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公開番号2025090017
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-16
出願番号2024207694
出願日2024-11-28
発明の名称医用情報処理装置及び医用情報処理方法
出願人キヤノンメディカルシステムズ株式会社
代理人弁理士法人酒井国際特許事務所
主分類G16B 25/00 20190101AFI20250609BHJP(特定の用途分野に特に適合した情報通信技術)
要約【課題】被検体における潜在的な薬物反応をより適切に評価するための精密医療アプローチを提供すること。
【解決手段】実施形態に係る医用情報処理装置は、取得部と、グラフ構築部と、スコア算出部と、を備える。取得部は、病状の治療に適した薬物と関連付けられた少なくとも1つの標的生体分子の情報を含む薬物標的情報と、ドメインナレッジに基づくタンパク質間相互作用情報と、少なくとも1の被検体のマルチモーダル・オミクスデータと、を取得する。グラフ構築部は、薬物標的情報と、タンパク質間相互作用情報と、マルチモーダル・オミクスデータと、に基づいて、グラフを構築する。スコア算出部は、グラフとマルチモーダル・オミクスデータとに基づいて、少なくとも1の被検体のそれぞれのスコアを薬物ごとに算出する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
病状の治療に適した薬物と関連付けられた少なくとも1つの標的生体分子の情報を含む薬物標的情報と、ドメインナレッジに基づくタンパク質間相互作用情報と、少なくとも1の被検体のマルチモーダル・オミクスデータと、を取得する取得部と、
前記薬物標的情報と、前記タンパク質間相互作用情報と、前記マルチモーダル・オミクスデータと、に基づいてグラフを構築するグラフ構築部と、
前記グラフと前記マルチモーダル・オミクスデータとに基づいて、前記少なくとも1の被検体のそれぞれのスコアを薬物ごとに算出するスコア算出部とを備えた、
医用情報処理装置。
続きを表示(約 1,800 文字)【請求項2】
前記グラフ構築部は、
前記標的生体分子それぞれに対応するノードを前記グラフに追加する処理と、
前記標的生体分子それぞれに対応する前記ノードを、遺伝子またはタンパク質に対応する少なくとも1つの追加ノードに、タンパク質間相互作用情報に基づく前記標的生体分子と前記遺伝子またはタンパク質との間の第1または第2連結度に対応するエッジで連結することで、前記グラフを拡張する処理と、
前記マルチモーダル・オミクスデータに基づいて、前記グラフの1つまたは複数のノードを生体分子に対応する追加ノードにエッジで連結することで、前記グラフを更に拡張する処理と、
を前記少なくとも1つの薬物ごとに更に行うことにより、前記グラフを構築する、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項3】
前記マルチモーダル・オミクスデータは遺伝子発現データを含み、前記遺伝子発現データは複数の被検体に対して正規化された複数の遺伝子の遺伝子発現レベルを含む、
請求項2に記載の医用情報処理装置。
【請求項4】
前記スコアは、前記遺伝子発現レベルを標的生体分子および遺伝子またはタンパク質に対応する前記グラフの前記ノードのそれぞれに割り当てることに基づいて算出される、
請求項3に記載の医用情報処理装置。
【請求項5】
ノードに割り当てられた遺伝子発現レベルの前記スコアへの寄与は、前記標的生体分子を表すノードからの当該ノードの分離度に基づいて重み付けられる、
請求項4に記載の医用情報処理装置。
【請求項6】
前記重み付けは前記分離度に反比例する、
請求項5に記載の医用情報処理装置。
【請求項7】
前記スコアは絶対遺伝子発現レベルに基づいて算出される、
請求項4に記載の医用情報処理装置。
【請求項8】
前記マルチモーダル・オミクスデータは、前記少なくとも1つの標的生体分子および/または前記グラフにより表される少なくとも1つの遺伝子またはタンパク質に関連付けられた遺伝子変異の存在を示す遺伝子バリアント情報を含み、前記グラフは前記遺伝子バリアント情報に基づいて更に拡張される、
請求項3に記載の医用情報処理装置。
【請求項9】
前記グラフは、
個別の薬物を表す少なくとも1つの開始ノードと、
それぞれが前記薬物標的情報に基づいて個別の開始ノードにエッジにより連結される、個別の標的生体分子を表す少なくとも1つの第0オーダーのノードと、
それぞれが前記タンパク質間相互作用情報に基づいて第0オーダーのノードにエッジにより連結される、個別の遺伝子またはタンパク質を表す少なくとも1つの第1オーダーのノードと、
それぞれが前記タンパク質間相互作用情報に基づいて第1オーダーのノードにエッジにより連結される、個別の遺伝子またはタンパク質を表す少なくとも1つの第2オーダーのノードと、
前記遺伝子バリアント情報に基づいて個別の第0オーダー、第1オーダー、または第2オーダーのノードに遺伝子バリアントエッジにより連結される遺伝子バリアントを表す任意の数のノードと、
を含み、
前記遺伝子発現レベルに基づいて、前記第0オーダー、第1オーダー、および第2オーダーのノードそれぞれに、第1の値が割り当てられ、
遺伝子バリアントの存在に基づいて、前記第0オーダー、第1オーダー、および第2オーダーのノードそれぞれに、第2の値が割り当てられ、
各被検体における各薬物の前記スコアは当該薬物を表す前記開始ノードを起点とするノードに割り当てられた当該被検体の前記第1の値と前記第2の値とを合計することで算出され、前記第1の値と前記第2の値と、は前記個別の第0オーダーのノードからの対応する各ノードの距離に基づいて重み付けされる、
請求項8に記載の医用情報処理装置。
【請求項10】
前記マルチモーダル・オミクスデータは前記病状および/または前記病状の治療の副作用により階層化された複数の被検体に対して正規化される、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、医用情報処理装置及び医用情報処理方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
精密医療(Precision medicine)は、患者特異的特徴(通常は遺伝的データ)が臨床意思決定に使用されるプロセスである。薬理ゲノミクスの分野において、標準的精密医療パイプラインは、まず、ゲノムワイド関連解析(Genome-Wide Association Study:GWAS)を行い患者の変異を特定し、特定した変異のうち任意のものを薬物反応に関連付け、その後、変異の存在に基づいて当該患者の薬物治療を変更する。
【0003】
かつて多くの専門家が、精密薬理ゲノミクスが医療の新しい波を先駆すると考え、患者は意思決定の中心に位置し、患者の変異データが事実上全ての医療を支えるだろうと考えた。しかし現在では、GWASベースの精密医療は、実施可能なプロトコルがほとんど存在しないことから、特に癌以外の領域においては一般的には目的を果たせていないと考えられている。Massard et al.による研究では、腫瘍生検の遺伝子分析に基づく標的療法(targeted therapies)の実施により、治療困難な癌を患う患者のサブセットにおいて結果が改善することが分かった(Cancer discovery 7.6(2017):586-595)。しかし、スクリーニングに成功した患者のうち、このアプローチを用いて臨床結果の改善がみられたものは、わずか7%である。そのため、個人の遺伝子変異の役割を考慮した点変異精密医療仮説が効果的な標的療法を可能にする全体像をつかんでいるかは疑問の余地がある。
【0004】
マルチオミクス・アプローチは精密薬理ゲノミクスアプローチの有効性を向上させる方法を提供するかもしれない。現在のプロトコルは、今のところ、単一変異、または、より稀ではあるが遺伝子変異量(tumour mutational burden)を統合するに過ぎない。そのため、遺伝子ネットワークまたは統合マルチオミクスネットワークとしてエンコードされ得る他のオミクスモダリティからの有益な情報を考慮していない。とりわけ癌のコンテクストにおいて、これらの追加的モダリティに属する患者データは、患者グラフを形成するドメインナレッジであるため、ますます利用可能になっている。この追加的情報への考慮不足が、精密医療アプローチの成功に影響しているかもしれない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
米国特許出願公開第2018/312928号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、被検体における潜在的な薬物反応をより適切に評価するための精密医療アプローチを提供することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る医用情報処理装置は、取得部と、グラフ構築部と、スコア算出部と、を備える。取得部は、病状の治療に適した薬物と関連付けられた少なくとも1つの標的生体分子の情報を含む薬物標的情報と、ドメインナレッジに基づくタンパク質間相互作用情報と、少なくとも1の被検体のマルチモーダル・オミクスデータと、を取得する。グラフ構築部は、薬物標的情報と、タンパク質間相互作用情報と、マルチモーダル・オミクスデータと、に基づいて、グラフを構築する。スコア算出部は、グラフとマルチモーダル・オミクスデータとに基づいて、少なくとも1の被検体のそれぞれのスコアを薬物ごとに算出する。
【0008】
ここで、実施形態が、限定にはならない例示として説明され、以下の図に示される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は、実施形態に係る装置の一例を示す概略図である。
図2は、実施形態に係る方法の一例を示す概略図である。
図3は、実施形態に係る方法の一例を示すフローチャートである。
図4は、薬物とその薬物遺伝子標的との間の相互作用および当該薬物遺伝子標的を有するタンパク質の相互作用を示すサブグラフの一例を示す概略図である。
図5は、図4に示される複数のサブグラフの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ある実施形態は、病状に基づいて、前記病状の治療に適している個別の薬物にそれぞれが関連付けられた少なくとも1つの標的生体分子を含む薬物標的情報を取得することと、ドメインナレッジに基づいて、タンパク質間相互作用情報を取得することと、少なくとも1つの被検体のマルチモーダル・オミクスデータを取得することと、前記薬物標的情報と、前記タンパク質間相互作用情報と、前記マルチモーダル・オミクスデータと、に基づいて、グラフを構築することと、前記少なくとも1つの薬物ごとに、前記少なくとも1つの被検体それぞれのスコアを、前記グラフと前記マルチモーダル・オミクスデータとに基づいて、作成すること、を行う処理回路を備えた医用情報処理装置を提供する。
(【0011】以降は省略されています)

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