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公開番号2025078215
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-20
出願番号2023190632
出願日2023-11-08
発明の名称有価金属の回収方法
出願人株式会社アサカ理研
代理人デロイトトーマツ弁理士法人
主分類C22B 7/00 20060101AFI20250513BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】還元剤の添加量が非常に少ない、好ましくは還元剤の添加が不要な、廃リチウムイオン電池からの湿式プロセスによる有価金属の回収方法を提供する。
【解決手段】有価金属の回収方法が、廃リチウムイオン電池を前処理して得られたマンガン、コバルト、及びニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む活物質粉と銅を鉱酸中に投入して酸溶解液を得る溶解工程を含み、この溶解工程後のこの酸溶解液中の、マンガンの浸出率、コバルトの浸出率、及びニッケルの浸出率からなる群から選ばれる少なくとも1つが90%以上である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
有価金属の回収方法であって、
廃リチウムイオン電池を前処理して得られたマンガン、コバルト、及びニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む活物質粉と銅を塩酸中に投入して酸溶解液を得る溶解工程
を含む、有価金属の回収方法。
続きを表示(約 890 文字)【請求項2】
請求項1に記載された有価金属の回収方法であって、
前記銅は前記廃リチウムイオン電池の前処理工程で得られた銅を含む、有価金属の回収方法。
【請求項3】
請求項1に記載された有価金属の回収方法であって、
前記溶解工程における前記酸溶解液のpHを第1の範囲に調整した後、第2の範囲に調整し、
当該第1の範囲は0~5であり、当該第2の範囲は0~2であり、かつ当該第1の範囲は当該第2の範囲より大きい、有価金属の回収方法。
【請求項4】
請求項2に記載された有価金属の回収方法であって、
前記前処理工程において、活物質を含む成分と、銅を含む成分を分離して回収する、有価金属の回収方法。
【請求項5】
請求項1に記載された有価金属の回収方法であって、前記酸溶解液を固液分離する固液分離工程を更に含む、有価金属の回収方法。
【請求項6】
請求項1に記載された有価金属の回収方法において、前記酸溶解液と硫化物を接触させる硫化工程を更に含む、有価金属の回収方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載された有価金属の回収方法において、
前記酸溶解液をアルカリで中和する中和工程、
当該中和工程で得られた液から、銅、マンガン、コバルト、及びニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1つを有機溶媒抽出により分離し、当該有機溶媒抽出の残液として第1のリチウム塩水溶液を得る溶媒抽出工程、及び、
当該第1のリチウム塩水溶液を、イオン交換膜を用いて膜電解して水酸化リチウム水溶液と、酸と、当該第1のリチウム塩水溶液よりも希薄な第2のリチウム塩水溶液とを得る膜電解工程を更に含み、
当該膜電解工程で得られる当該水酸化リチウム水溶液を、当該中和工程、及び当該溶媒抽出工程からなる群から選ばれる少なくとも1つで再利用し、
当該膜電解工程で得られる当該酸を、前記溶解工程で使用される当該鉱酸として再利用する、有価金属の回収方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、有価金属の回収方法に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン電池の普及に伴い、廃リチウムイオン電池からコバルト、ニッケル、マンガン、リチウム等の有価金属を回収し、該リチウムイオン電池の材料として再利用する方法が検討されている。
【0003】
従来、前記廃リチウムイオン電池から前記有価金属を回収する際には、前記廃リチウムイオン電池を加熱処理(焙焼)に付し、又は加熱処理に付さずに粉砕、分級等して得られた前記有価金属を含む粉末からコバルト、ニッケル、マンガン、及びリチウムを湿式プロセスにて分離精製している。
【0004】
前記廃リチウムイオン電池中のコバルト、ニッケル、及びマンガンは複合酸化物として存在している。したがって、前記湿式プロセスにおいてコバルト、ニッケル、及びマンガン等の有価金属を浸出させやすくするためには、還元処理が必要であり、炭素粉と同時に焙焼することにより当該有価金属を還元させる焙焼工程を含む方法、又は浸出時に当該有価金属をすべて還元させる量の還元剤を添加する方法が一般的である。塩酸を用いる浸出の場合、塩酸が相対的に還元剤として作用するため、活物質を容易に全溶解することができる。このため、前記焙焼工程は必須ではなく、別途還元剤を投入する必要はないため、幅広い前処理の状況の活物質に対応できる。しかし、副生成物の塩素ガスは安全性に問題があり、塩素ガスの発生を抑制する方法が希求されている。特許文献1には、塩酸にあらかじめ還元剤を溶解させた後、化学反応式より導き出された等量の還元剤とコバルト酸リチウムを添加する溶解行程を交互に繰り返すコバルト酸リチウムの溶解方法が開示されている。本方法によると、発生する塩素ガスはシュウ酸、ギ酸等の還元剤と反応し、塩酸を生成することで、塩素ガスの系内での分解をさせることで操作性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平11-293356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら前記特許文献1に記載された方法では、シュウ酸、ギ酸等の還元剤を用いるため、薬品コストが高くなるという課題がある。また、廃リチウムイオン電池から有価金属を回収し再利用する方法として、電池にはない成分を投入することは余分な不純物の除去工程を設ける必要があり、回収金属の品質低下と収率低下を招くという問題がある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、廃リチウムイオン電池を塩酸で浸出する際の塩素ガス発生を抑制することである。そのために、廃リチウムイオン電池に含まれる銅を活用し、外部からの還元剤の添加量が非常に少ない、好ましくは添加が不要な、廃リチウムイオン電池からの湿式プロセスによる有価金属の回収方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題に鑑み検討を重ね、廃リチウムイオン電池を前処理して得られた活物質粉と銅を鉱酸中に溶解して酸溶解液を得る溶解工程を含む有価金属の回収方法では、前記銅が還元剤として作用し、有価金属を還元させるため、塩酸溶解に伴う塩素ガスの発生を抑制することを発見した。その結果、本方法では廃リチウムイオン電池外部からの還元剤の添加量が非常に少ない、ないし還元剤の添加が不要であることを見出した。本発明はこれらの知見に基づき完成されるに至ったものである。
【0009】
本発明は、有価金属の回収方法であって、廃リチウムイオン電池を前処理して得られたマンガン、コバルト、及びニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む活物質粉と銅を塩酸中に投入して酸溶解液を得る溶解工程を含む、有価金属の回収方法に関する。
前記銅は、好ましくは前記廃リチウムイオン電池の前処理工程で得られた銅を含む。
前記溶解工程における前記酸溶解液のpHは、好ましくは、第1の範囲に調整された後、第2の範囲に調整され、当該第1の範囲は0~5であり、当該第2の範囲は0~2であり、かつ当該第1の範囲は当該第2の範囲より大きい。
前記前処理工程において、好ましくは、活物質を含む成分と、銅を含む成分が分離されて回収される。
本発明の有価金属の回収方法は、好ましくは、前記酸溶解液を固液分離する固液分離工程を更に含む。
本発明の有価金属の回収方法は、好ましくは、前記酸溶解液と硫化物を接触させる硫化工程を更に含む。
【0010】
本発明の有価金属の回収方法は、好ましくは、前記酸溶解液をアルカリで中和する中和工程、当該中和工程で得られた液から、銅、マンガン、コバルト、及びニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1つを有機溶媒抽出により分離し、当該有機溶媒抽出の残液として第1のリチウム塩水溶液を得る溶媒抽出工程、及び、当該第1のリチウム塩水溶液を、イオン交換膜を用いて膜電解して水酸化リチウム水溶液と、酸と、当該第1のリチウム塩水溶液よりも希薄な第2のリチウム塩水溶液とを得る膜電解工程を更に含み、当該膜電解工程で得られる当該水酸化リチウム水溶液を、当該中和工程、及び当該溶媒抽出工程からなる群から選ばれる少なくとも1つで再利用し、当該膜電解工程で得られる当該酸を、前記溶解工程で使用される当該鉱酸として再利用する。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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