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公開番号2025061179
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-10
出願番号2025003706,2023041220
出願日2025-01-09,2015-01-23
発明の名称培地組成物
出願人日産化学株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C12N 1/00 20060101AFI20250403BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】動植物細胞及び/又は組織を、特に三次元或いは浮遊状態にて培養するための培地組成物と当該培地組成物を用いた動植物細胞及び/又は組織の培養方法を提供すること。
【解決手段】ナノファイバーを液体培地へ添加し、当該ナノファイバーが当該溶液中にて均一に分散し、当該溶液の粘度を実質的に高めること無く細胞及び/又は組織を実質的に保持することで、その沈降を防ぐ効果を有する培地組成物、及びこれを用いた、細胞及び/又は組織を浮遊状態にて培養させることを特徴とする細胞及び/又は組織の培養方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
明細書に記載の発明。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、水への分散性を高めた多糖類等のナノファイバーを用いて、動植物細胞及び/又は組織を、特に三次元或いは浮遊状態にて培養するための培地組成物、及びその用途に関する。
続きを表示(約 3,800 文字)【背景技術】
【0002】
近年、動物や植物体内で異なった役割を果たしている様々な器官、組織、及び細胞を生体外にて増殖或いは維持させるための技術が発展してきている。これらの器官、組織を生体外にて増殖或いは維持することは、それぞれ器官培養、組織培養と呼ばれており、器官、組織から分離された細胞を生体外にて増殖、分化或いは維持することは細胞培養と呼ばれている。細胞培養は、分離した細胞を培地中で生体外にて増殖、分化或いは維持する技術であり、生体内の各種器官、組織、細胞の機能及び構造を詳細に解析するために不可欠なものとなっている。また、当該技術により培養された細胞及び/又は組織は、化学物質、医薬品等の薬効及び毒性評価や、酵素、細胞増殖因子、抗体等の有用物質の大量生産、疾患や欠損により失われた器官、組織、細胞を補う再生医療、植物の品種改良、遺伝子組み換え作物の作成等様々な分野で利用されている。
【0003】
動物由来の細胞は、その性状から浮遊細胞と接着細胞に大きく2分される。浮遊細胞は、生育・増殖に足場を必要としない細胞であり、接着細胞は、生育・増殖に足場を必要とする細胞であるが、生体を構成する大部分の細胞は後者の接着細胞である。接着細胞の培養方法としては、単層培養、分散培養、包埋培養、マイクロキャリア培養、及びスフェア培養等が知られている。
【0004】
単層培養は、ガラス或いは種々の表面処理を行った合成高分子材料から成る培養容器や、フィーダー細胞と呼ばれる補助的な細胞を足場として目的の細胞を単層状に培養する方法であり、最も一般的に普及している。例えば、ポリスチレンに対して種々の表面処理(プラズマ処理、コロナ処理等)を施したもの、コラーゲン、フィブロネクチン、ポリリジンなどの細胞接着因子をコーティングしたもの、或いはフィーダー細胞を予め播種したもの等、種々の形状又は性状の培養容器を用いた培養方法が開発されている。しかしながら、単層培養は、その二次元的培養環境が生体内での環境と全く異なるために細胞が生体内で有している特異的な機能を長期間維持することができない、生体内と同様な組織を再構築する事ができない、一定面積当たりの細胞数が制限されるため細胞の大量培養には向かない、等が問題となっている(特許文献1)。また、フィーダー細胞上にて目的の細胞を培養する方法は、フィーダー細胞と目的の細胞との分離が問題となる場合がある(非特許文献1)。
【0005】
分散培養は、培地中に細胞を播いた後、細胞の付着を阻害する表面処理を施した培養容器中にて、その培養液を撹拌し続けることにより細胞の培養容器への接着を阻害し、浮遊状態で接着細胞を培養する方法である。しかしながら、当該方法で培養される接着細胞は足場への接着ができないため、細胞増殖のために足場への接着を必須とする細胞には応用できない。また、せん断力で常時破砕されることにより本来の細胞機能を発揮できないため、機能を有する細胞を大量に培養することができない場合がある(非特許文献2)。
【0006】
包埋培養は、寒天、メチルセルロース、コラーゲンゲル、ゼラチン、フィブリン、アガロース、アルギン酸塩等の固形或いは半固体のゲル基材の中に細胞を埋め込み、固定させて培養する方法である。当該方法は、細胞を生体内に近い形で三次元的に培養することを可能とし、ゲル基材そのものが細胞の増殖や分化を促進する場合もあるため単層培養や分
散培養と比較して、細胞の機能を維持したまま細胞を高密度に培養することが可能である(特許文献2、3)。更に、これらのゲル基材に細胞を埋め込んだ状態で大きさ100~300μmのマイクロカプセルを作成し、当該マイクロカプセルを分散させながら水溶液培地で細胞を培養する方法も開発されている(非特許文献3)。しかしながら、これらの方法は、ゲル基材が可視光を透過しない場合は培養細胞の継時的な観察ができない、ゲル基材を含む培地やマイクロカプセルは粘度が高いため当該培地中から細胞を回収するために酵素処理(例えば、コラーゲンゲルの場合はコラゲナーゼ処理)等の煩雑かつ細胞に障害を与える操作を必要とする、長期間培養する際に必要な培地交換が困難である等の問題を有している。近年、熱やせん断力などの処理によりゲル基材から細胞回収が可能となる技術が開発されているが、熱やせん断力等は細胞機能に悪影響を与えることがある上に、当該ゲル基材の生体に対する安全性については未だ明らかにはなっていない(特許文献4、5、非特許文献4、5、6、7)。また、小さくカットした果実や野菜等の粒状食品を均一に分散、浮遊させ、その沈殿や浮上を防ぐためのゾル状食品が食品分野にて開発されているが、当該ゾル状食品は分散させた粒状食品を回収することは考慮しておらず、細胞や組織を浮遊状態で培養できるかどうかの検討もなされていない(特許文献6)。水溶液中のジェランがカルシウムイオンの作用によりゲル化し、微細構造を形成することが知られている(非特許文献8)。
【0007】
マイクロキャリア培養は、水よりも僅かに重い微粒子(以下、マイクロキャリアともいう)の表面上に細胞を単層に増殖させ、当該微粒子をフラスコ等の培養容器内で撹拌し、浮遊状態での培養を行うものである。通常、当該方法で用いるマイクロキャリアは、直径100~300μm、表面積3000~6000cm

/g、比重1.03~1.05の球状粒子であり、デキストラン、ゼラチン、アルギン酸あるいはポリスチレン等の素材により構成されている。マイクロキャリアの表面には細胞が付着しやすいように、コラーゲン、ゼラチンまたはジメチルアミノエチル等の荷電基を付与することもできる。当該方法は、培養面積を極めて増大させることが可能になるため、細胞の大量培養に応用されている(特許文献7、8)。しかしながら、全てのマイクロキャリアで目的とする細胞をほぼ均一に付着させることは困難であり、また、撹拌中のせん断力により細胞がマイクロキャリアから脱離する、細胞が障害を受ける等が問題となっている(非特許文献9)。
【0008】
スフェア培養は、目的の細胞が、数十~数百個から成る凝集塊(以下、スフェアともいう)を形成させた後、当該凝集塊を培地中で静置或いは振とうして培養する方法である。スフェアは、細胞密度が高く、生体内環境に近い細胞-細胞間相互作用及び細胞構造体が再構築されており、単層培養、分散培養法よりも細胞機能を長期的に維持したまま培養できることが知られている(非特許文献10、11)。しかしながら、スフェア培養は、スフェアのサイズが大きすぎる場合、スフェア内部の栄養分の供給と老廃物の排出が困難となるため、大きなスフェアを形成させることができない。また、形成したスフェアは培養容器の底面において分散状態で培養する必要があるため、一定体積あたりのスフェア数を増やすことが困難であり、大量培養には向かない。さらに、スフェアの作成方法としては、懸滴培養、細胞非接着表面での培養、マイクロウェル内での培養、回転培養、細胞の足場を利用した培養、遠心力や超音波、電場・磁場による凝集などが知られているが、これらの方法は操作が煩雑、スフェアの回収が困難、サイズの制御と大量生産が困難、細胞に対する影響が不明、特殊な専用容器や装置が必要である等が問題となっている(特許文献9)。
【0009】
一方、植物に関しても細胞、細胞壁を除去したプロトプラストあるいは植物の葉、茎、根、成長点、種子、胚、花粉などの器官、組織、カルスを無菌の状態で培養して増やすことができる。このような植物の組織や細胞の培養技術を用いて、植物の品種改良や有用物質生産も可能となっている。植物の細胞や組織を短期間で大量に増殖させるための手法として、植物細胞や組織を液体培地で懸濁培養する方法が知られている(非特許文献12)
。それらの良好な増殖を達成するためには、十分な酸素の供給と均一な混合状態の維持、さらに細胞の破損を防ぐ等が重要である。培養液への酸素の供給と細胞や組織の懸濁は、通気と機械的攪拌とを組み合わせて行なわれる場合と、通気のみにより行なわれる場合とがあるが、前者は、攪拌による細胞や組織の破損が原因で増殖不良を招く場合があり、一方、後者は細胞や組織のせん断は少ないが、高密度培養では均一な混合状態を維持することが困難となる場合があるため、細胞や組織が沈降して増殖効率が低下する等の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
特開2001-128660号公報
特開昭62-171680号公報
特開昭63-209581号公報
特開2009-29967号公報
特開2005-60570号公報
特開平8-23893号公報
特開2004-236553号公報
国際公開第2010/059775号
特開2012-65555号公報
【非特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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