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公開番号
2025076783
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-05-16
出願番号
2023188642
出願日
2023-11-02
発明の名称
マルチカラー結晶の結晶成長方法
出願人
学校法人 東洋大学
代理人
主分類
C30B
29/16 20060101AFI20250509BHJP(結晶成長)
要約
【課題】成長した1つの結晶体が2色以上の複数の色を呈するマルチカラー結晶を結晶成長中の雰囲気ガスに含まれる酸素濃度を調節することのみによって成長する結晶成長方法を提供する。
【解決手段】結晶の成長中に雰囲気ガスに含まれる酸素濃度を100vol%から0.0vol%の間の複数の所定の濃度の間で1段あるいは複数段の階段状あるいはスロープ状に減少または増加することにより結晶に含まれる着色の原因となる不純物イオンの酸化状態を変化させ、1つの結晶体が2色以上の複数の色を呈するマルチカラー結晶を成長した。
【選択図】 図1
特許請求の範囲
【請求項1】
結晶成長中の雰囲気ガスに含まれる酸素の濃度を結晶成長の経過時間あるいは結晶の成長量に対して0.0vol%以上かつ100vol%以下のあらかじめ定めた複数の濃度の間で階段状またはスロープ状に減少あるいは増加させ当該結晶に添加される不純物イオンの酸化数を制御することによって1つの結晶が2色以上の複数の色を呈する結晶を成長することを特徴とするマルチカラー結晶の結晶成長方法。
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【請求項2】
成長する結晶が濃度0.1mol%以上かつ5.0mol%以下の不純物元素Mを含むスピネルであり,その化学式はMg
x
(M
y
,Al
1-y
)
2
O
3+x
または,(M
y
,Mg
1-y
)
x
Al
2
O
3+x
または,yMO・(1-y)Mg
x
Al
2
O
3+x
または,yM
2
O
3
・(1-y)Mg
x
Al
2
O
3+x
または,yMO
2
・(1-y)Mg
x
Al
2
O
3+x
であらわされ,化学式中のxの値はx=0.3以上かつx=1.0以下であり,化学式中のyの値はy=0.001以上かつy=0.05以下であり,不純物元素MはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Niの内の少なくとも1つまたは複数の元素を混合したものであることを特徴とする請求項1に記載のマルチカラー結晶の結晶成長方法。
【請求項3】
成長する結晶が濃度0.1mol%以上かつ5.0mol%以下のEuを含む化学式(Eu
x
,Y
1-x
)
3
Al
5
O
12
であらわされるガーネットであり,x=0.001以上かつx=0.05以下であることを特徴とする請求項1に記載のマルチカラー結晶の結晶成長方法。
【請求項4】
結晶の成長に使用する結晶成長法が浮遊帯域溶融法(フローティングゾーン法,FZ法),Cz法(チョクラルスキー結晶引上げ法),ベルヌイ法(火炎溶融法),ブリッジマン法,フラックス法,スカルメルト法,バグダゾロフ法,EFG法(Edge-defined Film-fed Growth)のいずれかの結晶成長法であることを特徴とする請求項1~3に記載のマルチカラー結晶の結晶成長方法。
【請求項5】
アルゴンガスまたは窒素ガスまたはアルゴンガスおよび窒素ガスの混合ガスのいずれかと酸素または空気をあらかじめ定めた割合で混合することにより結晶成長中の雰囲気ガスに含まれる酸素の濃度を調節することを特徴とする請求項1~4に記載のマルチカラー結晶の結晶成長方法。
【請求項6】
成長する結晶がFe
2
O
3
またはFeOまたはMn
2
O
3
またはMnOのいずれか1つまたは複数の不純物を添加したスピネル(MgAl
2
O
4
)であり,結晶成長中の雰囲気ガスに含まれる酸素の濃度が結晶成長の経過時間あるいは結晶成長量に対して1段の階段状または複数段の階段状またはスロープ状に減少または増加させることによって1つの結晶が複数の色を呈するスピネルを成長することを特徴とする請求項1~5に記載のマルチカラー結晶の結晶成長方法。
【請求項7】
石英管と、
前記石英管の内部に結晶成長用原料を保持する保持具と、
前記石英管を加熱する加熱部と、
前記石英管にガスを供給するガス配管と、
前記ガス配管に流入する前記ガスのガス成分を調節する流量調節器と、および、
前記ガスのO
2
濃度を時間と合わせて指定する情報を入力する入力部を有し、
前記流量調節器は、入力された前記情報を用いて前記ガスのO
2
濃度を前記時間に対応させて階段状またはスロープ状に制御することを特徴とする結晶成長装置。
【請求項8】
前記ガス成分は、O
2
ガスまたは二酸化炭素(CO
2
)ガスまたは空気と、ArガスまたはN
2
ガスまたはArガスとN
2
ガスを含むことを特徴とする請求項7記載の結晶成長装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は,結晶成長中の雰囲気ガスに含まれる酸素(O
2
)濃度を100vol%から0.0vol%の間で調節し結晶に含まれる不純物イオンの酸化数を変化させることによって結晶の色を変え,2色以上の複数の色を呈する結晶を成長するマルチカラー結晶の結晶成長方法に関する。
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【背景技術】
【0002】
宝飾用の結晶としては,自然界で成長した天然結晶および人工的に成長した人工結晶が用いられていた。天然結晶は希少価値が,人工結晶は高い品質と均質性,量産性が特徴である。人工結晶の従来の成長方法としては,浮遊帯域溶融法(Floating Zone,FZ法),Cz法(チョクラルスキー結晶引上げ法),ベルヌイ法(火炎溶融法),ブリッジマン法,フラックス法,スカルメルト法,バグダゾロフ法,EFG法(Edge-defined Film-fed Growth)などがあった。これらの人工結晶は単色の結晶であった。複数の色を呈するトルマリン(電気石)などの天然結晶がバイカラー結晶として,その希少価値から珍重されていた。一方で人工結晶では複数の色を呈するバイカラー結晶やトリカラー結晶などのマルチカラー結晶を成長可能な結晶成長技術はなかった。
【0003】
宝飾用のスピネル(MgAl
2
O
4
)としては,天然のスピネルおよび人工のスピネルが用いられていた。人工スピネル結晶の従来の成長方法としては,ベルヌイ法,Cz法,フラックス法,FZ法などがあった。これらの人工スピネル結晶は結晶全体が1つの色を呈する単色の結晶であった。複数の色を呈する天然スピネルがバイカラー結晶として,その希少価値から珍重されていた。一方で人工スピネルでは複数の色を呈するバイカラースピネルやトリカラースピネルなどのマルチカラースピネルを成長する技術はなかった。
【0004】
結晶全体が1つの色を呈する単色の人工スピネル結晶では様々な色のスピネルが人工的に成長されている。たとえば,MnOを添加したスピネルを結晶成長する際に雰囲気ガスのO
2
濃度及びスピネルの原料組成比(MgO/Al
2
O
3
)を変えることによって黄色,桃色,緑色などの結晶が成長可能であることが非特許文献1に報告されている。また,Euを添加したYAG(Y
3
Al
5
O
12
)を結晶成長する際に雰囲気ガスのO
2
濃度を変えることによって紫色または無色の結晶が成長可能であることが非特許文献2に報告されている。非特許文献1および非特許文献2に記載の方法は結晶全体が1つの色を呈する単色の結晶を得るための結晶成長方法である。従来の結晶成長技術では1個の結晶で複数の色を呈するマルチカラー結晶を成長することは不可能であった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Toru Katsumata,Hiromasa Mitomi, Hijiri Nagayama,Yuka Orihara,Mina Aoki, Ayaka Yoshida,Kasumi Shiratake,Shunsuke Minowa,Takashi Sakuma,Hiroaki Aizawa,Shuji Komuro,“Compositional variations in optical characteristics of Mn doped spinel crystals” ,J.Crystal Growth,468 (2017) 387-390.
【0006】
Yuka Kiyokawa,Hirofumi Inoue,Toru Katsumata,Shuji Komuro,Hiroaki Aizawa, “Thermal stability and annealing behavior of photoluminescence from Eu doped YAG”,Optical Materials,37 (2014) 493-497.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明では一つの結晶が2色以上の複数の色を呈するマルチカラー結晶を人工的に製造する結晶成長技術を提供する。天然の結晶は複数の不純物を含んでいるためそれぞれの不純物濃度が結晶成長中に変化することによって結晶の色がさまざまに変化することがある。しかし,従来の人工結晶の成長技術では結晶成長中に不純物の種類や濃度を変えながら結晶を成長することは困難であった。このため従来は複数の色を呈するマルチカラー結晶を人工的に成長する効果的な技術はなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明ではFZ法を使った結晶成長技術において,雰囲気ガス中のO
2
濃度を調節することにより結晶内部の不純物イオンの価数を変化させ複数の色を呈する結晶を成長することに成功した。結晶成長中のO
2
濃度の変化によってイオンの酸化数が変化する元素を添加したスピネルを使って結晶成長中の雰囲気ガスに含まれるO
2
濃度を変えながら結晶を成長することができた。結晶成長中のスピネルの雰囲気ガスに含まれるO
2
濃度を100vol%から0.0vol%の間で調節することによって結晶に含まれる不純物イオンの酸化数を変化させ結晶の色を変化させた。この結晶成長法によってMnOを添加したスピネルおよびFe
2
O
3
を添加したスピネルを用いて複数の色を呈するマルチカラー結晶が成長できた。
【0009】
この発明の結晶成長方法では,結晶成長中に雰囲気ガス中のO
2
濃度を階段状またはスロープ状に増加または減少させることによって複数の色を呈するマルチカラー結晶を成長することができた。したがって結晶成長中に雰囲気ガスのO
2
濃度を増加または減少することが可能なすべての結晶成長方法に応用することが可能である。この発明の結晶成長方法は,FZ法,Cz法,ベルヌイ法,ブリッジマン法,フラックス法,スカルメルト法,バグダゾロフ法,EFG法などの結晶成長法に応用できる。
【0010】
この発明の結晶成長方法では,結晶成長中に雰囲気ガス中のO
2
濃度を階段状またはスロープ状に増加または減少させることによって複数の色を呈するマルチカラー結晶を成長することができる。成長する結晶に含まれる着色の原因となる不純物元素としては,O
2
濃度によって酸化が変化する元素であれば使用することができる。したがって,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Tb,Ho,Er,Tm,Yb,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Niのうちの少なくとも1つまたは複数の元素を添加した結晶において複数の色を呈するマルチカラー結晶の成長に応用可能である。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
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