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公開番号2025083074
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-30
出願番号2023196746
出願日2023-11-20
発明の名称表面性状に優れたFe-Ni合金
出願人日本冶金工業株式会社
代理人個人
主分類C22C 38/00 20060101AFI20250523BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】健全な表面性状を持ち備えるFe-Ni合金およびその製造方法を提供する。
【解決手段】以下質量%にて、C:0.001~0.1%、Si:0.01~0.5%、Mn:0.01~1%、P:0.01%以下、S:0.005%以下、Ni:30~50%、Cr:0.01~0.5%、Mo:0.1%以下、Cu:0.2%以下、Al:0.001~0.02%、Ti:0.001~0.005%、Co:1%以下、W:0.1%以下、Sn:0.001~0.01%、Ca:0.0001~0.005%、Mg:0.0001~0.005%、N:0.01%以下、O:0.02%以下を含有し残部Feおよび不可避的不純物を含み、非金属介在物の平均組成がMnO:0.5~30%、CaO:2~30%、SiO2:5~50%、Al2O3:10~60%、MgO:5~50%、TiO2:5%以下である表面性状に優れたFe-Ni合金。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
以下質量%にて、C:0.001~0.1%、Si:0.01~0.5%、Mn:0.01~1%、P:0.01%以下、S:0.005%以下、Ni:30~50%、Cr:0.01~0.5%、Mo:0.1%以下、Cu:0.2%以下、Al:0.001~0.02%、Ti:0.001~0.005%、Co:1%以下、W:0.1%以下、Sn:0.001~0.01%、Ca:0.0001~0.005%、Mg:0.0001~0.005%、N:0.01%以下、O:0.02%以下を含有し残部Feおよび不可避的不純物を含み、非金属介在物の平均組成がMnO:0.5~30%、CaO:2~30%、SiO

:5~50%、Al



:10~60%、MgO:5~50%、TiO

:5%以下であることを特徴とする表面性状に優れたFe-Ni合金。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
前記非金属介在物の組織形態は、全非金属介在物に対して個数比率で70%以上の非金属介在物が以下のa~gの7種類のいずれか1または2以上であることを特徴とする請求項1に記載の表面性状に優れたFe-Ni合金。
a:MnO-CaO-SiO

-Al



-MgO系酸化物が略球面内にMgO・Al



を完全に包含する形態
b:MnO-CaO-SiO

-Al



-MgO系酸化物が略球面内にMgO・Al



およびMgOを完全に包含する形態
c:MnO-CaO-SiO

-Al



-MgO系酸化物
d:MnO-CaO-SiO

-Al



-MgO系酸化物が略球面内にMgOを完全に包含する形態
e:MgO単体
f:MgO・Al



単体
g:MgOとMgO・Al



の両単体が合体した形態
【請求項3】
前記MnO-CaO-SiO

-Al



-MgO系酸化物は、MnO:1~40%、CaO:0.1~40%、SiO

:10~50%、Al



:5~60%、MgO:5~50%、TiO

:5%以下であることを特徴とする請求項2に記載の表面性状に優れたFe-Ni合金。
【請求項4】
前記MgO・Al



はMnOを0.5%以下含むことを特徴とする請求項2に記載の表面性状に優れたFe-Ni合金。
【請求項5】
前記MgO単体はAl



:3%以下、SiO

:1%以下、CaO:10%以下、MnO:1%以下を含有することを特徴とする請求項2に記載の表面性状に優れたFe-Ni合金。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の表面性状に優れたFe-Ni合金の製造方法であって、Fe-Ni合金屑、フェロニッケル合金、Ni、鉄屑等の原料を電気炉で溶解し、その後AODにて酸素吹精して脱炭、脱クロム、脱燐精錬を実施した後除滓し、さらに、生石灰、蛍石およびマグネシア源を添加してCaO-SiO

-Al



-MgO-F系スラグを形成すると同時にフェロシリコン合金および/またはAlを添加して脱酸、脱硫を施した後、連続鋳造機にてスラブを製造し、表面を研削後、熱間圧延工程を経て、冷間圧延を実施することを特徴とする表面性状に優れたFe-Ni合金の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、非金属介在物の組織形態を制御し、表面性状に優れたFe-Ni合金およびその製造方法に関わる。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
Fe-Ni合金は、常温付近の熱膨張率が金属の中で低い特徴を有する。Fe-36Ni合金は、温度によって寸法の変化が小さいことを利用して精密機器、精密測定器、時計や実験装置、LNGタンカーのタンクに利用されてきた。また、近年、炭素繊維強化複合材料(Carbon fiber reinforced plastic,CFRP)が広く使われるようになっている。この素材は高い強度と軽さを持ち合わせた素材である。ゴルフクラブなどのスポーツ用途から、自動車や航空・宇宙産業など幅広い分野にて用いられている素材である。特に、航空機産業や自動車産業に用いられる場合、非常に高い寸法精度が要求されるため、熱膨張係数の小さいインバー合金(Fe-36%Ni)が金型として広く使用されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
半導体リードフレーム、軟磁性材、ガラス封着用電子部品、水晶振動子用端子の分野ではFe-42%Ni合金が用いられている。これらの電子部品を加工する際には打ち抜き加工が適用され、微細なリードパターンの形成に適している。この加工性を阻害する要因として酸化物系の非金属介在物が挙げられていた(例えば、特許文献3~8参照。)。
【0004】
これらの用途に適用される際に課題となるのが非金属介在物である。特に電子部品ではその微細な表面欠陥でさえも許されない。今までに上記の通り、非金属介在物を制御した技術は開示されているが、組織形態によっては製品の表面に欠陥が生じる。この通り、組織形態を制御するには至っていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平8-269613号公報
特許第7007510号公報
特開2008-115466号公報
特開2002-004006号公報
特開2002-266017号公報
特開2002-206144号公報
特開2002-167650号公報
特開2000-017398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の如く、本発明の主眼は、非金属介在物の組成のみではなく、その組織形態を制御することによって、粗大な表面欠陥となる非金属介在物のクラスター化を防止することにある。さらに、機械的特性を兼備せねばならない。それと同時に、CaO介在物、Al



介在物はクラスター化する傾向にあるために、その生成を防止せねばならない。さらに、MnO-Cr



系の介在物となると、酸素濃度が高い環境下で形成するために総個数も多く、なおかつクラスター化も起こり易いため防止せねばならない。
【0007】
すなわち、本発明の目的は、上記を総合的に考察し、表面に欠陥のない健全な表面性状を持ち備えるFe-Ni合金およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者は、上記従来技術が抱える問題点を解決するために、以下の通り、鋭意実験を繰り返し行った。まず、実験室においてマグネシア坩堝を用いて、Fe-42%Ni合金20kgを溶解した。その際、溶解装置は高周波誘導炉を用いており、坩堝上方からアルゴンガスを吹き付けて大気と遮断した。原料は、純Ni、電解鉄、フェロクロム、Mo、銅線、Ti、窒化フェロクロム、Co、W等を用いた。最終的にSiまたはAlのいずれかまたは両方を添加して脱酸し、人工スラグであるCaO-SiO

-Al



-MgO-F系のスラグを1kg投入し、サンプリングして非金属介在物の組成を鋭意観察した。観察はSEMを用いて行った。その分析はEDSにより行った。特に元素マッピングを注意深く行い、その組織形態に着目して観察した。組成的な特徴を見出すには介在物のうち最低10点の分析が必要であり、20点がより良く、30点以上であれば充分であることが分かった。
【0009】
また、鋳型に鋳込んだ合金塊は、鍛造して20mmtにした後に表面を研削して冷間圧延を行った。最終の板厚は0.5mmとして、表面を注意深く観察して欠陥の有無を判別した。
【0010】
その結果、欠陥発生は非金属介在物の組織形態と強く関連していて、MnO-CaO-SiO

-Al



-MgO系の酸化物がMgOあるいはMgO・Al



を包含する組織形態は、クラスター化を抑止する能力が高い事を見出した。その模式図を図1に示す。図1(a)は、MnO-CaO-SiO

-Al



-MgO系酸化物がその略球面内にMgOあるいはMgO・Al



を完全に包含しており、クラスター化を抑制できた良い形態である。一方で図1(b)のように、外縁部の一部がMnO-CaO-SiO

-Al



-MgO系であり、内部の大半が高融点のMgOあるいはMgO・Al



酸化物であって介在物の略球面内から突出する形態であると、クラスター化を促進することが明らかとなった。その機構は不明な点が多いが、MnO-CaO-SiO

-Al



-MgO系融体が、所謂、製鋼温度(1400~1550℃)にて焼結助剤の役割を担い、お互いに付着しては焼結するためと推定される。主たる焼結場所は、実機においては連続鋳造機の浸漬ノズル内壁と、経験上から憶測された。
(【0011】以降は省略されています)

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