TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025094822
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-25
出願番号2023210594
出願日2023-12-13
発明の名称腸内細菌の増殖抑制剤
出願人伊那食品工業株式会社,学校法人藤田学園
代理人弁理士法人佐川国際特許商標事務所,個人,個人,個人,個人,個人
主分類A61K 31/7016 20060101AFI20250618BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】 腸内においてムチン分解に関与する細菌の菌数を抑制する技術を提供する。本発明によれば、ルミノコッカス グナバスなどの、ムチン分解に関与しうる腸内細菌の増殖を抑制することができる。これにより、腸内のムチンの分解を抑制し、もって、腸管バリア機能を保全して、宿主の健康の維持や向上に寄与することができる。
【解決手段】 アガロオリゴ糖を有効成分とする、配列番号1(ルミノコッカス グナバスのNanA遺伝子)との配列同一性が45.6%以上のDNA配列からなるNanA遺伝子をゲノムDNA中に保有する腸内細菌の増殖を抑制する剤。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
配列番号1との配列同一性が45.6%以上のDNA配列からなるN-アセチルノイラミン酸リアーゼ遺伝子をゲノムDNA中に保有する腸内細菌の増殖抑制剤であって、アガロオリゴ糖を有効成分とする前記剤。
続きを表示(約 430 文字)【請求項2】
腸内においてN-アセチルノイラミン酸リアーゼの発現を抑制するために用いられる、請求項1に記載の剤。
【請求項3】
腸内ムチンの分解を抑制するために用いられる、請求項1に記載の剤。
【請求項4】
腸管バリア機能を保全するために用いられる、請求項1に記載の剤。
【請求項5】
前記腸内細菌が、ルミノコッカス属、フソバクテリウム属、ブラウティア属またはバクテロイデス属である、請求項1に記載の剤。
【請求項6】
前記アガロオリゴ糖が、アガロビオースを含有するアガロオリゴ糖である、請求項1に記載の剤。
【請求項7】
配列番号1との配列同一性が45.6%以上のDNA配列からなるN-アセチルノイラミン酸リアーゼ遺伝子をゲノムDNA中に保有する腸内細菌の増殖抑制剤であって、3,6-アンヒドロ-L-ガラクトースまたはこれを還元末端に有するオリゴ糖を有効成分とする前記剤。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、アガロオリゴ糖を有効成分とする、腸内細菌の増殖抑制剤に関する。詳細には、アガロオリゴ糖を有効成分とする、配列番号1との配列同一性が45.6%以上のDNA配列からなるN-アセチルノイラミン酸リアーゼ遺伝子をゲノムDNA中に保有する腸内細菌の増殖抑制剤に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
ムチン(mucin)は動物由来の高分子糖タンパク質で、消化管・気道の粘膜上皮や唾液腺などで産生される粘液の主成分である。コアタンパク質に高い頻度で糖鎖が結合した構造を持ち、一般に、強い粘性と高い保水性を有する。ムチンは、分泌型と膜結合型に分類され、物理的バリアとしての粘膜保護や潤滑作用に加え、膜結合型では細胞質内への情報伝達にも関与している。ムチンのコアタンパク質をコードする遺伝子は「MUC」と表記され、発見された順番で番号がつけられており、現在までにヒトでは20数種が報告されている。
【0003】
消化管内腔は粘液層で覆われており、係る粘液層は、飲食物等に由来する病原微生物やアレルゲン、ウイルス、毒素などの外界因子に対して、物理的、化学的、生物学的な障壁(バリア)として働いている。消化管粘液は、杯細胞と呼ばれる円柱上皮細胞から分泌されてなり、その主成分のムチンには膜結合型のMUC4,分泌型のMUC2,MUC5Bなどが関与し、特にMUC2が重要とされている(非特許文献1)。MUC2欠損マウスは、大腸の杯細胞の粘液分泌が選択的に障害され、大腸炎の自然発症や、デキストラン硫酸による腸炎の増悪を引き起こす(非特許文献2)。また、MUC2遺伝子変異マウスでは、生後4週でディスバイオーシス(腸の細菌叢が健康な状態から逸脱した状態)が見られ、16週には自然発症腸炎が組織学的に確認された(非特許文献3)。これらの報告から、ムチンを主成分とする粘液層の腸管バリア機能が、健康維持に重要であることが判る。
【0004】
一方、粘液を分解する4種(Akkarmansia muciniphila, Barnesiella intestinihominis, Bacteroides thetaiotaomicron, Bacteroides caccae)の細菌を含む、代表的なヒト腸内細菌種14種を定着させたノトバイオートマウスに低食物繊維食を与えた結果、大腸の粘液層が顕著に減少したことが報告されている(非特許文献4)。すなわち、ヒト腸内細菌叢は、本来、食物繊維を餌とするものの、食物繊維が不足する環境においては、宿主の分泌した粘液を餌とし、それにより腸管バリアが浸食されうることを示している(非特許文献1)。
【0005】
ムチンを分解する腸内細菌としては上記4種のほか、ルミノコッカス グナバス(Ruminococcus gnavus)が報告されている。ルミノコッカス グナバスは、ムチンのシアル酸を栄養源として生育する。Ruminococcus gnavus ATCC 29149株は、ムチン糖鎖から(N-アセチルノイラミン酸でなく)2,7-アンヒドロ-N-アセチルノイラミン酸を切り出し、これを細胞内に移送した後にN-アセチルノイラミン酸に変換し、N-アセチルノイラミン酸リアーゼ(NanA)によりN-アセチルマンノサミンとピルビン酸とに分解して代謝する、独特のシアル酸代謝経路を有することが報告されている(非特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
内藤裕二、すべての臨床医が知っておきたい腸内細菌叢 基本知識から疾患研究、治療まで、羊土社、2021年4月10日第1刷発行、第70-77頁
Van der Sluis M, et al: Muc2-deficient mice spontaneously develop colitis, indicating that MUC2 is critical for colonic protection. Castroenterology, 131: 117-129, 2006
Liso M, et al: A specific mutation in Muc2 determines early dysbiosis in colitis-prone Winnie mice. Inflamm Bowel Dis, 26: 546-556, 2020
Desai MS, et al: A dietary fiber-deprived gut microbiota degrades the colonic mucus barrier and enhances pathogen susceptibility. Cell, 167: 1339-1353.e21, 2016
Andrew Bell et.al. , Elucidation of a unique sialic acid metabolism pathway in mucus-foraging Ruminococcus gnavus unravels mechanisms of bacterial adaptation to the gut, Nat Microbiol. 2019 December ; 4(12): 2393?2404. doi:10.1038/s41564-019-0590-7
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明者らは、腸内においてムチン分解に関与する細菌の菌数を抑制すれば、腸内のムチンの分解を抑制することができ、腸管バリア機能を保全して、宿主(ヒトや動物)の健康の維持や向上に寄与できると考えた。すなわち、本発明は、腸内においてムチン分解に関与する細菌の菌数を抑制する技術を提供することを目的とする。
【0008】
本発明者らは、鋭意研究の結果、アガロオリゴ糖、3,6-アンヒドロ-L-ガラクトース、および、3,6-アンヒドロ-L-ガラクトースを還元末端に有するオリゴ糖が、ムチン分解菌であるルミノコッカス グナバスやバクテロイデス属の菌数を抑制できること、さらには、ルミノコッカス グナバスのシアル酸代謝酵素であるNanAの遺伝子(配列番号1)のホモログをゲノムDNA中に保有する腸内細菌の菌数を抑制できることを見出した。そこで、これらの知見に基づいて、下記の各発明を完成した。
【0009】
(1)本発明に係る剤(「本剤」という場合がある。)の第1の態様は、配列番号1(ルミノコッカス グナバスのNanA遺伝子)との配列同一性が45.6%以上のDNA配列からなるNanA遺伝子をゲノムDNA中に保有する腸内細菌の増殖抑制剤(増殖抑制用組成物)であって、アガロオリゴ糖を有効成分とする。
【0010】
(2)本剤は、腸内においてNanAの発現を抑制するために用いられるものであってもよい。すなわち、本剤は、腸内におけるNanAの発現抑制剤(発現抑制用組成物)であってもよい。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

個人
健康器具
4か月前
個人
歯茎みが品
5か月前
個人
鼾防止用具
4か月前
個人
洗井間専家。
3か月前
個人
白内障治療法
3か月前
個人
マッサージ機
4か月前
個人
脈波測定方法
4か月前
個人
脈波測定方法
4か月前
個人
導電香
5か月前
個人
片足歩行支援具
5か月前
個人
歯の修復用材料
12日前
個人
バッグ式オムツ
18日前
個人
ホバーアイロン
2か月前
個人
矯正椅子
1か月前
個人
クリップ
5か月前
個人
歯の保護用シール
1か月前
三生医薬株式会社
錠剤
3か月前
個人
車椅子持ち上げ器
3か月前
個人
口内洗浄具
4か月前
個人
シャンプー
2か月前
個人
除菌システム
5か月前
株式会社コーセー
化粧料
5か月前
株式会社大野
骨壷
2日前
株式会社 MTG
浴用剤
5か月前
株式会社八光
剥離吸引管
1か月前
個人
服薬支援装置
3か月前
株式会社結心
手袋
4か月前
株式会社コーセー
美爪料
5か月前
個人
腰用サポーター
4か月前
個人
形見の製造方法
16日前
個人
尿バッグカバー
5か月前
株式会社ダリヤ
毛髪化粧料
4か月前
株式会社ファンケル
化粧料
4か月前
株式会社ニデック
眼科装置
18日前
株式会社ダリヤ
皮膚化粧料
3か月前
株式会社GSユアサ
歩行器
1か月前
続きを見る