TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025077496
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-19
出願番号2023189725
出願日2023-11-07
発明の名称立坑覆工構造および立坑施工方法
出願人大成建設株式会社
代理人弁理士法人磯野国際特許商標事務所
主分類E21D 5/04 20060101AFI20250512BHJP(地中もしくは岩石の削孔;採鉱)
要約【課題】覆工コンクリートに生じる応力を低減し、構造物の安定性の向上を確保できる立坑覆工構造およびこの立坑覆工構造を利用した立坑施工方法を提案する。
【解決手段】コンクリートの硬化体からなるリング状の本体部3と、本体部3と地山面との間に介設された可縮部4と、地山に打ち付けられたアンカー5とからなる立坑覆工構造2と、この立坑覆工構造2を用いた立坑施工方法である。可縮部4は、本体部3よりも剛性が低い材料で構成されている。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
コンクリートの硬化体からなるリング状の本体部と、
前記本体部と地山面との間に介設された可縮部と、からなる立坑覆工構造であって、
前記可縮部は、前記本体部よりも剛性が低い材料で構成されていることを特徴とする、立坑覆工構造。
続きを表示(約 560 文字)【請求項2】
前記可縮部は、セメントと、多孔質材と、水とを含むセメント系材料を前記地山面に吹付けた硬化体であることを特徴とする、請求項1に記載の立坑覆工構造。
【請求項3】
前記可縮部は、前記地山面に貼設された樹脂製シートであることを特徴とする、請求項1に記載の立坑覆工構造。
【請求項4】
前記地山面に打ち付けられたアンカーをさらに備えていることを特徴とする、請求項1に記載の立坑覆工構造。
【請求項5】
地山を下向きに掘削する掘削工程と、
地山の掘削により露出した地山面に可縮材を設置する可縮部形成工程と、
前記可縮材の内側にリング状の型枠を設置する型枠設置工程と、
前記型枠と前記可縮材との間にコンクリートを打設する打設工程と、備えていることを特徴とする、立坑施工方法。
【請求項6】
前記可縮部形成工程では、前記地山面に可縮材を吹き付けるとともに、前記地山面にアンカーを打ち付けることを特徴とする、請求項5に記載の立坑施工方法。
【請求項7】
前記可縮部形成工程では、前記地山面に樹脂製シートを貼設するとともに、前記地山面にアンカーを打ち付けることを特徴とする、請求項5に記載の立坑施工方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、立坑覆工構造および立坑施工方法に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
大深度の立坑を施工する場合に、所定深度毎に掘削と覆工コンクリートの打設を繰り返すショートステップ工法を採用する場合がある。
地下構造物の施工において、地山を掘削すると、地山に変形が生じる。地山に変形が生じると、変形に伴う押出力によって、覆工コンクリートに大きな応力が作用するおそれがある。
トンネルの施工では、地山の押出が作用することで支保工に座屈などが生じるおそれがあるため、支保工の一部を変形させることで、地山の変形(押出)を吸収する場合がある。例えば、特許文献1には、アーチ状のトンネル支保工を横断するように、トンネル支保工に可縮部材を介設することで、地山の変形が生じた場合であっても、可縮部材により変形を吸収することで、支保工に座屈などが生じることを抑制する支保構造が開示されている。
なお、トンネルの施工では、掘削により露出した地山を支保工により早期に閉塞して、地山の変形が落ち着いた段階で、スライドセントル等の型枠を後追いで設置して覆工コンクリートを打設するのが一般的である。
一方、地山の掘削と覆工コンクリートの打設を繰り返すショートステップ工法を採用する立坑の施工では、地山の変形が落ち着く前に型枠の設置および覆工コンクリートの打設を行う必要があるが、型枠や覆工コンクリートは大きな変形を許容できない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許第6769754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、立坑の覆工コンクリートに生じる応力を低減し、構造物の安定性の向上を確保できる立坑覆工構造およびこの立坑覆工構造を用いた立坑施工方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明の立坑覆工構造は、コンクリートの硬化体からなる本体部と、前記本体部と地山面との間に介設された可縮部とからなる。前記可縮部は、前記本体部よりも剛性が低い材料(変形し易い材料)で構成されている。
また、本発明の立坑施工方法は、地山を下向きに掘削する掘削工程と、地山の掘削により露出した地山面に可縮材を設置する可縮部形成工程と、前記可縮材の内側にリング状の型枠を設置する型枠設置工程と、前記型枠と前記可縮材との間にコンクリートを打設する打設工程とを備えている。
かかる立坑覆工構造および立坑施工方法によれば、本体部(覆工コンクリート)よりも剛性が低い材料(圧縮降伏強度が本体部と同等以下で、塑性域での剛性(変形係数)が本体部よりも低くなる材料も含む)からなる可縮部を備えているため、コンクリート打設後に地山が変形することで立坑覆工構造に押出力が作用した場合であっても、可縮部により吸収することで、覆工コンクリートに作用する応力を低減できる。そのため、立坑の安定性を確保できる。また、覆工コンクリートに発生する応力を低減することにより、型枠の脱型時期を早めることができ、ひいては、施工サイクルの高速化が可能となる。また、応力低減によって、覆工厚さの低減に伴うコストの低減化を図ることができる。
【0006】
前記可縮部は、セメントと多孔質材と水とを含むセメント系材料や樹脂系材料を前記地山面に吹付けた硬化体であってもよいし、前記地山面に貼設された樹脂製シートであってもよい。材料の吹付けや、シート材の貼設により可縮部を形成すれば、早期施工が可能となる。
また、立坑覆工構造は、前記地山面に打ち付けられたアンカーをさらに備えていれば、地山との一体化を図ることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の立坑覆工構造および立坑施工方法によれば、覆工コンクリートに生じる応力を低減し、構造物の安定性の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本実施形態の立坑を示す図であって、(a)は平面図、(b)は断面図である。
覆工構造を示す拡大断面図である。
掘削工程を示す断面図である。
可縮部形成工程を示す断面図である。
型枠設置工程を示す断面図である。
打設工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、立坑1を形成する場合について説明する。図1に立坑1を示す。本実施形態の立坑1は、図1(a)および(b)に示すように、平面視円形を呈している。立坑1は、地盤(地山G)を下方向に掘削し、掘削により露出した地山面をリング状に形成された立坑覆工構造2により閉塞している。立坑覆工構造2は、上下に連続して複数段形成されている。立坑1の底部には、必要に応じてベースコンクリートを打設する。
図2に立坑覆工構造2を示す。立坑覆工構造2は、図2に示すように、本体部3と可縮部4とが積層されてなる。
本体部3は、リング状のコンクリート硬化体からなる。本体部3は、長方形断面の一般部31と、一般部31の下側に形成された縮厚部32とを備えている。縮厚部32は、下に行くに従って厚さが縮小する断面形状を備えていて、一般部31と縮厚部32とが連結されてなる本体部3は、五角形断面を呈している。なお、本体部3の断面形状は、五角形に限定されるものではない。
【0010】
可縮部4は、本体部3と地山面との間に介設されている。可縮部4は、本体部3よりも剛性が低い材料(変形しやすい材料)で構成されている。本実施形態の可縮部4は、地山面に貼設された複数の短冊状の樹脂製シート41からなる。地山Gを掘削すると、掘削により形成された空間の中心側に向かって地山Gが押し出される。可縮部4は、地山Gの変形に起因する押出力を吸収する緩衝材として機能する。可縮部4の厚さは、可縮部4を構成する材料(本実施形態では樹脂製シート41)の強度や、想定される地山Gの押出力等に応じて適宜決定すればよい。樹脂製シート41は、周方向に連続して地山面に貼設されている。樹脂製シート41は、地山面に打ち付けられたアンカー5により固定されている。樹脂製シート41の圧縮剛性は、脱型時のコンクリート硬化体の圧縮剛性(変形係数)の1/100~1/10程度であり、圧縮降伏強度は脱型時のコンクリート硬化体の圧縮強度と同等であることが好ましい。樹脂製シート41を構成する材料は限定されるものではないが、例えば、高強度ポリスチレン樹脂からなる。
アンカー5は、軸部51と、軸部51よりも大きな外形の頭部52とを有している。アンカー5は、樹脂製シート41の表面に頭部52を係止させた状態で、地山Gに打ち付けられている。
なお、樹脂製シート41の固定方法は限定されるものではなく、例えば、ピン等で固定してもよい。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

大成建設株式会社
合成柱
15日前
大成建設株式会社
搬送装置
21日前
大成建設株式会社
搬送装置
21日前
大成建設株式会社
RC壁構造
8日前
大成建設株式会社
水硬性組成物
8日前
大成建設株式会社
画像表示システム
1か月前
大成建設株式会社
空中通路の構築方法
21日前
大成建設株式会社
コンクリート組成物
21日前
大成建設株式会社
同調質量ダンパー装置
1か月前
大成建設株式会社
同調質量ダンパー装置
1か月前
大成建設株式会社
基礎振動推定システム
2日前
大成建設株式会社
トンネルとその施工方法
1か月前
大成建設株式会社
風力発電施設の施工方法
23日前
大成建設株式会社
判定システム及び判定方法
29日前
大成建設株式会社
部材配置方法および調整架台
29日前
大成建設株式会社
搬送装置および荷物移動方法
21日前
鹿島建設株式会社
雨除け設備
29日前
大成建設株式会社
遮音壁、支持部材及び施工方法
10日前
大成建設株式会社
コンクリート流動性評価システム
1か月前
大成建設株式会社
繊維補強コンクリート造の耐力壁
22日前
大成建設株式会社
立坑覆工構造および立坑施工方法
4日前
大成建設株式会社
杭基礎構造、杭基礎構造の構築方法
1日前
大成建設株式会社
測量支援システム及び測量支援方法
11日前
大成建設株式会社
磁性体回収装置および磁性体回収方法
21日前
大成建設株式会社
工事用設備および工事用設備の組立方法
21日前
大成建設株式会社
セグメントのリング継手とその形成方法
8日前
大成建設株式会社
地中貯留施設および地中貯留施設利用方法
25日前
大成建設株式会社
掘進機の振動特定制御システムと振動特定制御方法
1か月前
セメダイン株式会社
風車用バスケット、及び風車
9日前
大成建設株式会社
測量支援装置、測量支援方法及び測量支援プログラム
10日前
大成建設株式会社
半潜水浮体式基礎および半潜水浮体式基礎の構築方法
23日前
東京電力ホールディングス株式会社
建物間の止水工法
9日前
大成建設株式会社
コンクリート造壁体の構築方法およびコンクリート造壁体
14日前
大成建設株式会社
進捗管理システム、処理装置、プログラム及び進捗管理方法
21日前
大成建設株式会社
プレキャストインバートと、仮設インバート及び本設インバート
8日前
大成建設株式会社
リング継手形成用のスペーサと、セグメントのリング継手の形成方法
8日前
続きを見る