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公開番号
2025127678
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-09-02
出願番号
2024024521
出願日
2024-02-21
発明の名称
酸素安定同位体濃縮装置およびその運転方法
出願人
大陽日酸株式会社
代理人
弁理士法人志賀国際特許事務所
主分類
B01D
59/34 20060101AFI20250826BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約
【課題】本発明は、酸素安定同位体濃縮装置およびその運転方法の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、複数の酸素安定同位体を含む原料酸素ガスの少なくとも一部をオゾンとするオゾナイザと、前記酸素ガス、オゾンガス及び後述する第三の蒸留塔からの混合ガスを塔上部の酸素ガスと塔底の添加ガスに蒸留分離する第一の蒸留塔と、第一の蒸留塔からの混合ガスを導入し、光反応で酸素ガスを分解する光反応セルと、混合ガスを塔上部の酸素ガスと塔底のオゾンガス及び添加ガスに蒸留分離する第二の蒸留塔と、第二の蒸留塔からの混合ガス中のオゾンを酸素ガスに分解するオゾン分解触媒筒と、オゾン分解触媒筒からの混合ガスを塔上部の酸素ガスと塔底の添加ガスに蒸留分離する第三の蒸留塔を具備し、第二の蒸留塔上部の添加ガスの濃度を測定する分析計及び当該分析計からの信号を基に第二の蒸留塔上部から抜き出す酸素ガスの流量を制御する装置を具備している。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
複数の酸素安定同位体を含む原料酸素ガスの少なくとも一部をオゾンとするオゾナイザと、
前記オゾナイザからの酸素ガス、オゾンガス及び後述する第三の蒸留塔からの添加ガスの混合ガスを塔上部の酸素ガスと塔底のオゾンガス及び添加ガスに蒸留分離する第一の蒸留塔と、
前記第一の蒸留塔の塔底からのオゾンガス及び添加ガス混合ガスを導入し、そのオゾンガスを光反応で酸素ガスを選択的に分解する光反応セルと、
前記光反応セルからの酸素ガス、オゾンガス及び添加ガス混合ガスを塔上部の酸素ガスと塔底のオゾンガス及び添加ガスに蒸留分離する第二の蒸留塔と、
前記第二の蒸留塔の塔底からのオゾンガス及び添加ガス混合ガス中のオゾンを酸素ガスに分解するオゾン分解触媒筒と、
前記オゾン分解触媒筒からの酸素及び添加ガスの混合ガスを塔上部の酸素ガスと塔底の添加ガスに蒸留分離する第三の蒸留塔を具備した酸素安定同位体濃縮装置であって、
前記第二の蒸留塔の上部の残留添加ガスの濃度を測定する分析装置及び当該分析装置からの信号を基に第二の蒸留塔の上部から抜き出す酸素ガスの流量を制御する装置が設置されている
ことを特徴とする酸素安定同位体濃縮装置。
続きを表示(約 1,500 文字)
【請求項2】
前記添加ガスは、CF
4
、クリプトン、キセノン及びラドンの何れか1種または2種以上であることを特徴する請求項1に記載の酸素安定同位体濃縮装置。
【請求項3】
前記酸素ガスの流量を制御する装置に、分析ガス返送ラインが設置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の酸素安定同位体濃縮装置。
【請求項4】
前記第二の蒸留塔の上部にガス抜出ラインが接続され、前記ガス抜出ラインに前記分析装置が組み込まれていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の酸素安定同位体濃縮装置。
【請求項5】
複数の酸素安定同位体を含む原料酸素ガスの少なくとも一部をオゾンとするオゾナイザと、
前記オゾナイザからの酸素ガス、オゾンガス及び後述する第三の蒸留塔からの添加ガスの混合ガスを塔上部の酸素ガスと塔底のオゾンガス及び添加ガスに蒸留分離する第一の蒸留塔と、
前記第一の蒸留塔の塔底からのオゾンガス及び添加ガス混合ガスを導入し、そのオゾンガスを光反応で酸素ガスを選択的に分解する光反応セルと、
前記光反応セルからの酸素ガス、オゾンガス及び添加ガス混合ガスを塔上部の酸素ガスと塔底のオゾンガス及び添加ガスに蒸留分離する第二の蒸留塔と、
前記第二の蒸留塔の塔底からのオゾンガス及び添加ガス混合ガス中のオゾンを酸素ガスに分解するオゾン分解触媒筒と、
前記オゾン分解触媒筒からの酸素及び添加ガスの混合ガスを塔上部の酸素ガスと塔底の添加ガスに蒸留分離する第三の蒸留塔を具備した酸素安定同位体濃縮装置であって、
前記第二の蒸留塔の上部の残留添加ガスの濃度を測定する分析装置及び当該分析装置からの信号を基に第二の蒸留塔の上部から抜き出す酸素ガスの流量を制御する装置が設置されている酸素安定同位体濃縮装置を用い、
前記残留添加ガスの濃度に応じて前記第二の蒸留塔の上部から抜き出す酸素ガスの流量を調整して前記第二の蒸留塔における添加ガス濃度を安定化することを特徴とする酸素安定同位体濃縮装置の運転方法。
【請求項6】
前記添加ガスとして、CF
4
、クリプトン、キセノン及びラドンの何れか1種または2種以上を用いることを特徴する請求項5に記載の酸素安定同位体濃縮装置の運転方法。
【請求項7】
前記酸素ガスの流量を制御する装置に、前記第二の蒸留塔の上部からガスを抜き出すガス抜出ラインとガス返送ラインを備え、前記ガス抜出ラインに取り込んだガス中に含まれている前記残留添加ガスの濃度に応じ、前記ガス返送ラインから系外に排出するガス量を調節するか、前記ガス返送ラインを介し前記第二の蒸留塔の上部に戻すガス量を調節することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の酸素安定同位体濃縮装置の運転方法。
【請求項8】
酸素安定同位体濃縮装置の運転時に、前記ガス抜出ラインに取り込んだガス中に含まれている前記残留添加ガスの濃度が特定のしきい値を超える場合は前記ガス抜出ラインに取り込んだガスを前記ガス返送ラインを用いて前記第二の蒸留塔の上部に戻しながら、酸素安定同位体濃縮装置の運転を続行し、
前記ガス抜出ラインに取り込んだガス中に含まれている前記残留添加ガスの濃度が特定のしきい値以下となった場合に前記ガス抜出ラインから系外に排出するガス量の増減と前記ガス返送ラインを用いて前記第二の蒸留塔の上部に戻すガス量を増減することにより、前記第二の蒸留塔の上部の残留添加ガス濃度を調整し、前記第二の蒸留塔における添加ガス濃度を安定化することを特徴とする請求項7に記載の酸素安定同位体濃縮装置の運転方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素安定同位体濃縮装置およびその運転方法に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)
【背景技術】
【0002】
自然界に極わずかしか存在しない安定同位体を分離する方法として、熱拡散分離、遠心分離、レーザ分離、化学交換分離、蒸留分離などが知られている。この中でレーザ分離は、原理的にはレーザ誘起反応の選択性をきわめて大きくできることから、一段で所定の高い濃縮度が達成され、プロセスがきわめてコンパクトにできるという特徴がある。
具体的には、ガスセル内に特定波長のレーザ光を導入し、その光の吸収によって選択的な反応を起こす技術が用いられている。例えば、以下の特許文献1にはオゾンガスにレーザ光を照射することで目的の酸素同位体を含むオゾンを酸素に分解し、酸素中に目的の酸素同位体を濃縮する技術に関して開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許第4364529号公報
特許第4699784号公報
特開2005-040668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レーザ分離による安定同位体濃縮の場合、光反応によって生成する目的物質の生成速度が装置の生産能力に直結するパラメータになる。特許文献1に開示された技術の場合では、オゾンの光分解によって生成する酸素の生成速度(以下、酸素発生速度と記載)である。従って、装置を効率よく運転するためには、酸素発生速度を定量できることが必要となり、具体的にはオゾンを含むガス中の酸素濃度を測定する必要がある。
酸素発生速度が定量できないとすると、特許文献1を例とすれば、第二の蒸留塔頂から、ある程度経験的な量で製品となる酸素安定同位体ガスを抜き出す場合に問題を生じる。
例えば、抜き出し量が多すぎると塔内のオゾンを巻き込んで抜き出してしまうため、オゾンが自然分解した後の酸素によって目的とする安定同位体濃度が低下する。逆に抜き出し量が少なすぎると塔内に酸素が蓄積し続け、最終的に塔底側の抜出系統に酸素安定同位体ガスが混入して製品のロスにつながってしまう。
【0005】
一般的に、レーザ分離による安定同位体濃縮では、その選択性の高さから熱拡散分離や遠心分離、蒸留分離などの分離法と比較して分離係数が大きいというメリットがあるが、一方で処理量を大きくすることが難しく、特許文献1の例では酸素発生速度が小さいというデメリットがある。ここで、一般的な酸素濃度の定量方法として、隔膜電極式・磁気式・ジルコニア式・蛍光式などがあるが、オゾンは非常に不安定な物質であり常温でも分解して酸素になること、さらに腐食性を有することから、前記いずれの方式でも精度よく酸素濃度を測定することは難しく、レーザ分離による小さな酸素濃度の変化を定量することは困難である。
【0006】
酸素以外を測定することによって酸素発生速度を算出するということも考えられる。具体的にはレーザ照射前後のオゾン濃度の変化量を測定するということが考えられる。オゾン濃度の測定方法として、紫外線吸収法・半導体薄膜式・定電位電解法がある。半導体薄膜式と定電位電解法についてはオゾンの分解(前者は半導体薄膜上でのオゾンと半導体の反応、後者はオゾンの電気分解)を利用した原理であり、レーザ分離とは無関係なオゾン分解を起こすことになり、同位体濃縮度の低下につながるため適用できない。紫外線吸収法は、オゾンが254nmの光を強く吸収することを利用した測定法であり、前述の2つの方法と比較してオゾンの分解量は小さいものの、光吸収による非同位体選択的なオゾンの分解は発生するため、同様の理由で適用できない。前記の理由から、オゾン濃度の変化量を測定することによる酸素発生速度の算出は特許文献1に開示されたような技術に適用するのは不向きである。
【0007】
ところで、特許文献1に開示された技術に関連して、酸素同位体の濃縮効率を上げるために光反応場に導入するオゾンガスに適量の酸素以外のオゾンガスと反応性のないガスを添加してオゾン濃度を小さくし、オゾンの自然分解を抑制するという方法がある。具体的には特許文献2に開示された技術があり、オゾンガスにCF
4
ガスを添加するというものがある。特許文献2の技術は、以下の工程で構成される。
1.原料酸素から酸素-オゾン混合ガスを生成し、そこにCF
4
ガスを添加する
2.3種混合ガスを低温蒸留により酸素とオゾン-CF
4
混合ガスに分離する
3.オゾン-CF
4
混合ガスを光反応場で反応させ、目的とする安定同位体を含むオゾンを酸素に選択的に分解する
4.工程2.と同様に低温蒸留により酸素とオゾン-CF
4
混合ガスに分離し、目的とする安定同位体が濃縮した酸素ガスを取り出す
【0008】
前記の工程4において、蒸留塔の塔頂に溜まった酸素量に応じて塔頂から抜出されるガスに同伴するCF
4
濃度は変動することになり、酸素量が潤沢であれば抜き出される酸素中のCF
4
濃度は小さくなり、酸素量が少なくなるに従ってCF
4
濃度は大きくなる。具体的には酸素量に応じてCF
4
濃度はサブppmオーダーから%オーダーで変動する。なお、工程4では既にオゾンのレーザ照射による同位体分離は実施済みになるため、工程4の酸素中のCF
4
濃度測定による同位体濃縮度への影響はない。なお、特許文献2では添加ガスとしてCF
4
を用いているが、特許文献3に記載のように添加ガスはクリプトン、キセノン、またはラドンでもよい。
【0009】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであって、特許文献2の構成を改良することでレーザ分離による酸素発生速度を測定することを可能とし、それによってレーザ分離による酸素安定同位体濃縮装置の運転を最適化することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の各態様を採用した。
(1)本発明に係る酸素安定同位体濃縮装置は、複数の酸素安定同位体を含む原料酸素ガスの少なくとも一部をオゾンとするオゾナイザと、前記オゾナイザからの酸素ガス、オゾンガス及び後述する第三の蒸留塔からの添加ガスの混合ガスを塔上部の酸素ガスと塔底のオゾンガス及び添加ガスに蒸留分離する第一の蒸留塔と、前記第一の蒸留塔の塔底からのオゾンガス及び添加ガス混合ガスを導入し、そのオゾンガスを光反応で酸素ガスを選択的に分解する光反応セルと、前記光反応セルからの酸素ガス、オゾンガス及び添加ガス混合ガスを塔上部の酸素ガスと塔底のオゾンガス及び添加ガスに蒸留分離する第二の蒸留塔と、前記第二の蒸留塔の塔底からのオゾンガス及び添加ガス混合ガス中のオゾンを酸素ガスに分解するオゾン分解触媒筒と、前記オゾン分解触媒筒からの酸素及び添加ガスの混合ガスを塔上部の酸素ガスと塔底の添加ガスに蒸留分離する第三の蒸留塔を具備した酸素安定同位体濃縮装置であって、前記第二の蒸留塔の上部の残留添加ガスの濃度を測定する分析装置及び当該分析装置からの信号を基に第二の蒸留塔の上部から抜き出す酸素ガスの流量を制御する装置が設置されていることを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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