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公開番号
2025093249
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-06-23
出願番号
2023208875
出願日
2023-12-11
発明の名称
電界紡糸用溶液
出願人
花王株式会社
代理人
弁理士法人南青山国際特許事務所
主分類
D01D
1/02 20060101AFI20250616BHJP(天然または人造の糸または繊維;紡績)
要約
【課題】環境負荷を低減でき、かつ、刺激臭の少ない繊維を良好に安定的に電界紡糸することを可能にする電界紡糸用溶液を提供する。
【解決手段】電界紡糸に用いる溶液であって、エチルセルロース、エタノール及び水を含み、前記溶液の全質量に対する前記エチルセルロースの含有量が4質量%以上であり、前記溶液の全質量に対する、前記エタノールと前記水との含有量の比(水/エタノール)が0.1超0.55未満であり、前記溶液の全質量に対する酢酸の含有量が1質量%以下である電界紡糸用溶液。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
電界紡糸に用いる溶液であって、
エチルセルロース、エタノール及び水を含み、
前記溶液の全質量に対する前記エチルセルロースの含有量が4質量%以上であり、
前記溶液の全質量に対する、前記エタノールと前記水との含有量の比(水/エタノール)が0.1超0.55未満であり、
前記溶液の全質量に対する酢酸の含有量が1質量%以下である電界紡糸用溶液。
続きを表示(約 540 文字)
【請求項2】
前記溶液の全質量に対する、前記エタノールと前記水との含有量の比(水/エタノール)が0.25超である、請求項1記載の電界紡糸用溶液。
【請求項3】
グリコール溶剤を含む請求項1又は2に記載の電界紡糸用溶液。
【請求項4】
前記グリコール溶剤が、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、1,3ブタンジオール、1,3プロパンジオールから選ばれる1種又は2種以上を含む、請求項3記載の電界紡糸用溶液。
【請求項5】
前記溶液の全質量に対する前記エチルセルロースの含有量が8質量%以上である、請求項1又は2に記載の電界紡糸用溶液。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の電界紡糸用溶液を用いて電界紡糸を行い、皮膜形成対象物の表面に繊維を含む堆積物からなる皮膜を形成する、皮膜の製造方法。
【請求項7】
前記皮膜形成対象物が皮膚である、請求項5記載の皮膜の製造方法。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の電界紡糸用溶液を原料液として電界紡糸法により、前記原料液から生じた繊維を堆積させる繊維シートの製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界紡糸用溶液に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)
【背景技術】
【0002】
皮膜や繊維の製造方法として、電界紡糸法(エレクトロスピニング法)が知られている。該電界紡糸法では、紡糸の原料液(樹脂の溶液又は溶融液)に高電圧を作用させて、極細繊維(例えばナノメートルオーダーの繊維(ナノファイバともいう))を紡糸できる。これを堆積させて皮膜や繊維シートを形成する。このような電界紡糸法に関する技術について、これまでいくつかの提案がなされてきた。
【0003】
例えば、特許文献1では、繊維形成親水性ポリマーのアルコール溶液を撹拌しながら、生体接着物質の水溶液を可塑して均一な懸濁液を形成し、該懸濁液を電界紡糸する技術が記載されている。前記生体接着物質はアルコールよりも水への溶解性が高いものとし予め水に溶解させておくことで、前記生体接着物質が粒子として均一に分布する繊維を形成しようとしている。そのため、前記生体接着物質を溶解させるに十分な水が必要であり、例えば、水とアルコールの含有質量割合はほぼ同等にすることが記載されている。その一方で、前記繊維形成親水性ポリマーの水膨潤を制御することが必要であり、エタノール及び水の溶液を混合したすぐ後(30分~1時間以内)に紡糸プロセスを開始することが企図されている。
【0004】
特許文献2には、電界紡糸法により外層紡糸液、中間層紡糸液、外層紡糸液から3層重ね合わせた多層電界紡糸食品包装フィルムを製造する技術が記載されている。前記中間層紡糸液は、ゼラチン等の天然高分子物質をエタノールなどの溶媒Aに溶解させたものであり、前記外層紡糸液は、エチルセルロース等のセルロース誘導体をエタノール、水及び酢酸を含む溶媒Bに溶解させたものである。前記溶媒Bに関し、酢酸:エタノール:水=7:2:1(v/v/v)の体積比とすることが記載されている。
非特許文献1には、水/エタノール/酢酸の溶媒にエチルセルロース/ゼラチンブレンドを溶解させた溶液から電界紡糸法により複合ナノファイバを紡糸する技術が記載されている。前記溶媒に関し、水/エタノール/酢酸=2/2/6(v/v/v)の体積比とすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特表2020-506307号公報
中国特許出願公開第109610094号明細書
【非特許文献】
【0006】
Yuyu Liu, Lingli Deng, Cen Zhang, Fengqin Feng, and Hui Zhang、“Tunable Physical Properties of Ethylcellulose/Gelatin Composite Nanofibers by Electrospinning”、JOURNAL OF AGRICULTURAL AND FOOD CHEMISTRY、(米)、American Chemical Society、2018、66、p.1907-1915
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の電界紡糸法で得られる繊維は、繊維径の細さに由来する液保持性の高さや高密着特性などから、例えば化粧品のシートマスクなどに応用される。一方で、従来の電界紡糸法にて製造される繊維は石油由来のポリマー樹脂と肌刺激性の高い有機溶媒とを用いてなされることが多かった。しかし、該繊維は、前記用途が示すように人々が日常生活の中で触れる機会も多くなり、近年高まる環境保護の観点から、環境負荷の低減が強く求められるようになってきた。
この点、特許文献1記載の技術では、エチルセルロースなど環境対応型原料を含み得るとしながらも、実際には前記エチルセルロースを用いて行う紡糸の実施例は示されていない。
特許文献2及び非特許文献1記載の技術では、エチルセルロースに対して酢酸を多量に用いている。そのため、得られる繊維は酢酸臭が強くなってしまい、例えば化粧品のマスクシートなど人の肌に適用する材料とするには難がある。この点、特許文献2では食品包装フィルムに用い、非特許文献1では食品包装や濾過用途などに用いることが記載されており、人の肌に適用する際の臭いを低減することに関する記載は無い。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑み、環境負荷を低減でき、かつ、刺激臭の少ない繊維を良好に安定的に電界紡糸することを可能にする電界紡糸用溶液の提供に関する。
また、本発明は、前記電界紡糸用溶液を用いて、環境負荷を低減でき、かつ、刺激臭が少なく、一枚膜としての一体性に優れ継続使用性の良い皮膜及び繊維シートの製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、電界紡糸に用いる溶液であって、エチルセルロース、エタノール及び水を含み、前記溶液の全質量に対する前記エチルセルロースの含有量が4質量%以上であり、前記溶液の全質量に対する、前記エタノールと前記水との含有量の比(水/エタノール)が0.1超0.55未満であり、前記溶液の全質量に対する酢酸の含有量が1%質量以下である電界紡糸用溶液を提供する。
【0010】
また、本発明は、前記電界紡糸用溶液を用いて電界紡糸を行い、皮膜形成対象物の表面に繊維を含む堆積物からなる皮膜を形成する、皮膜の製造方法を提供する。
更に、本発明は、前記電界紡糸用溶液を原料液として電界紡糸法により、前記原料液から生じた繊維を堆積させる繊維シートの製造方法を提供する。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
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