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公開番号2025093001
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-23
出願番号2023208466
出願日2023-12-11
発明の名称無電解めっき廃液処理方法及び無電解めっき廃液処理システム
出願人株式会社ダイセキ
代理人個人,個人,個人
主分類C23C 18/16 20060101AFI20250616BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】効率的に且つ加熱エネルギーを大幅に低減させて反応させ、更に廃液中に含まれる有用な全ての成分(ニッケル成分、次亜リン酸成分、更に有機成分)及び生成される水素を回収し有効利用する無電解めっき廃液処理方法及び処理システムを提供する。
【解決手段】本廃液処理方法は、ニッケル成分及び次亜リン酸を含む無電解めっき廃液を、鉄粉末を触媒としてアルカリ性下且つ18℃以上50℃未満において反応させて亜リン酸及び水素を生成する反応工程と、反応工程において生成された水素を回収する水素回収工程と、反応工程において得られる反応液中に含まれるニッケル被覆鉄粉末を回収するニッケル被覆鉄粉末回収工程と、この回収工程後、更に亜リン酸カルシウム塩生成用カルシウム素材を加えて亜リン酸カルシウム塩を生成させ生成する亜リン酸カルシウム塩を分離し脱水して亜リン酸カルシウムを回収する亜リン酸カルシウム回収工程と、を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
ニッケル成分及び次亜リン酸を含む無電解めっき廃液を、鉄粉末を触媒としてアルカリ性下且つ18℃以上50℃未満において反応させて、亜リン酸及び水素を生成する反応工程と、
前記反応工程において生成された水素を回収する水素回収工程と、
前記反応工程において得られる反応液中に含まれるニッケル被覆鉄粉末を回収するニッケル被覆鉄粉末回収工程と、
前記ニッケル被覆鉄粉末回収工程後、更に亜リン酸カルシウム塩生成用カルシウム素材を加えて亜リン酸カルシウム塩を生成させ、生成する前記亜リン酸カルシウム塩を分離し脱水して前記亜リン酸カルシウムを回収する亜リン酸カルシウム回収工程と、を備えることを特徴とする無電解めっき廃液処理方法。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記アルカリ性のpHは8以上である請求項1記載の無電解めっき廃液処理方法。
【請求項3】
前記ニッケル被覆鉄粉末回収工程において回収された前記ニッケル被覆鉄粉末を、更に、新たな無電解めっき廃液に触媒として再利用する請求項1記載の無電解めっき廃液処理方法。
【請求項4】
前記亜リン酸カルシウム回収工程後の廃液に活性汚泥処理を施して前記亜リン酸カルシウム回収工程後の廃液に含まれる有機物を活性汚泥として回収する工程を備える請求項1記載の無電解めっき廃液処理方法。
【請求項5】
回収された前記水素及び前記亜リン酸カルシウムを活用し、
前記ニッケル被覆鉄粉末回収工程において回収された前記ニッケル被覆鉄粉末を、更に、新たな無電解めっき廃液に触媒として再利用する請求項1記載の無電解めっき廃液処理方法。
【請求項6】
前記亜リン酸カルシウム回収工程後の廃液に活性汚泥処理を施して前記亜リン酸カルシウム回収工程後の廃液に含まれる有機物を活性汚泥として回収し前記活性汚泥を活用する請求項5記載の無電解めっき廃液処理方法。
【請求項7】
ニッケル成分及び次亜リン酸を含む無電解めっき廃液を、鉄粉末を触媒としてアルカリ性下且つ18℃以上50℃未満において反応させて、亜リン酸及び水素を生成する反応手段と、
前記反応システムにおいて生成された水素を回収する水素回収手段と、
前記反応工程において得られる反応液中に含まれるニッケル被覆鉄粉末を回収するニッケル被覆鉄粉末回収手段と、
前記ニッケル被覆鉄粉末回収手段後、更に亜リン酸カルシウム塩生成用カルシウム素材を加えて亜リン酸カルシウム塩を生成させ、生成する前記亜リン酸カルシウム塩を分離し脱水して前記亜リン酸カルシウムを回収する亜リン酸カルシウム回収手段と、を備えることを特徴とする無電解めっき廃液処理システム。
【請求項8】
前記アルカリ性のpHは8以上である請求項7記載の無電解めっき廃液処理システム。
【請求項9】
前記亜リン酸カルシウム回収手段は、生成する亜リン酸カルシウム塩を分離して前記亜リン酸カルシウムを回収する請求項7記載の無電解めっき廃液処理システム。
【請求項10】
前記ニッケル被覆鉄粉末回収手段において回収された前記ニッケル被覆鉄粉末を、更に、新たな無電解めっき廃液に再利用する請求項7記載の無電解めっき廃液処理システム。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、無電解めっき廃液処理方法及び無電解めっき廃液処理システムに関する。
続きを表示(約 3,500 文字)【背景技術】
【0002】
現在、無電解めっき技術は装飾めっき製品から磁気ディスク及び磁気テープ等の電子部品の製造に至る多様な分野で活用されており、めっき金属の種類も、従来から多用されてきたニッケルの他、一部にニッケル-コバルト合金等が適用されている。
【0003】
無電解めっき法は、一般にあらかじめ建浴しためっき液に被めっき基材を浸漬して所定時間反応させる方法で行われるが、処理段階でめっき浴や工程の条件を適正に管理しても反応時の酸化生成物の増大は避けられず使用した処理液を再利用することが困難であった。
【0004】
以上より、一定のめっき反応を経た浴液は、液中にNi
2+
などのめっき金属イオンや次亜リン酸ナトリウムのような還元成分が多量に残留するにも拘わらず、多くの場合、無電解めっき廃液として廃棄処分されることが多くあった。
【0005】
しかし、公害防止及び環境浄化面からの要請から海洋投棄が禁止され、他方、含有する有効成分(ニッケル及びリン)の回収再利用も行われてきているが、それが十分ではないのが現状である。
【0006】
無電解めっき廃液の処理法としては、以下に示す特許文献1及び2等があげられる。
特許文献1には、(1)触媒としてニッケルの記載があるものの鉄の記載はなく、(2)反応温度は50~90℃、特に実施例では80℃という高温が記載されており、また、(3)亜リン酸を酸化させてリン酸カルシウムとして分離回収しており、(4)水素の発生の記載はあるがその回収の記載はなく、(5)再利用する触媒はニッケル粉体である、とされている。尚、活性汚泥処理についての記載はされている。
特許文献2には、(1)触媒として鉄とニッケルの記載があるものの、その形状が粉ではなく細線・綿状体であり、形状が全く異なり、更に、ニッケルについて実験がされているものの鉄についてはされておらず、(2)反応時のpHは記載されておらず実施例においてはアルカリへのpH調整をせずにそのまま反応させており、(3)反応温度は60℃以上であり、特に実施例では90℃と大変高温であり、しかも40℃では反応しないと記載されている。尚、活性汚泥処理及び水素の発生・回収についての記載はされていない。
特許文献3には、オゾン発生装置により発生させたオゾンをマイクロバブル発生機によりマイクロバブルにし、そのオゾンを用いてニッケルイオン除去めっき廃液に対して電解酸化を行うことにより、次亜リン酸イオン及び亜リン酸イオンを酸化するとともに、この廃液に含まれる有機物成分を分解するめっき廃液の処理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開平9-176861号公報
特開2019-118908号公報
特開2014-95108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記先行特許文献において、アルカリ下で、鉄触媒で、且つ低温で効率よく反応させるものは記載されておらず、低温でも効率的な反応が達成されておらず、しかも加熱エネルギーを大幅に使用している。更に、無電解めっき廃液中に含まれる有用な成分の多く又は全ての成分(ニッケル成分、亜リン酸成分、有機成分、及び生成される水素)を分離回収して有効利用が十分にされていない。
また、前記特許文献3の処理装置によれば、高価な設備を必要とし且つイニシャルコスト及びランニングコストが高くなるので実用的でないと考えられる。
【0009】
本発明者らは、上記課題に鑑み、無電解ニッケルめっき廃液の合理的な処理方法及びその回収物の有効利用について鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成させたものである。
即ち、本発明は、前記欠点を解決するものであり、効率的に且つ加熱エネルギーを大幅に低減させて反応させ、更に、廃液中に含まれる有用な全ての成分(ニッケル成分、次亜リン酸成分、更に有機成分)及び生成される水素を回収し有効利用することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は以下に示される。
1.ニッケル成分及び次亜リン酸を含む無電解めっき廃液を、鉄粉末を触媒としてアルカリ性下且つ18℃以上50℃未満において反応させて、亜リン酸及び水素を生成する反応工程と、
前記反応工程において生成された水素を回収する水素回収工程と、
前記反応工程において得られる反応液中に含まれるニッケル被覆鉄粉末を回収するニッケル被覆鉄粉末回収工程と、
前記ニッケル被覆鉄粉末回収工程後、更に亜リン酸カルシウム塩生成用カルシウム素材を加えて亜リン酸カルシウム塩を生成させ、生成する前記亜リン酸カルシウム塩を分離して前記亜リン酸カルシウムを回収する亜リン酸カルシウム回収工程と、を備えることを特徴とする無電解めっき廃液処理方法。
2.前記アルカリ性のpHは8以上である、前記1.に記載の無電解めっき廃液処理方法。
3.前記ニッケル被覆鉄粉末回収工程において回収された前記ニッケル被覆鉄粉末を、更に、新たな無電解めっき廃液に触媒として再利用する、前記1に記載の無電解めっき廃液処理方法。
4.前記亜リン酸カルシウム回収工程後の廃液に活性汚泥処理を施して前記亜リン酸カルシウム回収工程後の廃液に含まれる有機物を活性汚泥として回収する工程を備える、前記1に記載の無電解めっき廃液処理方法。
5.回収された前記水素及び前記亜リン酸カルシウムを活用し、
前記ニッケル被覆鉄粉末回収工程において回収された前記ニッケル被覆鉄粉末を、更に、新たな無電解めっき廃液に触媒として再利用する、前記1に記載の無電解めっき廃液処理方法。
6.前記亜リン酸カルシウム回収工程後の廃液に活性汚泥処理を施して前記亜リン酸カルシウム回収工程後の廃液に含まれる有機物を活性汚泥として回収し前記活性汚泥を活用する、前記5記載の無電解めっき廃液処理方法。
7.ニッケル成分及び次亜リン酸を含む無電解めっき廃液を、鉄粉末を触媒としてアルカリ性下且つ18℃以上50℃未満において反応させて、亜リン酸及び水素を生成する反応手段と、
前記反応手段において生成された水素を回収する水素回収手段と、
前記反応手段において得られる反応液中に含まれるニッケル被覆鉄粉末を回収するニッケル被覆鉄粉末回収手段と、
前記ニッケル被覆鉄粉末回収手段後、更に水溶性カルシウム塩を加えて亜リン酸カルシウム塩を生成させ、生成する前記亜リン酸カルシウム塩を分離し脱水して前記亜リン酸カルシウムを回収する亜リン酸カルシウム回収手段と、を備えることを特徴とする無電解めっき廃液処理システム。
8.前記アルカリ性のpHは8以上である、前記7に記載の無電解めっき廃液処理システム。
9.前記亜リン酸カルシウム回収手段は、生成する亜リン酸カルシウム塩を分離し脱水して前記亜リン酸カルシウムを回収する、前記7に記載の無電解めっき廃液処理システム。
10.前記ニッケル被覆鉄粉末回収手段において回収された前記ニッケル被覆鉄粉末を、更に、新たな無電解めっき廃液に再利用する、前記7に記載の無電解めっき廃液処理システム。
11.前記亜リン酸カルシウム回収手段を行った後の廃液に活性汚泥処理を施して前記亜リン酸カルシウム回収手段後の廃液に含まれる有機物を活性汚泥として回収する活性汚泥回収手段を備える、前記7に記載の無電解めっき廃液処理システム。
12.回収された前記水素及び前記亜リン酸カルシウムを活用し、前記ニッケル被覆鉄粉末回収手段において回収された前記ニッケル被覆鉄粉末を、更に、新たな無電解めっき廃液に触媒として再利用する、前記7に記載の無電解めっき廃液処理システム。
13.前記亜リン酸カルシウム回収手段後の廃液に活性汚泥処理を施して前記亜リン酸カルシウム回収手段後の廃液に含まれる有機物を活性汚泥として回収し前記活性汚泥を活用する、前記12に記載の無電解めっき廃液処理システム。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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