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公開番号2025117467
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-12
出願番号2024012328
出願日2024-01-30
発明の名称積層フィルム及びその製造方法、並びに、積層体及び包装材
出願人TOPPANホールディングス株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類B32B 27/32 20060101AFI20250804BHJP(積層体)
要約【課題】 十分なヒートシール性及びラミネート性(特に低温ラミネート性)を有しつつ、リサイクル性にも優れる積層フィルム及びその製造方法、並びに、積層体及び包装材を提供すること。
【解決手段】 積層フィルムは、基材フィルムと、該基材フィルムに直接接して積層されているヒートシール層と、を備え、上記記基材フィルム及びヒートシール層が同種のポリオレフィン樹脂を含み、ヒートシール層の融点が基材フィルムの融点よりも低く、基材フィルム及びヒートシール層が延伸されている。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
基材フィルムと、該基材フィルムに直接接して積層されているヒートシール層と、を備え、
前記基材フィルム及び前記ヒートシール層が同種のポリオレフィン樹脂を含み、
前記ヒートシール層の融点が前記基材フィルムの融点よりも低く、
前記基材フィルム及び前記ヒートシール層が延伸されている、積層フィルム。
続きを表示(約 1,900 文字)【請求項2】
前記ポリオレフィン樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、
下記方法で算出される面配向性Mが、前記基材フィルムの前記ヒートシール層と接する側とは反対側の表面BS

において0.5以上0.9以下であり、前記ヒートシール層の前記基材フィルムと接する側とは反対側の表面HS

において-0.3以上0.3以下である、請求項1に記載の積層フィルム。
面配向性Mの算出方法:
面配向性Mは、偏光ATR-FTIR法を用いて測定される以下の吸光度ピーク強度α、β、γ、δに基づいて、ε=(α+β)/(γ+δ)で表されるεを用いて、面配向性M=(0.6887ε-0.4395)/(0.4962ε+0.2198)の式から算出される。
(1)入射光をS偏光に固定し、サンプル角度を15度ずつ回転させ、測定したスペクトルにおいて、997cm
-1
の吸光度ピーク強度が、最も大きくなるサンプルの配置を遅相軸配置とし、該遅相軸配置における吸光度ピーク強度をαとし、
(2)入射光をS偏光とし、前記遅相軸配置から90度回転させた配置における997cm
-1
の吸光度ピーク強度をβとし、
(3)入射光をP偏光とし、前記遅相軸配置における997cm
-1
の吸光度ピーク強度をγとし、
(4)入射光をP偏光とし、前記遅相軸配置から90度回転させた配置における997cm
-1
の吸光度ピーク強度をδとする。
【請求項3】
前記ヒートシール層が、融点が155℃以上165℃未満の高融点成分と、融点が120℃以上150℃未満の低融点成分と、を含むポリオレフィン樹脂組成物からなり、
前記ポリオレフィン樹脂組成物における前記低融点成分の含有量が、前記高融点成分及び前記低融点成分の合計質量を100質量部としたときに、20~80質量部である、請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項4】
請求項1に記載の積層フィルムの前記基材フィルム上に、熱可塑性樹脂を含んでなる蒸着密着層と、蒸着層と、がこの順に積層され、
前記蒸着層及び前記蒸着密着層が直接接している、積層体。
【請求項5】
請求項1に記載の積層フィルム、又は、請求項4に記載の積層体、を備える、包装材。
【請求項6】
ポリプロピレン系樹脂を含む第1の樹脂組成物と、ポリプロピレン系樹脂を含み、前記第1の樹脂組成物の融点M

よりも低い融点M

を有する第2の樹脂組成物と、を共押出し、前記融点M

以上前記融点M

以下の温度で延伸することにより、前記第1の樹脂組成物からなる基材フィルムと前記第2の樹脂組成物からなるヒートシール層とが積層された積層フィルムを形成する工程、を備え、
前記工程において、下記の方法で算出される面配向性Mが、前記基材フィルムの前記ヒートシール層と接する側とは反対側の表面BS

において0.5以上0.9以下となり、前記ヒートシール層の前記基材フィルムと接する側とは反対側の表面HS

において-0.3以上0.3以下となるように延伸を行う、積層フィルムの製造方法。
面配向性Mの算出方法:
面配向性Mは、偏光ATR-FTIR法を用いて測定される以下の吸光度ピーク強度α、β、γ、δに基づいて、ε=(α+β)/(γ+δ)で表されるεを用いて、面配向性M=(0.6887ε-0.4395)/(0.4962ε+0.2198)の式から算出される。
(1)入射光をS偏光に固定し、サンプル角度を15度ずつ回転させ、測定したスペクトルにおいて、997cm
-1
の吸光度ピーク強度が、最も大きくなるサンプルの配置を遅相軸配置とし、該遅相軸配置における吸光度ピーク強度をαとし、
(2)入射光をS偏光とし、前記遅相軸配置から90度回転させた配置における997cm
-1
の吸光度ピーク強度をβとし、
(3)入射光をP偏光とし、前記遅相軸配置における997cm
-1
の吸光度ピーク強度をγとし、
(4)入射光をP偏光とし、前記遅相軸配置から90度回転させた配置における997cm
-1
の吸光度ピーク強度をδとする。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、積層フィルム及びその製造方法、並びに、積層体及び包装材に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
一般に、プラスチックフィルムは、軽量である、化学的に安定である、加工がしやすい、柔軟で強度がある、大量生産が可能、などの性質がある。このため、プラスチックフィルムは、様々なものに利用されている。プラスチックフィルムの用途としては、例えば、食料品や医薬品等を包装する包装材や、点滴パック、買い物袋、ポスター、テープ、液晶テレビ等に利用される光学フィルム、保護フィルム、窓に貼合するウィンドウフィルム、ビニールハウス、建装材等々、多岐にわたる。このような用途に対し、用途に応じて適正なプラスチック材料が選択される。
【0003】
例えば、包装材においては、ポリエステルフィルムやナイロンフィルムなどの強度や耐熱性に優れる樹脂フィルムを基材フィルムとし、その上に、ポリエチレンやポリプロピレンなどの柔軟性や低温でのヒートシール性に優れる樹脂フィルムをシーラントフィルム(又はヒートシール層)として貼り合せた、積層フィルムが広く使用されている。基材フィルムとシーラントフィルムという複数の異なるプラスチックを用いることで、シーラントフィルム側を内側にしてヒートシールした際、内側は十分に融着し、かつ、外側はシワなどの変形を起こしていない包装袋を得ることができる。
【0004】
一方で、近年では、持続可能な社会の実現が求められており、包装材料においても、リサイクルさせることが望まれている。このような観点から、特許文献1のように、複数材料から成る積層フィルムを樹脂材料ごとに分離する技術も構築されつつある。しかし、このような手法では、良好なリサイクルを行うためには不純物を精度良く除去する必要があり、多くの時間、エネルギーやコストがかかってしまう問題がある。リサイクル適性を考慮した技術も検討されており、例えば、下記特許文献2には、延伸ポリエチレンフィルムとヒートシール性ポリエチレン層とが無溶剤型接着剤を含む接着層によってラミネートされた包装材料用ポリエチレン積層体が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
国際公開第2021/132683号
特開第2019-189333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献2に記載の積層体は、同種の樹脂フィルムが組み合わされていることで、リサイクル時に樹脂材料ごとに分離する必要がなくなる。しかしながら、上記の積層体は、各層を分離せずにリサイクルした場合に、ラミネート性を十分確保するための接着剤層が異物となり得ることが考慮されていない。
【0007】
なお、接着剤を使用せずに積層フィルムを作製する方法として、例えば押出ラミネート法のように樹脂を高温にし、基材フィルムと樹脂フィルムとを貼り合せる手法もある。しかしながら、この手法では、押出ラミネートの温度が高すぎると樹脂の劣化を招きやすく、押出ラミネートの温度が低すぎると十分なラミネート強度が得られにくくなりラミネート性が低下するという課題がある。そのため、積層フィルムには、より低温で樹脂を溶融して作製される場合であっても十分なラミネート強度を有することができる、低温ラミネート性を有していることも望ましい。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、十分なヒートシール性及びラミネート性(特には低温ラミネート性)を有しつつ、リサイクル性にも優れる積層フィルム及びその製造方法、並びに、積層体及び包装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、以下の[1]~[6]に関する
[1] 基材フィルムと、該基材フィルムに直接接して積層されているヒートシール層と、を備え、前記基材フィルム及び前記ヒートシール層が同種のポリオレフィン樹脂を含み、前記ヒートシール層の融点が前記基材フィルムの融点よりも低く、前記基材フィルム及び前記ヒートシール層が延伸されている、積層フィルム。
[2] 前記ポリオレフィン樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、下記方法で算出される面配向性Mが、前記基材フィルムの前記ヒートシール層と接する側とは反対側の表面BS

において0.5以上0.9以下であり、前記ヒートシール層の前記基材フィルムと接する側とは反対側の表面HS

において-0.3以上0.3以下である、[1]に記載の積層フィルム。
面配向性Mの算出方法:
面配向性Mは、偏光ATR-FTIR法を用いて測定される以下の吸光度ピーク強度α、β、γ、δに基づいて、ε=(α+β)/(γ+δ)で表されるεを用いて、面配向性M=(0.6887ε-0.4395)/(0.4962ε+0.2198)の式から算出される。
(1)入射光をS偏光に固定し、サンプル角度を15度ずつ回転させ、測定したスペクトルにおいて、997cm
-1
の吸光度ピーク強度が、最も大きくなるサンプルの配置を遅相軸配置とし、該遅相軸配置における吸光度ピーク強度をαとし、
(2)入射光をS偏光とし、前記遅相軸配置から90度回転させた配置における997cm
-1
の吸光度ピーク強度をβとし、
(3)入射光をP偏光とし、前記遅相軸配置における997cm
-1
の吸光度ピーク強度をγとし、
(4)入射光をP偏光とし、前記遅相軸配置から90度回転させた配置における997cm
-1
の吸光度ピーク強度をδとする。
[3] 前記ヒートシール層が、融点が155℃以上165℃未満の高融点成分と、融点が120℃以上150℃未満の低融点成分と、を含むポリオレフィン樹脂組成物からなり、前記ポリオレフィン樹脂組成物における前記低融点成分の含有量が、前記高融点成分及び前記低融点成分の合計質量を100質量部としたときに、20~80質量部である、[1]又は[2]に記載の積層フィルム。
[4] [1]~[3]のいずれかに記載の積層フィルムの前記基材フィルム上に、熱可塑性樹脂を含んでなる蒸着密着層と、蒸着層と、がこの順に積層され、前記蒸着層及び前記蒸着密着層が直接接している、積層体。
[5] [1]~[3]のいずれかに記載の積層フィルム、又は、[4]に記載の積層体、を備える、包装材。
[6] ポリプロピレン系樹脂を含む第1の樹脂組成物と、ポリプロピレン系樹脂を含み、前記第1の樹脂組成物の融点M

よりも低い融点M

を有する第2の樹脂組成物と、を共押出し、前記融点M

以上前記融点M

以下の温度で延伸することにより、前記第1の樹脂組成物からなる基材フィルムと前記第2の樹脂組成物からなるヒートシール層とが積層された積層フィルムを形成する工程、を備え、前記工程において、下記の方法で算出される面配向性Mが、前記基材フィルムの前記ヒートシール層と接する側とは反対側の表面BS

において0.5以上0.9以下となり、前記ヒートシール層の前記基材フィルムと接する側とは反対側の表面HS

において-0.3以上0.3以下となるように延伸を行う、積層フィルムの製造方法。
面配向性Mの算出方法:
面配向性Mは、偏光ATR-FTIR法を用いて測定される以下の吸光度ピーク強度α、β、γ、δに基づいて、ε=(α+β)/(γ+δ)で表されるεを用いて、面配向性M=(0.6887ε-0.4395)/(0.4962ε+0.2198)の式から算出される。
(1)入射光をS偏光に固定し、サンプル角度を15度ずつ回転させ、測定したスペクトルにおいて、997cm
-1
の吸光度ピーク強度が、最も大きくなるサンプルの配置を遅相軸配置とし、該遅相軸配置における吸光度ピーク強度をαとし、
(2)入射光をS偏光とし、前記遅相軸配置から90度回転させた配置における997cm
-1
の吸光度ピーク強度をβとし、
(3)入射光をP偏光とし、前記遅相軸配置における997cm
-1
の吸光度ピーク強度をγとし、
(4)入射光をP偏光とし、前記遅相軸配置から90度回転させた配置における997cm
-1
の吸光度ピーク強度をδとする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、十分なヒートシール性及びラミネート性(特には低温ラミネート性)を有しつつ、リサイクル性にも優れる積層フィルム及びその製造方法、並びに、積層体及び包装材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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