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公開番号2025077316
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-19
出願番号2023189405
出願日2023-11-06
発明の名称パッチング用耐火物
出願人大光炉材株式会社
代理人個人,個人
主分類C04B 35/66 20060101AFI20250512BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約【課題】リン酸塩バインダーを用いないかその使用量を大幅に減らしても、良好な接着性、ひび割れ防止効果、コテ離れ及び保存性を有するパッチング用耐火物を提供する。
【解決手段】耐火性骨材、耐火性粘土、及び150～2000μmの平均繊維長を有するセルロースファイバーを含み、前記セルロースファイバーの含有量が、前記耐火性骨材及び前記耐火性粘土の合計を100重量%として、外掛けで0.3～40重量%である(ただし、セルロースファイバーの平均繊維長が800μm超で1400μm以下のときは上限は20重量%であり、1400μm超で2000μm以下のときは上限は8重量%である。)ことを特徴とするパッチング用耐火物。
【選択図】図4(a)
特許請求の範囲【請求項１】
耐火性骨材、耐火性粘土、及び150～2000μmの平均繊維長を有するセルロースファイバーを含み、前記セルロースファイバーの含有量が、前記耐火性骨材及び前記耐火性粘土の合計を100重量％として、外掛けで0.3～40重量％である（ただし、セルロースファイバーの平均繊維長が800μm超で1400μm以下のときは上限は20重量％であり、1400μm超で2000μm以下のときは上限は8重量％である。）ことを特徴とするパッチング用耐火物。
続きを表示（約 590 文字）【請求項２】
前記耐火性骨材及び前記耐火性粘土の合計を100重量％として、前記耐火性骨材が60～99重量％であり、前記耐火性粘土が1～40重量％であることを特徴とする請求項1に記載のパッチング用耐火物。
【請求項３】
前記セルロースファイバーが10～100μmの平均繊維径を有することを特徴とする請求項1に記載のパッチング用耐火物。
【請求項４】
繊維長の異なる２種以上のセルロースファイバー群を含むことを特徴とする請求項1に記載のパッチング用耐火物。
【請求項５】
添加したセルロースファイバー全体の平均繊維径が150～2000μmの範囲に入るように、各セルロースファイバー群の繊維長及び添加量を調整することを特徴とする請求項4に記載のパッチング用耐火物。
【請求項６】
さらにセルロース粉末を含み、前記耐火性骨材及び前記耐火性粘土の合計を100重量％として、前記セルロース粉末を外掛けで0.5～10重量％とすることを特徴とする請求項1に記載のパッチング用耐火物。
【請求項７】
リン酸塩を含まないことを特徴とする請求項1に記載のパッチング用耐火物。
【請求項８】
前記耐火性骨材としてマグネシア骨材を含まないことを特徴とする請求項1～7のいずれかに記載のパッチング用耐火物。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は主に耐火物の補修に用いられるパッチング用耐火物に関し、特にリン酸塩バインダーを用いないかその使用量を大幅に減らしても、良好な接着性、ひび割れ防止効果、コテ離れ及び保存性を有するパッチング用耐火物に関する。
続きを表示（約 1,800 文字）【背景技術】
【０００２】
耐火物は使用中に損耗するが、その規模及び形態は耐火物の使用される設備及び条件により様々である。そのため、耐火物の補修には用途及び規模によって様々な不定形耐火物が用いられる。
【０００３】
補修用の不定形耐火物は通常ミキサーに耐火性骨材等の材料を投入し、水を加えて混錬し、流し込みや吹付等の方法で施工されるので、多量の施工に適している半面、準備に手間と時間がかかる。そこで少量の補修の場合には、しばしばパッチング用耐火物が用いられる。
【０００４】
パッチング用耐火物は、耐火性骨材、耐火性粘土、バインダー等をあらかじめ水で練り合わせた練り土状の耐火物である。水の揮発を防ぐためにビニール等で梱包され、小分けにして保管される。パッチング用耐火物は手作業で施工できるので補修用機器の準備や搬入が不要であり、短時間での補修が可能であるので、操業面でもメリットがある。一方、耐火物を使用する設備の操業効率は補修にかかる頻度や時間で大きく異なるため、小規模の損傷の場合、解体まで補修自体が見送られることもあるが、補修ができないためにトラブルが発生することも少なくない。
【０００５】
補修に必要な量は補修個所の損傷度合いによって異なるので、パッチング用耐火物は小分けにして長期保管できることが重要である。補修の間隔は設備や操業条件によって異なるが、数か月単位であることが多い。また、高温で操業される設備では補修直前まで耐火物の損耗状況が分からないことが多いので、補修材の必要量は予想が難しい。そのため補修材は余裕を持って準備する必要があり、使用しなかった補修材は次回補修までの数か月間保管されるが、保存性が悪いと未使用の補修材は廃棄されることになる。
【０００６】
このようなパッチング用耐火物は、優れた物性を有する耐火物を良好な作業性で得るために、多くの条件を満たす必要がある。その一つが作業性に影響を与える硬さ（柔らかさ）である。パッチング用耐火物の硬さは規格がないが、例えば稠度で評価できる。パッチング用耐火物は硬いと稠度が低く、柔らかいと稠度が高い。稠度は稠度計を用い、円錐の貫入深さで測定することができる。一般に、パッチング用耐火物の硬さは添加水量に依存し、添加水量が不十分であるとパッチング用耐火物は硬すぎ（稠度が低くすぎ）るが、添加水量を増やしすぎるとパッチング用耐火物の保形性が悪くなり、壁面や天井面に施工した際にダレや落下が生じる。
【０００７】
また、同じ添加水量でも季節要因や材料のバラツキ等によってパッチング用耐火物の物性に差異が出る。そのため、パッチング用耐火物を製造する際、稠度やワーカビリティーインデックスを基準として添加水量を決定する。このため本明細書では、製造時の稠度を一定とした上でパッチング用耐火物の各種物性を評価することとする。
【０００８】
パッチング用耐火物はまた良好なひび割れ防止効果を有する必要がある。パッチング用耐火物を手等で押し伸ばして施工することがあるが、その際にひび割れることがある。ひび割れが発生するか否かはパッチング用耐火物の硬さだけではなく、保形性にもよる。また、長期保管後では施工前からパッチング用耐火物にひび割れが発生していることもある。従って、ひび割れの防止もパッチング用耐火物にとって重要である。
【０００９】
パッチング用耐火物はさらにコテ離れが良い必要がある。コテ離れは施工後にパッチング用耐火物が手に残存するか否かにより評価できる。コテ離れの良し悪しは接着性及び保形性に依存し、接着性が高すぎるか保形性が悪いとコテ離れは悪くなる。また、接着性が同程度でも組織が分離しやすいと、パッチング用耐火物は手に残存する（コテ離れが悪くなる）。
【００１０】
パッチング用耐火物は、保存中時間経過とともに徐々に稠度が低下する傾向があるので、長期間良好な物性を保持するために保存性は重要である。保存性は時間経過後の稠度の低下量で評価できる。一方、保存中に耐火性粘土と水がなじみ、接着性等が向上することもあるので、複合的に評価する必要がある。
（【００１１】以降は省略されています）

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