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公開番号2025065051
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-17
出願番号2024172831
出願日2024-10-01
発明の名称フィルム、フィルムの製造方法、複合体および絶縁部材
出願人AGC株式会社
代理人弁理士法人志賀国際特許事務所
主分類C08J 5/18 20060101AFI20250410BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】本発明は、柔軟性に優れ、実用上充分な耐熱性を具備したフィルムおよびその用途を提供する。
【解決手段】本発明のフィルムは、熱可塑性樹脂Aと含フッ素エラストマーBを含有する樹脂組成物から形成され、熱可塑性樹脂Aは特定の群から選ばれる少なくとも1種以上であり、熱可塑性樹脂Aと含フッ素エラストマーBとの体積比が、99:1~50:50であり、熱可塑性樹脂A中に含フッ素エラストマーBが分散し、引張弾性率が、3600MPa以下であり、下式Xで求める寸法変化率が、2%以下である。
寸法変化率(%)=(1-(L1/L0))×100 ・・・式X
式X中、L0は前記フィルムのMD方向の長さであり、L1は、前記フィルムを温度200℃で1時間放置した後の前記フィルムの前記MD方向の長さである。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
樹脂組成物から形成されたフィルムであって、
前記樹脂組成物は、熱可塑性樹脂Aと、含フッ素エラストマーBとを含有し、
前記熱可塑性樹脂Aは、ポリアリレー卜、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、芳香族ポリエーテルアミド、芳香族ポリエーテルイミド、ポリアリーレンスルフィド、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミドイミドおよび液晶ポリエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の、溶融成形可能な熱可塑性耐熱樹脂であり、
前記熱可塑性樹脂Aと前記含フッ素エラストマーBとの体積比が、99:1~50:50であり、
前記熱可塑性樹脂A中に前記含フッ素エラストマーBが分散し、
引張弾性率が、3600MPa以下であり、
下式Xで求める寸法変化率が、2%以下である、フィルム。
寸法変化率(%)=(1-(L

/L

))×100 ・・・式X
式中、L

は前記フィルムのMD方向の長さであり、L

は、前記フィルムを温度200℃で1時間放置した後の前記フィルムの前記MD方向の長さである。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
結晶化度が、10%以上である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂Aが、ポリアリーレンスルフィドおよびポリアリールエーテルケトンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項4】
前記含フッ素エラストマーBが、末端官能基を有する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項5】
前記末端官能基が、ヨウ素原子、エポキシ基および酸無水物基からなる群から選ばれる少なくとも1種以上である、請求項4に記載のフィルム。
【請求項6】
前記熱可塑性樹脂Aが、ポリアリーレンスルフィドであり、
前記含フッ素エラストマーBの平均分散粒子径が、5.0μm未満である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項7】
樹脂組成物を成形するフィルムの製造方法であって、
前記樹脂組成物は、熱可塑性樹脂Aと、含フッ素エラストマーBとを含有し、
前記熱可塑性樹脂Aは、ポリアリレー卜、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、芳香族ポリエーテルアミド、芳香族ポリエーテルイミド、ポリアリーレンスルフィド、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミドイミドおよび液晶ポリエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の、溶融成形可能な熱可塑性耐熱樹脂であり、
前記熱可塑性樹脂Aと前記含フッ素エラストマーBとの前記樹脂組成物における体積比が、99:1~50:50であり、
前記樹脂組成物の前記熱可塑性樹脂A中に前記含フッ素エラストマーBが分散し、
前記フィルムの引張弾性率が、3600MPa以下であり、
前記樹脂組成物を成形した後に、150℃以上で冷却することを特徴とする、フィルムの製造方法。
【請求項8】
押出成形法によって前記樹脂組成物を成形する、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記熱可塑性樹脂Aが、ポリアリーレンスルフィドおよびポリアリールエーテルケトンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である、請求項7に記載の製造方法。
【請求項10】
前記含フッ素エラストマーBが、末端官能基を有する、請求項7に記載の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム、フィルムの製造方法、複合体および絶縁部材に関する。
続きを表示(約 3,900 文字)【背景技術】
【0002】
ポリアリールエーテルケトン、ポリアリーレンスルフィドのようなエンジニアリングプラスチックは、フィルム等の材料として様々な分野で広く用いられている。かかるエンジニアリングプラスチックから得られる成形体の性能の改良が従来試みられている。
例えば、特許文献1では、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)および含フッ素共重合体(II)を含む樹脂組成物からなるフィルムであって、前記含フッ素共重合体(II)は、5.0μm以下の平均分散粒子径で分散相を形成しており、前記芳香族ポリエーテルケトン樹脂(I)は、結晶化度が6%未満であることを特徴とするフィルムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
国際公開第2022/030410号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、本発明者の検討によれば、特許文献1の樹脂組成物においては、フッ素樹脂が配合されているため、柔軟性が良好なフィルムが得られない。柔軟性が不足したフィルムは、折り曲げたときの折り目で割れることがある。
加えて、フィルムにはその用途によっては、実用上充分な耐熱性を具備することが求められる。
【0005】
本発明は、柔軟性に優れ、実用上充分な耐熱性を具備したフィルムおよびその用途を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記の態様を有する。
[1]樹脂組成物から形成されたフィルムであって、
前記樹脂組成物は、熱可塑性樹脂Aと、含フッ素エラストマーBとを含有し、
前記熱可塑性樹脂Aは、ポリアリレー卜、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、芳香族ポリエーテルアミド、芳香族ポリエーテルイミド、ポリアリーレンスルフィド、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミドイミドおよび液晶ポリエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の、溶融成形可能な熱可塑性耐熱樹脂であり、
前記熱可塑性樹脂Aと前記含フッ素エラストマーBとの体積比が、99:1~50:50であり、
前記熱可塑性樹脂A中に前記含フッ素エラストマーBが分散し、
引張弾性率が、3600MPa以下であり、
下式Xで求める寸法変化率が、2%以下である、フィルム。
寸法変化率(%)=(1-(L

/L

))×100 ・・・式X
式中、L

は前記フィルムのMD方向の長さであり、L

は、前記フィルムを温度200℃で1時間放置した後の前記フィルムの前記MD方向の長さである。
[2]結晶化度が、10%以上である、[1]に記載のフィルム。
[3]前記熱可塑性樹脂Aが、ポリアリーレンスルフィドおよびポリアリールエーテルケトンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である、[1]または[2]に記載のフィルム。
[4]前記含フッ素エラストマーBが、末端官能基を有する、[1]~[3]のいずれかに記載のフィルム。
[5]前記末端官能基が、ヨウ素原子、エポキシ基および酸無水物基からなる群から選ばれる少なくとも1種以上である、[4]に記載のフィルム。
[6]前記熱可塑性樹脂Aが、ポリアリーレンスルフィドであり、
前記含フッ素エラストマーBの平均分散粒子径が、5.0μm未満である、[1]~[5]のいずれかに記載のフィルム。
[7]樹脂組成物を成形するフィルムの製造方法であって、
前記樹脂組成物は、熱可塑性樹脂Aと、含フッ素エラストマーBとを含有し、
前記熱可塑性樹脂Aは、ポリアリレー卜、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、芳香族ポリエーテルアミド、芳香族ポリエーテルイミド、ポリアリーレンスルフィド、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミドイミドおよび液晶ポリエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の、溶融成形可能な熱可塑性耐熱樹脂であり、
前記熱可塑性樹脂Aと前記含フッ素エラストマーBとの前記樹脂組成物における体積比が、99:1~50:50であり、
前記樹脂組成物の前記熱可塑性樹脂A中に前記含フッ素エラストマーBが分散し、
前記フィルムの引張弾性率が、3600MPa以下であり、
前記樹脂組成物を成形した後に、150℃以上で冷却することを特徴とする、フィルムの製造方法。
[8]押出成形法によって前記樹脂組成物を成形する、[7]に記載の製造方法。
[9]前記熱可塑性樹脂Aが、ポリアリーレンスルフィドおよびポリアリールエーテルケトンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である、[7]または[8]に記載の製造方法。
[10]前記含フッ素エラストマーBが、末端官能基を有する、[7]~[9]のいずれかに記載の製造方法。
[11]前記末端官能基が、ヨウ素原子、エポキシ基および酸無水物基からなる群から選ばれる少なくとも1種以上である、[10]に記載の製造方法。
[12][1]~[6]のいずれかに記載のフィルムと、前記フィルム以外の他材料とを備え、
前記フィルムと前記他材料が複合化または積層化された、複合体。
[13][1]~[6]のいずれかに記載のフィルムを備えた、絶縁部材。
[14]電気自動車用である、[13]に記載の絶縁部材。
【発明の効果】
【0007】
本発明のフィルムは柔軟性に優れ、実用上充分な耐熱性を具備する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
用語の意味は、以下の通りである。
熱可塑性樹脂Aまたは含フッ素エラストマーBの「体積」は、熱可塑性樹脂Aまたは含フッ素エラストマーBの質量(g)をその比重(g/cm

)で除して算出される値である。
熱可塑性樹脂Aまたは含フッ素エラストマーBの「比重」は、水中置換(懸架)方法によって測定される23℃における値である。
含フッ素エラストマーBの「平均分散粒子径」は、樹脂組成物またはフィルムを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、無作為に選んだ100個のドメイン(分散粒子)の最大径の計測値を算術平均した値である。
含フッ素エラストマーBの「数平均粒子径」は、光学顕微鏡観察において無作為に選んだ100個の各粒子の最大直径の平均値である。
「溶融粘度」は、実施例に記載の方法によって求める。溶融粘度の測定条件は温度:320℃、せん断速度:122s
-1
である。
「高分子鎖の末端」とは、主鎖の末端および分岐鎖の末端の両方を含む概念である。
「主鎖」とは、鎖式化合物の主要な炭素鎖を指し、炭素数が最大となる幹部分のことを意味する。
「酸無水物基」とは、-C(=O)-O-C(=O)-で表される基を意味する。
含フッ素エラストマーBの「フッ素含有量」は、含フッ素エラストマーBを構成するすべての原子の総質量に対するフッ素原子の質量の割合を示す。フッ素含有量は、溶融NMR測定および全フッ素含有量測定によって求めた含フッ素エラストマーB中の各単位のモル比から算出される。
「貯蔵弾性率G’」は、ASTM D6204に準拠して100℃、50cpmの条件で測定される値である。
「ムーニー粘度(ML
1+10
,121℃)」は、JIS K6300-1:2000(対応国際規格ISO 289-1:2005、ISO 289-2:1994)に準拠して121℃で測定される値である。
「寸法変化率」は、実施例に記載の方法によって求める。
「結晶化度」は、実施例に記載の方法によって求める。
「引張弾性率」、「破断点応力」、「破断点伸度」は、実施例に記載の方法によって求める。
「絶縁破壊電圧」は、実施例に記載の方法によって求める。
【0009】
「単量体」とは、重合性炭素-炭素二重結合を有する化合物を意味する。
「単量体に基づく単位」は、単量体1分子が重合して直接形成される原子団と、該原子団の一部を化学変換して得られる原子団との総称である。
単量体に基づく単位を、単に、「単量体単位」と記す。例えば、エチレンに基づく単位を「エチレン単位」と記す。
式aで表される単位を「単位a」と記す。他の式で表される単位も同様に記す。
式1で表される化合物を「化合物1」と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。
数値範囲を示す「~」は、~の前後に記載された数値を下限値および上限値として含むことを意味する。
本明細書に開示の数値範囲は、その下限値および上限値を任意に組み合わせて新たな数値範囲とすることができる。
【0010】
[フィルム]
本発明のフィルムの下式Xで求める寸法変化率は、2%以下である。そのため、フィルムは実用上充分な耐熱性を具備する。
寸法変化率(%)=(1-(L

/L

))×100 ・・・式X
(【0011】以降は省略されています)

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