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公開番号2025073083
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-12
出願番号2024180690
出願日2024-10-16
発明の名称黒鉛材料及びその製造方法、リチウムイオン二次電池用負極、並びに、リチウムイオン二次電池
出願人JFEケミカル株式会社
代理人個人,個人
主分類C01B 32/20 20170101AFI20250501BHJP(無機化学)
要約【課題】リチウムイオン二次電池の負極に用いたときに高い初回充放電効率と優れた低温入出力特性を示す黒鉛材料を提供することにある。
【解決手段】体積基準平均粒径が15.0μm以下であり、水銀圧入法によって求めた細孔径0.002~2μmの範囲の細孔容積が0.100ml/g超であり、窒素ガス吸着法によって求めた細孔径2~10nmの範囲の細孔容積が0.0030ml/g以下である、黒鉛材料。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
体積基準平均粒径が15.0μm以下であり、
水銀圧入法によって求めた細孔径0.002~2μmの範囲の細孔容積が0.100ml/g超であり、
窒素ガス吸着法によって求めた細孔径2~10nmの範囲の細孔容積が0.0030ml/g以下である、黒鉛材料。
続きを表示(約 990 文字)【請求項2】
窒素ガス吸着法によって求めた細孔径2~4nmの範囲の細孔容積が0.0022ml/g以下である、請求項1に記載の黒鉛材料。
【請求項3】
水銀圧入法によって求めた細孔径0.01~1μmの範囲の細孔容積が0.07ml/g以下である請求項1に記載の黒鉛材料。
【請求項4】
ラマンR値が0.010~0.060であり、
X線回折法により求められる、格子面である(002)面の平均面間隔(d
002
値)が、0.3360nm以下である、請求項1に記載の黒鉛材料。
【請求項5】
比表面積が1.0~4.0m

/gである、請求項1に記載の黒鉛材料。
【請求項6】
タップ密度が0.80~1.20g/cm

である、請求項1に記載の黒鉛材料。
【請求項7】
前記黒鉛材料が、コークス黒鉛化物と天然黒鉛との造粒物の表面の少なくとも一部に黒鉛質被覆を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の黒鉛材料。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載の黒鉛材料を製造するための方法であって、
コークス、天然黒鉛および黒鉛質前駆体を混合し、造粒する、造粒工程と、
前記造粒工程で得られた造粒物を加熱することで、前記コークスをコークス黒鉛化物にし、前記黒鉛質前駆体を黒鉛質にする、黒鉛化工程とを有する、黒鉛材料の製造方法。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか1項に記載の黒鉛材料を製造するための方法であって、
コークス、天然黒鉛および黒鉛質前駆体を混合し、造粒することで、前記コークスと前記天然黒鉛との造粒物の表面の少なくとも一部に前記黒鉛質前駆体の被覆を有する造粒物を得る、造粒工程と、
前記造粒工程で得られた造粒物を加熱することで、前記コークスをコークス黒鉛化物にし、前記黒鉛質前駆体を黒鉛質にして、コークス黒鉛化物と天然黒鉛との造粒物の表面の少なくとも一部に黒鉛質被覆を有する黒鉛材料を得る、黒鉛化工程とを有する、黒鉛材料の製造方法。
【請求項10】
前記コークスが石炭コークスである請求項9に記載の黒鉛材料の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、黒鉛材料及びその製造方法、リチウムイオン二次電池用負極、並びに、リチウムイオン二次電池に関する。
続きを表示(約 4,100 文字)【背景技術】
【0002】
様々な二次電池の中でも、リチウムイオン電池は、体積・重量エネルギー密度や動作電圧が高く、サイクル特性や大電流充放電性能が良好であることが知られており、携帯機器や電気工具など幅広い分野で活用されている。
リチウムイオン二次電池用の負極材料として最も広く使用されているのは黒鉛系材料である。黒鉛系材料は、天然黒鉛と人造黒鉛とに大別される。人造黒鉛は、主に石油系や石炭系のコークスが用いられる。コークス系黒鉛は、コークス原料を粉砕しそのまま黒鉛化したものや、造粒や表面改質を組み合わせることで作製される。一方、天然黒鉛は鱗片状に粉砕したものに対し、造粒や球形化、被覆焼成を組み合わせることで作製される。
近年、電気自動車の航続距離延伸に伴い、さらなる高容量かつ初回充放電効率が高いリチウムイオン電池の需要が高まっている。一方、高容量化のために負極を高密度化すると、負極合材層内の空隙がなくなり電解液が浸透しづらくなる。特に寒冷地では電解液が負極材合材層に十分に浸透せず、入出力特性が低下する傾向にある。
この問題を解決するために、例えば特許文献1には、鱗片状天然黒鉛に機械的な処理を施すことで球形化した天然黒鉛が示されている。鱗片状天然黒鉛の球形化処理により、細孔径2~4nmの範囲の細孔容積を大きくし電解液の浸透を促進させることで、低温入出力特性を向上させている。
特許文献2には、特許文献1と同様に、鱗片状天然黒鉛に機械的な処理を施すことで、球形化した天然黒鉛が示されている。体積基準平均粒子径と、細孔径0.01~1μm以下の範囲における細孔容積とモード細孔径を適切に制御することで、適度に緻密な粒子内空隙構造を形成させることにより、電解液が粒子内部にスムーズかつ効率的に行き渡り、低温入出力特性を向上させている。
特許文献3には、球形化天然黒鉛に対し、等方性加圧処理を施した天然黒鉛が示されている。圧縮処理により、細孔径2~2000nmの範囲の細孔容積を小さくすることで負極作成時に使用する有機系結着剤が細孔内に入り込むことを防ぎ、導電性を確保することで急速充電特性を向上させている。
特許文献4及び特許文献5には、コークスを粉砕・分級し、空気を吹き込みながら黒鉛化した人造黒鉛が示されている。黒鉛化工程でコークスの表面を酸化させることで、細孔径0.4μm以下の範囲の細孔容積を一定の範囲に制御し、高速充放電性能を向上させている。
特許文献6には、鱗片状天然黒鉛及び/又は人造黒鉛と炭素質前駆体を混練成形し、黒鉛化した黒鉛粉末Aと、球状天然黒鉛をピッチで被覆焼成し、黒鉛化した黒鉛粉末Bを任意の割合で混合した負極活物質が示されている。高密度化と電解液浸透性を両立することで不可逆反応を抑制し、サイクル特性を向上させている。
特許文献7及び特許文献8には、コークス粉末と炭素質前駆体と黒鉛化触媒を混練成形し黒鉛化した人造黒鉛が示されている。黒鉛化触媒の効果により粒子内に大きな空隙を生成し、細孔径0.10~8.0μmの範囲の細孔容積を大きくすることで、高密度化と電解液浸透性を両立しながら高負荷特性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2016-186916号公報
特開2016-178074号公報
特開2015-181116号公報
国際公開第2015/182560号
国際公開第2016/129557号
特開2010-92649号公報
国際公開第2021/044482号
国際公開第2015/147012号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2は、細孔容積が大きいため電解液の浸透がしやすい一方、反応性の高いグラファイトのエッジ面に電解液が分解される副反応も増加するため、初回充放電効率の低下や、ガス発生の懸念がある。
特許文献3は、加圧処理により粒子内空隙がなくなることで、粒子内へ電解液が浸透しづらくなり、粒子内のLiイオン挿入脱離サイトを効率的に利用できなくなるため、低温入出力特性が不十分な可能性がある。
特許文献4及び5は、コークスの酸化反応により細孔容積を増加させているものの、特許文献1乃至2に示されるような天然黒鉛よりは細孔容積が小さいため、特許文献3に示すような加圧処理を施した天然黒鉛と同等の細孔容積となり、低温入出力特性が不十分な可能性がある。
特許文献6は、コークス粉末と鱗片状天然黒鉛の複合粒子の平均粒径が大きく、BET比表面積も大きい。これらのことから、粒子内のナノ細孔容積(細孔径が2~10nmの細孔容積)も大きく、電解液の副反応が進行し初期充放電効率が低下する可能性がある。
特許文献7及び特許文献8は、粒子内部に添着された黒鉛化触媒が黒鉛化により揮発することで、粒子内部のナノ細孔(細孔径が2~10nmの細孔)が多数生成している。従ってこれらの細孔内での電解液の副反応の進行により初期充放電効率が低下する可能性がある。
【0005】
本発明は、かかる背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、リチウムイオン二次電池の負極に用いたときに高い初回充放電効率と優れた低温入出力特性を示す黒鉛材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討した結果、下記構成を採用することにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
(1) 体積基準平均粒径が15.0μm以下であり、
水銀圧入法によって求めた細孔径0.002~2μmの範囲の細孔容積が0.100ml/g超であり、
窒素ガス吸着法によって求めた細孔径2~10nmの範囲の細孔容積が0.0030ml/g以下である、黒鉛材料。
(2) 窒素ガス吸着法によって求めた細孔径2~4nmの範囲の細孔容積が0.0022ml/g以下である、上記(1)に記載の黒鉛材料。
(3) 水銀圧入法によって求めた細孔径0.01~1μmの範囲の細孔容積が0.07ml/g以下である上記(1)又は(2)に記載の黒鉛材料。
(4) ラマンR値が0.010~0.060であり、
X線回折法により求められる、格子面である(002)面の平均面間隔(d
002
値)が、0.3360nm以下である、上記(1)~(3)のいずれかに記載の黒鉛材料。
(5) 比表面積が1.0~4.0m

/gである、上記(1)~(4)のいずれかに記載の黒鉛材料。
(6) タップ密度が0.80~1.20g/cm

である、上記(1)~(5)のいずれかに記載の黒鉛材料。
(7) 上記黒鉛材料が、コークス黒鉛化物と天然黒鉛との造粒物の表面の少なくとも一部に黒鉛質被覆を有する、上記(1)~(6)のいずれかに記載の黒鉛材料。
(8) 上記(1)~(7)のいずれかに記載の黒鉛材料を製造するための方法であって、
コークス、天然黒鉛および黒鉛質前駆体を混合し、造粒する、造粒工程と、
上記造粒工程で得られた造粒物を加熱することで、上記コークスをコークス黒鉛化物にし、上記黒鉛質前駆体を黒鉛質にする、黒鉛化工程とを有する、黒鉛材料の製造方法。
(9) 上記(1)~(7)のいずれかに記載の黒鉛材料を製造するための方法であって、
コークス、天然黒鉛および黒鉛質前駆体を混合し、造粒することで、上記コークスと上記天然黒鉛との造粒物の表面の少なくとも一部に上記黒鉛質前駆体の被覆を有する造粒物を得る、造粒工程と、
上記造粒工程で得られた造粒物を加熱することで、上記コークスをコークス黒鉛化物にし、上記黒鉛質前駆体を黒鉛質にして、コークス黒鉛化物と天然黒鉛との造粒物の表面の少なくとも一部に黒鉛質被覆を有する黒鉛材料を得る、黒鉛化工程とを有する、黒鉛材料の製造方法。
(10) 上記コークスが石炭コークスである上記(8)又は(9)に記載の黒鉛材料の製造方法。
(11) 上記(1)~(7)のいずれかに記載の黒鉛材料を含有する、リチウムイオン二次電池用負極。
(12) 上記(11)に記載の負極を有する、リチウムイオン二次電池。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、リチウムイオン二次電池の負極に用いたときに高い初回充放電効率と優れた低温入出力特性を示す黒鉛材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
ボタン型二次電池を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の黒鉛材料及びその製造方法、リチウムイオン二次電池用負極、並びに、リチウムイオン二次電池について説明する。
なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、各成分は、1種を単独でも用いても、2種以上を併用してもよい。ここで、各成分について2種以上を併用する場合、その成分について含有量とは、特段の断りが無い限り、合計の含有量を指す。
また、リチウムイオン二次電池の負極に用いたときに高い初期充放電効率と優れた低温入出力特性を示すことを、単に「本発明の効果が優れる」とも言う。
(【0011】以降は省略されています)

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