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公開番号2025071044
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-02
出願番号2024182402
出願日2024-10-18
発明の名称導電性又は半導電性固定相を有するクロマトグラフィーカラムを使用するエレクトロスプレーのためのシステム及び方法
出願人ファーマフルーイディクス エヌブイ,サーモ フィニガン エルエルシー,Thermo Finnigan LLC
代理人弁理士法人ITOH
主分類G01N 27/62 20210101AFI20250424BHJP(測定;試験)
要約【課題】改善されたクロマトグラフィー性能を実現するエレクトロスプレーのためのシステム、方法、及びカートリッジを提供する。
【解決手段】システム、方法、及びカートリッジは、導電体を使用して、クロマトグラフィーカラムの上流に配置される流体接合部をクロマトグラフィーカラムの下流に配置される流体結合部に電気的に接続することによって、導電性又は半導電性固定相を有するクロマトグラフィーカラムを特徴とするエレクトロスプレーシステムにおけるクロマトグラフィー性能を改善する。導電体は、クロマトグラフィーカラムの第1の端部とクロマトグラフィーカラムの第2の端部との間に、クロマトグラフィーカラムを通る電流を中和する等電位の電圧を生成する。ポストカラムピーク分散及び反復可能なリテンションタイムが達成されながら、正確なエレクトロスプレー電流測定が可能になる。
【選択図】図2

特許請求の範囲【請求項1】
エレクトロスプレーシステムであって、
流体試料を受け取るための第1のプレカラム流体接合部と、
前記流体試料内の分析物を分離するためのクロマトグラフィーカラムであって、前記クロマトグラフィーカラムの第1の端部と第2の端部との間に配された導電性又は半導電性固定相を含み、前記第1の端部が前記第1のプレカラム流体接合部に流体接続される、クロマトグラフィーカラムと、
第1の流体ポート及び第2の流体ポートを有するポストカラム流体結合部であって、前記第1の流体ポートが、前記クロマトグラフィーカラムの前記第2の端部から前記流体試料中の分離された分析物を受け取る、ポストカラム流体結合部と、
前記第2の流体ポートに流体接続されたエレクトロスプレーエミッタと、
前記ポストカラム流体結合部と前記第1のプレカラム流体接合部との間の電位を等しくするために、前記ポストカラム流体結合部及び前記第1のプレカラム流体接合部に接続された導電体と、を備える、エレクトロスプレーシステム。
続きを表示(約 930 文字)【請求項2】
ハイサイド及びローサイドを有する電流検知回路を更に備え、前記電流検知回路の前記ローサイドが前記導電体に電気的に接続される、請求項1に記載のエレクトロスプレーシステム。
【請求項3】
前記電流検知回路の前記ハイサイドに電気的に接続された電源を更に備える、請求項2に記載のエレクトロスプレーシステム。
【請求項4】
前記流体試料を前記第1のプレカラム流体接合部に送達するための第2のプレカラム流体接合部を更に備え、前記電源が、前記第2のプレカラム流体接合部に高電圧を供給するように電気的に接続される、請求項3に記載のエレクトロスプレーシステム。
【請求項5】
前記ポストカラム流体結合部及び前記第1のプレカラム流体接合部が、互いに並列に、かつ電流検知回路と直列に電気的に接続される、請求項1に記載のエレクトロスプレーシステム。
【請求項6】
前記クロマトグラフィーカラムの前記第2の端部と前記ポストカラム流体結合部とを接続する流体経路が、ピーク広がりを低減するために30マイクロメートル以下の内径を有する、請求項1に記載のエレクトロスプレーシステム。
【請求項7】
前記クロマトグラフィーカラム、前記ポストカラム流体結合部、前記エレクトロスプレーエミッタ、前記導電体、及び前記第1のプレカラム流体接合部が、交換可能なカートリッジ内に収容される、請求項1に記載のエレクトロスプレーシステム。
【請求項8】
前記カートリッジが、前記導電体又は前記導電体と直列の電流検知回路に電気的に接続された高電圧電気コネクタを備える、請求項7に記載のエレクトロスプレーシステム。
【請求項9】
前記電流検知回路が、前記交換可能なカートリッジ内に収容される、請求項8に記載のエレクトロスプレーシステム。
【請求項10】
前記交換可能なカートリッジが、前記第1のプレカラム流体接合部及び前記ポストカラム流体結合部を電気的に遮蔽するハウジングを備える、請求項7に記載のエレクトロスプレーシステム。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性又は半導電性固定相を有するクロマトグラフィーカラムを使用するエレクトロスプレーのためのシステム及び方法に関する。
続きを表示(約 4,400 文字)【背景技術】
【0002】
エレクトロスプレーイオン化(ESI)は、質量分析(MS)において使用される技法である。より具体的には、ESIは、低レベルのフラグメンテーションを有する気相イオンの生成に広く使用される「ソフト」イオン化技術である。典型的なESIプロセスでは、高電圧を液体に印加して荷電液滴を生成し、これを脱溶媒和して気相イオンを形成する。低流量エレクトロスプレー、すなわち「NanoESI」は、比較的小さい内径(例えば、約20マイクロメートル以下)を有するエミッタから帯電液滴を生成する。低い流量と小さい直径との組み合わせは、イオン化効率の増加(すなわち、溶液中の利用可能な分析物分子当たりに生成される気相イオンの比率の増加)をもたらし、必要とされる試料の量の減少を可能にする。このエミッタが、対向電極として機能する質量分析計入口付近に配置されると、生成された気相イオンは、質量分析のために機器内にサンプリングされる。
【0003】
ESIは、クロマトグラフィーカラム又はシステムの出力を質量分析(MS)に結合するために一般に使用される。液体クロマトグラフィー(LC)などのクロマトグラフィー技術を使用して、溶液中の分子間の時間的分離を生成することができる。溶出液は、エレクトロスプレーエミッタに供給され、質量分析計の入力として機能することができる。
【発明の概要】
【0004】
本明細書では、エレクトロスプレーシステムが提供される。エレクトロスプレーシステムは、流体試料を受け取るための第1のプレカラム流体接合部を備える。エレクトロスプレーシステムは、流体試料内の分析物を分離するためのクロマトグラフィーカラムを備える。クロマトグラフィーカラムは、クロマトグラフィーカラムの第1の端部と第2の端部との間に配された導電性又は半導電性固定相を含む。第1の端部は、第1のプレカラム流体接合部に流体接続される。エレクトロスプレーシステムは、第1の流体ポート及び第2の流体ポートを有するポストカラム流体結合部を備える。第1の流体ポートは、クロマトグラフィーカラムの第2の端部から流体試料中の分離された分析物を受け取る。エレクトロスプレーシステムは、第2の流体ポートに流体接続されたエレクトロスプレーエミッタを備える。エレクトロスプレーシステムは、ポストカラム流体結合部と第1のプレカラム流体接合部との間の電位を等しくするためにポストカラム流体結合部及び第1のプレカラム流体接合部に接続された導電体を備える。
【0005】
本明細書において、エレクトロスプレーシステムにおける電気クロマトグラフィー効果を低減するための方法が提供される。本方法は、第1のプレカラム流体接合部からクロマトグラフィーカラムの第1の端部に流体試料を流すことを含む。クロマトグラフィーカラムは、クロマトグラフィーカラムの第1の端部と第2の端部との間に配された導電性又は半導電性固定相を含む。本方法は、クロマトグラフィーカラムを使用して流体試料内の分析物を分離することを含む。本方法は、分離された流体試料をクロマトグラフィーカラムの第2の端部からポストカラム流体結合部の第1の流体ポートに出力することを含む。ポストカラム流体結合部は、エレクトロスプレーエミッタに接続された第2の流体ポートを有する。本方法は、第1のプレカラム流体接合部及びポストカラム流体結合部と電気的に接触している導電体を使用して、第1のプレカラム流体接合部及びポストカラム流体結合部の両方に+1~+10キロボルトの範囲又は-1~-10キロボルトの範囲の等電位電圧を印加することを含む。
【0006】
本明細書では、エレクトロスプレーシステムに挿入するためのカートリッジが提供される。カートリッジは、流体試料を受け取るための第1のプレカラム流体接合部を備える。カートリッジは、流体試料内の分析物を分離するためのクロマトグラフィーカラムを備える。クロマトグラフィーカラムは、クロマトグラフィーカラムの第1の端部と第2の端部との間に配された導電性又は半導電性固定相を含む。第1の端部は、第1のプレカラム流体接合部に流体接続される。カートリッジは、第1の流体ポート及び第2の流体ポートを有するポストカラム流体結合部を備える。第1の流体ポートは、クロマトグラフィーカラムの第2の端部から流体試料中の分離された分析物を受け取る。カートリッジは、第2の流体ポートに流体接続されたエレクトロスプレーエミッタを備える。カートリッジは、ポストカラム流体結合部と第1のプレカラム流体接合部との間の電位を等しくするためにポストカラム流体結合部及び第1のプレカラム流体接合部に接続された導電体を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図は必ずしも縮尺通りに描画されておらず、図内の物体が互いに対する関係において必ずしも縮尺通りに描画されていないことを理解されたい。図は、本明細書において開示された装置、システム、及び方法の様々な実施形態に対する明確さ及び理解をもたらすことを意図した描示である。可能なかぎり、同じ参照番号が、同じ又は同様の部品を指すように全図面を通じて使用される。更に、図面が、本発明の教示の範囲を決して限定することを意図するものではないことを理解されたい。
非導電性固定相を有するクロマトグラフィーカラムを備える従来のエレクトロスプレーシステムの概略図である。
本明細書において教示されるいくつかの実施形態による、導電性又は半導電性固定相を有するクロマトグラフィーカラムを有するエレクトロスプレーシステムの概略図である。
本明細書において教示されるいくつかの実施形態による、導電性又は半導電性固定相を有するクロマトグラフィーカラムを有する代替的エレクトロスプレーシステムの概略図である。
異なる条件下での一連の反復実験についての、本明細書で教示されるいくつかの実施形態による半導電性固定相を有するクロマトグラフィーカラムにおける特定の分析物のリテンションタイムのグラフである。
本明細書において教示されるシステム、方法、及びカートリッジの実施形態とともに使用するための電流検知回路の概略図である。
本明細書において教示されるいくつかの実施形態での使用に適した絶縁を備える電流検知回路の概略図である。
本明細書において教示される種々の実施形態による、エレクトロスプレーシステムにおける電気クロマトグラフィー効果を低減するためのルーチンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で教示されるシステム、方法、及びカートリッジは、導電性又は半導電性の材料又は基板から形成される固定相(複数の場合もある)を有するクロマトグラフィーカラムを特徴とするエレクトロスプレーシステムにおけるクロマトグラフィー性能を改善する。従来のエレクトロスプレーシステムでは、電気的セットアップにより、漏れ電流が溶出液を通過することが可能になる。このような構成は、導電性又は半導電性固定相を有するクロマトグラフィーカラムとともに使用するのには適しておらず、なぜなら、このような導電性カラムを流れる電流が、カラムの帯電を経時的に引き起こし、これがその後、カラムにおける分析物分離中に分析物との有害な相互作用を発生させるからである。本明細書に教示されるシステム、方法、及びカートリッジは、導電体を使用して、クロマトグラフィーカラムの上流に配置される流体接合部をクロマトグラフィーカラムの下流に配置される流体結合部に電気的に接続することによって、この問題を克服する。導電体は、クロマトグラフィーカラムの第1の端部とクロマトグラフィーカラムの第2の端部との間に高電圧等電位を生成し、これはクロマトグラフィーカラムを通る電流を制限又は排除する。
【0009】
本明細書で教示されるシステム、方法、及びカートリッジはまた、高いクロマトグラフィー性能を維持しながら、導電性又は半導電性固定相を有するクロマトグラフィーカラムを使用するシステムにおけるエレクトロスプレー電流の測定を可能にする。従来のシステムでは、電流監視回路は、わずかに異なる電圧がクロマトグラフィーカラムの端部(すなわち、入口及び出口)に印加されるように、電源とエレクトロスプレーエミッタとの間に接続される。本明細書で教示されるシステム、方法、及びカートリッジでは、流体接合部及び流体結合部を接続する導電体は、電流監視回路と直列に接続される。したがって、導電性又は半導電性固定相を有するクロマトグラフィーカラムを通って電流は流れないが、エレクトロスプレー電流の正確な測定は依然として可能である。
【0010】
本明細書で教示されるいくつかの実施形態によれば、本明細書で教示されるエレクトロスプレーシステム、方法、及びカートリッジは、唯一のポストカラム流体接続として流体結合部を備えることによって、クロマトグラフィー性能の改善を可能にする。クロマトグラフィーカラムは、溶液中の分析物の時間的分離をもたらし、分析物バンドは、エレクトロスプレーエミッタに移動する。分析物バンドがエレクトロスプレーエミッタへの途中で通過する各流体接続は、層流流体流に対する擾乱(例えば、流動渦)を生成する可能性がある。加えて、掃引されない(流れのない)体積が、分析物が拡散する(受動輸送)各流体接続において生成される。これは能動輸送よりもはるかに遅いプロセスであるので、分析物プラグ又はバンドの一部は、プラグのバルクよりも遅れ、「テールプラグ」を引き起こす。これらのプロセスは、分析物バンドの分散、又はいわゆる「バンドの広がり」をもたらすので、分離の質に影響を及ぼす。本明細書で教示されるシステム、方法、及びカートリッジでは、導電体の使用は、単一のポストカラム流体接続(すなわち、流体結合部)のみを使用しながら、カラムの端部間の真の等電位を可能にする。したがって、本明細書のいくつかの実施形態によるシステム及び方法は、クロマトグラフィーカラム内の導電性又は半導電性固定相の帯電を回避し、ポストカラム流体接続の数を1つに制限することによって、クロマトグラフィー性能を改善する(例えば、従来のシステムと比較してピーク広がりを低減し、リテンションタイムを調節する)ことができる。
(【0011】以降は省略されています)

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