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公開番号2025075745
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-15
出願番号2023187126
出願日2023-10-31
発明の名称チタンニオブ複合酸化物粉末、それを用いた電極、及び非水電解質蓄電デバイス
出願人UBE株式会社
代理人弁理士法人とこしえ特許事務所
主分類C01G 33/00 20060101AFI20250508BHJP(無機化学)
要約【課題】非水電解質蓄電デバイスの電極材料として用いられ、初期容量を維持しながら充放電レート特性に優れ、さらに全固体電池でも充放電レート特性に優れた、チタンニオブ複合酸化物粉末、それを用いた蓄電デバイス用電極、及び非水電解質蓄電デバイスを提供する。
【解決手段】 一般式Ti1-x/2(M1 y)xNb2-zO7-x(式中のM1はAlまたはCuから選ばれる少なくとも1つの元素であり、0≦x<2、0≦y<0.5、0≦z<1)で表されるチタンニオブ複合酸化物粉末であって、蒸留水4.5gに前記チタンニオブ複合酸化物粉末0.5gを投入し、5分間振とうした後にpH測定器にて測定されるpH値が4.2以上7以下であり、かつ、顕微ラマン分光によって得られるスペクトルにおいて次式(I)を満たすことを特徴とするチタンニオブ複合酸化物粉末。
IA/IC≦0.2 (I)
IA:430~460cm-1に現れるピークAの強度
IC:260~280cm-1に現れるピークCの強度
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
一般式Ti
1-x/2
(M

y


Nb
2-z

7-x
(式中のM

はAlまたはCuから選ばれる少なくとも1つの元素であり、0≦x<2、0≦y<0.5、0≦z<1)で表されるチタンニオブ複合酸化物粉末であって、蒸留水4.5gに前記チタンニオブ複合酸化物粉末0.5gを投入し、5分間振とうした後にpH測定器にて測定されるpH値が4.2以上7以下であり、かつ、顕微ラマン分光によって得られるスペクトルにおいて次式(I)を満たす、チタンニオブ複合酸化物粉末。
IA/IC≦0.2 (I)
IA:430~460cm
-1
に現れるピークAの強度
IC:260~280cm
-1
に現れるピークCの強度
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
一般式Ti
2―x
(M

y


Nb
14+z

39
(式中のM

はAlまたはCuから選ばれる少なくとも1つの元素であり、0≦x<2、0≦y<0.5、0≦z<1)で表されることを特徴とする、請求項1に記載のチタンニオブ複合酸化物粉末。
【請求項3】
前記のチタンニオブ複合酸化物粉末の一次粒子のD50が次式(II)を満たすことを特徴とする、請求項1または2に記載のチタンニオブ複合酸化物粉末。
0.6μm≦D50≦2.0μm (II)
(D50とはレーザー回折散乱法による体積基準粒度分布において一次粒子の粒径の累積体積分布が50%となる点の粒径を示す。)
【請求項4】
前記のチタンニオブ複合酸化物粉末であって、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)を用いた赤外拡散反射スペクトルにおいて、1430±30cm
-1
、1500±30cm
-1
、または2350±30cm
-1
の領域に炭酸イオンに帰属されるピークを有しないことを特徴とする、請求項1または2に記載のチタンニオブ複合酸化物粉末。
【請求項5】
前記のチタンニオブ複合酸化物粉末であって、タンタル(Ta)、カリウム(K)、鉄(Fe)から選ばれる少なくとも1種の元素を含有し、かつ、その元素含有量が2400ppm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のチタンニオブ複合酸化物粉末。
【請求項6】
前記チタンニオブ複合酸化物粉末の一次粒子表面に元素M

(M

は、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、セリウム(Ce)、モリブデン(Mo)からなる元素群から選ばれるいずれか一つ以上)が局在化して存在することを特徴とする、請求項1または2に記載のチタンニオブ複合酸化物粉末。
【請求項7】
請求項1または2に記載のチタンニオブ複合酸化物粉末を活物質として含むことを特徴とする、非水電解質蓄電デバイス用の電極。
【請求項8】
請求項1または2に記載のチタンニオブ複合酸化物粉末と、無機固体電解質とを含む、非水電解質蓄電デバイス用の負極活物質組成物。
【請求項9】
請求項7に記載の電極を含むことを特徴とする、非水電解質蓄電デバイス。
【請求項10】
正極層、負極層および固体電解質層を備えた全固体二次電池であって、前記負極層が請求項8に記載の負極活物質組成物を含む層である、全固体二次電池。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解質蓄電デバイスの電極材料等として好適なチタンニオブ複合酸化物粉末、それを用いた電極、及び非水電解質蓄電デバイスに関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
電気自動車用の蓄電デバイスには、車体空間活用の観点から高い体積エネルギー密度が求められ、特にリチウムイオン電池は、電気自動車や電力貯蔵用の電源として広く使用されている。リチウムイオン電池の電極材料として種々の材料が研究されており、単位格子当たりの理論値として1,680mAh/cm

と高い体積エネルギー密度を持つチタン酸ニオブを中心とするチタンニオブ複合酸化物を負極材料として活用する動きが見られている。また、現在市販されているリチウムイオン電池は、可燃性の有機溶媒を含む電解液が使用されているため、短絡時に備えて温度上昇を抑える安全装置の取り付けや短絡防止の構造が必要になる。このような状況下で有機電解液に代えて、無機固体電解質を用いることで、安全性や信頼性の改善に加えて高エネルギー密度化が可能な全固体二次電池が注目されている。
【0003】
特許文献1には、式Li


(1-y)
Nb

Nb


(7+δ)
で表されるニオブ複合酸化物を含み、表面の少なくとも一部に炭酸リチウムが配されている電池用活物質であって、pHが7.4以上12.5以下であり、前記pHは、蒸留水50gに前記電池用活物質1gを投入し、1分間振とうし、5分間静置した後にpH測定器にて測定される電池用活物質が開示されている。特許文献1によれば、pHを7.4以上12.5以下とすることにより、固体酸点濃度を大幅に低減させ、活物質と電解液との反応性が抑制されることで初回充放電効率が高まり、また、大電流特性および優れた充放電サイクル性能をもたらす電池用活物質、そのような電池用活物質を含む非水電解質電池、およびそのような非水電解質電池を含む電池パックを提供することができるとされている。
【0004】
特許文献2には、特定のラマンバンドに対応するピーク強度が一定の範囲に入る、ルチル型酸化物を含有する単斜晶型ニオブ-チタン複合酸化物粒子を含むことを特徴とする非水電解質電池用活物質が開示されている。特許文献2によれば、含有されるルチル型酸化物が、充放電初期にリチウムを吸蔵することによって、単斜晶型ニオブ-チタン複合酸化物粒子の電子伝導性の向上に寄与し、結果、入出力特性とサイクル特性に優れる非水電解質電池用活物質、該活物質を用いた非水電解質電池が得られるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2014-209443号公報
国際公開第2015/140936号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の表面の少なくとも一部に炭酸リチウムが配されたpHが7.4以上12.5以下のニオブ複合酸化物について、負極活物質材料として適用した蓄電デバイスは1Cレート相当の充放電サイクル特性のみが検討されており、例えば、10Cレートといった更なる急速レートでの充放電特性に関する検討は一切なされていない。また、全固体二次電池に適用した場合の性能に関する記載は一切見られない。詳細は後述するが、塩基性を示す炭酸リチウムは非水電解液や固体電解質と反応し界面抵抗の要因となる分解物を形成することが分かった。そして、このような分解物の生成により、結果として、非水電解質二次電池の初期容量(電池容量)やレート特性が改善できないという課題があった。
【0007】
特許文献2の活物質では、ハイレートでの放電特性やサイクル特性が検討されているが、電池の初期容量(電池容量)や10Cハイレートでの充電特性の改善に関する知見は全く示されていない。実際、ルチル型酸化物を含有することで、電池の初期容量(電池容量)、10Cハイレートでの充電特性は低下する傾向にあり、加えて、単斜晶型ニオブ-チタン複合酸化物を全固体二次電池に適用した場合の性能に関する記載は一切見られない。
【0008】
以上の点から、特許文献1や特許文献2の負極活物質を電極に使用した非水電解質蓄電デバイスでは、初期容量を維持しつつハイレートでの入出力特性改善、ならびに全固体電池における性能は満足できるものではなく、両性能を両立することはできない。
【0009】
そこで本発明では、非水電解質蓄電デバイスの電極材料として用いられ、液系非水電解質蓄電デバイスにおける初期容量とレート特性、さらに全固体電池におけるレート特性を改善できるチタンニオブ複合酸化物粉末、それを用いた電極、及び非水電解質蓄電デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記の目的を達成すべくチタンニオブ複合酸化物の合成条件などを種々検討した結果、原料に合わせた合成時の焼成温度や解砕後の熱処理温度などを特定の範囲にて実施することで、pH値が4.2以上7以下であり、かつ、顕微ラマン分光によって得られるスペクトルの特定の2本のピークの強度比を0.2以下に制御したチタンニオブ複合酸化物粉末を得ることが出来た。本チタンニオブ複合酸化物粉末を電極材料として適用することにより、非水電解質蓄電デバイスの初期放電容量、及び、充放電レート特性に優れ、さらに全固体電池におけるレート特性を改善できることを見出し、本発明を完成した。このような効果は特許文献1または特許文献2には記載も示唆もされていない。すなわち、本発明は以下の事項に関する。
(【0011】以降は省略されています)

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