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公開番号2025071543
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-08
出願番号2023181799
出願日2023-10-23
発明の名称シンチレータ評価方法
出願人浜松ホトニクス株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類G01T 1/20 20060101AFI20250428BHJP(測定;試験)
要約【課題】シンチレータの時間応答を短時間で高精度に評価することができるシンチレータ評価方法を提供する。
【解決手段】シンチレータ評価方法はステップS1~S5を備える。ステップS2では、シンチレータで発生したシンチレーション光を受光した光検出器から出力された電気信号の波形f(t)を取得する。ステップS3では、電気信号波形f(t)に対して光検出器のインパルス応答関数i(t)を逆畳み込み演算する。ステップS4では、放射線との相互作用によるシンチレーション光発生の立上り及び立下りの双方の情報を含むシンチレータの時間応答関数s(t)と、光検出器の単一光子時間分解能を表す関数p(t)と、の畳み込みで表されるモデル関数で、ステップS3の演算結果をフィッティングする。ステップS5では、フィッティング結果に基づいて、シンチレータの時間応答を評価する。
【選択図】図8
特許請求の範囲【請求項1】
放射線と相互作用することによりシンチレーション光を発生するシンチレータの時間応答を評価する方法であって、
前記シンチレータで発生したシンチレーション光を受光した光検出器から出力された電気信号の波形を取得する信号波形取得ステップと、
前記電気信号の波形に対して前記光検出器のインパルス応答関数を逆畳み込み演算する逆畳み込み演算ステップと、
放射線との相互作用によるシンチレーション光発生の立上り及び立下りの双方の情報を含む前記シンチレータの時間応答関数と、前記光検出器の単一光子時間分解能を表す関数と、の畳み込みで表されるシンチレーション光成分の確率密度分布を示すモデル関数で、前記逆畳み込み演算ステップによる演算結果をフィッティングするフィッティングステップと、
前記フィッティングステップによるフィッティング結果に基づいて、前記シンチレータの時間応答を評価する評価ステップと、
を備えるシンチレータ評価方法。
続きを表示(約 650 文字)【請求項2】
前記信号波形取得ステップにおいて、前記電気信号の波形の取得を複数回行い、
前記逆畳み込み演算ステップにおいて、複数の前記電気信号の波形それぞれに対して逆畳み込み演算を行い、
前記フィッティングステップにおいて、前記逆畳み込み演算ステップによる複数の前記電気信号の波形それぞれに対する逆畳み込み演算の結果の総和または平均についてフィッティングを行う、
請求項1に記載のシンチレータ評価方法。
【請求項3】
前記信号波形取得ステップにおいて、前記電気信号の波形の取得を複数回行い、
前記逆畳み込み演算ステップにおいて、複数の前記電気信号の波形の総和または平均に対して逆畳み込み演算を行う、
請求項1に記載のシンチレータ評価方法。
【請求項4】
前記フィッティングステップにおいて、シンチレーション光成分の確率密度分布とチェレンコフ光成分の確率密度分布との和で表されるモデル関数で、前記逆畳み込み演算ステップによる演算結果をフィッティングする、
請求項1に記載のシンチレータ評価方法。
【請求項5】
前記信号波形取得ステップにおいて、前記光検出器として光電子増倍管を用いる、
請求項1に記載のシンチレータ評価方法。
【請求項6】
前記信号波形取得ステップにおいて、前記光検出器としてシリコンフォトマルチプライヤを用いる、
請求項1に記載のシンチレータ評価方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、シンチレータの時間応答を評価する方法に関するものである。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
シンチレータは、高エネルギの放射線(例えば、ガンマ線、X線、α線など)と相互作用することによりシンチレーション光を発生するものであり、また、シンチレーション光に加えてチェレンコフ光を発生する場合がある。シンチレータは、シンチレーション光(およびチェレンコフ光)を受光する光検出器とともに用いられる。ここで用いられる光検出器は、例えば光電子増倍管(Photomultiplier Tube、PMT)およびシリコンフォトマルチプライヤ(Silicon Photomultiplier、SiPM)等である。PMTおよびSiPMは、フォトンカウンティング(光子計数)計測が可能であり、アナログ的な計測も可能である。
【0003】
フォトンカウンティング計測が可能なSiPM(デジタルSiPM)は、検出されたすべてのシンチレーション光子の情報を取得することができるので、シンチレータにおいて放射線が相互作用した時刻を、理論限界まで高めた時間分解能で検出することができる。デジタルSiPMは、シンチレータにおいて放射線が相互作用した際に最初に発生する確率が高いとされているチェレンコフ光の光子の情報を得ることができる。また、デジタルSiPMからの出力信号を加算することにより、シンチレータの特性を評価することができ、また、SiPMの単一光子時間分解能(Single Photon Time Resolution、SPTR)を高精度に評価することができる。
【0004】
一方で、デジタルSiPMと比べて、アナログ計測が可能なSiPM(アナログSiPM)は、光子検出効率が高く、製造が容易であり、出力信号の処理が容易であり、また、取り扱いが容易であることから、今なお使用されて続けている。
【0005】
シンチレータおよび光検出器を含む放射線検出器は、例えば、陽電子放出断層撮影(Positron Emission Tomography、PET)装置および単一光子放出断層撮影(Single Photon Emission Computed Tomography、SPECT)装置などの放射線断層撮影装置だけでなく、放射線を検出する様々な装置において用いられ得る。
【0006】
シンチレータとして様々な材料からなるものが知られており、また、新たな材料からなるシンチレータも開発されている。シンチレータの重要な特性の評価項目の一つとして、放射線との相互作用によるシンチレーション光発生の時間応答が挙げられる。また、シンチレータの時間応答を評価する方法として、時間相関単一光子計数(Time-Correlated Single Photon Counting、TCSPC)法およびアベレージ法(非特許文献1,2)等が知られている。
【0007】
TCSPC法では、RI線源で発生して互いに反対方向に飛行する一対のガンマ線光子のうち、一方の光子が評価対象のシンチレータに入射したときに該シンチレータで発生したシンチレーション光を光検出器により検出して該光検出器から信号パルスを出力させるとともに、他方の光子を参照用の放射線検出器により検出して該放射線検出器から同期パルスを出力させる。RI線源で発生した多数の光子対それぞれについて信号パルスと同期パルスとの間の時間差を求め、これらの時間差のヒストグラムに基づいて評価対象のシンチレータの時間応答を評価する。
【0008】
アベレージ法では、RI線源で発生したガンマ線光子が評価対象のシンチレータに入射したときに該シンチレータで発生したシンチレーション光を光検出器により検出し、その光検出器から出力される電気信号の波形を取得する。RI線源で発生した多数の光子それぞれについて取得した信号波形を平均化し、その平均化波形に基づいて評価対象のシンチレータの時間応答を評価する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
S. Qian, L. Ma, Y. Zhu, et al.,“LYSO scintillation light test with an ultra-fast MCP-PMT,” J. Phys.: Conf.Ser., 2374, 012115, 2022
I. Gerasymov, S.Witkiewicz-Lukaszek, T. Zorenko, et al., “Effects of co-doping with divalentcations on performance of YAG:Ge,C scintillator,” IEEE Trans. Nucl. Sci, Vol.70,pp.1362-1369, 2023
S. Gundacker et al. “Experimentaltime resolution limits of modern SiPMs and TOF-PET detectors exploring differentscintillators and Cherenkov emission,” Phys. Med. Biol., 65 (2020) 025001
Eric Berg, Emilie Roncali, WillHutchcroft, Jinyi Qi, Simon R Cherry, “Improving Depth,Energy and Timing Estimation in PET Detectors with Deconvolution and Maximum LikelihoodPulse Shape Discrimination,” IEEE Trans. Med. Imag.,vol. 35, pp.2436-2446, 2016
M.V.Nemallapudi et al. “Single photon time resolution of state of the art SiPMs,”JINST 11 P10016 (2016)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
TCSPC法は、シンチレータの時間応答を高精度に評価することができるものの、信号パルスと同期パルスとの間の時間差のヒストグラムを求めるのに長時間(例えば10日以上ないし1ヶ月程度)を要する。アベレージ法は、シンチレータに入射する多数の光子について平均化波形を得るのに比較的短時間(例えば30分以下)で済むものの、光検出器の時間応答を含んだ情報となるため評価精度が低い。
(【0011】以降は省略されています)

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