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公開番号
2025071320
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-05-02
出願番号
2025028747,2021527635
出願日
2025-02-26,2020-06-23
発明の名称
Nε-長鎖アシルリジン結晶の製造方法及びその結晶を含有する組成物
出願人
味の素株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C07C
233/47 20060101AFI20250424BHJP(有機化学)
要約
【課題】粉体の柔らかい感触を向上させながら粉体に撥水性と撥油性の機能を付与でき、安価に生産できる技術を得ること。
【解決手段】水溶性有機溶媒から選ばれる1種以上及び/または水を含む酸性または塩基性溶媒に、1種類以上のN
ε
-長鎖アシルリジンが溶解している溶液を用意し、前記溶液を20℃以下の温度にてpH0.2以上かつpH2.0より低い酸性溶液に滴下してN
ε
-長鎖アシルリジン結晶を晶析させることを含む非粉砕のN
ε
-長鎖アシルリジン結晶の製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
個数基準分布の90%粒子径D90が2.8μm以下であるN
ε
-ラウロイルリジン結晶又はN
ε
-オクタノイルリジン及びN
ε
-ラウロイルリジン混合結晶。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、N
ε
-長鎖アシルリジン結晶の製造方法及びその結晶を含有する組成物に関する。
続きを表示(約 5,300 文字)
【背景技術】
【0002】
撥水性と撥油性の性能を同時に発揮できる粉体原料は化粧品や様々な工業用途で重要である。しかし、これらの機能を同時に発揮できる、安価でかつ環境的にも負荷の少ない粉体原料を得ることは難しいとされてきた。
例えば、タルク、マイカ、セリサイト、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、窒化ホウ素、シリカ、合成金雲母(合成マイカ)などの無機粉体や、スターチ、セルロース、脂肪酸塩、竹や木の粉末などの有機粉体は、滑沢性の付与、隠蔽力の向上、着色、光の吸収や散乱の目的で使用されている。一般的に、粉体表面には極性の高い官能基が存在するため、粉体は水などの極性の高い溶媒に濡れやすい。しかし、このような粉体を化粧品に使用した場合には、汗などで濡れてしまうため、化粧のくすみ、変色の原因となる。また、汗で流れてしまい、化粧崩れも起こす。工業用途においても、これらの粉体を含有するペイントやインクなどは、水や雨に濡れ、流れてしまうこと、機械などの滑沢剤として使用される場合は、十分な滑沢性が発揮されないなどの課題があった。
また、一般的な粉体は撥油性にも優れていないため、化粧品などに使用されると、皮脂などで粉体表面が濡れてしまい、ファンデーションなどの化粧品の変色やくすみの原因となる(特開2010-242026号公報)。また、油を吸収することで化粧崩れを引き起こす。工業用途においても、滑沢剤として使用される場合は、機械の油を吸収し、高粘度の泥のような汚れを作り出すといった問題点があった。
【0003】
このような課題を解決するために、水にも油にも溶解しないフッ素含有分子で粉体表面を処理する技術が開発されている。フッ素含有分子で表面処理された粉体は撥水性と撥油性に優れた性能を示すが、不純物として過フッ素化合物や低分子量フッ素化合物が存在するため、環境や人体への蓄積や毒性の問題が指摘されている。また、フッ素含有分子で表面処理された粉体は肌なじみが悪く、化粧もちや使用感に優れないという課題がある。更に、フッ素含有分子で表面処理された粉体は、水の存在下で、その撥油性が極めて低下するため、化粧品で使用される際、汗と皮脂に濡れてしまうという課題があった。
【0004】
水には分散せず油にも溶解しない上に、環境に蓄積されないアミノ酸由来の原料であるN
ε
-ラウロイルリジン結晶を粉体表面に付着させ、粉体にN
ε
-ラウロイルリジン結晶の機能を付与することについての検討がされている。粉体の表面がN
ε
-ラウロイルリジン結晶でもれなく覆われることが重要である。しかし、一般的な粉体の90%粒子径D90(個数基準分布)が20μm以下であることが多いに対して、市販されているN
ε
-ラウロイルリジン結晶(味の素株式会社製「アミホープLL」)の90%粒子径D90(個数基準分布)は15.7μmであり、体積基準分布のメジアン径及び平均粒子径はそれぞれ14.3μm及び15.3μmである。また、N
ε
-オクタノイルリジン結晶(味の素株式会社製「アミホープ」OL)の体積基準分布のメジアン径は20μmである。これらの結晶は、粒子径が小さい結晶をほとんど含まないため、DLVO理論より、単純に混合することで一般的な粉体がN
ε
-ラウロイルリジン結晶又はN
ε
-オクタノイルリジン結晶によって安定に被覆されることは難しい。例えば、粉体をN
ε
-ラウロイルリジン結晶と単純に混合し、粉体表面をN
ε
-ラウロイルリジン結晶で処理する簡便な乾式処理法が知られている(国際公開第2011/025252号)。しかし、この方法では、N
ε
-ラウロイルリジン結晶の被覆率が悪く、結果的に十分に優れた撥水性と撥油性は実現できなかった。
【0005】
また、N
ε
-ラウロイルリジン結晶の被覆率の向上を目的に、N
ε
-ラウロイルリジン結晶の微粉末を作り、この微粉末を粉体と単純混合し、粉体表面をN
ε
-ラウロイルリジン結晶で処理する方法が検討されている。例えば、湿式粉砕法(特開平09-323914号公報、特許第4826049号公報)でN
ε
-ラウロイルリジン結晶を微細化し、無機粉体と混合することが知られている。しかし、この方法で微粉体のN
ε
-ラウロイルリジン結晶を得るには20回以上粉砕する必要があり、工業的な大スケールでの微粉体のN
ε
-ラウロイルリジン結晶の生産は難しかった。また、20回以上粉砕しても、得られたN
ε
-ラウロイルリジン結晶の平均粒子径(体積基準分布)は3.4μmであり、この結晶を無機粉体と混合して無機粉体をN
ε
-ラウロイルリジン結晶で処理しても十分に優れた撥水性と撥油性は実現できなかった。更に、この方法では、多くの有機溶剤を使用する必要があり、安価に生産できないという課題があり、環境面でも負荷が高い。
【0006】
より簡便な方法でN
ε
-ラウロイルリジンの微細な結晶を得るために、pHを2~5に維持した塩酸等の溶液にN
ε
-ラウロイルリジンの塩基溶液を滴下することにより晶析することで、投影径の平均が0.5μmのN
ε
-ラウロイルリジンの結晶を得たことが報告されている(特開平08-337519号公報)。この結晶を粉体と混合することにより、混合粉体の肌への付着力や混合粉体の使用感を向上させることができる。しかし、この方法で得られた混合粉体の撥水性と撥油性は向上されず、逆に粉体の水や油中の分散性が高くなってしまうことがわかった。更に、この方法を用いて得られたN
ε
-ラウロイルリジンの結晶をレーザー回折/散乱式の粒子径分布測定装置にて測定した場合、平均粒子径(体積基準分布)は18μmであったと報告されている(特許第4826049号公報の製造比較例2)。つまり、この方法で得られたN
ε
-ラウロイルリジンの結晶を用いても粉体の撥水性と撥油性を向上できない原因としては、混合したN
ε
-ラウロイルリジンの結晶の粒子径が大きいことが挙げられる。なお、板状粒子の場合、顕微鏡で測定される投影径と光散乱法などで測定される平均粒子径は、測定原理上、差異が生じる場合がある。
【0007】
また、pH7.0で晶析することで平均粒子径(体積基準分布)が3~15μmのN
ε
-ラウロイルリジン結晶が得られている(特許第4826049号公報)。しかし、この方法で得られたN
ε
-ラウロイルリジン結晶で粉体を処理しても十分に優れた撥水性と撥油性は実現できなかった。
また、湿式処理によって粉体表面にN
ε
-ラウロイルリジンを付着されることも知られている(特公平4-63844号公報、特開昭61-10503号公報)。N
ε
-ラウロイルリジン自体が難溶性であるため、これを強アルカリや強酸又は溶剤に一度溶解させ、その溶液を酸やアルカリ性の粉体分散液に徐々加え、粉体分散液中の粉体表面にN
ε
-ラウロイルリジンを中和晶析させることができる。晶析後の分散液を濾過・乾燥することで、表面にN
ε
-ラウロイルリジンが付着された粉体を得ることができる。しかし、この方法で無機粉体をN
ε
-ラウロイルリジンで処理しても、一定の撥水性と撥油性機能が得られるものの、その程度は十分とは言えない。また、この方法では、多くの有機溶剤を使用する必要があることや繰り返し溶解・乾燥工程を行う必要があり、安価に生産できないという課題がある。更に、シリカ、スターチなど溶剤や酸やアルカリに溶解してしまうような粉体の場合、粉体表面をN
ε
-ラウロイルリジン結晶又はN
ε
-オクタノイルリジン結晶で処理することができないという課題もある。
【0008】
また、特殊な複合化処理機械を使用し粉体とN
ε
-ラウロイルリジン結晶を強く衝突させることで、機械のせん断力を利用し、粉体の表面をN
ε
-ラウロイルリジン結晶で処理することも考えられる。しかし、このような方法では、一度に処理できる粉体の量が少なく、安価に生産できないという課題がある。また、シリカなどの脆い粉体が粉砕されてしまい、粉体特有の機能が低下されるという課題もある。更に、十分に優れた撥水性と撥油性は実現できないという課題がある。
上記の通り、粉体の使用感や肌なじみを向上しながら粉体に撥水性と撥油性の機能を付与でき、安価に生産できる技術が求められていた。
【発明の概要】
【0009】
本発明の課題は、粉体の柔らかい感触を向上させながら粉体に撥水性と撥油性の機能を付与でき、安価に生産できる技術を得ることである。
【0010】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究した結果、特定の方法でN
ε
-長鎖アシルリジン結晶を製造することにより、上記の課題を解決できることを初めて見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の通りのものである。
[1]
個数基準分布の90%粒子径D90が2.8μm以下であるN
ε
-ラウロイルリジン結晶又はN
ε
-オクタノイルリジン及びN
ε
-ラウロイルリジン混合結晶。
[2]
体積基準分布のメジアン径又は平均粒子径が2.8μm以下である[1]に記載のN
ε
-ラウロイルリジン結晶又はN
ε
-オクタノイルリジン及びN
ε
-ラウロイルリジン混合結晶。
[3]
かさ密度が0.34g/mL以下であるN
ε
-ラウロイルリジン結晶又はN
ε
-オクタノイルリジン及びN
ε
-ラウロイルリジン混合結晶。
[4]
水溶性有機溶媒から選ばれる1種以上及び/または水を含む酸性または塩基性溶媒に、1種類以上のN
ε
-長鎖アシルリジンが溶解している溶液を用意し、前記溶液を20℃以下の温度にてpH0.2以上かつpH2.0より低い酸性溶液に滴下してN
ε
-長鎖アシルリジン結晶を晶析させることを含む非粉砕のN
ε
-長鎖アシルリジン結晶の製造方法。
[5]
[4]の製造方法で得られる[1]~[3]のいずれか1項に記載のN
ε
-ラウロイルリジン結晶又はN
ε
-オクタノイルリジン及びN
ε
-ラウロイルリジン混合結晶。
[6]
結晶中にN
ε
-オクタノイルリジンを99質量率以下の割合で含む[1]~[5]のいずれか1項に記載のN
ε
-ラウロイルリジン結晶又はN
ε
-オクタノイルリジン及びN
ε
-ラウロイルリジン混合結晶。
[7]
[1]~[3]、[5]及び[6]のいずれか1項に記載のN
ε
-ラウロイルリジン結晶又はN
ε
-オクタノイルリジン及びN
ε
-ラウロイルリジン混合結晶を0.01~99.9質量率で含む組成物。
[8]
[1]~[3]、[5]及び[6]のいずれか1項に記載のN
ε
-ラウロイルリジン結晶又はN
ε
-オクタノイルリジン及びN
ε
-ラウロイルリジン混合結晶を0.01~99.9質量率で含む工業用途の組成物。
[9]
[1]~[3]、[5]及び[6]のいずれか1項に記載のN
ε
-ラウロイルリジン結晶又はN
ε
-オクタノイルリジン及びN
ε
-ラウロイルリジン混合結晶を0.01~99.9質量率で含む化粧料又は外用剤。
[10]
[1]~[3]、[5]及び[6]のいずれか1項に記載のN
ε
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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