TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2025042710
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-28
出願番号2023149800
出願日2023-09-15
発明の名称加齢黄斑変性の治療抵抗性を評価する方法、試薬及びキット
出願人国立大学法人京都大学,株式会社カネカ
代理人弁理士法人平木国際特許事務所
主分類C12N 15/11 20060101AFI20250321BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】従来よりも高い感度及び精度で、AMD治療抵抗性を評価する方法、並びにこれに使用可能な試薬及びキットを提供する。
【解決手段】対象から取り出した試料中の核酸におけるrs10490924及びrs800292の一塩基多型(SNP)を検出し、検出されたrs10490924及びrs800292のアレルの組み合わせから、対象のAMD治療抵抗性を評価する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
対象の加齢黄斑変性(AMD)治療抵抗性を評価する方法であって、
前記対象から取り出した試料中の核酸におけるrs10490924及びrs800292の一塩基多型(SNP)を検出する検出工程;及び、
検出されたrs10490924及びrs800292のアレルの組み合わせから、対象のAMD治療抵抗性を評価する評価工程;
を含む方法。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
前記検出工程が、前記対象から取り出した試料中の核酸におけるrs10490924及びrs800292のSNPを含む核酸領域を、同一系内で同時に増幅及び検出することを含み、
前記検出工程において、以下の1)~3)の特徴を有する、rs10490924のGアレル、Tアレルを含む領域にそれぞれハイブリダイズする第1核酸プローブ及び第2核酸プローブ、並びにrs800292のAアレル、Gアレルを含む領域にそれぞれハイブリダイズする第3核酸プローブ及び第4核酸プローブが使用される、請求項1に記載の方法:
1)プローブ長が8~29merである;
2)人工核酸が1~12個である;及び
3)一方の末端領域に蛍光団、もう一方の末端領域に消光団を有する。
【請求項3】
前記検出工程で、ARMS2遺伝子又はrs10490924を含むその断片を増幅するための第1プライマーセット、及び補体因子H(CFH)遺伝子又はrs800292を含むその断片を増幅するための第2プライマーセットを用いるマルチプレックスPCRが行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記人工核酸がロックド核酸(LNA)である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1核酸プローブ、第2核酸プローブ、第3核酸プローブ及び第4核酸プローブにおいて、検出対象のSNPの結合部位に隣接する塩基の少なくとも1つがLNAである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記試料は、血液試料、唾液、口腔粘膜擦過物、組織試料又は他の体液試料である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記試料は、唾液又は口腔粘膜擦過物であり、核酸精製工程を含まず、rs10490924及びrs800292を含む複数のSNPを増幅及び検出する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
対象のAMD治療抵抗性を評価する試薬又はキットであって、
ARMS2遺伝子又はrs10490924を含むその断片を増幅するための第1プライマーセット;CFH遺伝子又はrs800292を含むその断片を増幅するための第2プライマーセット;及び
以下の1)~3)の特徴を有する、rs10490924のGアレル、Tアレルを含む領域にそれぞれハイブリダイズする第1核酸プローブ及び第2核酸プローブ、並びにrs800292のAアレル、Gアレルを含む領域にそれぞれハイブリダイズする第3核酸プローブ及び第4核酸プローブ:
1)プローブ長が8~29merである;
2)人工核酸が1~12個である;及び
3)一方の末端領域に蛍光団、もう一方の末端領域に消光団を有する;
を含む、試薬又はキット。
【請求項9】
第1プライマーセット、第2プライマーセット、第1核酸プローブ、第2核酸プローブ、第3核酸プローブ及び第4核酸プローブが同一の容器内に含まれ、マルチプレックスPCRに適用される、請求項8に記載の試薬又はキット。
【請求項10】
前記人工核酸がLNAである、請求項8に記載の試薬又はキット。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、加齢黄斑変性の治療抵抗性を評価する方法、試薬及びキットに関する。
続きを表示(約 3,500 文字)【背景技術】
【0002】
加齢黄斑変性(age-related macular degeneration)(以下AMD)は加齢、喫煙、遺伝等の要因により、眼底の網膜中心部の黄斑部に変性、血管新生を生じ、視力低下、中心暗点、変視症などの症状を引き起こす神経変性疾患である。AMDの患者数は年々増加傾向である。AMDの代表的な治療法としては、例えば、VEGF阻害剤の投与が知られるが、VEGF阻害剤は高額であり、継続的な投与が必要となるため、患者の経済的、身体的な負担が大きい。また、過剰や薬剤投与が網膜の萎縮を引き起こし、視力低下につながることも知られる。AMDの進展の予防としては、ビタミンC、E、β-カロチン、ルテイン、ゼアキサンチン等の抗酸化ビタミン、微量ミネラル、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)等のω-3多価不飽和脂肪酸の日常的な摂取が有効とされている(非特許文献1)。
【0003】
AMDの発症には、複数の遺伝子の一塩基多型(SNP)の関与が報告されている。特許文献1及び特許文献2には、AMDへの易罹患性を評価するマーカーとして複数のSNPが開示されている。また、非特許文献2には、AMD患者に対しVEGF阻害剤の3回の初期投与後に要した追加治療と、rs10490924のアレルとに相関があることが報告されている。さらに、試料から精製した核酸中のこれらのSNPを検出するための試薬も市販されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特表2008-545438号公報
特開2011-135838号公報
【非特許文献】
【0005】
石田 晋、加齢黄斑変性の予防医学 学術の動向、17巻12号、pp. 12_80-12_85(2012年12月)
K. Yamashiro, Nature Scientific Reports, 7: 9196 (2017), DOI:10.1038/s41598-017-09632-0
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の通り、AMD患者に対しVEGF阻害剤の初期投与後に要した追加治療、すなわち治療抵抗性に関連するSNPが報告されている。しかし、SNP単独の検出結果を使用するよりも、他のAMD治療抵抗性との関連性の高い複数のSNPを組み合わせて検出することで、より感度及び精度の高い治療抵抗性の評価が可能となることが期待できる。しかしながら、特にアジア人において、実際にAMD治療抵抗性と関連性の高いSNPの組み合わせについては、これまで明確な実証はされていない。
【0007】
本発明は、複数のSNPの検出結果を組み合わせることで、従来よりも高い感度及び精度で、AMDの治療抵抗性を評価する方法、並びにこれに使用可能な試薬及びキットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下を提供するものである。
[1]対象のAMD治療抵抗性を評価する方法であって、
前記対象から取り出した試料中の核酸におけるrs10490924及びrs800292の一塩基多型(SNP)を検出する検出工程;及び、
検出されたrs10490924及びrs800292のアレルの組み合わせから、対象のAMD治療抵抗性を評価する評価工程;
を含む方法。
[2]前記検出工程が、前記対象から取り出した試料中の核酸におけるrs10490924及びrs800292のSNPを含む核酸領域を、同一系内で同時に増幅及び検出することを含み、
前記検出工程において、以下の1)~3)の特徴を有する、rs10490924のG
アレル、Tアレルを含む領域にそれぞれハイブリダイズする第1核酸プローブ及び第2核酸プローブ、並びにrs800292のAアレル、Gアレルを含む領域にそれぞれハイブリダイズする第3核酸プローブ及び第4核酸プローブが使用される、[1]に記載の方法:
1)プローブ長が8~29merである;
2)人工核酸が1~12個である;及び
3)一方の末端領域に蛍光団、もう一方の末端領域に消光団を有する。
[3]前記検出工程で、ARMS2遺伝子又はs10490924を含むその断片を増幅するための第1プライマーセット、及び補体因子H(CFH)遺伝子又はrs800292を含むその断片を増幅するための第2プライマーセットを用いるマルチプレックスPCRが行われる、[2]に記載の方法。
[4]前記人工核酸がロックド核酸(LNA)である、[2]又は[3]に記載の方法。
[5]前記第1核酸プローブ、第2核酸プローブ、第3核酸プローブ及び第4核酸プローブにおいて、検出対象のSNPの結合部位に隣接する塩基の少なくとも1つがLNAである、[4]に記載の方法。
[6]前記試料は、血液試料、唾液、口腔粘膜擦過物、組織試料又は他の体液試料である、[1]~[5]のいずれかに記載の方法。
[7]前記試料は、唾液又は口腔粘膜擦過物であり、核酸精製工程を含まず、rs10490924及びrs800292を含む複数のSNPを増幅及び検出する工程を含む、[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[8]対象のAMD治療抵抗性を評価するための試薬又はキットであって、
ARMS2遺伝子又はrs10490924を含むその断片を増幅するための第1プライマーセット;CFH遺伝子又はrs800292を含むその断片を増幅するための第2プライマーセット;及び
以下の1)~3)の特徴を有する、rs10490924のGアレル、Tアレルを含む領域にそれぞれハイブリダイズする第1核酸プローブ及び第2核酸プローブ、並びにrs800292のAアレル、Gアレルを含む領域にそれぞれハイブリダイズする第3核酸プローブ及び第4核酸プローブ:
1)プローブ長が8~29merである;
2)人工核酸が1~12個である;及び
3)一方の末端領域に蛍光団、もう一方の末端領域に消光団を有する;
を含む、試薬又はキット。
[9]第1プライマーセット、第2プライマーセット、第1核酸プローブ、第2核酸プローブ、第3核酸プローブ及び第4核酸プローブが同一の容器内に含まれ、マルチプレックスPCRに適用される、[8]に記載の試薬又はキット。
[10]前記人工核酸がLNAである、[8]又は[9]に記載の試薬又はキット。
[11]対象から取り出した試料中の核酸におけるrs800292及びrs10490924のSNPを検出するために使用される、[8]~[10]のいずれかに記載の試薬又はキット。
[12]前記試料は、血液試料、唾液、口腔粘膜擦過物、組織試料又は他の体液試料である、[11]に記載の試薬又はキット。
[13]前記第1核酸プローブ、第2核酸プローブ、第3核酸プローブ及び第4核酸プローブにおいて、検出対象のSNPの結合部位に隣接する塩基の少なくとも1つがLNAである、[10]~[12]のいずれかに記載の試薬又はキット。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来よりも高い感度及び精度で、AMD治療抵抗性を評価することが可能な方法、試薬及びキットを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の第1核酸プローブの塩基長及びLNAの数と、実用可能性との関係を示す対応表である。
本発明の第2核酸プローブの塩基長及びLNAの数と、実用可能性との関係を示す対応表である。
本発明の第3核酸プローブの塩基長及びLNAの数と、実用可能性との関係を示す対応表である。
本発明の第4核酸プローブの塩基長及びLNAの数と、実用可能性との関係を示す対応表である。
実施例1の各rs10190924/rs800292アレル群のAMD患者の3ヶ月後の視力変化を示す箱ひげ図である。
実施例1の各rs10190924/rs800292アレル群のAMD患者の1年後の視力変化を示す箱ひげ図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

国立大学法人京都大学
マグネトロン
1か月前
国立大学法人京都大学
細胞質送達ペプチド
2か月前
国立大学法人京都大学
高さ調整可能な展示台
14日前
個人
肝疾患の検出方法
9日前
国立大学法人京都大学
剪断流を発生させる器具
2か月前
国立大学法人京都大学
データ読み出し方法および装置
9日前
国立大学法人京都大学
もやもや病の発症を予測する方法
2か月前
日本電信電話株式会社
細胞培養デバイス
2日前
日本電信電話株式会社
細胞培養デバイス
2日前
日本電信電話株式会社
細胞培養デバイス
2日前
日本電信電話株式会社
細胞培養デバイス
2日前
多摩川精機株式会社
圧電型角速度センサ
1か月前
国立大学法人京都大学
含窒素スピロ環化合物の製法及びその化合物
1か月前
大和ハウス工業株式会社
身体機能評価システム
2か月前
国立大学法人京都大学
β-グルコシル配糖体の製造方法及び形質転換体
9日前
国立大学法人京都大学
複合化ボード、複合化パネル及びこれらの製造方法
1か月前
株式会社ナード研究所
スクアリリウム色素誘導体
29日前
住友化学株式会社
リサイクル正極活物質の製造方法
今日
住友化学株式会社
リサイクル正極活物質の製造方法
今日
国立大学法人京都大学
廃水処理装置、廃水処理装置の制御方法及びプログラム
1か月前
国立大学法人佐賀大学
HO-1発現亢進剤及び抗炎症剤
8日前
国立大学法人京都大学
うつ病および/またはうつ状態の治療および/または予防用医薬
8日前
エスケーマテリアルズジェイエヌシー株式会社
多環芳香族化合物
1か月前
国立研究開発法人理化学研究所
中性子収束装置およびその製造方法
1か月前
ダイドーグループホールディングス株式会社
生理機能改善用の組成物
28日前
ポーラ化成工業株式会社
光燃料電池、電気化学デバイス、及び発電方法
17日前
国立大学法人京都大学
片方の性のみの個体を産むトランスジェニック非ヒト動物及びその作出方法
1か月前
国立大学法人京都大学
精製多糖類の製造方法、精製多糖類、および精製多糖類の着色を抑制する方法
2か月前
住友化学株式会社
カルコゲニド含有化合物、固体電解質、正極材、誘電体、及び電池
2か月前
カナデビア株式会社
廃棄物焼却設備
1か月前
エスケーマテリアルズジェイエヌシー株式会社
多環芳香族化合物および有機電界発光素子
今日
エスケーマテリアルズジェイエヌシー株式会社
多環芳香族化合物および有機電界発光素子
14日前
奥野製薬工業株式会社
無電解めっき用触媒液、無電解めっきの前処理方法、及び、無電解めっき方法
今日
国立大学法人京都大学
記録システム、記録方法、およびコンピュータプログラム
7日前
国立大学法人京都大学
III族窒化物半導体フォトニック結晶面発光レーザ素子
今日
国立大学法人京都大学
アルツハイマー病罹患者の認知機能障害の進行リスク又は発症リスクの検査方法、及びアルツハイマー病の検査方法
1か月前
続きを見る