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公開番号2025065719
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-22
出願番号2023175111
出願日2023-10-10
発明の名称塗布具
出願人株式会社サクラクレパス
代理人個人
主分類B43K 8/02 20060101AFI20250415BHJP(筆記用または製図用の器具;机上付属具)
要約【課題】一筆で二重線を引くことができる塗布具であって、長期間にわたって塗布液の漏れが起こらない塗布具を提供する。
【解決手段】塗布具1は、本体筒2、第一ペン先部材3、及び第二ペン先部材5を有する。本体筒2の内部には、第一中芯8と第二中芯9が収容されている。第一ペン先部材3の後端部分3bは第一中芯8に接触しており、第一塗布液が第一ペン先部材3に供給される。第二ペン先部材5の後端部分5bが第二中芯9に接触しており、第二塗布液が第二ペン先部材5に供給される。第一塗布液は、第一の湿潤剤を含有する水性の第一インキ組成物からなり、第二塗布液は、第二の湿潤剤を含有する水性の第二インキ組成物からなる。第一インキ組成物における第一の湿潤剤濃度をA重量%とし、第二インキ組成物における第二の湿潤剤濃度をB重量%としたとき、AとBの差の絶対値X1が0~17である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
複数の塗布体部を有し、前記塗布体部の先端部分を塗布対象物に接触させて塗布液を塗布する塗布具であって、
前記複数の塗布体部は、第一塗布液を塗布する第一塗布体部と、第二塗布液を塗布する第二塗布体部を含み、
前記第一塗布体部と前記第二塗布体部は、それらの先端部分が互いに接触することなく並設されており、
前記第一塗布液を含む第一塗布液吸蔵体と、前記第二塗布液を含む第二塗布液吸蔵体を有し、
前記第一塗布体部が前記第一塗布液吸蔵体と接触しており、それにより前記第一塗布液が前記第一塗布体部に供給され、
前記第二塗布体部が前記第二塗布液吸蔵体と接触しており、それにより前記第二塗布液が前記第二塗布体部に供給され、
前記第一塗布液は、第一の湿潤剤を含有する水性の第一インキ組成物からなり、
前記第二塗布液は、第二の湿潤剤を含有する水性の第二インキ組成物からなり、
前記第一の湿潤剤と前記第二の湿潤剤の少なくとも1つは、グリセリン以外の湿潤剤を少なくとも含み、
前記第一インキ組成物における前記第一の湿潤剤の濃度をA重量%とし、前記第二インキ組成物における前記第二の湿潤剤の濃度をB重量%としたとき、AとBの差の絶対値X1が0~17である、塗布具。
続きを表示(約 540 文字)【請求項2】
前記第一の湿潤剤は、尿素、2価アルコール、及び3価アルコールからなる群より選ばれた少なくとも1つであり、
前記第二の湿潤剤は、尿素、2価アルコール、及び3価アルコールからなる群より選ばれた少なくとも1つである、請求項1に記載の塗布具。
【請求項3】
前記第一の湿潤剤は、少なくともグリセリンを含み、
前記第二の湿潤剤は、少なくともグリセリンを含む、請求項1に記載の塗布具。
【請求項4】
前記第一インキ組成物におけるグリセリン濃度をC重量%とし、前記第二インキ組成物におけるグリセリン濃度をD重量%としたとき、CとDの差の絶対値X2が0~17である、請求項3に記載の塗布具。
【請求項5】
前記第一の湿潤剤と前記第二の湿潤剤の少なくとも1つは、尿素を含む、請求項1乃至4のいずれかに記載の塗布具。
【請求項6】
前記第一インキ組成物における前記第一の湿潤剤の濃度が1~50重量%である、請求項1乃至4のいずれかに記載の塗布具。
【請求項7】
前記第二インキ組成物における前記第二の湿潤剤の濃度が1~50重量%である、請求項1乃至4のいずれかに記載の塗布具。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、紙等の対象物に塗布液を塗布する塗布具に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
所謂マーキングペンのように、フェルトや合成樹脂等で作られたペン先チップを有する塗布具が広く知られている。このような塗布具として、一度の筆運びで(一筆で)二重線を引くことが可能な塗布具がある。
【0003】
特許文献1には、幅広描線用ペン先部と幅狭描線用ペン先部とを、一直線上の近接した位置に並設したマーキングペンが開示されている。このマーキングペンでは、幅広描線用ペン先部の先端部分と幅狭描線用ペン先部の先端部分との間に隙間がある。そのため、紙面等に描線を引くと、引かれた描線は、間隔を開けて平行に延びた2つの線となる。また、このマーキングペンは、異なるインクが貯蔵された2個のインク吸蔵体(11)(11)’を有している。そして、インク吸蔵体(11)から幅広描線用ペン先部に、インク吸蔵体(11)’から幅狭描線用ペン先部に、それぞれインクが供給される。
【0004】
特許文献2には、本体部と、第一ペン先部材と、第二ペン先部材と、第一インキ吸蔵体と、第二インキ吸蔵体を備えた塗布具が開示されている。この塗布具では、第一インキ吸蔵体と第二インキ吸蔵体には別のインキが含浸されている。そして、第一インキ吸蔵体から第一ペン先部材に、第二インキ吸蔵体から第二ペン先部材に、それぞれインキが供給される。この塗布具においても、第一ペン先部材と第二ペン先部材は接触しておらず、一筆で二重線を引くことができる。
【0005】
特許文献3には、一軸のペン先を有する中芯式多色マーキングペンが開示されている。特許文献4には、ペン先部を一軸とした多色マーカーが開示されている。これらのマーキングペン/マーカーは2個のインキ吸蔵体を有するが、ペン先が一軸であるので、描かれた描線は多色であるが1つの線となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開平01-258999号公報
特開2022-167426号公報
特開2004-27081号公報
特開2000-43469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、インキ吸蔵体(中芯)を備えたマーキングペン等の塗布具においては、中芯からのインキ漏れは起こるべきではない。これは筆記具の使用時(筆記時)だけでなく、非使用時(保管中)においても同じである。さらに、上記したような複数の中芯を備えた塗布具についても同じである。そこで本発明は、複数の中芯を備えた塗布具であって、中芯からの塗布液の漏れが高度に防止された塗布具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、一筆で二重線を引くことができる中芯式の水性マーキングペンの開発を進める過程で、いくつかの課題を見出した。その1つとして、マーキングペンを長期保存した場合に、塗布液吸蔵体(中芯)から微量の塗布液が漏れる現象をいくつか確認した。この現象は、1個のペン先部を有し1本の描線を描くことができるマーキングペンでは確認されず、一筆で二重線を引くことができる水性マーキングペンに特有の現象と考えられた。そして、その解決策を見出すべく検討を重ねたところ、各々の中芯に含ませるインキの組成を工夫することで、上記課題を解決できることを見出した。
【0009】
本発明の一つの態様は、複数の塗布体部を有し、前記塗布体部の先端部分を塗布対象物に接触させて塗布液を塗布する塗布具であって、前記複数の塗布体部は、第一塗布液を塗布する第一塗布体部と、第二塗布液を塗布する第二塗布体部を含み、前記第一塗布体部と前記第二塗布体部は、それらの先端部分が互いに接触することなく並設されており、前記第一塗布液を含む第一塗布液吸蔵体と、前記第二塗布液を含む第二塗布液吸蔵体を有し、前記第一塗布体部が前記第一塗布液吸蔵体と接触しており、それにより前記第一塗布液が前記第一塗布体部に供給され、前記第二塗布体部が前記第二塗布液吸蔵体と接触しており、それにより前記第二塗布液が前記第二塗布体部に供給され、前記第一塗布液は、第一の湿潤剤を含有する水性の第一インキ組成物からなり、前記第二塗布液は、第二の湿潤剤を含有する水性の第二インキ組成物からなり、前記第一の湿潤剤と前記第二の湿潤剤の少なくとも1つは、グリセリン以外の湿潤剤を少なくとも含み、前記第一インキ組成物における前記第一の湿潤剤の濃度をA重量%とし、前記第二インキ組成物における前記第二の湿潤剤の濃度をB重量%としたとき、AとBの差の絶対値X1が0~17である、塗布具である。
【0010】
本態様は、複数の塗布体部を有し、前記塗布体部の先端部分を塗布対象物に接触させて塗布液を塗布する塗布具に係るものである。本態様の塗布具では、複数の塗布体部が、第一塗布液を塗布する第一塗布体部と、第二塗布液を塗布する第二塗布体部とを含み、それらの先端部分が互いに接触することなく並設されている。そのため、一筆で二重線を引くことができる。また、第一塗布液を含む第一塗布液吸蔵体を有し、第一塗布体部が第一塗布液吸蔵体と接触している。同様に、第二塗布液を含む第二塗布液吸蔵体を有し、第二塗布体部が第二塗布液吸蔵体と接触している。そして本態様では、第一塗布液を構成する第一インキ組成物と第二塗布液を構成する第二インキ組成物における湿潤剤濃度(重量%)の差が特定範囲内である。本態様によれば、長期保存を経ても、塗布液吸蔵体からのインキ漏れが高度に抑えられた塗布具を提供することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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