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公開番号2025073167
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-13
出願番号2023183692
出願日2023-10-26
発明の名称床構造
出願人三洋工業株式会社,株式会社竹中工務店
代理人個人,個人,個人
主分類E04F 15/00 20060101AFI20250502BHJP(建築物)
要約【課題】
高重量の移動体の往来による移動荷重に対する耐性が高く、かつ、施工性のよい床構造を提供すること。
【解決手段】
本発明に係る床構造は、ブリネル硬度が16N/mm2~45N/mm2の中密度繊維板からなる下地材及び、前記下地材に設けられた変形防止部材を備えた床仕上げ構造体と、前記床仕上げ構造体の少なくとも下面に配置される捨張板材及び/又はシート性パネルを備えた床下地構造体とを床躯体上面に設け、耐移動荷重性の高く、床仕上げ構造体表面の支圧破壊をおこし難いようにしたことを特徴とする。

【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
ブリネル硬度が16N/mm

~45N/mm

の中密度繊維板からなる下地材及び、前記下地材に設けられた変形防止部材を備えた床仕上げ構造体と、
前記床仕上げ構造体の少なくとも下面に配置される捨張板材及び/又はシート性パネルを備えた床下地構造体
とを床躯体上面に設ける耐移動荷重性の高く、床仕上げ構造体表面の支圧破壊をおこし難い床構造。
続きを表示(約 470 文字)【請求項2】
前記変形防止部材が、前記下地材の少なくとも上面に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の床構造。
【請求項3】
前記変形防止部材が、塩化ビニル樹脂から成るシート又はタイルである
ことを特徴とする請求項2に記載の床構造。
【請求項4】
前記変形防止部材が、フローリング材から成る
ことを特徴とする請求項2に記載の床構造。
【請求項5】
前記中密度繊維板は、密度が0.6g/cm

~1.2g/cm

から成る
ことを特徴とする請求項2に記載の床構造。
【請求項6】
前記中密度繊維板は、厚みが5.5mm~15mmから成る
ことを特徴とする請求項2に記載の床構造。
【請求項7】
前記床構造が、
前記床仕上げ構造体及び床下地構造体を床躯体上面に、高さ調整可能にする支持構造体をさらに備えている
ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の床構造。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、移動荷重に対する耐性の高く、床仕上げ構造体表面の支圧破壊をおこし難い床構造に関する。
続きを表示(約 5,200 文字)【背景技術】
【0002】
病院施設や介護施設等では、手術台や食事の配膳車のような高重量のキャスター付き台車が頻繁に通路を往来する。
このような通路では、通常、台車等の移動体の往来による階下への騒音伝播を防止するため、また、配管や配線を床下に収納することにより室内空間を有効に活用できるようにするために、床躯体上に、支持脚を設け、前記支持脚上にパーティクルボード等の床パネル材、ラワン材等の合板から成る床材、及びシート材等の床仕上げ材を下から順番に配置した床構造が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2018-21328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来の床構造では、その上を往来する移動体が、高重量の台車等である場合、台車のキャスター部分に荷重が集中し、結果として非常に大きな移動荷重が床材にかかることになり、床材に凹みや傷が生じやすいという問題がある。
また、前記した床材の凹みや傷に伴って、床材上に設けられた床仕上げ材に膨れが生じる等の問題も生じる。
前記した高重量の移動体の往来が原因となる床材の凹みや傷の問題を解決するために、合板の代わりに表面が硬い鉄板等を床材として使用する床仕上げ構造体が提案されているが、このような床仕上げ構造体は、鉄板等の床材が高重量であるため施工や現場での調整がし難いという問題があった。
本発明は、上記した従来の問題点を解決し、高重量の移動体の往来による移動荷重に対する耐性が高く、かつ、施工性のよい床構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した目的を達成するために、本発明に係る床構造は、ブリネル硬度が16N/mm

~45N/mm

の中密度繊維板からなる下地材及び、前記下地材に設けられた変形防止部材を備えた床仕上げ構造体と、前記床仕上げ構造体の少なくとも下面に配置される捨張板材及び/又はシート性パネルを備えた床下地構造体とを床躯体上面に設け、耐移動荷重性の高く、床仕上げ構造体表面の支圧破壊をおこし難いようにしたことを特徴とする。
前記変形防止部材は、前記下地材の少なくとも上面に配置され得る。
また、前記変形防止部材は、塩化ビニル樹脂から成るシート又はフローリング材で構成され得る。
好ましくは、前記中密度繊維板は、その密度が0.6g/cm

~1.2g/cm

であり得、また、その厚みが5.5mm~15mmであり得る。
また、前記床構造は、前記床仕上げ構造体及び床下地構造体を床躯体上面に、高さ調整可能にする支持構造体をさらに備え得る。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る床構造は、ブリネル硬度が16N/mm

~45N/mm

の中密度繊維板からなる下地材及び、前記下地材に設けられた変形防止部材を備えた床仕上げ構造体と、前記床仕上げ構造体の少なくとも下面に配置される捨張板材及び/又はシート性パネルを備えた床下地構造体とを床躯体上面に設けているので、耐移動荷重性能が極めて高く、かつ、床仕上げ構造体表面の支圧破裂をおこし難く、移動体の頻繁な往来によって床仕上げ構造体表面に凹みや傷が生じ難いという効果を奏し、当該効果は、特に、手術台や食事の配膳車のような高重量のキャスター付き台車が頻繁に往来する病院施設等において有用である。
また、下地材として鉄板等ではなく、中密度繊維板を使用しているので、鉄板等の高重量の材料を下地材として用いた場合に比べて軽量であり、施工がし易く、また、基礎にかかる負荷も低減させることができるという効果を奏する。
さらにまた、中密度繊維板からなる下地材に変形防止部材を貼設しているので、中密度繊維板が周囲環境の影響を受けて寸法変化することがない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明に係る床構造の第一実施例としての単層床構造の概略側面図である。
本発明に係る床構造の第二実施例としての、複層床の内、二重床構造の概略側面図である。
本発明に係る床構造の第三実施例としての、複層床の内、二重床構造の別の実施例の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面に示した一実施例を参照して本発明に係る床構造の実施の形態を説明していく。
本発明に係る床構造は、中密度繊維板からなる下地材、及び前記下地材に貼設された変形防止部材を備えた床仕上げ構造体と、前記床仕上げ構造体の少なくとも下面に配置される捨張板材及び/又はシート性パネルを備えた床下地構造体とを、床躯体上面に設けて成る。
前記中密度繊維板は、JISA5905において規定されている繊維板における中密度繊維板(MDF:ミディアムデンシティファイバーボード)中、ブリネル硬度が16N/mm

~45N/mm

である中密度繊維板から成る。
また、好ましくは、前記中密度繊維板は、その密度が0.6g/cm

~1.2g/cm

であり、また、その厚みは、5.5mm~15mmである。
前記変形防止部材は、前記中密度繊維板から成る下地材の上面若しくは下面、又は上下両面に、接着剤を用いて貼設される。
変形防止部材としては、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート又は塩化ビニル樹脂から成るシート又はタイル、好ましくは塩化ビニル樹脂の単層シート又はタイルが用いられ、その厚みは、1~3mmである。
また、変形防止部材として、フローリング材、例えば、無垢、合板、突板、挽き板又はシートフローリングを用いることもでき、その厚みは12mm以上である。
前記変形防止部材を下地材に貼設するために用いられる接着剤は、具体的には、例えば、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤又はアクリル系接着剤であり得る。
さらに、前記床下地構造体を構成するシート性パネルは、例えば、パーティクルボード、又はパーティクルボードにアルミ箔及び/又はクラフト紙を貼設したパネルから成り、前記捨張板材は、例えば、針葉樹合板又は石膏ボード等から成る。
さらにまた、前記床構造は、前記床仕上げ構造体及び床下地構造体を、高さ調整可能に床躯体上面に支持する支持構造体を有し得、それにより、支持構造体を設置する床躯体上面の不陸が発生している場合でも床仕上げ構造体及び床下地構造体を水平に接地することができ、また、設置場所の床下空間の設計に左右されることもない。
【0009】
床仕上げ構造体として、ブリネル硬度16N/mm

、密度0.6g/cm

及び板厚9mmの中密度繊維板から成る床下材の上面に、厚さ2.0mmのポリ塩化ビニル樹脂から成る単層長尺シート(移動荷重用フロアシートt2.0:田島ルーフィング株式会社)を、エポキシ系接着剤(EP-30:田島ルーフィング株式会社)を用いて貼設した試験体(実施例1)に対して、JISA1454耐キャスター性試験A-2法を用いて耐移動荷重性能試験を行った。試験体の平面視寸法は縦横、2560mm×1624mmである。
同様に、ブリネル硬度12N/mm

、密度0.5g/cm

及び板厚9mmの中密度繊維板から成る床下材の上面に実施例1と同一のシート材を貼設した試験体(比較例1)及びブリネル硬度7N/mm

、密度0.7g/cm

及び板厚9mmのラワン合板の上面に実施例1と同一のシート材を貼設した試験体(比較例2)に対して、実施例1と同条件にて、JISA1454耐キャスター性試験A-2法を用いて耐移動荷重性能試験を行った。比較例1及び2の試験体の平面視寸法は実施例1の試験体と同じである。
JISA1454耐キャスター性試験A-2法を用いて耐移動荷重性能試験は、実施例1、比較例1及び比較例2の各々についてシート材の膨れが出るまでの時間を計測することにより行った。
上記試験の結果を表1に示す。
TIFF
2025073167000002.tif
58
158
上記した試験結果から実施例1に係る床仕上げ構造体の耐移動荷重時間が比較例1及び2に比べて著しく長くなることが確認できた。
より詳細には、同じ中密度繊維板であっても、ブリネル硬度が12N/mm

及び密度が0.5g/cm

である比較例1に比べて、ブリネル硬度が16N/mm

及び密度が0.6g/cm

である実施例1の床仕上げ構造体の方がキャスター試験(A-2法)の結果、即ち、シート材の膨れが出るまでの時間が倍近く長くなっていることから、ブリネル硬度が16N/mm

及び密度が0.6g/cm

の中密度繊維板を使用することで、高重量の移動体が往来したとしても床下材の表面が傷付き難く、かつ、凹み難いことが確認できた。
【0010】
次に、前記実施例1の試験体を、温度35℃及び湿度80%の環境下に48時間放置した後の平面視縦方向の寸法の変化量及び温度5℃及び湿度20%の環境下に48時間放置した後の平面視縦方向の寸法の変化量を測定し、両変化量の差を「寸法変化量」とし、かつ、試験体の縦方向長さ(2560mm)に対する変化率を、式1に基づいて算出した。
寸法変化量/試験体縦方向寸法 ×100 (式1)
さらに、実施例1の中密度繊維板と同一の中密度繊維板(ブリネル硬度16N/mm

、密度0.6g/cm

、板厚9mm)であって、実施例1の試験体と同一の平面視寸法から成る下地材の上面に、厚さ12.0mmの複合フローリング材から成るフローリング材を、ウレタン樹脂系接着剤を用いて貼設した試験体(実施例2)を温度35℃及び湿度80%の環境下に48時間放置した後の平面視縦方向の寸法の変化量及び温度5℃及び湿度20%の環境下に48時間放置した後の平面視縦方向の寸法の変化量を測定し、両変化量の差を「寸法変化量」とし、かつ、試験体の縦方向長さ(2560mm)に対する変化率を、上記式1に基づいて算出した。
さらにまた、実施例1の中密度繊維板と同一の中密度繊維板(ブリネル硬度16N/mm

、密度0.6g/cm

、板厚9mm)であって、実施例1の試験体と同一の平面視寸法から成る下地材に変形防止部材としてのシートを貼設していない試験体(比較例3)を、温度20℃及び湿度65%の環境下に48時間放置した後の平面視縦方向の寸法の変化量及び温度20℃及び湿度20%の環境下に48時間放置した後の平面視縦方向の寸法の変化量を測定し、両変化量の差を「寸法変化量」とし、かつ、試験体の縦方向長さ(1820mm)に対する変化率を、上記式1に基づいて算出した。
実施例1、実施例2及び比較例3の寸法変化量及び変化率を表2に示す。
TIFF
2025073167000003.tif
78
158
上記した試験結果から、前記中密度繊維板に対してシートを貼設した実施例1及びフローリング材を貼設した実施例2は、周囲環境の影響による寸法変化量及び変化率が極めて小さいが、シートやフローリング材等の変形防止部材を貼設していない比較例3は、実施例1及び2の試験よりも有利な周囲環境条件であるにも拘わらず、寸法変化量及び変化率が共に大きいことが分かる。このことから変形防止部材としてのシート及びフローリング材が周囲環境の影響による中密度繊維板の寸法変化を抑えていることが確認でき、比較例3の寸法変化量及び変化率から、シート及びフローリング材等の変形防止部材を貼設していない中密度繊維板は、床仕上げ構造体としての使用に適していないことが分かる。
(【0011】以降は省略されています)

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