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公開番号2025026620
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-21
出願番号2024214661,2021527706
出願日2024-12-09,2020-06-24
発明の名称小腸上皮様細胞の製造方法
出願人国立大学法人大阪大学,国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所,タカラバイオ株式会社
代理人個人,個人
主分類C12N 5/071 20100101AFI20250214BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】分化工程において遺伝子導入技術を用いずに、初代培養のヒト小腸上皮細胞により近い性質を有する小腸上皮様細胞を提供すること。
【解決手段】以下の工程を含む小腸上皮様細胞の製造方法;
(i)小腸上皮前駆細胞を、活性型ビタミンDを含む培地で培養する工程;及び
(ii)小腸上皮様細胞を取得する工程
が提供される。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
以下の工程を含む小腸上皮様細胞の製造方法;
(i)小腸上皮前駆細胞を、活性型ビタミンDを含む培地で培養する工程;及び
(ii)小腸上皮様細胞を取得する工程。
続きを表示(約 670 文字)【請求項2】
内胚葉細胞を小腸上皮前駆細胞に分化させる工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
多能性幹細胞を内胚葉細胞に分化させる工程をさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記工程(i)において、小腸上皮前駆細胞を凍結する工程及び凍結された小腸上皮前駆細胞を解凍する工程をさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
凍結する工程が、前記工程(i)開始から5~15日後に行われる、請求項4記載の方法。
【請求項6】
解凍した小腸上皮前駆細胞を、さらにRhoキナーゼ阻害剤、ビンカアルカロイド系抗腫瘍薬、MEK阻害剤、及びcAMP及びその誘導体から選択される1以上の物質を含む培地で培養する、請求項4または5記載の方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の方法で製造された小腸上皮様細胞を用いることを特徴とする、薬物毒性評価方法及び/又は薬物動態評価方法。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載の方法で製造された小腸上皮様細胞を用いることを特徴とする、薬物間相互作用の検査方法。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか1項に記載の方法で製造された小腸上皮様細胞を用いることを特徴とする、薬物代謝酵素誘導試験方法。
【請求項10】
TGFβ受容体阻害剤、GSK阻害剤及び活性型ビタミンDを含む培地。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、創薬分野への応用が期待される小腸上皮様細胞の製造方法に関する。さらに、製造途中の細胞を凍結保存し、解凍後再誘導する工程を含む小腸上皮様細胞の製造方法に関する。また、前記製造方法で製造された小腸上皮様細胞を用いる薬物毒性評価方法、薬物間相互作用の検査方法及び薬物代謝酵素誘導試験方法に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
多能性幹細胞とは、多分化能と自己複製能を有する未分化細胞である。多能性幹細胞から分化した細胞には、損傷組織を修復する機能があり、再生医療分野での有用性から盛んに研究されている。多能性幹細胞の中でもiPS細胞(人工多能性幹細胞)は、線維芽細胞のような体細胞由来に特定の転写因子OCT3/4、SOX2、KLF4、C-MYC等の遺伝子を導入することにより脱分化させた、人工的に作製された多能性幹細胞である。分化多能性を持った細胞は理論上、小腸上皮細胞を含む全ての組織や臓器に分化可能である。
【0003】
非特許文献1は、ヒト多能性幹細胞から小腸組織を作製し報告した文献である。非特許文献1は、小腸の上皮細胞、パネート細胞、ゴブレット細胞、腸管上皮内分泌細胞を含むオルガノイドの作製に成功したことを報告するものである。非特許文献2はヒト多能性幹細胞から長期間自己複製可能な小腸幹細胞を作製できたことを報告した文献である。非特許文献2で作製された小腸幹細胞は、非特許文献1と同様に小腸に存在する全ての細胞を含むオルガノイドに分化することができる。非特許文献3では、ヒト多能性幹細胞から小腸上皮様細胞への分化を試み、SI(Sucrase Isomaltase)、SLC15A1(solute carrier family 15 member 1)/PEPT1(peptide transportor1)、LGR5(Leucine-rich repeat containing G protein-coupled receptor 5)等の小腸マーカーを発現する細胞の作製に成功した。該細胞は、さらに、β-Ala-Lys-AMCA(β-Ala-Lys-N-7-amino-4methylcoumarin-3-aceticacid)ジペプチドを取り込むことができる性能を有している。しかし、該細胞における薬物代謝酵素CYP3A4(Cytochrome P450 3A4)の発現はヒト小腸と比べて約1/500と低いことが課題とされた。
【0004】
以上の非特許文献の他、特許文献1に示す通り、小腸上皮細胞への分化を試みた報告はなされているが、ヒト多能性幹細胞から薬物代謝と物質の吸収を同時に評価可能な小腸上皮細胞を、遺伝子導入技術を用いずに効率よく作製したという報告は未だにない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
国際公開第2016/147975号
【非特許文献】
【0006】
Nature、2011 Feb 3;470(7332):105-9
Stem Cell Reports, 2014 jun 3;2(6):838-52
Drug Metab Pharmacokinet, 2014;29(1):44-51
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
生体分離細胞の直接培養物である初代培養のヒト小腸上皮細胞は入手困難かつ個体差がある。このため、現在小腸のin vitro吸収評価系モデルはヒト結腸癌由来細胞株のCaco-2細胞が使用されている。しかし、このCaco-2細胞はヒト小腸上皮細胞と異なり薬物代謝酵素CYP3A4をほとんど発現しておらず薬物代謝を評価することはできない。また、Caco-2細胞は癌細胞由来であり、正常細胞の代謝吸収を反映しているとは言い難い。これらの課題を解決すべく、多能性幹細胞を小腸上皮様細胞へ分化させる技術の開発が盛んに進められている。
【0008】
従来の誘導法で多能性幹細胞から分化した小腸上皮様細胞は、成熟化しても薬物代謝酵素CYP3A4の活性が生体の小腸に比べ著しく低い。本発明は遺伝子導入技術を用いずに、初代培養のヒト小腸上皮細胞により近い性質を有する小腸上皮様細胞を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、小腸上皮前駆細胞を小腸上皮様細胞に分化させる過程で、活性型ビタミンD存在下で培養を行うと薬物代謝酵素の発現が上がることを見出し、発明を完成させた。
【0010】
即ち本発明は以下を提供する。
[1]以下の工程を含む小腸上皮様細胞の製造方法;
(i)小腸上皮前駆細胞を、活性型ビタミンDを含む培地で培養する工程;及び
(ii)前記工程(i)で得られた小腸上皮様細胞を取得する工程。
[2]内胚葉細胞を小腸上皮前駆細胞に分化させる工程をさらに含む、[1]記載の方法。
[3]多能性幹細胞を内胚葉細胞に分化させる工程をさらに含む、[2]記載の方法。
[4]前記工程(i)において、小腸上皮前駆細胞を凍結する工程及び凍結された小腸上皮前駆細胞を解凍する工程をさらに含む、[1]~[3]のいずれか1項に記載の方法。
[5]凍結する工程が、前記工程(i)開始から5~15日後に行われる、[4]記載の方法。
[6]解凍した小腸上皮前駆細胞を、さらにRhoキナーゼ阻害剤、ビンカアルカロイド系抗腫瘍薬、MEK阻害剤、及びcAMP及びその誘導体から選択される1以上の物質を含む培地で培養する、[4]または[5]記載の方法。
[7][1]~[6]のいずれか1項に記載の方法で製造された小腸上皮様細胞を用いることを特徴とする、薬物毒性評価方法及び/又は薬物動態評価方法。
[8][1]~[6]のいずれか1項に記載の方法で製造された小腸上皮様細胞を用いることを特徴とする、薬物間相互作用の検査方法。
[9][1]~[6]のいずれか1項に記載の方法で製造された小腸上皮様細胞を用いることを特徴とする、薬物代謝酵素誘導試験方法。
[10]TGFβ受容体阻害剤、GSK阻害剤及び活性型ビタミンDを含む培地。
[11]TGFβ受容体阻害剤がSB431542、GSK阻害剤がLY2090314である[10]記載の培地。
[12]さらに、Rhoキナーゼ阻害剤、ビンカアルカロイド系抗腫瘍薬、MEK阻害剤、及びcAMP及びその誘導体から選択される1以上の物質を含む[10]または[11]記載の培地。
[13]Rhoキナーゼ阻害剤がY27632、ビンカアルカロイド系抗腫瘍薬がビンブラスチン、MEK阻害剤がPD0325901、cAMPの誘導体がBr-cAMPである[12]記載の培地。
[14]薬物毒性評価方法及び/又は薬物動態評価方法における、[1]~[6]のいずれか1項に記載の方法で製造された小腸上皮様細胞の使用。
[15]薬物間相互作用の検査方法における、[1]~[6]のいずれか1項に記載の方法で製造された小腸上皮様細胞の使用。
[16]薬物代謝酵素誘導試験方法における、[1]~[6]のいずれか1項に記載の方法で製造された小腸上皮様細胞の使用。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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