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公開番号2025064505
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-17
出願番号2023174331
出願日2023-10-06
発明の名称再生医療用細胞の生産および評価、機能調節する培養基材とその使用方法
出願人国立大学法人 琉球大学
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類C12M 3/00 20060101AFI20250410BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】細胞に適用するストライプ構造を提供すること。
【解決手段】一つの局面において、本開示は、ストライプ構造を備える物品を提供する。本開示において、ストライプ構造が細胞と接触することが企図されるので、物品のうちの細胞が接触できる表面にストライプ構造が配置される。物品の複数の面にストライプ構造を配置してもよいし、1つの面の複数箇所にストライプ構造を配置してもよい。本開示は、ストライプ構造を備える物品を使用した細胞の分離および/または培養も提供する。本開示は、さらに、ストライプ構造を備える物品を使用して分離および/または培養した細胞またはこれを含む組織を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
細胞接着表面を含む物品であって、前記細胞接着表面が、特定の方向に延伸する複数の凹部の繰り返しを備えるストライプ構造を備える、物品。
続きを表示(約 520 文字)【請求項2】
前記凹部が、約5μm~50μmの深さを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記凹部が、約10μm~40μmの深さを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記凹部が、約1μm~100μmの幅を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記凹部が、約3μm~5μmの幅を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
隣接する前記複数の凹部の間の距離が、約1μm~50μmである、請求項1に記載の物品。
【請求項7】
隣接する前記複数の凹部の間の距離が、約2μm~10μmの幅である、請求項1に記載の物品。
【請求項8】
前記凹部が、約3μm~5μmの幅および約10μm~40μmの深さを有し、隣接する前記複数の凹部の間の距離が、約2μm~10μmである、請求項1に記載の物品。
【請求項9】
線維芽細胞、肝細胞、または脂肪幹細胞(ADSCs)の接着のための、請求項1に記載の物品。
【請求項10】
シャーレである、請求項1に記載の物品。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、ストライプ構造を備える物品を提供する。本開示は、ストライプ構造を備える物品を使用した細胞の分離および/または培養も提供する。本開示は、さらに、ストライプ構造を備える物品を使用して分離および/または培養した細胞またはこれを含む組織を提供する。
続きを表示(約 4,300 文字)【背景技術】
【0002】
近年、再生医療はめざましい発展を遂げ、これまで治療が困難とされているさまざまな疾患の根本的治療を実現しようとしている。再生医療発展の主役は、iPS細胞やES細胞、各種体性細胞および体性幹細胞である。医療用途における使用および薬剤開発のための実験における使用など、種々の細胞が種々の目的で使用されるが、目的細胞の取得および細胞の効率的な培養など細胞の取り扱いには未だ多くの改善点が残されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明者らは、鋭意研究した結果、細胞の分離および/または培養においてストライプ構造が有用であることを見出した。本開示は、このような知見に基づき、ストライプ構造を備える物品をおよびその使用を提供する。また、本開示は、ストライプ構造を備える物品を使用して分離および/または培養した細胞またはこれを含む組織も提供する。
【0004】
したがって、本発明は以下を提供する。
(項目1)
細胞接着表面を含む物品であって、前記細胞接着表面が、特定の方向に延伸する複数の凹部の繰り返しを備えるストライプ構造を備える、物品。
(項目2)
前記凹部が、約5μm~50μmの深さを有する、上記項目のいずれかの物品。
(項目3)
前記凹部が、約10μm~40μmの深さを有する、上記項目のいずれかの物品。
(項目4)
前記凹部が、約1μm~100μmの幅を有する、上記項目のいずれかの物品。
(項目5)
前記凹部が、約3μm~5μmの幅を有する、上記項目のいずれかの物品。
(項目6)
隣接する前記複数の凹部の間の距離が、約1μm~50μmである、上記項目のいずれかの物品。
(項目7)
隣接する前記複数の凹部の間の距離が、約2μm~10μmの幅である、上記項目のいずれかの物品。
(項目8)
前記凹部が、約3μm~5μmの幅および約10μm~40μmの深さを有し、隣接する前記複数の凹部の間の距離が、約2μm~10μmである、上記項目のいずれかの物品。
(項目9)
線維芽細胞、肝細胞、または脂肪幹細胞(ADSCs)の接着のための、上記項目のいずれかの物品。
(項目10)
シャーレである、上記項目のいずれかの物品。
(項目11)
移植物である、上記項目のいずれかの物品。
(項目12)
可撓性材料で構成されている、上記項目のいずれかの物品。
(項目13)
物品の複数の面が前記ストライプ構造を備える、上記項目のいずれかの物品。
(項目14)
前記物品が平板形状のパーツを含み、前記平板状パーツの両面が前記ストライプ構造を備える、上記項目のいずれかの物品。
(項目15)
目的の細胞を分離する方法であって、
前記目的の細胞を含む細胞集団または細胞含有組織を上記項目のいずれかの物品の第1領域に配置する工程と、
前記目的の細胞が生存可能な条件で前記物品をインキュベートする工程であって、前記目的の細胞が前記第1領域から、前記細胞接着表面に沿って遊走する、工程と
を含む、方法。
(項目16)
前記インキュベートする工程の後に、前記第1領域とは異なる前記細胞接着表面上の第2領域から前記目的の細胞を検出および/または回収する工程をさらに含む、上記項目のいずれかの方法。
(項目17)
細胞を培養する方法であって、
前記細胞が生存可能な条件で前記細胞を上記項目のいずれかの物品上でインキュベートする工程
を含む、方法。
(項目18)
前記インキュベートする工程を、前記細胞がシートを形成する条件で実施する、上記項目のいずれかの方法。
(項目19)
細胞接着表面を含む第1のシャーレであって、前記細胞接着表面が、特定の方向に延伸する複数の第1の凹部の繰り返しを備える第1のストライプ構造を備える第1のシャーレと、
細胞接着表面を含む第2のシャーレであって、前記細胞接着表面が、特定の方向に延伸する複数の第2の凹部の繰り返しを備える第2のストライプ構造を備える第2のシャーレと
を備えたシャーレのセットであって、
前記第1のストライプ構造と前記第2のストライプ構造とは、
(i)前記第1の凹部と前記第2の凹部の幅、
(ii)前記第1の凹部と前記第2の凹部の深さ、および
(iii)隣接する複数の前記第1の凹部の間の距離と、隣接する複数の前記第2の凹部の間の距離
【0005】
本発明において、上記の1つまたは複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得ることが意図される。本発明のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
【発明の効果】
【0006】
本開示のストライプ構造を備える物品は、簡便な目的細胞の分離および改善された細胞培養を提供し得る。本開示のストライプ構造を備える物品は、細胞を用いた医薬および医療器具(移植物など)の開発に貢献し得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
ストライプ構造の概略を示す図である。
ストライプ構造の顕微鏡観察像を示す。スケールバーは、100μmを示す。
a、b、d、e、kのストライプ構造を有するシャーレおよび平坦表面を有するシャーレ(φ35mm)上で培養したヒト脂肪組織の写真である。
a、b、d、e、kのストライプ構造を有するシャーレおよび平坦表面を有するシャーレ(φ35mm)上の特定領域に播種したヒト脂肪組織から遊走したADSCsを示す顕微鏡写真である。スケールバーは、300μmを示す。
実施例4のWST-1アッセイの結果を示す。*はp<0.05を示し、**はp<0.01を示し、***はp<0.001を示す。
a、b、d、e、kのストライプ構造を有するシャーレおよび平坦表面を有するシャーレ上で遊走したADSCsをアクチン染色および核染色した蛍光顕微鏡写真である。スケールバーは、200μmを示す。
a、b、d、e、kのストライプ構造を有するシャーレ上で培養した脂肪組織をストライプ構造の横断面から撮影した蛍光顕微鏡写真である。スケールバーは、40μmを示す。
セルマイグレーティングセパレーターチップの顕微鏡観察像を示す。左下の図が全体像を示し、そこに記載された各記号の位置の拡大図をそれぞれ示す。
セルマイグレーティングセパレーターチップを使用した場合のADSCsの遊走を示す。上のパネルは顕微鏡観察像を示す。下のパネルは播種した脂肪組織領域からの距離とそこに存在する細胞(核)数との関係を示す。
平坦表面を使用した場合のADSCsの遊走を示す。上のパネルは顕微鏡観察像を示す。下のパネルは播種した脂肪細胞領域からの距離とそこに存在する細胞(核)数との関係を示す。
凹部幅:3μm、凹部間距離:2μmのストライプ構造上でADSCsから分化誘導された骨芽細胞の写真である。
k、a、b、d、eのストライプ構造を有するシャーレおよび平坦表面を有するシャーレ(φ35mm)上で培養した脂肪組織の顕微鏡観察像である。各シャーレについて上部からの写真(上のパネル)および側面からの写真(下のパネル)を示す。下のパネルにおいて、点線および実線は、細胞シートの輪郭、ストライプ構造の頂面および底面を示す。底面から細胞シート最上面までの最大の厚さおよび細胞シートの最大の厚さをそれぞれ数値と共に示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を最良の形態を示しながら説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0009】
(定義)
以下に本明細書において特に使用される用語の定義および/または基本的技術内容を適宜説明する。
【0010】
本明細書において「ストライプ構造」とは、特定の方向に延伸する複数の凹部(溝と表現することもできる)の繰り返しを備える固体の構造を指す(図1を参照のこと)。隣接する凹部間の部分は、凸部(畝と表現することもできる)と記載され得る。凹部の底面と凸部の頂面との間の距離は、凹部の深さ(高さと表現することもできる)と記載され得る。凹部間の距離は、凸部の幅でもあり得る。凹部角は、凹部の側面と凹部の底面との間で形成され得る。底面、側面および/または頂面は、典型的には平面であるが、曲面であってもよい。凹部の特定の方向の延伸は直線的であってもよいし、曲線的(典型的には、凹部の幅および凹部間の距離が一定)であってもよい。典型的には、1箇所のストライプ構造において、延伸の方向、凹部の幅、凹部間の距離および凹部の深さは一定である。延伸の方向が連続していない部分がある場合、複数のストライプ構造が存在すると記載することができる。ストライプ構造は、曲面上にあってもよく、例えば、ストライプ構造を備えた可撓性部材を移植物の曲面に固定することで、曲面上にストライプ構造を備える物品を作製できる。
(【0011】以降は省略されています)

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