特許ウォッチ

公開番号2025075241
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-15
出願番号2023186274
出願日2023-10-31
発明の名称ミシン
出願人JUKI株式会社
代理人弁理士法人酒井国際特許事務所
主分類D05B 49/02 20060101AFI20250508BHJP(縫製;刺しゅう;タフティング)
要約【課題】カム式天秤を備えて複数の上糸を用いるミシンにおいて、各糸の縫い上がりを合わせることが可能なミシンを提供する。
【解決手段】ミシンは、第1ミシン針及び第2ミシン針を保持し、上下方向に駆動される針棒と、第1ミシン針に供給される第1の上糸と、第2ミシン針に供給される第2の上糸とが挿通され、針棒に連動して動作する天秤と、天秤を通過する第1の上糸を案内して糸締りを調整する第1カムと、第1カムとは別個に設けられ、天秤を通過する第2の上糸を案内して糸締りを調整する第2カムと、を含むカム部と、針棒、天秤及びカム部が設けられるミシン本体と、を備え、第1カムと、第2カムとが、ミシン本体に対して、別々に位置調整可能に取り付けられている。
【選択図】図6
特許請求の範囲【請求項１】
第１ミシン針及び第２ミシン針を保持し、上下方向に駆動される針棒と、
前記第１ミシン針に供給される第１の上糸と、前記第２ミシン針に供給される第２の上糸とが挿通され、前記針棒に連動して動作する天秤と、
前記天秤を通過する前記第１の上糸を案内して糸締りを調整する第１カムと、前記第１カムとは別個に設けられ、前記天秤を通過する前記第２の上糸を案内して糸締りを調整する第２カムと、を含むカム部と、
前記針棒、前記天秤及び前記カム部が設けられるミシン本体と、を備え、
前記第１カムと、前記第２カムとが、前記ミシン本体に対して、別々に位置調整可能に取り付けられている、
ミシン。
続きを表示（約 840 文字）【請求項２】
前記第１カムは、外周面の一部に、外部に開放された第１案内面を有し、前記天秤と共に上下方向に移動する前記第１の上糸を前記第１案内面に沿って案内し、
前記第２カムは、外周面の一部に、外部に開放された第２案内面を有し、前記天秤と共に上下方向に移動する前記第２の上糸を前記第２案内面に沿って案内する、
請求項１に記載のミシン。
【請求項３】
前記第１カムと前記第２カムとは、並んで配置され、
前記第２カムは、外周面のうち、前記第２案内面とは反対側に、前記第１カムに対向する対向面を有し、
前記カム部は、前記第１案内面と前記対向面とを内周面とする、前記内周面で囲まれたスリット状の糸通路を形成する、
請求項２に記載のミシン。
【請求項４】
前記カム部は、前記ミシン本体に固定され、前記第１カム及び前記第２カムが取り付けられる固定部材を有し、
前記第１カム及び前記第２カムは、前記針棒に対して接近及び離隔する調整方向へ位置調整可能に、前記固定部材に取り付けられている、
請求項１から３のいずれか１項に記載のミシン。
【請求項５】
前記第１カム及び前記第２カムは、それぞれ、前記調整方向に延びるように形成されたねじ挿通部を有し、前記ねじ挿通部を通過させたねじ部材により前記固定部材に取り付けられている、
請求項４に記載のミシン。
【請求項６】
前記針棒は、第３ミシン針をさらに保持し、
前記天秤は、前記第３ミシン針に供給される第３の上糸がさらに挿通され、
前記カム部は、前記天秤を通過する前記第３の上糸を案内して糸締りを調整する第３カムをさらに含み、
前記第１カムと、前記第２カムと、前記第３カムとが、前記ミシン本体に対して、別々に位置調整可能に取り付けられている、
請求項１から３のいずれか１項に記載のミシン。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、ミシンに関する。
続きを表示（約 2,300 文字）【背景技術】
【０００２】
カム式天秤タイプのミシンが知られている。カム式天秤タイプのミシンの例として、特許文献１には、針棒天秤と、針棒天秤の往復運動に伴って針糸の糸締めを可能にするカム面が形成された糸繰プレートとを備えたミシンが開示されている。特許文献１のミシンは、２本針ミシンであり、針棒天秤には、右針糸と左針糸との２本の上糸が通過する。糸繰プレートは、右針糸用のカム面と、左針糸用のカム面との、２つのカム面が形成された平板部材である。糸繰プレートは、針棒天秤が右針糸及び左針糸と共に往復運動する際、右針糸と左針糸とをそれぞれ対応するカム面に沿って移動させる。各カム面は、山形に屈曲している。右針糸と左針糸とが山の頂部に向けて移動するに従って、ミシン針からカム面までの針糸の経路長が変化し、経路長の変化分だけ針糸が引っ張られることで、糸締めが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
特開平７－９６０８８号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
上記特許文献１において、糸締りの程度を調整したい場合、糸繰プレートの取付位置を調整することが考えられる。しかし、糸繰プレートの取付位置は全ての針糸の糸締りに影響するため、例えば右針糸と左針糸との縫い上がりの状態が異なる場合、各針糸の縫い上がりを合わせることが困難である。
【０００５】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、カム式天秤を備えて複数の上糸を用いるミシンにおいて、各糸の縫い上がりを合わせることが可能なミシンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明の態様に従えば、第１ミシン針及び第２ミシン針を保持し、上下方向に駆動される針棒と、前記第１ミシン針に供給される第１の上糸と、前記第２ミシン針に供給される第２の上糸とが挿通され、前記針棒に連動して動作する天秤と、前記天秤を通過する前記第１の上糸を案内して糸締りを調整する第１カムと、前記第１カムとは別個に設けられ、前記天秤を通過する前記第２の上糸を案内して糸締りを調整する第２カムと、を含むカム部と、前記針棒、前記天秤及び前記カム部が設けられるミシン本体と、を備え、前記第１カムと、前記第２カムとが、前記ミシン本体に対して、別々に位置調整可能に取り付けられている、ミシンが提供される。
【発明の効果】
【０００７】
本発明の態様によれば、カム式天秤を備えて複数の上糸を用いるミシンにおいて、各糸の縫い上がりを合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【０００８】
図１は、本実施形態に係るミシンの一例を模式的に示す側面図である。
図２は、本実施形態に係るミシンの内部構造の一例を模式的に示す側面図である。
図３は、実施形態に係る上糸の経路を説明するための斜視図である。
図４は、本実施形態に係るミシン針及びルーパーの動作の各段階（Ａ）－（Ｄ）を説明するための図である。
図５は、二重環縫いで形成される縫い目の形状の模式図である。
図６は、実施形態に係る天秤及びカム部を－Ｘ方向から見た斜視図である。
図７は、実施形態に係る天秤及びカム部を＋Ｘ方向から見た斜視図である。
図８は、実施形態に係るカム部の分解斜視図である。
図９は、ねじ部材を取り外した状態のカム部を示した正面図である。
図１０は、天秤がカム部の下部傾斜面付近に位置する場合の天秤及びカム部の位置関係を示した模式図である。
図１１は、天秤がカム部の頂部付近に位置する場合の天秤及びカム部の位置関係を示した模式図である。
図１２は、図１１における天秤とカム部の断面を示した模式図である。
図１３は、天秤がカム部の上部傾斜面付近に位置する場合の天秤及びカム部の位置関係を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【０００９】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【００１０】
以下の説明においては、ＸＹＺ直交座標系を設定し、このＸＹＺ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。所定面内のＸ軸と平行な方向をＸ軸方向とする。Ｘ軸と直交する所定面内のＹ軸と平行な方向をＹ軸方向とする。所定面と直交するＺ軸と平行な方向をＺ軸方向とする。また、Ｘ軸を中心とする回転方向又は傾斜方向をθＸ方向とする。Ｙ軸を中心とする回転方向又は傾斜方向をθＹ方向とする。Ｚ軸を中心とする回転方向又は傾斜方向をθＺ方向とする。また、Ｘ軸及びＹ軸を含む平面を適宜、ＸＹ平面、と称する。Ｘ軸及びＺ軸を含む平面を適宜、ＸＺ平面、と称する。Ｙ軸及びＺ軸を含む平面を適宜、ＹＺ平面、と称する。ＸＹ平面は、所定面と平行である。ＸＹ平面とＸＺ平面とＹＺ平面とは直交する。また、以下の説明においては、ＸＹ平面と水平面とが平行であることとする。Ｚ軸方向は上下方向である。＋Ｚ方向は上方向であり－Ｚ方向は下方向である。なお、ＸＹ平面が水平面に対して傾斜してもよい。
（【００１１】以降は省略されています）

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