TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025095026
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-26
出願番号2023210775
出願日2023-12-14
発明の名称ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物およびそれからなる成形体
出願人帝人株式会社
代理人個人
主分類C08L 81/02 20060101AFI20250619BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】押出性、低バリ性、高温クリープ特性、および難燃性に優れるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)ポリアリーレンスルフィド樹脂(A成分)および(B)熱可塑性樹脂(B成分)からなる樹脂成分100重量部に対し、(C)繊維状強化材(C成分)10~150重量部、(D)反応性官能基を有するシラン系化合物(D成分)0.01~3重量部および(E)ベーマイト(E成分)1~30重量部を含有し、樹脂成分100重量部中のB成分の含有量が10~50重量部であることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
(A)ポリアリーレンスルフィド樹脂(A成分)および(B)熱可塑性樹脂(B成分)からなる樹脂成分100重量部に対し、(C)繊維状強化材(C成分)10~150重量部、(D)反応性官能基を有するシラン系化合物(D成分)0.01~3重量部および(E)ベーマイト(E成分)1~30重量部を含有し、樹脂成分100重量部中のB成分の含有量が10~50重量部であることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
続きを表示(約 510 文字)【請求項2】
B成分がポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂およびポリエチレンナフタレート樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
【請求項3】
D成分の反応性官能基がメルカプト基であることを特徴とする請求項1または2記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
【請求項4】
E成分が立方体状または板状のベーマイトであることを特徴とする請求項1または2記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
【請求項5】
C成分がガラス繊維および炭素繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種の繊維状強化材であることを特徴とする請求項1または2記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
【請求項6】
A成分が総ナトリウム含有量が39ppm以下であるポリアリーレンスルフィド樹脂であることを特徴とする請求項1または2記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1または2記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物からなる成形体。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂、熱可塑性樹脂、繊維状強化材、反応性官能基を有するシラン化合物およびベーマイトからなる樹脂組成物であって、押出性、低バリ性、高温クリープ特性および難燃性に優れる樹脂組成物およびそれからなる成形体に関する。
続きを表示(約 4,000 文字)【背景技術】
【0002】
ポリアリーレンスルフィド樹脂は、耐薬品性、耐熱性および機械的特性などに優れるエンジニアリングプラスチックである。このため、ポリアリーレンスルフィド樹脂は、電気電子部品、車両関連部品、航空機部品および住設機器部品として広く利用されている。しかしながらポリアリーレンスルフィド樹脂には成形加工時にバリが発生するという問題がある。この問題を解決する手段として特許文献1には、ポリフェニレンスルフィド樹脂およびポリカーボネート樹脂を含有する樹脂組成物が開示されている。しかしながら、従来市販されているポリフェニレンスルフィド樹脂は、ポリマー重合方法の制約から、不純物としてある程度のナトリウムを含有しているために、成形加工時にポリカーボネート樹脂が著しく分解し実用性に劣るものであった。特許文献2には塩素含有量およびナトリウム含有量を低減したポリフェニレンスルフィド樹脂およびポリカーボネート樹脂からなる樹脂組成物が開示されている。特許文献3には、塩素含有量およびナトリウム含有量を低減したポリフェニレンスルフィド樹脂およびポリカーボネート樹脂にハイドロタルサイト類化合物を添加することによりポリカーボネート樹脂の分解を抑制した樹脂組成物が開示されている。特許文献2および特許文献3に開示された樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂の分解は抑制され、バリに関しては改善が見られるものの、ポリアリーレンスルフィド樹脂の特徴である耐熱性および難燃性に関しては評価がなされていなかった。特許文献4にはポリアリーレンスルフィド樹脂およびポリカーボネート樹脂に反応性官能基を有する化合物およびガラス繊維を添加した樹脂組成物が開示されている。特許文献4により開示された樹脂組成物は、反応性官能基を有する化合物を用いることにより、モルフォロジーを調整しポリアリーレンスルフィド樹脂にのみガラス繊維を分散させることにより耐熱性を向上させているものの、ポリアリーレンスルフィド樹脂の特徴である難燃性に関しては評価がされていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開昭51-59952号公報
WO15/125974号公報
特開2022-142247号公報
特開2022-29144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、押出性、低バリ性、高温クリープ特性および難燃性に優れるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物およびそれからなる成形体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、ポリアリーレンスルフィド樹脂、熱可塑性樹脂および繊維状強化材からなる低バリ性に優れる樹脂組成物に、反応性官能基を有するシラン系化合物およびベーマイトを併用することにより優れた高温クリープ特性および難燃性が発現することを見出し本発明に至った。なお、メカニズムは定かではないが、反応性官能基を有するシラン系化合物がポリアリーレンスルフィド樹脂と繊維状強化材との密着性を高めることにより高温クリープ特性が向上するのに加え、反応性官能基を有するシラン系化合物がベーマイトにも作用し繊維状強化材の周囲に存在するポリアリーレンスルフィド樹脂層に選択的にベーマイトが存在するようになった結果、繊維状強化材を伝い系外に放出される可燃性ガスが効率的に抑制されたため難燃性も向上したものと推定する。
【0006】
すなわち本発明は以下の通りである。
1.(A)ポリアリーレンスルフィド樹脂(A成分)および(B)熱可塑性樹脂(B成分)からなる樹脂成分100重量部に対し、(C)繊維状強化材(C成分)10~150重量部、(D)反応性官能基を有するシラン系化合物(D成分)0.01~3重量部および(E)ベーマイト(E成分)1~30重量部を含有し、樹脂成分100重量部中のB成分の含有量が10~50重量部であることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
2.B成分がポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂およびポリエチレンナフタレート樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂であることを特徴とする前項1記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
3.D成分の反応性官能基がメルカプト基であることを特徴とする前項1または2記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
4.E成分が立方体状または粒状のベーマイトであることを特徴とする前項1~3のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
5.C成分がガラス繊維および炭素繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種の繊維状強化材であることを特徴とする前項1~4のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
6.A成分が総ナトリウム含有量が39ppm以下であるポリアリーレンスルフィド樹脂であることを特徴とする前項1~5のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
7.前項1~6のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物からなる成形体。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、押出性、低バリ性、高温クリープ特性および難燃性に優れるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物およびそれからなる成形体を提供することができる。本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物からなる成形体は、パソコン、タブレット、携帯電話用ハウジング、ディスプレイ、OA機器、携帯電話、携帯情報端末、ファクシミリ、コンパクトディスク、ポータブルMD、携帯用ラジオカセット、PDA(電子手帳などの携帯情報端末)、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、光学機器、オーディオ、エアコン、照明機器、娯楽用品、玩具用品、その他家電製品などの電気、電子機器の筐体およびトレイやシャーシなどの内部部材やそのケース、機構部品、パネルなどの建材用途、モーター部品、オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンショメーターベース、サスペンション部品、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係、排気系または吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、各種アーム、各種フレーム、各種ヒンジ、各種軸受、燃料ポンプ、ガソリンタンク、CNGタンク、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキバット磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、ディストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、バッテリートレイ、ATブラケット、ヘッドランプサポート、ペダルハウジング、ハンドル、ドアビーム、プロテクター、シャーシ、フレーム、アームレスト、ホーンターミナル、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ノイズシールド、ラジエターサポート、スペアタイヤカバー、シートシェル、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、アンダーカバー、スカッフプレート、ピラートリム、プロペラシャフト、ホイール、フェンダー、フェイシャー、バンパー、バンパービーム、ボンネット、エアロパーツ、プラットフォーム、カウルルーバー、ルーフ、インストルメントパネル、スポイラーおよび各種モジュールなどの自動車、二輪車関連部品、部材および外板やランディングギアポッド、ウィングレット、スポイラー、エッジ、ラダー、エレベーター、フェイリング、リブなどの航空機関連部品、部材および外板、風車の羽根などにおいて幅広く有用である。なかでも、高温クリープ特性に優れることから、コンピューター、ノートブック、ラックマウントサーバーおよびハイブリッド自動車や電気自動車等に用いられる冷却用のファンモーター用部材として好適に使用することができる。
【0008】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0009】
<A成分:ポリアリーレンスルフィド樹脂>
本発明のA成分として使用されるポリアリーレンスルフィド樹脂としては、ポリアリーレンスルフィド樹脂と称される範疇に属するものであれば如何なるものを用いてもよい。
【0010】
ポリアリーレンスルフィド樹脂としては、その構成単位として、例えばp-フェニレンスルフィド単位、m-フェニレンスルフィド単位、o-フェニレンスルフィド単位、フェニレンスルフィドスルホン単位、フェニレンスルフィドケトン単位、フェニレンスルフィドエーテル単位、ジフェニレンスルフィド単位、置換基含有フェニレンスルフィド単位、分岐構造含有フェニレンスルフィド単位等よりなるものを挙げることができ、その中でも、p-フェニレンスルフィド単位を70モル%以上含有しているものが好ましく、90モル%以上含有しているものがより好ましく、ポリ(p-フェニレンスルフィド)がさらに好ましい。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

帝人株式会社
布帛および繊維製品
1か月前
帝人株式会社
織物および繊維製品
2か月前
帝人株式会社
複数の孔を有する成形品
2か月前
帝人株式会社
共重合アラミド繊維およびその製造方法
1日前
帝人株式会社
メタ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法
2か月前
帝人株式会社
パラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法
24日前
帝人株式会社
熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品
2か月前
帝人株式会社
老化細胞を可視化する遺伝子改変ラットの作製
1か月前
帝人株式会社
ポリカーボネート樹脂およびそれからなる成形品
29日前
帝人株式会社
非水系二次電池用セパレータ及び非水系二次電池
1か月前
帝人株式会社
非水系二次電池用セパレータ及び非水系二次電池
1か月前
帝人株式会社
ポリカーボネート樹脂およびそれからなる成形品
2か月前
帝人株式会社
ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品
2か月前
帝人株式会社
ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品
1か月前
帝人株式会社
メタ型全芳香族ポリアミド繊維およびそれを用いた布帛
2か月前
帝人株式会社
ポリカーボネート樹脂組成物およびそれよりなる成形品
2か月前
帝人株式会社
ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品
1か月前
帝人株式会社
ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品
16日前
帝人株式会社
抗菌成形品
2か月前
帝人株式会社
ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物およびそれからなる成形品
1か月前
帝人株式会社
ポリエチレンナフタレート樹脂組成物およびそれからなる成形体
24日前
帝人株式会社
ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物およびそれからなる成形体
今日
帝人株式会社
抗ウイルス性ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品
27日前
帝人株式会社
ボルト挿入部を有する金属締結具と、樹脂製パネルとを備えた車両構造体
1か月前
帝人株式会社
全芳香族ポリアミド繊維、それを用いたシート、スピーカー振動板、およびその製造方法
2か月前
帝人株式会社
複合膜、膜・電極接合体、固体高分子形燃料電池、固体高分子形電解装置及び電気化学式水素圧縮装置
2か月前
公益財団法人地球環境産業技術研究機構
形質転換体及びそれを用いるm-アミノフェノールの製造方法
1か月前
帝人株式会社
熱成形用シート、加飾シートおよびこれらを用いた成形体
1か月前
帝人株式会社
熱成形用シート、加飾シートおよびこれらを用いた成形体
1か月前
東ソー株式会社
摺動部材
1か月前
東ソー株式会社
ゴム組成物
28日前
東ソー株式会社
加飾フィルム
1か月前
東ソー株式会社
加飾フィルム
1か月前
東レ株式会社
CPUソケット
1か月前
東ソー株式会社
加飾フィルム
1か月前
東レ株式会社
CPUソケット
1か月前
続きを見る