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公開番号2025075700
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-15
出願番号2023187055
出願日2023-10-31
発明の名称カーボンナノウォールの製造方法及びこれを用いた製造装置、並びに表面電位顕微鏡用標準サンプル
出願人国立研究開発法人物質・材料研究機構
代理人
主分類C01B 32/18 20170101AFI20250508BHJP(無機化学)
要約【課題】カーボンナノウォールの製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも走査型電子顕微鏡のチャンバー内の有機ガスに含まれる炭素を構成元素とする原料物質に起因する、コンタミネーションを用いて該チャンバー中に配置した試料基板の表面にカーボンナノウォールを形成するものであって、試料基板の表面にカーボンナノウォールを形成する領域を定め(S102)、カーボンナノウォールの指定形状の創製に必要な、前記走査型電子顕微鏡による試料基板の表面の一描画区画の描画時間を演算し(S104)、カーボンナノウォールを形成する領域と合致するように、描画区画の重複領域の配置を定め(S106)、描画区画の配置の指定に従って、走査型電子顕微鏡による描画により、試料基板の表面上に各描画区画の重複領域に、指定形状のカーボンナノウォールを創製する(S108)ものである。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
少なくとも走査型電子顕微鏡のチャンバー内の有機ガスに含まれる炭素を構成元素とする原料物質に起因する、コンタミネーションを用いて該チャンバー中に配置した試料基板の表面にカーボンナノウォールを形成するものであって、
前記試料基板の表面にカーボンナノウォールを形成する領域を定め、
前記カーボンナノウォールの指定形状の創製に必要な、前記走査型電子顕微鏡による前記試料基板の表面の一描画区画の描画時間を演算し、
前記走査型電子顕微鏡による前記試料基板の表面に描画される一描画区画の形状データに基づいて、前記カーボンナノウォールを形成する領域と合致するように、前記描画区画の重複領域の配置を定め、
前記描画区画の配置の指定に従って、前記走査型電子顕微鏡による描画により、前記試料基板の表面上に各描画区画の重複領域に、前記指定形状の前記カーボンナノウォールを創製すると共に、前記重複領域は前記走査型電子顕微鏡の走査方向に対して鉛直方向を含む斜め方向に位置する走査線折返し端部近傍とする、
カーボンナノウォールの製造方法。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記一描画区画の描画時間の演算は、前記走査型電子顕微鏡の倍率、電子銃電圧及びチャンバー内の有機ガス濃度から、描画によるカーボンナノウォールの堆積速度を推定して行う請求項1に記載のカーボンナノウォールの製造方法。
【請求項3】
前記カーボンナノウォールの指定形状は、壁の厚さ、高さ、形成密度、平滑性、表面積の少なくとも何れか一つを含む請求項1に記載のカーボンナノウォールの製造方法。
【請求項4】
前記重複領域は前記走査型電子顕微鏡の走査方向に対して鉛直方向を含む斜め方向は、+30°から+150°に位置する走査線折返し端部近傍である請求項1に記載のカーボンナノウォールの製造方法。
【請求項5】
前記一描画区画の形状データは正方形又は長方形であり、
前記重複領域は前記走査型電子顕微鏡の走査方向に対して鉛直方向に位置する走査線折返し端部近傍である請求項4に記載のカーボンナノウォールの製造方法。
【請求項6】
前記試料基板の表面にカーボンナノウォールを形成する領域には、前記試料基板の表面に描画される各描画区画の位置確認の基準となるビッカース痕を設ける請求項1に記載のカーボンナノウォールの製造方法。
【請求項7】
更に、前記試料基板の表面上に創製された前記カーボンナノウォールの形状は、指定された形状の値を充足しているか確認する請求項1に記載のカーボンナノウォールの製造方法。
【請求項8】
少なくとも走査型電子顕微鏡のチャンバー内の有機ガスに含まれる炭素を構成元素とする原料物質に起因するコンタミネーションを用いて、該チャンバー中に配置した試料基板の表面にカーボンナノウォールを形成するカーボンナノウォールの製造装置であって、
前記試料基板の表面に定められた一描画区画の形状データ部と、
前記試料基板の表面に定められた各描画区画の配置データ部と、
前記試料基板の表面に創製するカーボンナノウォールの指定領域を記憶するCNW配置形状指示部と、
前記CNW配置形状指示部に記憶されたカーボンナノウォールの配置形状指示に従って、前記カーボンナノウォールの配置形状指示を充足するように、前記各描画区画の配置データ部での重複領域を定義する各描画区画の配置データ描画調整部と、
を備える共に、前記重複領域は前記走査型電子顕微鏡の走査方向に対して鉛直方向を含む斜め方向は、+30°から+150°に位置する走査線折返し端部近傍であるカーボンナノウォールの製造装置。
【請求項9】
請求項1乃至7の何れかによって、試料基板の表面に創製された指定形状のカーボンナノウォールを有する本発明の表面電位顕微鏡用標準サンプル。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンを主体に構成されており所定の微細構造を有する構造体を製造する方法、およびこれを用いた表面電位顕微鏡用(KFM:Kelvin Force Microscope)標準サンプルに関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
カーボンを主体に構成されており所定の微細構造を有する構造体 (カーボンナノ構造体)が知られている。そのようなカーボンナノ構造体にはフラーレン、カーボンナノチューブ等がある。また、下記特許文献1には、カーボンナノウォール(carbon nano walls)と呼ばれるカーボンナノ構造体が記載されている。この特許文献1では、例えばCH

とH

の混合物にマイクロ波を印加して、ニッケル鉄触媒をコートしたサファイア基板上にカーボンナノウォールを形成している。
また、特許文献2には、CF

、CHF

ガスを用いて、カーボンナノウォールを成長させること、CH

ガスとC



、CF

,またはCHF

ガスを混合したガスを用いてカーボンナノウォールを形成すること、並びにHラジカルを反応領域に注入することが開示されている。また、壁の長さ方向が一定方向に向いた(配向した)カーボンナノウォールを用いることで、例えば燃料電池における水素貯蔵能力を増大させる構造が得られることが開示されている。さらに、炭素とフッ素を構成元素とする原料物質と、少なくとも炭素と水素を構成元素とする構成物質の流量比を変化させることで、製造されるカーボンナノウォールの性状を所望の性状に変化させる製造方法において、フッ素を含むガスの比率が高い程、壁間の間隔が大きくなり、壁も厚くなる。これらのカーボンナノウォールの性状制御は燃料電池としての水素の貯蔵能力を最適化でき、また、電界放出トランジスタの電子放出の特性を最適化できることが開示されている。
【0003】
他方で、非特許文献1には、ケルビンプローブ表面力顕微鏡の解説記事がある。表面電位顕微鏡(Kelvin probe force microscopy:KFM)は、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)の応用の1つである。絶縁体、半導体、金属材料のほか生体材料に至るまで、種々の試料に対して、表面電位をマッピングできる顕微鏡である。そしてAFMとKFMを複合化した顕微鏡は、表面形状と表面電位を同時に、同じ領域において測定できるため、その用途は大変幅広い観測手法である。
ここで、AFMは、ナノスケール領域において、表面形状の凹凸をイメージングできる。AFMは絶縁体表面において、ナノスケール分解能を達成できる唯一ともいえるツールである。そのためAFMの特徴を活かす上でも、低い電気伝導率を有している酸化物表面の観察に用いることは有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
米国特許出願公開第2003/0129305号明細書
WO2005/021430号公報
【非特許文献】
【0005】
佐藤宣夫、脇田和樹、『ケルビンプローブ表面力顕微鏡の開発とその基礎特性』、千葉工業大学研究報告 理工編No.61第53頁~第58頁(2014)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1においては、プラズマによりシリコン基板上にカーボンナノウォールを形成することが開示されているが、シリコン基板上に金属触媒をコーティングしなければ、カーボンナノウォールは形成されない。また、上記特許文献2においては、壁の長さ方向が一定方向に向いた(配向した)カーボンナノウォールやその性状制御は開示されているが、これはHラジカルを反応領域に注入するという製造方法に特有の方法であり、Hラジカルを積極的に反応領域に注入するものではない場合に、カーボンナノウォールの性状制御や配向制御を行う方法に関しては、開示がない。
【0007】
また、AFMとKFMを複合化した表面電位顕微鏡は、試料の表面形状の凹凸をイメージングできるものであるが、本発明者の知る限りにおいて、AFM用の凹凸像に対する標準サンプルは市販されているものの、同時に取得される表面電位像に対する適切な標準サンプルが市販されておらず、表面電位の校正作業が円滑に行えないという課題があった。
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決したもので、本発明の一つの目的は、カーボンナノウォール(carbon nano walls:CNW)を製造する新規な方法を提供することである。本発明の他の一つの目的は、そのような製造方法の実施に適した製造装置を提供することである。本発明の他の一つの目的は、性状および/または特性の制御が容易なカーボンナノウォールの製造方法を提供することである。また、かかる製造方法の実施に適した製造装置を提供することである。さらに、他の目的は、新規な構造の配向したカーボンナノウォールを提供することである。
本発明の他の目的は、表面電位顕微鏡の校正に用いて好適な標準サンプルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、走査型電子顕微鏡の観測途中で、チャンバー内の有機ガスが電子線でイオン化され、照射域に堆積するコンタミネーションによって、意外にも、観測する試料基板上にカーボンナノウォールが形成されることを発見して、カーボンナノウォールを製造し得ることを見出した。また、カーボンナノウォールを形成した試料基板は、表面電位顕微鏡の校正に用いて好適な標準サンプルとして利用できるのではないかと考え、本発明を想到するに至った。
【0010】
〔1〕本発明のカーボンナノウォールの製造方法は、例えば図3に示すように、少なくとも走査型電子顕微鏡のチャンバー内の有機ガスに含まれる炭素を構成元素とする原料物質に起因する、コンタミネーションを用いて該チャンバー中に配置した試料基板の表面にカーボンナノウォールを形成するものであって、
前記試料基板の表面にカーボンナノウォールを形成する領域を定め(S102)、
前記カーボンナノウォールの指定形状の創製に必要な、前記走査型電子顕微鏡による前記試料基板の表面の一描画区画の描画時間を演算し(S104)、
前記走査型電子顕微鏡による前記試料基板の表面に描画される一描画区画の形状データに基づいて、前記カーボンナノウォールを形成する領域と合致するように、前記描画区画の重複領域の配置を定め(S106)、
前記描画区画の配置の指定に従って、前記走査型電子顕微鏡による描画により、前記試料基板の表面上に各描画区画の重複領域に、前記指定形状の前記カーボンナノウォールを創製すると共に、前記重複領域は前記走査型電子顕微鏡の走査方向に対して鉛直方向を含む斜め方向に位置する走査線折返し端部近傍とする(S108)ものである。
(【0011】以降は省略されています)

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