜が、この順に積層されている多層薄膜の製造方法であって、上記第1の弗素ドープ二酸化セリウム薄膜、及び上記第2の弗素ドープ二酸化セリウム薄膜からなる群から選択される少なくとも何れか1の薄膜を形成する工程が、スパッタリング装置を使用し、二酸化セリウムのターゲットと有機弗素化合物の気体を用い、(1)上記スパッタリング装置のターゲット設置冶具に上記二酸化セリウムのターゲットを装着するサブ工程;(2)上記スパッタリング装置のスパッタ室内を所定の圧力aに減圧するサブ工程;(3)スパッタガスと上記有機弗素化合物の気体との混合気体を、上記スパッタリング装置のスパッタ室内に、該スパッタ室内が所定の圧力bとなるように導入するサブ工程;及び、(4)上記二酸化セリウムのターゲットに電力を投入し、スパッタリングすることにより、弗素ドープ二酸化セリウム薄膜を形成するサブ工程;を含み、ここで、上記スパッタガスと上記有機弗素化合物の気体との混合比(上記スパッタガスの体積/上記有機化合物の気体の体積)が、95/5~99.99/0.01である、上記弗素ドープ二酸化セリウム薄膜を形成する工程である、上記多層薄膜の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の多層薄膜は赤外線遮蔽機能を有し、耐湿熱性が良好である。本発明の好ましい多層薄膜は良好な赤外線遮蔽機能及び透明性を有し、耐湿熱性が良好である。そのため、本発明の多層薄膜、及び該多層薄膜を有する積層体は、赤外線遮蔽機能が求められる物品に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において、「無機物質」の用語は、2種以上の無機物質を含む混合物をも含む用語として使用する。「有機化合物」の用語は、2種以上の有機化合物を含む混合物をも含む用語として使用する。
【0009】
本明細書において「樹脂」の用語は、2種以上の樹脂を含む樹脂混合物や、樹脂以外の成分を含む樹脂組成物をも含む用語として使用する。
【0010】
本明細書において「フィルム」の用語は、「シート」と相互交換的に又は相互置換可能に使用する。本明細書において、「フィルム」及び「シート」の用語は、工業的にロール状に巻き取ることのできるものに使用する。「板」の用語は、工業的にロール状に巻き取ることのできないものに使用する。また本明細書において、ある層と他の層とを順に積層することは、それらの層を直接積層すること、及び、それらの層の間にアンカーコートなどの別の層を1層以上介在させて積層することの両方を含む。
(【0011】以降は省略されています)

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