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公開番号
2025146326
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-10-03
出願番号
2024047041
出願日
2024-03-22
発明の名称
酸化物プロトン伝導型燃料電池セル
出願人
国立大学法人九州大学
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
H01M
8/10 20160101AFI20250926BHJP(基本的電気素子)
要約
【課題】本発明は、出力密度を向上させることが可能な酸化物プロトン伝導型燃料電池セルを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、酸化物プロトン伝導型燃料電池セルであって、プロトン伝導性材料で形成されている電解質と、空気極と、前記電解質及び前記空気極の間に設けられた、厚さ10~600nmの緻密な薄膜層と、を備え、前記薄膜層は、ABO型のペロブスカイト型の酸化物であり、BサイトにSc、Sn、Mo、Y、Yb、及びMgからなる群より選択される1つ以上の元素を含有する酸化物材料(1)より形成されている、酸化物プロトン伝導型燃料電池セルである。
【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
酸化物プロトン伝導型燃料電池セルであって、
プロトン伝導性材料で形成されている電解質と、
空気極と、
前記電解質及び前記空気極の間に設けられた、厚さ10~600nmの緻密な薄膜層と、
を備え、
前記薄膜層は、ABO型のペロブスカイト型の酸化物であり、BサイトにSc、Sn、Mo、Y、Yb、及びMgからなる群より選択される1つ以上の元素を含有する酸化物材料(1)より形成されている、酸化物プロトン伝導型燃料電池セル。
続きを表示(約 1,000 文字)
【請求項2】
前記薄膜層の前記酸化物材料(1)はAサイトにSrまたはBaを含有する、請求項1に記載の酸化物プロトン伝導型燃料電池セル。
【請求項3】
前記薄膜層の前記酸化物材料(1)は、下記一般式(1)で表されるペロブスカイト型の酸化物材料である、請求項1または2に記載の酸化物プロトン伝導型燃料電池セル。
(A
1
1-x1
B
1
x1
)(Sc
1-y1
C
1
y1)
)O
3―δ1
・・・(1)
(一般式(1)中、
A
1
は、La、Pr、Nd、Sm、Ba、Sr、Caのうち少なくとも1種であり、
B
1
は、Sr、Ba、Caのうち少なくとも1種であり、
C
1
はMg、Y、Yb、Ga、Al、In、Mo、Snのうち少なくとも1種であり、
x1は0.0~0.4であり、
y1は0.0~0.4であり、
δ1は酸素欠損量である。)
【請求項4】
前記薄膜層の前記酸化物材料(1)は、La
1-X
Sr
X
ScO
3
で表されるペロブスカイト型の酸化物材料であり、xは0.05~0.4の範囲である、請求項1または2に記載の酸化物プロトン伝導型燃料電池セル。
【請求項5】
前記薄膜層の厚さは、10~500nmである、請求項1または2に記載の酸化物プロトン伝導型燃料電池セル。
【請求項6】
前記薄膜層は理論密度に対して90%以上の密度である、請求項1または2に記載の酸化物プロトン伝導型燃料電池セル。
【請求項7】
酸化物プロトン伝導型燃料電池セルであって、
プロトン伝導性材料で形成されている電解質と、
空気極と、
前記電解質及び前記空気極の間に設けられた、プロトン伝導性材料で形成された、厚さ10~600nmの緻密な薄膜層と、
を備え、
前記薄膜層を形成する前記プロトン伝導性材料において前記空気極と当該プロトン伝導性材料の界面のプロトン濃度を高く保つことで、空気極触媒の過電圧を低減した酸化物プロトン伝導型燃料電池セル。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物プロトン伝導型燃料電池セルに関する。
続きを表示(約 3,100 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、急速な工業化と化石燃料の消費により、CO
2
等の温室効果ガスの排出が環境汚染に大きな問題を引き起こし得ることが指摘されている。このような状況下、新たなエネルギー源として注目される水素は、温室効果ガスを排出せずにエネルギーを生産することができることから、水素燃料電池の革新的な先進的な応用を促している。これらの燃料電池は、CO
2
を放出することなく効率的にエネルギーを変換できることが認められており、その高いエネルギー変換効率(>60%)と驚異的な出力により、固体酸化物形燃料電池(SOFC)への関心が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2023-6322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、固体酸化物形燃料電池は、運転温度が高く(700~1000℃)、それにより、急速な性能低下、電極の凝集、高い過電圧などの欠点を招く傾向があるとされている。
これに対して、プロトン伝導性セラミック燃料電池(PCFC)は、プロトン伝導電解質を用いることによって固体酸化物形燃料電池(SOFC)よりも低温で作動させることができ、そのため、エネルギー変換デバイスとして種々検討されている(例えば、特許文献1)。具体的には、プロトン伝導性セラミック燃料電池はプロトン伝導に対して低い活性化エネルギー(BZCYを電解質として用いた場合、Ea:0.4~0.5eV)を有する優れたイオン伝導性を示し得る。さらに、固体酸化物形燃料電池(SOFC)では、アノード側(燃料極側)で水の発生による燃料の希釈の問題もあるが、プロトン伝導性セラミック燃料電池では、カソード側(空気極側)で水が発生するので、かかる問題を避けることができる。
【0005】
プロトン伝導性セラミック燃料電池にはこのような優位性があるものの、さらなる性能の向上が求められている。具体的には、プロトン伝導性セラミック燃料電池では、空気極側に比較的大きな界面抵抗と電極の過電圧が生じることがあり、その結果として、出力密度の更なる向上(例えば低温で出力密度)が求められている。
【0006】
そこで、本発明では、出力密度を向上させることが可能な酸化物プロトン伝導型燃料電池セルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明者は、酸化物プロトン伝導型燃料電池セルの電解質と空気極との間に所定の薄膜層を設けることにより、驚くべきことに、空気極側の比較的大きな界面抵抗と電極の過電圧を低減させることができ、それにより電解質から空気極へのプロトン伝導性が向上し、上記課題を解決することができることを見出した。
すなわち、本発明は下記の通りである。
【0008】
[1]
酸化物プロトン伝導型燃料電池セルであって、
プロトン伝導性材料で形成されている電解質と、
空気極と、
前記電解質及び前記空気極の間に設けられた、厚さ10~600nmの緻密な薄膜層と、
を備え、
前記薄膜層は、ABO型のペロブスカイト型の酸化物であり、BサイトにSc、Sn、Mo、Y、Yb、及びMgからなる群より選択される1つ以上の元素を含有する酸化物材料(1)より形成されている、酸化物プロトン伝導型燃料電池セル。
[2]
前記薄膜層の前記酸化物材料(1)はAサイトにSrまたはBaを含有する、[1]に記載の酸化物プロトン伝導型燃料電池セル。
[3]
前記薄膜層の前記酸化物材料(1)は、下記一般式(1)で表されるペロブスカイト型の酸化物材料である、[1]または[2]に記載の酸化物プロトン伝導型燃料電池セル。
(A
1
1-x1
B
1
x1
)(Sc
1-y1
C
1
y1)
)O
3―δ1
・・・(1)
(一般式(1)中、
A
1
は、La、Pr、Nd、Sm、Ba、Sr、Caのうち少なくとも1種であり、
B
1
は、Sr、Ba、Caのうち少なくとも1種であり、
C
1
はMg、Y、Yb、Ga、Al、In、Mo、Snのうち少なくとも1種であり、
x1は0.0~0.4であり、
y1は0.0~0.4であり、
δ1は酸素欠損量である。)
[4]
前記薄膜層の前記酸化物材料(1)は、La
1-X
Sr
X
ScO
3
で表されるペロブスカイト型の酸化物材料であり、xは0.05~0.4の範囲である、[1]~[3]のいずれいかに記載の酸化物プロトン伝導型燃料電池セル。
[5]
前記薄膜層の厚さは、10~500nmである、[1]~[4]のいずれかに記載の酸化物プロトン伝導型燃料電池セル。
[6]
前記薄膜層は理論密度に対して90%以上の密度である、[1]~[5]のいずれかに記載の酸化物プロトン伝導型燃料電池セル。
[7]
酸化物プロトン伝導型燃料電池セルであって、
プロトン伝導性材料で形成されている電解質と、
空気極と、
前記電解質及び前記空気極の間に設けられた、プロトン伝導性材料で形成された、厚さ10~600nmの緻密な薄膜層と、
を備え、
前記薄膜層を形成する前記プロトン伝導性材料において前記空気極と当該プロトン伝導性材料の界面のプロトン濃度を高く保つことで、空気極触媒の過電圧を低減した酸化物プロトン伝導型燃料電池セル。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、出力密度を向上させることが可能な酸化物プロトン伝導型燃料電池セルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
実施例1の酸化物プロトン伝導型燃料電池セルを模式的に示す図である。
試験例1での実施例、比較例の酸化物プロトン伝導型燃料電池セルの発電特性を示すグラフであり、図2(a)は700℃で測定し、図2(b)は500℃で測定した結果を示す。
試験例1での実施例、比較例の酸化物プロトン伝導型燃料電池セルを電気化学インピーダンス法(EIS)による測定した結果を示すグラフであり、図2(a)は700℃で測定し、図2(b)は500℃で測定した結果を示す。
試験例2での実施例、比較例の酸化物プロトン伝導型燃料電池セルの発電特性を示すグラフと、電気化学インピーダンス法(EIS)による測定した結果を示すグラフである。
試験例3での比較例の酸化物プロトン伝導型燃料電池セルの発電特性を示すグラフと、電気化学インピーダンス法(EIS)による測定した結果を示すグラフである。
試験例4での実施例の酸化物プロトン伝導型燃料電池セルの発電特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
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