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公開番号
2025085241
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-06-05
出願番号
2023198972
出願日
2023-11-24
発明の名称
セラミック多孔体
出願人
日本特殊陶業株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
B01J
23/83 20060101AFI20250529BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約
【課題】セラミック多孔体の触媒性能および耐久性を向上させると共に、強度を高める。
【解決手段】連通気孔が形成された3次元網目構造を有するセラミック多孔体は、酸化セリウム(CeO
2
)および酸化ジルコニウム(ZrO
2
)のうちの少なくとも一方によって構成される主成分と、イオン価数が変化する金属元素であって、融点が1400℃以上の岩塩型構造酸化物となり得る第1副成分と、を含む。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
連通気孔が形成された3次元網目構造を有するセラミック多孔体であって、
酸化セリウム(CeO
2
)および酸化ジルコニウム(ZrO
2
)のうちの少なくとも一方によって構成される主成分と、
イオン価数が変化する金属元素であって、融点が1400℃以上の岩塩型構造酸化物となり得る第1副成分と、
を含むことを特徴とする
セラミック多孔体。
続きを表示(約 590 文字)
【請求項2】
請求項1に記載のセラミック多孔体であって、
前記第1副成分としてニッケル(Ni)を含有することを特徴とする
セラミック多孔体。
【請求項3】
請求項2に記載のセラミック多孔体であって、
前記主成分は、酸化セリウム(CeO
2
)を含むことを特徴とする
セラミック多孔体。
【請求項4】
請求項2に記載のセラミック多孔体であって、
ニッケル(Ni)の含有量が、酸化物換算で1~30質量%であることを特徴とする
セラミック多孔体。
【請求項5】
請求項1に記載のセラミック多孔体であって、さらに、
第2副成分として、チタン(Ti)およびアルミニウム(Al)のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする
セラミック多孔体。
【請求項6】
請求項5に記載のセラミック多孔体であって、
前記第2副成分の含有量が、酸化物換算で1~20質量%であることを特徴とする
セラミック多孔体。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項に記載のセラミック多孔体であって、
前記3次元網目構造におけるセル数が、5~50個/25.4mmであることを特徴とする
セラミック多孔体。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、セラミック多孔体に関する。
続きを表示(約 4,000 文字)
【背景技術】
【0002】
従来、水熱分解による水素生成反応のような酸化還元反応を促進する触媒として、種々の触媒が知られている。例えば、非特許文献1には、酸化セリウム(CeO
2
)でできた網目状多孔質セラミック構造を用いて、水と二酸化炭素との共熱分解により、水素と一酸化炭素とを生成する反応を進行させる構成が開示されている。また、特許文献1には、酸化セリウムと酸化プラセオジムとの複合酸化物からなる水素製造触媒が開示されている。また、特許文献2には、ムライトを含む多孔性支持体上に酸化セリウム等の触媒物質を担持させた、水素生産用ナノ複合材料が開示されている。また、特許文献3には、ムライトなどを含む繊維型支持体と、酸化セリウム等の金属触媒とを含む複合ナノ繊維触媒が開示されている。さらに、非特許文献2には、酸化ジルコニウム(ZrO
2
)を酸化還元触媒として用いる構成が開示されており、非特許文献3には、酸化還元能を有する金属酸化物として、酸化セリウムに酸化ジルコニウムを添加した金属酸化物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2014-14813号公報
特開2020-131188号公報
特開2020-163367号公報
【非特許文献】
【0004】
Stefan Zoller et al., "A solar tower fuel plant for the thermochemical production of kerosene from H2O and CO2", Joule 6, 1606-1616, July 20, 2022.
E. I. Kauppi et al., "ZrO2 Acting as a Redox Catalyst", Top Catal (2016) 59:823-832.
町田正人、 "大容量酸素ストレージ物質を利用した水素生成"、ENEOS Technical Review、 第51巻、第3号(2009年9月)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、水素生成反応のような酸化還元反応を促進する触媒として酸化セリウムや酸化ジルコニウム等を用いる構成は知られていたが、このような金属酸化物触媒におけるさらなる触媒性能の向上や耐久性の向上が望まれていた。例えば、特許文献1のように酸化セリウムに対してさらに他の金属をドープすることによって触媒性能を向上させる技術は知られていたが、酸化反応と還元反応のサイクルを繰り返すことに伴う性能劣化による耐久性の低下をさらに抑える技術については、十分に検討されていなかった。また、特に非特許文献1に記載のように網目状多孔質セラミック構造を採用する場合には、触媒性能および耐久性の向上と共に、強度の向上も望まれていた。そのため、3次元網目構造を有するセラミック多孔体によって酸化還元触媒を構成する場合に、触媒性能および耐久性を向上させると共に、強度を高めることができる技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本開示の一形態によれば、連通気孔が形成された3次元網目構造を有するセラミック多孔体が提供される。このセラミック多孔体は、酸化セリウム(CeO
2
)および酸化ジルコニウム(ZrO
2
)のうちの少なくとも一方によって構成される主成分と、イオン価数が変化する金属元素であって、融点が1400℃以上の岩塩型構造酸化物となり得る第1副成分と、を含む。
この形態のセラミック多孔体によれば、酸化還元触媒としての性能および耐久性を向上させると共に、強度を高めることができる。
(2)上記形態のセラミック多孔体において、前記第1副成分としてニッケル(Ni)を含有することとしてもよい。このような構成とすれば、セラミック多孔体を酸化還元触媒として用いる際に、ニッケルのイオン価数が3価と2価の間で変化することに伴い触媒活性を向上させることができる。さらに、ニッケルが2価となって岩塩型構造酸化物として析出する際には、生じる酸化ニッケル(II)(NiO)の融点が酸化還元触媒としての使用温度を大きく上回るため、析出した酸化ニッケル(II)が溶融することにより第1副成分が失われることを抑え、セラミック多孔体の耐久性をさらに向上させることができる。
(3)上記形態のセラミック多孔体において、前記主成分は、酸化セリウム(CeO
2
)を含むこととしてもよい。このような構成とすれば、酸化セリウムを主成分とする酸化還元触媒において、酸化還元触媒としての性能と共に耐久性を向上させ、強度を高めることができる。
(4)上記形態のセラミック多孔体において、ニッケル(Ni)の含有量が、酸化物換算で1~30質量%であることとしてもよい。このような構成とすれば、第1副成分としてニッケルを含むことによる触媒性能や耐久性や強度を向上させる効果を確保することができると共に、第1副成分の量が過剰であることに起因してセラミック多孔体の触媒活性が低下することを抑えることができる。
(5)上記形態のセラミック多孔体において、さらに、第2副成分として、チタン(Ti)およびアルミニウム(Al)のうちの少なくとも1種を含むこととしてもよい。このような構成とすれば、セラミック多孔体10の強度をさらに高めることができる。
(6)上記形態のセラミック多孔体において、前記第2副成分の含有量が、酸化物換算で1~20質量%であることとしてもよい。このような構成とすれば、第2副成分を含むことによるセラミック多孔体の強度向上の効果を確保することができると共に、第2副成分の含有量が過剰であることに起因してセラミック多孔体の触媒活性が低下することを抑えることができる。
(7)上記形態のセラミック多孔体において、前記3次元網目構造におけるセル数が、5~50個/25.4mmであることとしてもよい。このような構成とすれば、セラミック多孔体が強度不足となることを抑えつつ、セラミック多孔体内部における流路抵抗を抑えることができる。
本開示は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、セラミック多孔体の製造方法や、セラミック多孔体の酸化還元反応を利用した水熱分解用水素製造装置や、二酸化炭素熱分解による一酸化炭素製造装置等の形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
セラミック多孔体の外観を表す説明図。
セラミック多孔体の製造方法を表すフローチャート。
各サンプルの組成と測定結果を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.セラミック多孔体の構成:
図1は、本実施形態のセラミック多孔体10の外観を表す説明図である。セラミック多孔体10は、連通気孔が形成された3次元網目構造を有しており、酸化セリウム(CeO
2
)および酸化ジルコニウム(ZrO
2
)のうちの少なくとも一方によって構成される主成分と、イオン価数が変化する金属元素であって、融点が1400℃以上の岩塩型構造酸化物となり得る第1副成分と、を含む材料によって構成されている。本願明細書において、特定成分が「主成分である」とは、当該特定成分の含有量が、50質量%以上であることを意味する。本実施形態のセラミック多孔体10は、後述するように酸化還元触媒としての利用が可能であるが、上記した3次元網目構造は、セラミック多孔体10の使用時において圧力損失を小さく抑えることができる形状である。セラミック多孔体10における酸化セリウムや酸化ジルコニウムの含有量や、その他の成分の含有量は、例えば、誘導結合プラズマ質量分析法 (Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry:ICP-MS)により測定することができる。
【0009】
セラミック多孔体10の主成分は、上記したように、酸化セリウム単独で構成されていてもよく、酸化ジルコニウム単独で構成されていてもよく、酸化セリウムと酸化ジルコニウムの混合物により構成されていてもよい。このような、セラミック多孔体10の主成分を構成する金属酸化物を、「触媒酸化物」とも呼ぶ。セラミック多孔体10の主成分は、少なくとも酸化セリウムを含むことが望ましい。
【0010】
セラミック多孔体10の第1副成分は、上記したように、イオン価数が変化する金属元素であって、融点が1400℃以上の岩塩型構造酸化物(塩化ナトリウム型構造の酸化物)となり得る金属元素である。「岩塩型構造酸化物となり得る金属元素」とは、雰囲気の変化に伴ってイオン価数が変化するときに、還元雰囲気下においてイオン価数が減少して2価になり、岩塩型構造酸化物となることができる金属元素であることを指す。このような第1副成分は、通常は酸化セリウム等の触媒酸化物に固溶している。セラミック多孔体10を酸化還元触媒として用いて、セラミック多孔体10が還元雰囲気下に晒されたときには、第1副成分は酸化物となって触媒酸化物の表面に析出する。
(【0011】以降は省略されています)
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