TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025119625
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-15
出願番号2022078322
出願日2022-05-11
発明の名称積層包装材料
出願人東洋紡株式会社
代理人
主分類B32B 27/32 20060101AFI20250807BHJP(積層体)
要約【課題】環境負荷が少ない樹脂種から構成された包装材料を形成することができるとともに、包装材料に求められるガスバリア性能およびその耐久性を向上することができ、揮発成分量も少ない包装材料を提供すること。
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂を主たる構成成分とする樹脂層を有する基材フィルムを少なくとも1枚と、接着剤層とヒートシール性樹脂層とを有する積層包装材料であって、前記基材フィルムのうち少なくとも1枚はガスバリア層を有する積層ガスバリアフィルムであって、前記積層基材フィルム単体のうち酸素透過度が最も低い基材フィルム(a)を23℃×65%RH条件下で測定した酸素透過度の値(A)が30~1500ml/m2・d・MPaであり、接着剤層介して基材フィルムをヒートシール性樹脂と貼り合わせて積層包装材料(p)としたものを同条件下で測定した酸素透過度の値(P)が60ml/m2・d・MPa以下であり、下記式(1)で表される貼合わせ前後のバリア値向上率が10以上であることを特徴とする積層包装材料。
フィルム貼合わせ前後のバリア値向上率=(A/P) ・・・ 式(1)
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂を主たる構成成分とする樹脂層を有する基材フィルムを少なくとも1枚と、接着剤層とヒートシール性樹脂層とを有する積層包装材料であって、前記基材フィルムのうち少なくとも1枚はガスバリア層を有する積層ガスバリアフィルムであって、前記積層基材フィルム単体のうち酸素透過度が最も低い基材フィルム(a)を23℃×65%RH条件下で測定した酸素透過度の値(A)が30~1500ml/m

・d・MPaであり、接着剤層を介して基材フィルムをヒートシール性樹脂と貼り合わせて積層包装材料(p)としたものを同条件下で測定した酸素透過度の値(P)が60ml/m

・d・MPa以下であり、下記式(1)で表される貼合わせ前後のバリア値向上率が10以上であることを特徴とする積層包装材料。
フィルム貼合わせ前後のバリア値向上率=(A/P) ・・・ 式(1)
続きを表示(約 970 文字)【請求項2】
前記積層包装材料を用いてゲルボフレックステスターにてひねり屈曲試験を温度23℃で25回実施した後の酸素透過度の値(G)が65ml/m2・d・MPa以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層包装材料。
【請求項3】
接着剤を介して基材フィルムをヒートシール樹脂と貼り合わせた積層包装材料(p)を作成した直後から、揮発成分の揮発が無くなるまでに要する時間が30時間以内であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層包装材料。
【請求項4】
前記基材フィルムとして、前記基材フィルム(a)と、他の基材フィルム(b)を有し、基材フィルム(b)は樹脂層とガスバリア層を有する積層バリアフィルムであり、基材フィルム(a)と、基材フィルム(b)を構成する樹脂層が同種のポリオレフィン系樹脂を主たる構成成分とする、請求項1~3のいずれかに記載の積層包装材料。
【請求項5】
前記基材フィルムを2枚以下有することを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の積層包装材料。
【請求項6】
前記基材フィルムを構成する樹脂層と前記ヒートシール性樹脂層が、同種のポリオレフィン系樹脂を主たる構成成分とする請求項1~5のいずれかに記載の積層包装材料。
【請求項7】
前記接着剤層がポリウレタン系、ポリエステル系、又はポリアミン系樹脂のいずれかの材料からなることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の積層包装材料。
【請求項8】
前記ガスバリア層がアルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、または酸化ケイ素と酸化アルミニウムの複合酸化物のいずれか一つからなる無機薄膜層であることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の積層包装材料。
【請求項9】
前記ガスバリア層がポリビニルアルコール樹脂、ポリエステル樹脂、又はポリウレタン樹脂のいずれか一つからなる被覆層であることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の積層包装材料。
【請求項10】
前記基材フィルムとガスバリア層との間にアンカーコート層が積層されることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の積層包装材料。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、食品、医薬品、工業製品等の包装分野に用いられる積層包装材料に関する。更に詳しくは、ガスバリア性、加工性、強靭性に優れ、利便性を備えた環境対応型のラミネート積層包装材料に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
近年、欧州はじめ世界各国において、使い捨てプラスチック使用削減に向けた規制が強化されている。その背景には、資源循環への国際的な意識の高まりや新興国におけるごみ問題の深刻化がある。そのため、食品、医薬品等に求められるプラスチック製包装材料についても、3R(recycle, reuse, reduce)の観点から環境対応型の製品が求められている。
【0003】
前述の環境に優しい包装材料とするための可能性の一つとして、包装材料がリサイクル可能な同一素材から成ること、すなわちモノマテリアル化することが積極的に検討されている。モノマテリアル化のための素材としては、例えばポリエステル系またはポリオレフィン系の検討がそれぞれ進められている。
【0004】
前述のような低環境負荷の包装材料が求められている一方で、利便性のため包装材料自体に求められる特性はますます多機能化しているのが現状である。例えば、アルミ箔を使用せず電子レンジでも使用できるようなパウチには、袋のガスバリア性、耐熱性、強靭性(耐破袋性や耐ピンホール性)、高いシール性等が一つの包装袋において同時に求められる。これを達成するためには、それぞれ別々の機能を有する異素材を貼り合わせる必要があり、袋の外側に蒸着ポリエステルフィルム、中間層にポリアミドフィルム、内側(内容物側)にポリオレフィン系ヒートシール性樹脂を接着剤を介してドライラミネートした少なくとも3層以上の構成が一般的となっている。この構成であれば目的とする性能は達成できるが、異素材の貼り合わせであることからリサイクル性に劣り、前述の環境にやさしい包装材料とは言えない問題がある。
【0005】
これらの点を考慮し、モノマテリアル化可能な同一素材でも前述のような袋としての多機能性を有するような理想的な包装材料設計ができないかについて検討が進められている。
【0006】
ポリエステル系モノマテリアル包材設計においては、従来のポリオレフィン系シーラントの代替として、低吸着性・耐熱性を向上させたポリエステル系シーラントが開示されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1のシーラントは、ヒートシール性を有する層とそれ以外の層を分け、これらの層の原料組成をそれぞれ別々に制御することにより、ヒートシール性と耐熱性を満足させている。ただ、ヒートシール性に関してはポリオレフィン系シーラントのシール強度に比べると劣っているという問題があり、また耐熱性の面で、ボイルやレトルト処理のような過酷な処理には耐えられないのが現状であった。
【0007】
一方、ポリオレフィン系モノマテリアル包材設計においては、シーラントとしてポリオレフィン系ヒートシール樹脂を用いることができ、前述のポリエステル系シーラントに比べ十分なヒートシール性を確保できる利点がある。シーラントは十分なシール性を発現する必要性からある程度の厚みを有する必要があり、包装体に占める割合は大きい。その点もポリオレフィン系のモノマテリアル包材設計が推進される大きな理由となっている。一方で、ポリオレフィン系包材は従来のバリア性能を有する包装に比べガスバリア性能に劣る問題があった。ポリプロピレンフィルムは水蒸気バリア性を有するものの、例えば一般的に水蒸気バリア性が優れるとされる透明無機蒸着ポリエステルフィルムに比べると十分な値ではなく、また酸素バリア性に関しては非常に悪いという問題点があった。
【0008】
これに対し、ポリプロピレンフィルムにポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアクリロニトリルなど一般に酸素バリア性が比較的高いと言われる高分子樹脂組成物を積層させたフィルムが使用されてきた(例えば、特許文献2~4参照)。しかしながら、上記のポリビニルアルコールやエチレンビニルアルコール共重合体の高分子樹脂組成物を用いてなるガスバリア性コートフィルムは湿度依存性が大きいため、高湿下においてガスバリア性の低下が見られ、ボイルやレトルト等の殺菌処理に耐え得る耐湿熱性も有していなかった。またポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアクリロニトリルは、湿度依存性が低いが、絶対値としてのバリア値が不十分であること、廃棄・焼却の際に有害物質が発生する危険性が高いこと等の問題があった。さらに用いられているポリプロピレンフィルムは耐熱性が十分でなく、印刷やラミネート加工、殺菌処理の際の付加熱によりフィルムが伸縮することで外観上のシワや性能低下につながる問題があった。
【0009】
ポリプロピレンフィルムのガスバリア性向上に関し、無機薄膜を積層することで湿度依存性がなく安定したガスバリア性能を発現させる試みも行われている(例えば、特許文献5)。しかし、従来のポリエステル蒸着フィルムに対してガスバリア性能の絶対値(特に酸素バリア性)が劣ることや、前述のコートタイプバリアフィルムに比べて物理的ダメージに弱い等の問題もあった。特に、ポリプロピレンフィルムはポリエステルフィルムに比べて寸法安定性が低くフィルムが伸縮しやすいため、バリア膜の破壊が起きやすい問題があった。また、ポリオレフィン系シーラントに蒸着を施したバリア材料も検討されているが(例えば、特許文献6)、水蒸気バリア性能は発現するものの酸素バリア性が十分でないこと等の課題があった。
【0010】
上記問題に対して、無機薄膜の上にさらにガスバリア性を有する保護層を設ける試みがなされている。例えば、無機薄膜上に水溶性高分子と無機層状化合物および金属アルコキシドあるいはその加水分解物をコートして、ゾルゲル法により無機薄膜上に無機層状化合物を含有する無機物と水溶性高分子との複合体を形成させる方法が挙げられる(例えば、特許文献7)。本手法によりガスバリア性能の向上が可能となり、無機薄膜の物理的ダメージ抑制を図ることができるが、屈曲処理等の過酷な物理的負荷がかかった場合は、無機薄膜層へのダメージは避けられないのが現状であった。特に、フィルム自体のバリア性能に優れている場合は膜が割れやすいため、屈曲負荷がかかった際のバリア悪化率はより大きくなる傾向にあった。バリア性能がいい場合の弊害として、接着剤塗工時に残留溶媒や発泡ガス等の揮発成分が層内に残りやすく、食品への移行や外観不良の課題もあった。揮発成分を少なくするには加工後のエージング時間を長くすればよいが、長くするとデリバリーに影響する懸念もあり、そこまで長くできないのが現状であった。また、環境負荷の側面からは、保護層に用いるコート材料についても環境に配慮したものを用いる必要があること、保護層を積層するための加工工程が増えること、その際に各種溶媒を使用する必要があることから、環境への負荷は大きい懸念があった。当然、保護層の積層はコストアップにもつながることも問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

東洋紡株式会社
積層包装材料
1日前
東洋紡株式会社
抗血栓性材料の製造方法
2か月前
東洋紡株式会社
改変型RNAポリメラーゼ
1か月前
東洋紡株式会社
ヘムタンパク質の安定化方法
2か月前
東洋紡株式会社
熱収縮性ポリエステル系フィルム
2か月前
東洋紡株式会社
二軸配向ポリプロピレンフィルム
2日前
東洋紡株式会社
二軸配向ポリプロピレンフィルム
2日前
東洋紡株式会社
二軸配向ポリプロピレンフィルム
2日前
東洋紡株式会社
二軸配向ポリプロピレンフィルム
2日前
東洋紡株式会社
測定試料希釈液および免疫測定キット
3か月前
東洋紡株式会社
コーティング剤、フィルム、およびパウチ
1か月前
東洋紡株式会社
緩衝剤によるヘムタンパク質の安定化方法
2か月前
株式会社大木工藝
活性炭及び活性炭製造方法
1か月前
東洋紡株式会社
高分子樹脂の回収方法、回収装置、及びリサイクル製品
3か月前
東洋紡株式会社
二軸配向ポリプロピレンフィルム、及びそれを用いた積層体
8日前
東洋紡株式会社
パウチ用コーティング剤、パウチ用フィルム、およびパウチ
1か月前
東洋紡株式会社
離型フィルム
15日前
東洋紡株式会社
積層フィルム
1か月前
東洋紡株式会社
透明導電性フィルム
2か月前
東洋紡株式会社
積層熱収縮性フィルム
3か月前
東洋紡株式会社
シーラント用フィルム
3か月前
東洋紡株式会社
シーラント用フィルム
3か月前
東洋紡株式会社
樹脂シート成型用離型フィルム
9日前
東洋紡株式会社
樹脂シート成型用離型フィルム
9日前
東洋紡株式会社
樹脂シート成型用離型フィルム
9日前
東洋紡株式会社
電子表示装置およびその製造方法
3か月前
東洋紡株式会社
ポリエステルフィルムとその用途
1か月前
東洋紡株式会社
ポリエステルフィルムとその用途
1か月前
東洋紡株式会社
二軸配向ポリエステルフィルムロール
1か月前
東洋紡株式会社
熱収縮性ポリエステル系フィルムロール
11日前
東洋紡株式会社
熱収縮性ポリエステル系フィルムロール
9日前
東洋紡株式会社
無機基板とポリアミック酸硬化物の積層体
15日前
東洋紡株式会社
折りたたみ型ディスプレイ及び携帯端末機器
2か月前
東洋紡株式会社
二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムロール
1か月前
東洋紡株式会社
シンジオタクチックポリスチレン低伝送損失回路基板
3か月前
東洋紡株式会社
脳機能低下を予防するための、又は脳機能を改善するためのジアミン、及び/又はポリアミンを含む組成物
2か月前
続きを見る