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公開番号2025067245
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-24
出願番号2023177055
出願日2023-10-12
発明の名称非水電解質二次電池用負極活物質及びその製造方法
出願人信越化学工業株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類H01M 4/48 20100101AFI20250417BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】 二次電池の負極活物質として用いた際に、サイクル特性を向上させることが可能な負極活物質を提供する。
【解決手段】 負極活物質粒子を含む非水電解質二次電池用負極活物質であって、前記該負極活物質粒子は、ケイ素化合物(SiOx:0.5≦x≦1.6)を含有するケイ素化合物粒子を含有し、前記負極活物質粒子は、前記ケイ素化合物粒子が炭素層で被覆されているものであり、前記負極活物質粒子における前記炭素層の炭素量が0.3質量%以上10質量%以下であり、前記負極活物質粒子は、Cu-Kα線を用いたX線回折により得られる2θ=10~30°に現れるSiOxに由来するハローピークの最大強度C1と、2θ=28°±1°に現れるSi(111)面のピーク強度C2が、特定の方法で算出したC2/C1において>C2/C1≧0.01を満たす非水電解質二次電池用負極活物質。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
負極活物質粒子を含む非水電解質二次電池用負極活物質であって、
前記負極活物質粒子は、ケイ素化合物(SiO

:0.5≦x≦1.6)を含有するケイ素化合物粒子を含有し、
前記負極活物質粒子は、前記ケイ素化合物粒子が炭素層で被覆されているものであり、
前記負極活物質粒子における前記炭素層の炭素量が0.3質量%以上10質量%以下であり、
前記負極活物質粒子は、Cu-Kα線を用いたX線回折により得られる2θ=10~30°に現れるSiO

に由来するハローピークの最大強度C1と、2θ=28°±1°に現れるSi(111)面のピーク強度C2が、下記のピーク強度規定条件E1、E2、E3の3種類の方法で算出したC2/C1のうち、少なくともいずれかが0.6>C2/C1≧0.01を満たすことを特徴とする非水電解質二次電池用負極活物質。
ピーク強度規定条件E1: 前記Cu-Kα線を用いたX線回折により得られる2θ=10~15°の最低ピーク強度CB1と、2θ=38~42°の最低ピーク強度CB2を結んだ直線をベースラインとし、各ピーク強度からベースライン分を差し引いた値をそれぞれのピーク強度とする。
ピーク強度規定条件E2: 前記Cu-Kα線を用いたX線回折により得られた回折ピークに対して、解析ソフトを用いてピークフィッティング法を行い、その際、2θ=20~25°付近のハローピークと、2θ=28°付近のSi(111)面のピークを規定し、ピークフィッティング法にてピーク分離処理を行って、該ピーク分離で得られた各ピークの強度を、それぞれC1、C2とする。
ピーク強度規定条件E3: 前記Cu-Kα線を用いたX線回折により得られる2θ=10~15°の最低ピーク強度CB1と、2θ=38~42°の最低ピーク強度CB2を結んだ直線をベースラインとし、2θ=10~30°に現れるSiOxに由来するハローピークのピーク強度からベースライン分を差し引いた値をピーク強度C1とし、かつ、前記Cu-Kα線を用いたX線回折により得られる2θ=28±1°の最強ピークに対して、(a)24°±1°の最低ピーク強度CB3と、32±1°の最低ピークCB4を結んだ直線をベースラインとし、2θ=28±1°の最強ピーク強度からベースライン分を差し引いた値をC2-1強度とし、(b)26°±1°の最低ピーク強度CB5と、30±1°の最低ピークCB6を結んだ直線をベースラインとし、2θ=28±1°の最強ピーク強度からベースライン分を差し引いた値をC2-2強度とし、(c)27°±1°の最低ピーク強度CB7と、29±1°の最低ピークCB8を結んだ直線をベースラインとし、2θ=28±1°の最強ピーク強度からベースライン分を差し引いた値をC2-3強度とし、(d)前記C2-1強度、前記C2-2強度、前記C2-3強度のうち最高値をC2とする。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
前記負極活物質粒子は、前記Cu-Kα線を用いたX線回折により得られる2θ=10~30°に現れるSiOxに由来するハローピークの最大強度C1と、2θ=28°±1°に現れるSi(111)面のピーク強度C2が、ピーク強度規定条件E2の方法で0.57>C2/C1≧0.01を満たすことを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極活物質。
【請求項3】
前記負極活物質粒子の吸脱着等温線の形状が、IUPAC分類がII型かIII型であり、BET比表面積が2.5m

/g以下であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極活物質。
【請求項4】
前記炭素層は、少なくともその一部のラマン分光分析から得られるラマンスペクトルにおいて、Gバンドに由来するピーク位置が1585cm
-1
を超え1597cm
-1
以下の範囲のものであることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極活物質。
【請求項5】
前記炭素層は、少なくともその一部のラマン分光分析から得られるラマンスペクトルにおいて、Gバンドに由来するピーク位置が1590cm
-1
を超え1597cm
-1
以下の範囲のものであることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極活物質。
【請求項6】
前記負極活物質を含む試験極と対極としてのリチウム金属とを備えた試験用電池の開回路電圧測定により得られる開回路電位カーブにおいて、前記試験用電池の充電状態が20%における前記試験極のポテンシャルが0.4V vs.Li/Li

以上であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極活物質。
【請求項7】
前記炭素層の少なくとも一部の飛行時間型二次イオン質量解析スペクトルにおいて、ポジティブ二次イオンであるC



、C



に帰属されるピーク強度の和が、Siに帰属されるピークの強度に対して、18以上のものであることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極活物質。
【請求項8】
前記炭素層の少なくとも一部の飛行時間型二次イオン質量解析スペクトルにおいて、ポジティブ二次イオンであるCxHyOzに帰属されるピーク(x=8、15、24、35であり、y=5,23、49,62、65であり、z=1~4である)のピーク強度の和が、Siに帰属されるピークの強度に対して、0.3以上のものであることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極活物質。
【請求項9】
前記負極活物質粒子のメジアン径が4.5μm以上15μm以下のものであることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極活物質。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の負極活物質とともに、さらに、炭素系活物質とを含むものであることを特徴とする混合負極活物質材料。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解質二次電池用負極活物質及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
近年、モバイル端末などに代表される小型の電子機器が広く普及しており、さらなる小型化、軽量化、及び、長寿命化が強く求められている。このような市場要求に対し、特に小型かつ軽量で高エネルギー密度を得ることが可能な二次電池の開発が進められている。この二次電池は、小型の電子機器に限らず、自動車などに代表される大型の電子機器、家屋などに代表される電力貯蔵システムへの適用も検討されている。
【0003】
その中でも、リチウムイオン二次電池は小型化かつ高容量化が行いやすく、また、鉛電池及びニッケルカドミウム電池よりも高いエネルギー密度が得られるため、大いに期待されている。
【0004】
上記のリチウムイオン二次電池は、正極及び負極、並びにセパレータと共に電解液を備えており、負極は充放電反応に関わる負極活物質を含んでいる。
【0005】
この負極活物質としては、炭素系活物質が広く使用されている一方で、最近の市場要求から電池容量のさらなる向上が求められている。電池容量向上のために、負極活物質材としてケイ素を用いることが検討されている。なぜならば、ケイ素の理論容量(4199mAh/g)は黒鉛の理論容量(372mAh/g)よりも10倍以上大きいため、電池容量の大幅な向上を期待できるからである。負極活物質材としてのケイ素材の開発はケイ素単体だけではなく、合金、酸化物に代表される化合物などについても検討されている。また、活物質形状は、炭素系活物質では標準的な塗布型から、集電体に直接堆積する一体型まで検討されている。
【0006】
しかしながら、負極活物質としてケイ素を主原料として用いると、充放電時に負極活物質が膨張及び収縮するため、主に負極活物質表層近傍で割れやすくなる。また、活物質内部にイオン性物質が生成し、負極活物質が割れやすい物質となる。負極活物質表層が割れると、それによって新表面が生じ、活物質の反応面積が増加する。この時、新表面において電解液の分解反応が生じるとともに、新表面に電解液の分解物である被膜が形成されるため電解液が消費される。このためサイクル特性が低下しやすくなる。
【0007】
これまでに、電池初期効率やサイクル特性を向上させるために、ケイ素材を主材としたリチウムイオン二次電池用負極活物質材料、電極構成についてさまざまな検討がなされている。
【0008】
具体的には、良好なサイクル特性や高い安全性を得る目的で、気相法を用いケイ素及びアモルファス二酸化ケイ素を同時に堆積させている(例えば特許文献1参照)。また、高い電池容量や安全性を得るために、ケイ素酸化物粒子の表層に炭素材(電子伝導材)を設けている(例えば特許文献2参照)。さらに、サイクル特性を改善するとともに高入出力特性を得るために、ケイ素及び酸素を含有する活物質を作製し、かつ、集電体近傍での酸素比率が高い活物質層を形成している(例えば特許文献3参照)。また、サイクル特性を向上させるために、ケイ素活物質中に酸素を含有させ、平均酸素含有量が40at%以下であり、かつ集電体に近い場所で酸素含有量が多くなるように形成している(例えば特許文献4参照)。
【0009】
また、初回充放電効率を改善するためにSi相、SiO

、M

O金属酸化物を含有するナノ複合体を用いている(例えば特許文献5参照)。また、サイクル特性改善のため、SiO

(0.8≦x≦1.5、粒径範囲=1μm~50μm)と炭素材を混合して高温焼成している(例えば特許文献6参照)。また、サイクル特性改善のために、負極活物質中におけるケイ素に対する酸素のモル比を0.1~1.2とし、活物質、集電体界面近傍におけるモル比の最大値、最小値との差が0.4以下となる範囲で活物質の制御を行っている(例えば特許文献7参照)。また、電池負荷特性を向上させるため、リチウムを含有した金属酸化物を用いている(例えば特許文献8参照)。また、サイクル特性を改善させるために、ケイ素材表層にシラン化合物などの疎水層を形成している(例えば特許文献9参照)。
【0010】
また、サイクル特性改善のため、SiOのSi結晶性を抑制した材料が提案されている(例えば特許文献10)。これはSiOのXRD分析で得られるハローピーク強度P1と、28.4°付近の最強ピーク強度P2の強度比を規定しており、P2/P1<0.01である負極材が提案されている(特許文献10参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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